堕ちるところまで堕ちてⅣ

2017年07月18日

堕ちるところまで堕ちて(13)

地下の階段から上がると、夕方とはいえ、日差しが強く照りつけていた。かなり古い集合住宅で、5階建てなのにエレベータもないようで、半分くらいは見た感じ空き家だ。
花壇であっただろう場所には、かなりデカい犬の糞がところどころに野ざらしになっていた。
正直、もう答えは出ていた。金になるということもそうだが、それよりもいろいろ自分の可能性を試してみたいという思いが強かった。いやいや来ている、ゲイかどうかさえ怪しい奴らよりも俺はもっといろいろできる能力を秘めている。金を掴むチャンスは無尽蔵にあるのではないか、そう思えてきた。
ジジイどもと関わりあいたいという気持ちはサラサラないんだけれど、中年やジジイからこんな扱いを受ける機会なんかきっと金輪際ないだろう。このモテモテボディの俺が、死に底ないのジジイどもにいたぶられるなんて面白いじゃないか。殺そうと思えばいつだって殺せるようなジジイに、逆に手出しできないのだから。そう思うと、異様に高揚してきた。さっき、得体の知れないオヤジたちに舐められまくった乳首の辺りが媚薬でも塗ったかのようにウズウズしてきた。何だか、異様にムラムラして、どこかで当たり構わず発散させたい気分だ。誰だっていい、目茶苦茶にされたい。今日は何発でもエンドレスでいけそうな気がする。体力、そして精力の限界までヤリこみたい感覚だ。

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2017年07月19日

堕ちるところまで堕ちて(14)

1週間後、やってみたいという電話をしたところ、赤ら顔のオヤジにゲイバーに呼び出された。
「で、浩ちゃんはいったい何ができるの?」
タバコの煙を吹かせながら、聞かれた。
「大体、大丈夫です。舐められたり触られたり程度なら全然。この前みたいな感じで大丈夫です。」
タバコをポージングした筋肉男の像で縁取られた灰皿の底で強めに消し、
「あのさ、この前みたいな感じだったら別にいらないよ?」
「え、あの、前の話じゃ、演者が決めるっていうことでしたよね?」
「んー、これってボランティアじゃないんでね、フリーでさ、浩ちゃんが路上パフォーマンスをするってなら全然それでいいよ。けどさ、場所を提供して集客もこっちでして、で人来ないじゃ困るんだわさ。」
「でも、SMはちょっと・・勘弁して欲しいかなって感じもあるんで・・。」
「じゃ、こうしよっか。こっちがプログラムを組むからさ、それを選べばいいじゃん。」
ってなことで、いくつか候補を挙げてもらった。というか、最初から選ばせるつもりだったのか、表にして提示された。洗濯ばさみ、竹刀、銀玉鉄砲、テニスボール・・SMばっかじゃん。ミット?野球で使うキャッチャーミット?竿・・竿って?
「ああ、これはそのまんま。しごかれるんだよ。」
それだけですか?
「そうそう。やっぱ触りたいものなんだよ、男の性っつーもんだよね。ギャハハハ。」
下品な笑い方で、奥歯の金銀カラフルな詰め物がよく見えた。
「じゃ、俺、それにします。」
「ん?これ?結構キツいけどできるんかいな?」
「大丈夫です。」
「ふーん、そっか。ま、経験だからな。それでとりあえずやってみっか。」

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2018年12月26日

堕ちるところまで堕ちて(15)

5日後、思ったよりも早くに呼び出された。いつもの地下だ。入ると、既に人が10人ほどいた。
「浩ちゃん、結構な人気でさ。即完売。ま、今日は頑張ってよ。じゃ、15,000円。」
「え、俺が払うんですか?」
「供託金の説明したでしょ。15人いるんで。」
「いや、相殺すればいいかなって思ったんですけど。」
「ツケは勘弁して欲しいんだよね。あと、今回は分かんないだろうからこっちで決めたけれど、次回からは金額設定も自由だから。けど、供託金も変動するけどね。」
それを支払ってしまうと、もう財布の中はほとんど残っていなかった。遅れてくる人もいて、結局15人が集まった。
今日は隙間だらけの出っ歯で、黒縁メガネをかけた七三分けが、高校のときに使っていた薄茶色の机に座っていたが、また聞き取りづらい声で、
「そろそろ始めますから、また整理番号順に並んでください。」
で、その七三分けがこっちに来た。髪の艶がすごいなと思ったら脂で、フケが凄まじかった。
「あの、準備してくれますか?」
準備??
「脱いでくれないと、始まりませんから。」
そっか、俺待ちか。脱ぐ場所って、・・他に部屋ないもんな。で、赤い顔をしたオヤジは興味なさげに携帯を弄っている。
「パンツはないんですか?」
「え?今日、竿でしょ?」
そっかぁ、最初からそのパターンか。
「脱いだら、そこの上から釣り下がっているロープあるでしょ?それを両手で掴んだ状態で待っててくれる?」
黒縁メガネは、若干メガネをずらしてボールペンでその先のフックから吊り下げられた太いロープを指し示した。

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2019年01月04日

堕ちるところまで堕ちて(16)

小学校の綱引きで使うような太いロープを掴んだ。もちろん、俺のモノは無防備に曝されている。被って、縮こまってコンパクトになった状態で。皮が長いんで、いきり立ったマックスな状態でも3分の1程度しか現れない。人と大きさを比べあうってことができないくらいコンプレックスなのだが、それが今、見ず知らずのジジイどもに見られている。気のせいかもしれないが、若干失笑にも似たニヤツキと、興味を失ったかのような冷めた目がこっちのカラダを貫いている。
「じゃ、皆さん、いいですか?今日は竿です。イカせた人が総取りになります。最初は手だけですから、よろしくお願いします。」
赤ら顔のオヤジは後ろのコーナーで座って携帯を弄ったままだ。今日は参加しないらしい。で、髪がかろうじてサイドに残った、ゴルバチョフのようなシミがあるはげオヤジが最初だ。例によってチンとなり、俺の竿を乱雑に掴む。ゴニョゴニョ弄っている感覚は伝わってくるが、あっという間に時間が過ぎ、次の細長い、ちびまる子ちゃんに出てくる友象の実写?みたいな風貌の奴がまた俺の股間に手を伸ばす。なんだか前に淋病をしたときに医者にこねくりまわされたことを思い出した。
チンとなると、何やら客のうちの一人が黒メガネに文句を言っているようで、赤ら顔が早足でこっちに来た。
「浩ちゃんさ、勃起させないと。成立しないから。」
「イカないようにするんじゃないんですか?」
「説明でイカせたら賞金って聞いてなかった?」
「そしたら俺の負けですよね?」
「イカなかったら賭け金が次に持ち越しだけど、勃起してないと、この企画自体成り立たないんだよね。」
「そうなんですね。」
「これ流れたら、供託金没収よ?」
「え、マジですか!?」

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2019年01月06日

堕ちるところまで堕ちて(17)

「そうでしょ、そりゃそうでしょ。皆、フニャチン弄りにわざわざ来たんじゃないんだからさ、頼むよ、こっちも金返金しなきゃならない。そもそも、自分で選んだんじゃなかったっけ?」
まあ、それもそうだな。皆にはちょっと待ってもらって、自分で扱いてまずは勃起させることにした。
しかし、自分では朝飯前だと思っていたが、いざやってみると全然、自分のカラダの一部なのに無反応だ。いつもは不随意に勃起するくらいなのに、今日に限っては全く血液が入っていく感じがしない。周りを見ると先ほどにも増して実に冷ややかな視線だ。いかにも「何やっているんだよ。」「とっとと勃たせろよ。」「それでも男なのかよ。」的な不信感、失望感がアリアリと見える。冷や汗が額から流れ落ち、冷たい床を濡らしていった。
この、不気味なほどの静寂な時間がどのくらい続いたのだろうか。恥ずかしがって縮こまった股間についたモノはどうしようもなく、そのすぐ後方に二つの玉が、どこ吹く風で何事もなかったかのような平気な風情でぶら下がっているのが寒々しかった。自分には関係ないと言わんばかりに。
「申し訳ございません。今日は諸般の事情で返金させていただきます。」
ブツブツオヤジたちは文句を言いながら、金を受け取った。そのまま帰るオヤジもいれば、椅子に座ってカバンをまさぐったり折りたたんだ新聞を読み出したりするオヤジもいる。次の回があるのだろう。
浩輔はようやく諦めて、乱雑に脱いで置いてあった服を着た。

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2019年06月26日

堕ちるところまで堕ちて(18)

目論見が外れてしまったと言うこともあるが、そもそも楽勝と思っていたことが、いざやってみるとこんなにも思うように行かないということを思い知らされた。もう止めておいた方がいいのかなという感じもするが、もっと簡単なことをやればいいんだ、別に鍛えられた俺のカラダが目当てって奴だっているんだろうし、ごく普通の奴らとは違うんだから。早速赤ら顔のオヤジに電話をかけてみた。そして、またいつものゲイバーに呼び出された。
行くと、赤ら顔の親父はさらに顔を赤くして、でかい声で店子と何やら話して、下品でけたたましい嗤い声を上げていた。
「おお、来た来た。」
「やだ、あんた、勃たなかったんだって?」
と店子とすれ違い様にいきなり股間をむんずと掴まれた。ま、話すよな。来ていたオヤジたちもきっと俺のことを方々で噂して、そのうち行くところ行くところで意味ありげな含み笑いをされることだろう。勃たないのが普通だろ?あんなオヤジに性欲感じる方が異常なんじゃねーの?とファウンデーションを塗りたくって自分のネイルアートに見入っている店子に唾でも吐き掛けたくなったが、赤ら顔のオヤジが酒臭さと魚が腐ったような口臭の入り混じった吐息をして話しかけてきた。
「どう、あれからヤッた?」
と、人差し指と中指の間から親指を出して気味の悪い顔をして聞いてくる。
「ヤッたって何をですか?」
「あれっきりインポになったか心配でよ。」
とゲヘヘヘと下品な笑い方でこっちを見ながら尋ねる。決して心配している様子などこれっぽっちもない。欠けた前歯から食べかすが飛び出した。
「いや、それは平気ですけど。」
「なんだ、辛気臭いな、飲むか。おい、ウーロンハイ一つ。」
「イヤ、俺は大丈夫ですから。」
「で、どうするよ?」

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2019年06月29日

堕ちるところまで堕ちて(19)

「はい?」
「はいって、何しに来たの?相談あるんだろ?」
「いや、あの、俺・・。」
「あのさ、売れるかどうかは君次第。こっちは与り知らぬところで。君のしたいことをすればいいんだけど、客がそれで来るか、客が付くか、それも君次第。」
「いや、でも、俺、思うんですけど、何か、これってそんないいバイトでもないかなって思って。」
「浩ちゃんさ、ちょっと鈍感じゃない?ねえ、ママ。」
さっきまでカウンターの奥でタバコを片手に、客からもらったウイスキーの水割りを飲んでいたカラダのデカい奴がうっすらと笑った。聞いていたのか。
「普通はさ、終わった後にオークションするんだよ。で、お持ち帰りしてもらうと。そんなくだらないショーだけ見に来るわけないっしょ。」
「え、俺、あの中のジイサンとやらなきゃいけないんですか?」
「いや、だから、それも君の勝手。ただ、何、浩ちゃんは何が目的なんだっけ?ジイサンたちに俺のカラダすごいでしょって見せつけるのが目的?違うっしょ?金稼ぎたいんっしょ?」
「そうです。でも、・・」
「いや、言いたいことは分かるぞ。勃たないってことだろ?だから?」
「なんで、俺には無理です。」
「ジイサンだって勃たないだろ。」
「!?」
「持ち帰ってガッツリヤルなんて元気ないだろ、ねえ、ママ。」
「アタシはガッツリヤルわよ。」
「随分お盛んじゃないの、ママ。」
またお下劣極まりない笑いを飛ばしている。よく見ると、下の前歯も2本欠けている。そっか、そうだよな。それに、年金生活者だけじゃなくて金を持っているジイサンだっているかもしれないしな。
「また、考えてみます。」
お、もう帰るのかよっていう目をしているオヤジを横目に、浩輔はそう言って、店を出た。

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2019年06月30日

堕ちるところまで堕ちて(20)

今日は浩輔が先にこのゲイバーに現れた。訳知り顔のママが寄って来た。
「あら、今日太一っちゃん来る日じゃないわよ?待ち合わせ時間確認した方がいいんじゃない?」
口紅のついたタバコを、どこで売っているのか知らないが筋肉質の男がしかめっ面をして腹筋をしている形をした灰皿に、これでもかというくらいに捻付けている。
「いや、違うんです。ちょっと聞きたいことがあって。」
「え、アタシに?」
何だか顔が青ざめて、今にも吐くんじゃないかという顔をしている浩輔を見て、次に何を言い出すのかと不安げに見つめている。
「ママ、カラダ売ったことってありますか?」
思わず、タバコの煙を吐くつもりが真逆に思いっきり吸い込んでしまい、むせた。
「あのさ、これでもアタシ、操は大事に守っているのよ。」
「俺、どうしよう。どうしたらいいんっすかね?」
「はい?」
また、吸い過ぎて短くなったタバコを何とか吸っている。
「え、何が?」
思わず地の男が出てしまい、店内の客がギョッとした目で見ていた。あら嫌だ、という顔をしてから、
「あのさ、男は売れるうちが花。売れなくなって叩き売りするほど惨めなものはないわよ。」
「・・そうですよね。そうか。分かりました。」
糸が吹っ切れたように明るい顔になったが、糸を切ってしまった役のママは、これで良かったのかしらとずっと難しい顔をして、ほぼ吸う部分のなくなったタバコを吸っていた。

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