よくあるファミレスでのできごと

2019年10月29日

よくあるファミレスでのできごと(1)

夜も20時くらいになると、客が急に増えてきた。このファミレスはオーダーがある場合はテーブルにあるボタンを押すシステムなのだが、ひっきりなしに押され、さばくので精一杯。
そんな中で、悠太が彼氏を連れてきた。
っていうか、彼氏何だかどうだか怪しいが。どうせどこかで引っ掛けてきた男だろ?
「セーナ君、元気?」
悠太は手を上げて星那を呼び止めた。向かい側には色白と言うより青白い、黒縁メガネをかけてどちらかというとネクラそうな、少年?年上?ボリュームのある髪が年を分からなくさせている。その彼は声を発することがないんじゃないかと思うくらい縮こまって俯いていた。
「ご注文は?」
「男。活きのいいのにしてね、俺、マグロだから。」
「ドリンクバーはおつけしますか?」
「カルピス濃い目で。」
何か、他の人に注文とってもらった方がいいわ。忙しいし。
「セーナ君、この彼どう?」
どうって、マジでさっきから一言もしゃべんないし、顔も上げないし。挨拶くらいできないものなんかね?何?
「彼、実はウリ専なんだよ。」
は、はい?こんなネクラが?もしかして、悠太、こんなの買ったの?どこがいいの、こんなの?いくら払ったの?何時間?どこで?決め手は?どこが良かったの?俺にはいいところが見つからないんだけれど、良さを教えてよ。いろいろな疑問が爆発的に湧いてきちゃって、言葉が出ないよ。
「・・違うよ。」
「は?違わないだろ。」
「僕はウリ専じゃない。」
「だって会うのに金がいるんだろ?ウリじゃねーか。」
何何、え、買ったの?
「何言ってるんだ、早とちりだな。これから交渉するんじゃねーの。だって処女だっつーからさ。」
ゲイに処女も何も自己申告じゃんね。
「違います。僕が払うんです。僕が買うんです。」
ん?二人とも目を大きく開けて、でお互い見合わせた。っていうか、でしょうね。経験ないのにいきなり売るわけないっしょ。早とちりはどっちなんだよ、頭悪いわ。
「俺、無料だよ。フリー。」
え、やるの?
「なんで?処女だろ?」
は?
「でさ、物は相談なんだけど、セーナ君、バイトでしょ?部屋貸してくんない?」
絶対嫌だけど。
「ケチ。ケチケチドケチ。じゃ、そういうことだから、セーナ君、バーイ。」
ネクラ君の肩をガシって組んで、店を出て行った。状況がつかめない、っつーかついていけない。

人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
toppoi01 at 08:30|PermalinkComments(0)

2019年10月31日

よくあるファミレスでのできごと(2)

「そっか、俺も行ったことがあるよ、その美術館。超センスいいよね。」
ここは新宿三丁目にあるファミレスだけあって、ゲイ率がかなり高い。会話も聞かれたって全然平気なくらいあからさま。っていうかさ、絶対行ったことないだろ。相手はあんまり乗り気じゃなさそう。
「ニューヨークって感じ?俺さ、実はニューヨーカーに憧れているんだよね。良くなくない?響きが。ラジカセ片手にさっ。」
ってポーチを肩の後ろに持って行っている。自分はラウンド髭だと思っているのだろうけれど、坊主の丸顔でどう見てもカールおじさん。脂ぎってテカテカした田舎者丸出しの顔してニューヨーカーもないだろ。入浴ならまだしも。俺としたことがオヤジギャグ的な発想だな。相手はやっぱりさっきのネクラと同じくらい顔が白くて小さくて、どこかのお坊ちゃんというか、学習院でも行ってそうな感じ。身なりも清潔だしさ。カールおじさんの方はラガーシャツ?これはこれでよくお似合いでございます。しっかしアンバランスだな。ここで初めて出会ったのかな?それにしてもカールおじさんの趣味だよな、ファミレスデートなんて。
「DJもやってみたいんだよね、こんなの。」
と、カールおじさん、レコード世代?言うことが古すぎ。ジェネレーションギャップ半端ないじゃん。相手も全然乗ってきてないし。会話が弾まずにカールおじさんの空回りが痛々しくて虚しい感じ。ああ、笑っている、愛想笑いかな。ひきつってるじゃん。地獄の時間。
「そろそろ、いいかな?どう?」
ムチャクチャなタイミングで相手の手を握っている。何だこれ。目がマジ。え、頷いているよ。マジで?エッチ目的なのか。手を引いて足早に連れていかれている。うわ、汚れ専?これこそ金の臭いがするな。

人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
toppoi01 at 08:30|PermalinkComments(0)

2019年11月02日

よくあるファミレスでのできごと(3)

「いやー、セーナ君、お疲れお疲れ。」
悠太が戻って来た。2時間経ってないけど、あのネクラ君どうしたの?
「参ったよ、泣かれちゃって。こんなつもりじゃなかったとか言い出されて。」
ん?経験したいって話だったよね?
「それがさ、よく分かんねーんだよ。経験ない人とヤリたいんだって。」
は?言っている意味がよく分かんないけど?
「だから、俺みたいな経験豊富な感じなのは嫌なんだとさ。俺のことをノンケだと思っていたみたい。」
え、処女希望ってまさか、あのネクラ君が処女ってことじゃなかったっけ?
「俺みたいにすぐケツ突き出したりするのは嫌なんだとさ、言わすなよ。」
悠太は忌々しそうにタバコを吸っている。整理すると、ネクラ君はノンケの処女を犯したかったんだけれど、悠太は見た目がノンケっぽいだけで、すぐに股を開くなんてバリバリゲイじゃないかってことだ。それにしてもそれで泣く?
「それは、俺がちょっとね、なじっちゃったからかな。」
煙を宙に向かって吹く。あの、トラウマにならないかね?
「っていうか、セーナ君、いつバイト終わるの?俺のケツ、使っていいからさ。」
俺も遠慮しておくっす。だって、ネクラ君より順位が低いんだもん。どういうこと!?

人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
toppoi01 at 07:30|PermalinkComments(0)

2019年11月04日

よくあるファミレスでのできごと(4)

訳アリな感じの薄幸そうな男二人組が入ってきた。険悪な感じで終始無言。飲み物だけ頼んで、あとはずっと何をするわけでもなく、一方は一方をずっと睨み、睨まれた方は下を向いている。
キョロキョロして入って来たサラリーマン風の男。冴えない感じだわ。その、向かい合って座っているところの脇にちょっと間を開けて座る。
「ねえ、いつから?」
クスリでもやってそうな感じの不健康そうな金髪が口を開いた。不穏な雰囲気だ。浮気?
「いつからって何が?」
「とぼけないでよ!」
目にクマを作った感じの丸顔が、コップをガンってテーブルに置く。でた、とぼけないでよ。久しぶりに聞くそのワード。っていうか、どっちもオネエ?
「何、何したの?」
「アタシが帰ってきたら、コイツがいたの。何、コイツ?」
「はぁ?アンタが何なんですけど。嗤える。」
「バッカじゃないの?この腐れマ××。」
「自分の顔見てからいいなさいよ、このブス。」
あの、何でファミレスで痴話喧嘩をするかね?家で遭遇したら家でやったら?
「どっちが本命なの?アタシよね?」
「どこまでおめでたいの?チー君はアタシにぞっこんなんだから。」
「オバチャン、そんなわけないでしょって。厚かましい身の程知らず。」
「ブスはでしゃばらないでくれます?」
化粧してないからよく分からなかったけど、どっちもそういやニチョのゲイバーの売り子だわ。スッピンだとどっちも冴えない男なんだな。若いと思ってたけど、よく見ると皴やシミがすごいや。
「うっせーんだよ、あばずれ。誰だってまた開くくせによー、マ××洗ってんの?マ×臭すごいんだけど。」
「アンタ、お黙んなさいよ。口臭いわよ。何食ったらそうなんの?ウ××?」
エキサイトしてきたから、冴えないサラリーマンはブス二人連れて二丁目に消えていった。つかみ合いとかするのかな?ブスの取っ組み合いっておもしろそう。仕事がなければ見に行くんだけれど。

人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
toppoi01 at 08:30|PermalinkComments(0)

2019年11月07日

よくあるファミレスでのできごと(5)

「おい、まだかよ、頼んだの、まだ来ないんだけど。」
いるんだよね、普段おとなしいくせにこういうときだけ大声上げてクレームつけてくる奴。仕事の時はきっと米つきバッタのようにペコペコしているような小心者なんだよな。
「お待たせしました。」
「遅ーよ。遅い。オ、ソ、イ。何やってんだよ。こんなのすぐにできんだろうがよ。」
額が大きく禿げ上がった黒縁メガネが、唾を飛ばしながらクレームを言う。その向かいにはそこそこ若くて色白で端正な顔立ちだけれども、さらに不機嫌に眉を歪めた男が。そんなに遅いってこともないと思うのだけれども、すみませんでしたと言って、さっさと立ち去る。
「あの、もう時間も過ぎているので帰ってもいいですか?」
「いや、ここ、俺のおごりだから、大丈夫。」
「3時間なので、延長なら店を通してもらいたいんですけど。」
「違う違う、これはほら、ここは俺が出すから、もうフリータイム。」
「ちょっと店と相談します。」
といって、席についたままで電話した。
「あの、お客様が延長を希望しているようですが、どうしたらいいですか?」
どうやらウリ専っぽいわ。でしょうね、釣り合わないし。何だ、あのハゲ、若い子の前だからって、粋がり過ぎ。
「はい、はい。もうお金は3時間分でいただいてます。はい。」
ハゲ、何か苛立っているわ。そうよね、金なら出すって言いたいんだろうけどさ。電話が終わったようだ。
「すみません。僕は次の予約が入っているんで、これで失礼します。」
「おい、そらねーだろ、こっちとらホテル取ってんだ、どうなってるんだ?」
「いえ、いただいているのは3時間のご料金で、既に3時間が経過していますので。」
「ふざけんなよ、3時間払ったんだからあとはフリーだろうがよ。」
何だろ、フリーって。あのハゲ、もしかして3時間で口説いて自分の物にした気でいるのかね?すごい自信。
「では、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。」
「おい、おい。」
「お待たせしました、ナポリタンです。」
「いいよ、もう。会計。」
ファミレスで口説く自体でそもそもアウトなのに、鈍感だな。

人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
toppoi01 at 08:30|PermalinkComments(0)
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

記事検索
最新コメント