2024年07月30日
Le Pendu-吊るされた男-(2)
LINEで連絡を取ってみると、まず身長や体重、年齢等を聞かれ、会って話を聞きたいと言われた。ジムができるのではなく、ジムを作りたいと思っていて資金集めをしている段階なので、トレーニングはまだできないが、ニーズを調査しているのだという。崇はジムのマシンを実際に使ってみて、その使い方とか効果をいろいろ聞きたいと思っていたのだが、どうも一方的なアンケートのようだったので断ろうとしたところ、相手がアンケートの謝礼として5000円支払うというので、今日は偶々時間が空いていたから行ってみることにした。待ち合わせ場所らしきところまで自転車で来たが、住所ではコンビニを指していた。駅とも全然違う方向だった。指定の時間になったのでキョロキョロしていると、赤い乗用車からガッチリした浅黒い男が下りてきた。黒いポロシャツとジーンズ姿、年齢は40代後半くらいだろうか。真っ黒なサングラスをかけていた。「君が、崇君?」そうだというと、体を嘗め回すように見て、「早速だけれど、いくつか聞きたいことがあるので、外じゃなんだから、乗ってくれる?」と自動車を指さした。こんなところでアンケート?とも思ったが、先に5000円札を渡されたので、車の後部座席に乗り込んだ。アンケートといっても、年齢はともかく、住所や電話番号、通っている大学といった個人情報を書かせようとしていたので、書けないところもあると告げると、「ああ、大丈夫、書けるところだけで。これ、ちょっと飲んでくれる?」と小さな紙コップを渡された。プロテインドリンクなのだろうが、粉が全部溶けておらずに周りにも附着していた。「試供品だから。」プロテインかと聞いたが答えなかった。アンケートもこのマシンは使ったことがあるかないかといった単調なもので、難しく考えずに書いていったが、強烈な眠気が襲ってきて、睡魔には勝てずにアンケートを全部答えないうちに意識を失った。

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