終わりの見えないデスマッチⅤ

2017年06月12日

終わりの見えないデスマッチ(29)

また、智哉とスパーリングだ。日に日に智哉は、目の奥に獣が潜んでいると言うか、凄みを帯びてきた。カラダもあのスポーツをやっていて自然とついた筋肉から、脂肪を削ぎ落として筋量がそこから染み上がってきたかのような、俺のカラダと同じくらいの体脂肪量でありながら、胸の谷間の部分から腹にかけて深く刻まれる溝が顕著で、俺と似ていて否なるものを見にまとってきた。最初の頃は、かかってくる智哉を横に転がしたり、跳ね飛ばしたり、力の差が歴然として子供を相手にしているような感じだったのが、今では力は互角かもしれないがスピードはついていけなくなった。そして、寸止めをするようになったし、勢い余って当たってしまったら「ごめんなさい。」と逆に言うようになった。手加減をされているようにも思えたが、智哉はそれを否定した。以前のような、やったらやり返すと言ったような刺々しさはなくなり、互いが計算めいた、いや、智哉の目の奥にはもっとつかみどころのない何か得体の知れない怪物が隠されているかのようだった。

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toppoi01 at 08:55|PermalinkComments(0)

2017年06月13日

終わりの見えないデスマッチ(30)

今日の試合はまさしく人間と言うよりはゴリラでも相手をしているかのような、ひどい組み合わせだった。プロとは言わないが、レスラーのように筋肉で覆い尽くされたカラダで、体重にすれば俺の1.5倍はあるのではないかと思われる男だった。オッズもさすがに今までにないくらいな開きになった。俺はどこか頭が朧気というか、何かガラスの破片が脳の深くに刺さったような、妙な感覚だった。試合に勝ちたいといった欲がなかった。むしろ他の人が試合をしているのを遠くで見ているかのような、客観的というか他人事のような感じで試合に臨んだ。試合が始まったが、相手には余裕がありありと感じられた。どんな衝撃も吸収してしまうだろう胸の厚み、俺の脚よりも太いと思われる胸、腹も筋肉でプロテクトされているようにどの部分も隙間なく囲われている感じだった。首から肩にかけても、こんなところまで鍛えられるのかと言うくらい筋肉が付いていて、足も棍棒なのかと言うくらいの膨れぶりだ。一撃を喰らえば致命傷なのだろうし、明らかに俺の攻撃を待っていた。掴まれても終わりだ。
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toppoi01 at 08:47|PermalinkComments(0)

2017年06月14日

終わりの見えないデスマッチ(31)

相手は来いと手招きをしている。手馴れた感じだ。相手をしてやるぞといわんばかりの挑発。蹴りで腿あたりを蹴り、様子を窺う。全く効いていない。でも、長期戦は不利だろうな。向こうが右のパンチを繰り出してきたのと同時に、コンビネーションで蹴りを放った。リーチの長い俺の方が一瞬速かった。腕で防いだけれど、腕の筋肉が押しつぶされる衝撃を受けた。こんな化け物のような腕をしたパンチなど喰らったら、顎の骨が砕けてしまうかと思ったが、こういう場で試合したことがなかったのだろう、俺の蹴りは急所に的確に入っていた。こんなこれ以上筋肉が発達しようもないくらい鍛え上げたマッチョマンでも、金的を喰らえば猫のように大人しくなるのだから面白いもんだ。両手で急所を押さえたまま屈み込んでしまい、吐き気を催しているようで口をつぼめていた。一瞬で繊維を喪失した相手のハードジェルで固めた髪を掴み、膝で顔を何回も何回も蹴っていく。歯に当たって膝が痛むが、それに耐えつつ打ち込んだ。低めの鼻から出血し出し、弘一の膝を汚した。鼻血を抑えようとして手が鼻へといったところで、またも股間に蹴りを食らわす。

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2017年06月15日

終わりの見えないデスマッチ(32)

「うぐぅぅぅっ。」筋肉で身を固めたようなタイプの男は前にも対戦したことがあるが、大体が見事な筋肉に反比例してお粗末様なモノを、ぶら下げていると言うよりも付けているとでも言った方が適切かもしれない。筋肉をまとっている男は頭が悪いというのは俗説かもしれないが、モノが小さいと言うのは栄養摂取が筋肉基準で考えられているからあながち間違いのではないのかもしれない。ただ、大きかろうが小さかろうが関係なく、効果は絶大のようだ。勢い余って仰向けに倒れていったところを、その流れで膝に全体重をかけてそのまま落とし、更にその小さな股間を打ちのめした。「きゃぁぁぁ。」と、女の金切り声のようなみっともなく甲高い悲鳴を上げた。血まみれの口を大きく開けて、目は上方を剥いて泡でも噴くのかというような感じで、酸欠のフナのように口をパクパクさせている。だから何のための筋肉なんだよって呆れてちょっと藁けてきた。面白いので、コーナーに戻って回復を待ってみることにした。奴はカラダを起こして、肩を激しく上下させて呼吸を整えていた。鼻に指を当てて、鼻血の塊を出す。その辺りがどうも場慣れしている印象を受けた。

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2017年06月16日

終わりの見えないデスマッチ(33)

相手は拳同士を腹のあたりで打ち合い、気合を入れているようだ。大胸筋が連動して波打っている。余計エキサイトさせたようだ。窮鼠猫を噛むというが、手負いの熊だったらどれほど危険なのだろうか。普段だったら勝ち急いでいたが、心の余裕というよりはぽっかり空いた空虚さが判断ミスを犯し、相手に休息とチャンスを与えたのだ。会場は野次の嵐だ。試合を観に来たのではなく、皆、賭けをしに来たのだから。しかし、相手はやはり平静さを失っていた。繰り出す技が単調で、雑で正確さを欠いていた。獲物をしとめようとする気持ちが先走って、一発逆転のラッキーを狙っているかのようだったので、俺は足を使ってそれをかわしていった。それに、急所を守ろうとして自然と腰が引けていた。顔にフックが面白いように当たる。次第に動きも鈍くなっていく。目が腫れてきたから、視界が悪くなってきたこともあるだろう。筋肉野郎が自分でよろけて倒れたら、急に手を股間に持っていく。急所攻撃がよっぽど怖いらしい。狙い甲斐がないや、そんな小さいの。俺は薄笑いを浮かべつつ顔をサッカーキックした。意識がなくなったのか、それっきり筋肉野郎はほぼ動かず、10秒が経過して勝利を得た。

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