電気クラゲ
2023年05月14日
だって夏じゃない(10)
「おう、それ、取ってくれ、それそれ、その袋、それじゃ。」
木偶の坊が、市指定のゴミ袋と、それを掴むトングを持ってきた。淳平は、ジンジンする自分の一物を労わることもできずに、体全体で大きく息をしていた。小麦色に日焼けした体と、競パンに沿って現れた本来の真っ白な素肌、そしておどろおどろしい様相で憮然と垂れてヒクつく一物が、先ほどの責め苦の激しさを物語っていた。
「さっきの兄ちゃん、海辺のゴミを集めたはいいけんど、ここに捨てちゃあかんがな。」
と、トングで何か取り出した。
「おい、これ、何だかわかるか?」
「溶けたビニール袋ですか?」
「お前は世間知らずじゃなぁ。これは電気クラゲっちゅうて、クラゲなんじゃ。」
「ふーん、そうっすか。」
「そうってお前、まあいいか、見ててみぃ。」
と、トングでつまんだカツオノエボシ、通称電気クラゲの死骸をそっと持って行った。で、テロンと垂れ下がった一物に手をかけた。
「止めろ、バカ、止めろ止めろ。」
出っ歯は一物の先を持って引っ張ると、その上にきれいなマリンブルー色の死骸を乗せた。
「危ない、止めろって、それ、毒クラゲ、チンポなん・・、きゃぁぁぁぁ!!!」
言い終わらないうちに、防砂林をつんざくような甲高い悲鳴が上がった。体を広く揺り動かしたので、クラゲの死骸は落ちてしまったが、その部分は点々と赤くなっていた。大事なところにキリのような太めの棘が刺さった、それも深くまで、そんな信じられないような痛さだった。
「電気、死んでもあるんですか、兄貴?」
「電気じゃねえよ、オメエ。クラゲってのは足んとこに毒針仕込んであんだぁ。刺激すりゃ、毒針がシャッと相手に突き刺さんだわ。」
「おっかねえクラゲっすね。」
「そうでもしなきゃ、オメエ、海にプッカプカ浮かんでんだけで、何も餌取れんじゃろが。」
そんな話をしているうちに、立派な一物をぐるっと取り巻くように赤くなった筋がミミズ腫れになってぷくっと膨らんできた。
「おお、ポコチンがいい色になってきたな。こりゃ、当分は遊べないわな、カカカカ。」
淳平は出っ歯を睨みつけた。
「なんだぁ、文句あるんかぁ?」
と、砂を持った手で長い一物を雑に扱き出した。
「かぁぁぁぁぁ!!!止め止め止めて、あぁぁぁぁぁぁ!!!」
風が吹いただけでもヒリヒリするのに、砂を擦り込まれたのでこの世のこととは思えない痛さが襲った。遊べないどころではない、本当に使い物にならなくなってしまう。これからの長い人生、男の象徴が使い物にならないなんて、とてもじゃないが想像を絶する。が、木偶の坊は木偶の坊で淳平のことを睨みつけていた。
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toppoi01 at 17:00|Permalink│Comments(0)