ゴーグルマンⅣ
2018年08月18日
ゴーグルマン(19)
三上は感想を聞いた。
「良かったです。」
自分でもその一言では足りないと思ったのか、
「次もまた、やりたいです。」
という言葉が知らずして口から飛び出した。今まで知らなかった領域をこじ開けられたような、そしてその自分の知らなかった世界が急に開かれて、そこに何も知らない自分が放り出されたかのような、未知の世界の入口附近にいるんだなということだけは自分でも分かっていた。今まで「受ける」といったことは考えもつかなかったし、それは男として途轍もなく恥ずかしいこと思っていた。しかし、それを飛び越えた世界の向こうは別世界だったことが分かった。カメラに向かって一言と言われ、これが撮影だったことを思い出した。どんな感じで俺の姿が映っているんだろうかと思うと、急に不安になった。先ほどの「男として恥ずかしい」といったことが再び頭の中を駆け巡った。
「すみません。」
亘行はこういうと、立て続けに、
「やっぱりちょっと、俺には無理かもしれないです。」
と、自分のあられもない姿が世の中に出てしまうことに急に抵抗感が生じた。
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toppoi01 at 08:30|Permalink│Comments(0)