終わりの見えないデスマッチⅢ

2017年05月29日

終わりの見えないデスマッチ(16)

「ギャッ!!」下腹部からキリッと抉られるような痛みが全身を貫いた。「スキあり、ですよ、弘さん。」またもやニヤリとする智哉の顔が。想いを馳せていたら背後から智哉に玉を握られたのだ。智哉を軽く小突く。汗も引いて既に肌寒くなっていた。シャワーはあるがお湯が元々出ない。さっと浴びると素早く着替え、ファイトマネーと賞金を手にして、智哉と車に乗り込む。「何食べます?」「いや、今日の反省をしてからだ。」川崎市M駅前にあるタワーマンションの36階が弘一の住まいだ。東京タワーとみなとみらい地区の観覧車がどっちもよく見える。広いワンルームマンションには必要最低限の物しか置いていない。弘一が入ると、智哉はいきなりキスをしてきた。濃厚なキス、智哉はうっとりした目を浮かべている。「あっ!!」智哉は跳ね飛んで、「今日はスキ多いっすよ、弘さん。」キスをしつつ、拳で弘一の股間を殴りあげたのだった。手加減したとはいえ、やはり急所は急所である。特に油断しているときの金的は堪える。弟分の前で情けないような声をあげてしまった。「そういう弘さん、かわいいっす。」7歳も年が離れている奴にバカにされたような口調で言われると、悔しいけれど寛容な気持にもなる。

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2017年05月30日

終わりの見えないデスマッチ(17)

思えば最初の試合、弘一は油断から負けを喫したのであった。練習を積んでいて、初戦の相手を見た途端、余裕で勝てる、そう思ってしまったのが敗因だった。相手はごく平凡な、髪が長めで若干痩せ気味の、どうしてここに出てきたのか分からないくらい凡庸な相手だった。瞬殺だな、そう思うのも無理はなかった。デビュー戦でもあり、華々しく勝利を飾りたかった。だから、練習していたハイキックで華麗に決めよう、そう思って臨んだ。しかし、実際始まってみると、相手の警戒は凄まじく、距離を取られた。何度か試みたが、全然当たらなかった。距離を詰めなければならない、そして廻し蹴りを喰らわすか、そう思い、踏み込んで、勢いをつけて廻し蹴りを試みたところ、相手はそれを察してしゃがみ込み、さらに踏み込んで弘一の股間へと拳を打ち込んだ。弘一にとって、初めて喰らう金的だった。ドリルで下半身を下から抉られるような、そんな鈍痛が急激に襲い、後ろに倒れこんだ。相手がさらに襲い掛かってくる素振りを見せたので、戦意喪失した弘一は自らタップをした。帰り際、浴びせられる罵声、そして飲み終わったワンカップやら空き缶やらを投げつけられ、惨めな形でのデビュー戦となったのである。振り返れば大した試合ではなかったが、今でもまざまざとその光景が思い浮かんでくる。しかし、それがあったからこそ、今があるのだ。
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2017年05月31日

終わりの見えないデスマッチ(18)

「トレすんぞ。」「もうっすか?」弘一は着ていた服を全て脱ぎ捨てる。智哉もそれに倣った。正面で向かい合う。2週間ぶりに会ったが、智哉は日に日に成長している様子が分かる。腹筋なんか、前は高校にあがりたての初々しい、板チョコのような見た目もきれいな感じの腹筋をしていたが、今では洗濯板のようなエグイ彫りをみせている。その下に垂れ下がったモノも、最近はちょっと右に曲がって蛇のようなグロテスクな形をしてきた。予め、黒いマットが2枚敷いてあり、そこが自宅兼練習場だ。先に手を出したのは智哉だ。さっき蹴りを喰らった左脇腹を狙ってフックを喰らわした。嫌がってバランスを崩したところを両足で挟み込んで倒そうとする。しかし、弘一は智哉の方へと倒れ込み、肘をその鍛えこまれた腹筋にめり込ませた。思わず両手で腹をかばうが、そのときには既に智哉の玉は弘一に握られていた。「何だ、その腹筋は見せ掛けか?」玉から離して、また等距離を取った。ゆっくり呼吸を整えつつ、智哉は立ち上がる。今度は弘一がミドルキックを智哉に喰らわせるが、それをがっしりと捕まえる。しかし、弘一の拳がまたも智哉のみぞおちの下あたりに喰い込んだ。たまらず持っていた足を離して崩れ落ちる。鈍痛がカラダの中央部から広がるように苛む。「おい、これで終わりか?」足の裏で智哉の股間をいたぶる。
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2017年06月01日

終わりの見えないデスマッチ(19)

「まだまだ。」智哉は自分に言い聞かせるように言い、また、距離をとって向かい合った。間合いは智哉には踏み込まなければ弘一に当たらない距離ではあるが、リーチのある弘一には十分射程距離内だ。智哉は肩で息をしているが、目はさっきよりも鋭くなった。若干腹を庇っている様子がとれる。弘一が左フックを繰り出してきたので避ける。本気ではないフックはフェイントだ。若干足がふらついているのが自分でも分かるが、悟られないようにしている。また左フックか。次に何か来るなと直感した。右のフックが来たのでカラダを後方に倒れこませて攻撃を防ぐと共に、右足で蹴り上げた。弘一の左はやはり智哉の左脇腹を狙ったが僅差で避けられ、逆に智哉の右足が弘一の金的を直撃した。「ガッ」弘一の動きが止まるが、踏みとどまった。あの20cm近い、白いフランクフルトのようなモノが緩衝材となったのだろう。智哉は、頭から弘一に突進し。弘一の腹へ頭突きを喰らわせた。弘一の右は智哉の頬を鋭く打ったが、智哉の右は、それ以上に弘一の玉を抉っていた。仰向けに膝から崩れるように倒れて左腕をマットに付き、苦悶の表情を浮かべる弘一を見下ろす。「かわいいですね、弘さん。」
 
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2017年06月02日

終わりの見えないデスマッチ(20)

汗で大理石のように筋肉の一つ一つが光り輝いて見える。股間に与えられた打撃に抗うかのように、その筋肉の一つ一つが万華鏡のような蠢きを見せる。それを見ながら、智哉は、野生のバナナのようにしなって固くなったものに透明な液体を塗りたくり、弘一の両足を持ち上げて拡げ、入るべきところへと滑り込ませた。二人は一つになり、静寂の中を互いの吐息だけが響き、メトロノームのような規則正しいリズムで、しかしときに激しくそのずっと奥にある何かを探究するが如く、ときに優しくシロップのような甘いけれどしつこくもない感じで互いの熱を交換し合った。それぞれ別々の動きをしていた筋肉の一つ一つが、統制力を持って均整の取れた芸術作品として融合していった。そして、荒々しい鼓動でお互いが包まれ、全身が紅潮し刻むリズムの間隔が短くなり、咆哮と共に熱情を迸らせた。また二人の個性に分かれ、甘い口付けでその別れを惜しんだ。

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2017年06月04日

終わりの見えないデスマッチ(21)

「治まりました?」智哉が、先ほど拳で突き上げた玉を優しく揉みほぐす。「強くなったな。」智哉の長い髪を掻き分けるように撫でる。「ケツの方がズキズキする。」元々、弘一はバックの経験がほとんどない。しかし、智哉だけは受け入れるのだった。そもそも、智哉とは、このタワーマンションに附設されているジムで知り合った。当初は黙々とトレーニングをこなしていた二人だったが、ミストサウナで一緒になったときに、お互いがお互いを見つめあい、磁石の如く惹かれるようにキスを交わしたのだった。お互いのカラダが何かを嗅ぎ取ったのだろう、そこで試合のことを聞き、そして観覧をして、試合そのものよりも弘一と言う存在に深く入り込んでいったのであった。「なぜ、試合をするんですか?」弘一に聞いたことがある。「分からない。」それが答えだった。答えになっていないようで、答えを出しているのだろう。金が稼ぎたいわけではない、もちろん名声でもない。自分の可能性をとことん試してみたいからなのだろう。ただ、優勝とか最強とか称号や権利がもらえるわけではない。試合の積み重ねにしか過ぎない。ただ、経験値の蓄積が答えで、智哉の存在はその答えに包含されている。ふてぶてしくシャープな腹の上に乗っかっている弘一のモノを手の平に乗せてみた。その先からは5分ほど前に噴水のように飛ばした後に遅れて溢れ出してきた液体が染み出していた。さっきまで静かに横たわっていたものが、また徐々に重みを増して硬直していった。「風呂、入るか。」「はい。」そして、二人は温かいぬくもりの中で、また一つになった。

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