ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

耐えてみろ!

耐えてみろ!(1)

「おせーよ。」
ドアを開けると同時に、伊藤陽一郎の怒鳴り声が部屋に響いた。
「伊藤さん、買ってきました。」
「おう、何だよ、サクレじゃねーよ。」
ファミマの袋を覗き込み、すぐに怒気を含んだ声と一緒に袋を突き返される。
「もう一回チャンスやるよ。俺の食べたいと思うアイスを買ってこい。分かるよな?」
「ありがとうございます。自分、もう一度行ってきます。」
「おう、すぐな。」
先輩に一礼し、すぐに宿舎のはす向かいにあるコンビニへと走った。
コンビニのラインナップはたかが知れていた。それに、先輩、レモン味のサクレが好きなことも知っていた。
けれど、今日はちょっと機嫌が悪かった。コーチにフェンスの脇で怒られていた陽一郎を見かけた。コーチの怒鳴り声と平手打ちが聞こえた。俺ら1年は、そんな中を何も見ていないかのような振りをして、がむしゃらに泳いだ。
なんだよ、サクレじゃなけりゃ・・ピノか?ガリガリ君のソーダ味か?「いつもの」だったらサクレなんだけどな。
やべえ、考えている暇ねえや。慎吾はさっとガリガリ君を取り上げて、レジを済ませて寮に帰った。
「伊藤さん、買ってきました!」
先輩はアイスの袋を破いて、水色のアイスを取り出した。
「何だよ、何やってんだよ。欠けてるじゃねーかよ。」
いや、それは、力任せに取り出すから悪いんじゃ・・と思っても言えるわけがなかった。
ただ、うすうす予感はしていた。結末はいつも同じなんだから。

「上、脱げ。」
椅子に座ったまま、陽一郎は落ち着き払った声で言った。目が座っていた。慎吾はTシャツを脱いで、上半身裸になった。
そして、二段ベッドを背にして正座した。
「分かってるな?」
「はい。」
上級生の命令は絶対で、理不尽でも服従するしかない。特に同部屋の先輩の命令だ。
陽一郎は、青いビニール製のサンダルを履いたまま、座った状態で俺の腹を蹴り出した。
この体勢で腹を蹴る、いわば儀式めいた行為だ。陽一郎は他の先輩と比べても短期で横暴で理不尽で、手が出るのも早かった。よく他の後輩に制裁を加えている光景も目にした。
この前も顔を力任せに殴っていたり、髪を掴んで顔に膝蹴りを入れたり。あいさつ代わりに腿を蹴ったり。だから後輩の評判もかなり悪かった。
ただ、俺にはなぜか腹を蹴る、それも座った状態でというのが常だった。
20~30回蹴ると、陽一郎はそれで満足らしく、何事もなかったかのようにタバコを吸いに部屋を出る。
俺は、正座したまま待っている。本当は、「大丈夫か、痛くなかったか?」って腹をさすりながら聞いて欲しい、それで後ろのベッドに・・
慎吾は陽一郎のそんな優しさを期待していた。まあ、「行ってよし。」といつも言われるまで、正座しているのが日課みたいなものだ。
陽一郎が部屋に戻ってきた。慎吾のムースで固めた髪をクシャクシャってして、
「よく頑張ったな。行ってよし。」
「はい。」
慎吾は、ちょっとはにかみながら、外に出た。


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耐えてみろ!(2)

「ボスッ。」
鈍い音が冷たい室内に響く。
擦り切れたグローブが俺の腹をえぐる。
「バスッ、バスッ。」
リズムよく、グローブは俺の腹を捕える。相手は俺の顔を無機質な目で見て、俺を腹をサンドバックのように、狙い澄まして叩く。
「ボスッ。」
俺は逃れようと腰を引かせるが、鎖で両手を拘束されて吊るされているから、逃げられないし反撃もできない。
ただ、弧を描くように、相手から逃げるだけだ。
だが、相手は少なくともボクシングの経験があるようで、ステップを踏み、リズムよく俺の腹を的確に狙ってくる。
「ボスッ、ボスッ。」
コーナーのロープには、毛の薄く中年太りしたオヤジが、両手をロープに乗せて、薄ら笑いを浮かべながらジッと見ている。
「ボスッ。」
やべぇ、気を抜いたらモロに入った。
慎吾の顔は苦痛で歪む。対照的に、金属質のライトで照らされたオヤジは、軽くうなずいてにやけていた。

10日前、自転車で15分ほどしたところにあるスーパー銭湯に行った。そこは風呂もそこそこ広く、サウナも2種類あるのだが、なぜか日焼けマシンが置いてある。
平日の午後は客も数えるほどしかいない。水曜日の午後は講義もなく、バイトまで時間があるので、週に1回はスーパー銭湯に通ってリラックスを図るのがここ数か月の習慣となっていた。
15分ほど日焼けマシンを使った後、シャワーを浴びてサウナに入った。サウナは薄暗く、特にミストサウナは視界が悪く、近くに来て初めて人がいることに気付くこともしばしばだった。
ミストサウナに入って3分くらい経っただろうか、
「兄さん、いいカラダしてんな。」
と、左手から声をかけられた。慎吾は、ここがゲイのハッテン場になっていることも知っていた。特にサウナがハッテン場としての機能を果たしているようで、ゲイ特有の強い視線を感じることもよくあった。
ただ、慎吾のタイプからは程遠い人ばかりで、今日も声のする方を見ずに、気持ちだけ会釈した。
「兄さん、そのカラダ生かして、仕事してみないかい?」
聞いてもいないのに、こちらの意思とは関係なく向こうはしゃべり続ける。
「何、兄さんのカラダの写真を使って広告作りたいんだわ。3万円払う。どうだ?」
写真で3万?一瞬心が揺れ動いたが、そんなうまい話があるわけはない。ただ、たったそれだけで済むならばという気もあった。
慎吾は水泳で推薦入学していて、寮生活をしていた。ただ、仕送りは授業料と寮費に消えて、残りは自分で稼がなければならなかった。
と言っても、朝も夜も練習で拘束され、疲れ果てた状態でできるアルバイトというのはそんなにあるわけではない。
「いつでもいいんだ、兄さんの都合のいい時でさ。興味持ったら電話くれよ。」
なぜか電話番号の書かれた紙を出して置いていった。サウナに入る前から、知らず知らずのうちに目をつけられていたのだろう。


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耐えてみろ!(3)

「ボスッボスッ。」
くっ・・左脇腹に喰らうパンチがじわじわと効いてきた。半身傾けてかばおうとするが、相手はそれを見越して打ってくる。
リング内に固定されたカメラが一台、またオヤジのところにもカメラがあって、時折モニターを見ながら操作をしている。
いくらバキバキに割れた腹筋を誇る慎吾でも、吊るされ、手の自由を失い、ただ延々と耐えるだけ、しかも崩れ落ちることさえ許されない、絶望的な状況。終わりがあるとすれば、相手が疲れ果てて根を上げるか、それとも・・

3日後、慎吾は思い切って電話をしてみた。話だけでも聞いてみようと。
先方は、ゲイ向けの広告に使うんだと、はっきり言った。カラダだけの写真で3万、顔付きだと5万、いずれも現金先払い。条件として、アンダーウェアはこちらで用意したものを使うこと、拘束時間は半日程度であることを告げられた。
ちょっと早口で説明を受けて聞き逃した点があるかもしれないのと、念を押す意味で、写真撮影だけで3万なんですね、って聞き返した。それだけだと、そしてその場で写真はお互いに確認するとの答えが返ってきた。
金に困っているというわけではないんだけれど、写真で3万は悪い話ではない。時間も融通が利くし。

「ボスッボスッ。」
この単調な動き、決して乱れず的確に腹を狙う感じ、決して強くはないが衰えない威力、当たり前だな。俺は練習台だ。相手にダメージを与えられない、ただのサンドバックだ。いや、サンドバッグより弱い、消耗していくサンドバッグ。
俺の呼吸が乱れていること、俺に余裕がなくなってきていること、でも無表情で俺の腹を打ち続ける。自分のペースを崩さずに、腹だけを狙って。

写真撮影は順調に進んだ。というのも、ただ言われたとおりのポーズをして撮るだけだ。似たような写真ばかりを撮って、チェックした。1時間もかからなかったが、それで3万円をもらった。
「本当にいいんですか?」
こっちが逆に申し訳なく思って聞いた。
「契約通りのことだから当たり前だよ。それにしても、兄さん、いいカラダしてるね。」
既にTシャツに着替えていた慎吾だが、まだ裸体を見られている感じがした。
「兄さん、腹筋がすごいね。鍛えてるんだ?」
まあ、慎吾は腹筋が特に自慢で、水泳以外にも毎日腹筋のトレーニングを欠かさなかった。腹筋のブロック一つ一つが岩でも詰め込んだかのように固く、浮き出ていた。
「でさ、広告で動画も取りたいんだわ。腹筋を殴る、ただそれだけなんだけど、8万、、いや10万でどうかな?」
「それは痛がったり苦しがったりする必要があるんですか?」
妙な質問だった。演技する必要があるのかという、何とも腹筋に自信のある慎吾ならではの発言だった。
「自然でいい、それに演技だとどうしてもわざとらしく映って、ロクな作品にならない。自然体にしていればいい。」
その回答は、それはそれで何か噛みしめると言うか、自分に言い聞かせるような感じでゆっくりと出された。


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耐えてみろ!(4)

ふと、攻撃が止んだ。そして、フックから鎖が外され、さっきまで一方的に殴られた相手に、抱えられるようにして誘導された。
腹筋用の人一人寝られる程度の台に寝かされて、また腕の鎖を腹筋台の脚に縛り付けた。そして決まりきったかのように、慎吾のトランクスを脱がせた。慎吾のモノは、弓形に反り返り、荒い息で波打つ腹に突き刺さっていた。
撮影機材はそのまま置き去りにされていた。でも、なされるがままに身を委ねた。グローブのロープを手際よくほどいて、トランクスを脱ぎ捨てると、小振りだけれども生きのいいモノが、上へ上へと行こうとするかのように硬直して天井を見つめていた。
オヤジは腕組みしたままその光景を眺めていた。慎吾は、ただただ待っていた。ウケはしたことがなかったのだけれども、ウケるんだっていうことが自分でも分かっていた。不安はなかった。こうなることが必然なんだと言う、確信めいた想いを心のどこかで抱いていた、そんな気がした。
トランクスをやや乱暴に脱ぎ捨て、小振りではあるけれども若干上反りになったモノが露わになった。慎吾の両足を広げられて上方に荒々しく持ち上げられた。お互いのカラダは汗まみれで、白色ライトに照らされてキラキラと輝いている。慎吾よりも細く、どちらかというとスリムで華奢な体つきで、体中が静脈が走っているかのように青白い。
けれど、手を通して伝わってくる熱が、これから数秒後に起こることを予感させた。鉄のように固く、しかし熱を帯びたモノは慎吾のケツに押し付けられた。そして、ゆっくりと、ネジを回すかの如く、押し付けられていった。慎吾は、目を見開いて相手の顔を見つめた。相手は慎吾のことに無関心なような、乾いた目をしていた。脚は両腕で挟まれて、一瞬内臓まで突き刺さるような痺れを感じたが、すぐにリズムカルな動きと息遣いへと変わった。
意外なほどすんなり受け入れた自分に驚いていたし、またこのリズムが先ほどの腹をえぐるパンチといかに酷似していることか。ただ一点を目がけて単調に、そして機械的に続けられる動き。相手の半ば義務めいた、好んでやっているわけでもないような態度、そして受け入れている自分も、拘束は外れているにもかかわらず、一連の流れに逆らえない、諦めに似た感情。いつしか相手のリズムは速くなり、軽いうめき声と共に慎吾の岩のように尖った腹の上に噴き出した。
「終わった。」
相手は何も言わずに、そのままシャワー室へ向かった。慎吾もそれに続いた。その間、ずっと無言だった。金は、事前に聞いていた額より3万円多かったが、訳も聞かずに受け取った。その後のことはよく覚えていない。家に帰った後、倒れこむように布団に入り、昏々と眠り続けた。
太陽の強い日差しが窓から差し込んで、目覚めた。長い夢を見ていたようだった。疲労は嘘のように取れ、むしろ爽快な気分だった。何か新しい一頁が始まりそうな、そんな予感さえした。腹をいたわるようになでながら、洗面所に向かった。

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耐えてみろ!(5)

「惜しい。これは一つしか入れられないだろ?分詞構文だよ。」
後ろから先生が声をかける。でも、声をかけられたかと思ったら、前の奴に声をかけている。
「うん、そうそう。ん?ここはもうちょっと考えた方がいいな。ヒント。「か」。」
夏期講習。いつもとは違って、見慣れない奴も半分くらい混じっている。先生、前の奴なんて昨日初めて会ったんじゃん?
「おー、正解。やるね。」
先生は右に左にと声をかけながら、生徒のプリントをチェックしていく。
先生、もう俺終わったよ。でも、先生は俺なんか最初から見えていないかのように、他の奴に声をかけている。
「はい、では、だいたい終わったようなので、32ページを開きましょう。仮定法はよく出るので、もう一度確認します。」
うーん、先生はかっこいいね。今日は黒縁メガネをして一段と冴えている。背も高いし、甘いマスクで、うーん、絶対彼女いるよ。
「(3)admitは分詞構文にすると、長塚君。・・長塚君?」
え、え、俺?何、何?
「難しいかな?これは過去分詞だからadmitedだね。次、(4)。」
やっちまったー。下手こいた。先生の前でいいとこ見せられなかったー。
「じゃ、今日はここまで。」
先生が言うのを待って、皆帰り支度をする。夏期講習以前からいる生徒のうち何人かは先生を囲んでいる。
「先生、彼女いるの?先生、いくつ?ねえ、先生。」
ウッセー女だな。俺の先生に軽々しく声かけるな。心にそう念じつつ、ダラダラと分厚いテキストをリュックに入れる。次は数学なので別の教室に行かなければならない。
「先生、腕相撲やろうぜ。」

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耐えてみろ!(6)

同じクラスの柔道部の奴が先生にずうずうしくも腕相撲などと。
「いいぞ。腕太いな、兼子君。」
え、やるの?えー、俺もしたい。瑞樹は腕相撲を見るために近寄った。というか、慎吾が腕相撲を取っているところを見るために。
「先生、やめなよ。無理だよ。」
「先生、腕相撲強いの?」
「先生、早くしないと次の授業始まっちゃうよ?」
女どもが本当にウルセー。でも、先生、力比べは止めた方がいいよ。
兼子と慎吾は教壇で向かい合って、互いの右腕の肘を置き、右手で握り合った。10人ほどのギャラリーに囲まれている。
「長塚君、君、審判な。」
兼子は不敵な笑いを浮かべ、自信満々な様子で瑞樹を見つめる。瑞樹は両者の拳を手で上から軽く押さえた。なぜか瑞樹の手が一番熱かった。
「レディ・・・ゴー!」
勝負は結構あっけなかった。遊んだりとか焦らしたりすることなく、兼子の腕がその力とは反対の方に押され、驚きの表情と共に倒された。急だったためか、体もバランスを崩して倒れかけた。
「先生、ツエー・・・。」
「また、体調のいい時にやろう、兼子君。」
そう、言い残して、夏季講習テキストを机でトントンと揃えてから、サッと教室から出て行った。
「えー、何、兼子。それはなくない?」
「先生、腕細いくせに、結構やるよね。」
バーカ、兼子。先生は鋼のような肉体しているから、オマエみたいな雑魚に負けるわけがないんだよ。
俺は見たんだ、先生の秘密を知っているんだ。
ゲイ動画の「SHIGOKI」シリーズでメインで出てたのが先生だ。顔が手とかで隠れててはっきり分からないけれど、左腕のサポーターと左足についていた2本のミサンガがそのままなんだよね。
えぇって思って、パーツで確かめてみた。でも、決定的だったのは、薄いピンクのTシャツで、LONDON CITY BOYSって黄色くロゴの入ったものを着てきたときかな。動画では、その後でまくって自慢の腹筋を見せるんだもんね、先生。
俺もめくってみたいな、そして・・と夢想を巡らせていても、そんなことを言う勇気さえなかった。せいぜい、目で脱がせて、全裸の状態で授業をする慎吾の姿を夢想して・・
1週間後、勉強に手がつかなくなった結果、クラス替えテストで下のクラスへの変更を余儀なくされ、女性教師の元で人一倍勉強に励む長塚瑞樹の姿があった。

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耐えてみろ!(7)

慎吾は、いつものように大学のフィットネスルームでウェイトをしていた。
慎吾の行っている大学のフィットネスルームは、市の施設と違ってマシンが新しくて充実しているし、使用料も学生であればかからず、何よりも日中は人が殆どいないので、慎吾は週に3,4回は利用していた。
トレーナーも学生を雇用していたが、トレーニングの方法やメニューなど、同じ学生ということもあって親身に相談に乗ってくれて、結構打ち解けて話すようになった。中でもいつもいるトレーナー、崇は体育会系のボクシング部に入っていたが、どちらかというとマネージャー的役割をしているそうで、ボクシングも試合をこなしたり観たりというよりは、シェイプアップのために続けているそうだ。
そのためか、他のトレーナー(といっても、皆、学生だが。)とは違ってマシンの効果的な使い方とかどこをどうやって鍛えたらいいかといったことに異様に詳しかった。信吾はどちらかというと空いた時間の暇つぶし程度に通っていたのだが、トレーナーの崇の言葉に影響され、いつしかのめり込んでいった。
慎吾から誘うということ自体が珍しいのだが、もっといろいろ聞きたいと思って、カフェテリアでコーヒーでもと誘ってみた。しかし、崇はコーヒーは体に悪いから、と断った。まあ、向こうにとって見たら、コーヒー飲みながら金にならない鍛え方の相談されるのもうんざりだよな。いくらなんでも自己中心的な誘いだったと、さすがに気まずい空気が流れた。
「今日、空いていますか?うち、近くだから。」
家?
「借りてるんです。」
むしろ、急な申し出に慎吾の方がちょっと戸惑ったが、この後は授業がないしと思って行って見ることにした。

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耐えてみろ!(8)

近い、とは言いつつも郊外にある大学なので、そもそも周囲に家など殆どない。崇の家もどちらかというと駅の近くで、歩いて15分ほどかかるところにあった。パチンコやゲームセンター、居酒屋が立ち並ぶ通りの脇道を入ってすぐの木造2階建ての奥の、日当たりも良くないし、築数十年経ったかと思われる、かなり老朽化したアパートだった。
「どうぞ、むさ苦しいところだけれど。」
何もない部屋ではあったが、畳は日焼け跡が残りかなりささくれ立ち、カーテンも備え付けなのかところどころ汚れや破れが目立っていた。何よりも、15時だというのに西日が当たって真夏に1時間駐車した後に車のドアを開けたときのような、こちらに熱波が押し寄せてくるかのような暑さだ。
「エアコンなくて、扇風機なんです。」
どこからか拾ってきたかのような年季の入った小型扇風機が音を立てて回りだした。ただ、熱気がかき回されてサウナの中にいるかのようだ。
「麦茶、飲む?」
灰色の煎餅座布団に座り、キリンビールと書かれた小さなコップに注がれた麦茶が、テーブルというよりちゃぶ台といった感じの茶色いテーブルに乗せられた。テーブルだろうか、それともこのアパートだろうか、何か床がフラットではない感じがする。
何でこんなところに住んでいるのか、聞きたいけれど、きっと聞いてはいけない何かがあるのだろう。部屋全体は古びているが、全てがきれいに整理整頓されていて、ほこりどころか磨きがかっていてツヤツヤしている。しかし、暑いなんてものではなく、じっとしていても汗が滴り落ちて、畳へと吸い込まれる。
「ごめん、暑いでしょ?気を使わないで。」
崇は着ていた大学の名の入ったTシャツを脱いだ。色白で細い印象だったが、脱ぐと体脂肪がほぼないのではないかというくらい、筋繊維一つ一つがちょっとした動きでも浮き出て見える。脱いだTシャツはまた着るのだろうか、金属製の細いハンガーを強い日差しが差し込む窓のカーテンレールにかけた。
「かけるよ、脱いで。」
崇が慎吾の肩を軽くつまむようにつかんだので、慎吾もTシャツを脱いだ。崇は座布団を取って、向かい側に座り、麦茶を一気に飲み干した。
「どこを鍛えたいの?」
「いや、どこをっていうのは特に決めていないんです。全体的に、バランスのいいカラダをキープできればいいなって感じで。」
「バランスかぁ。左利き?」
「何でですか?」
「バランスでいうと、筋肉の付き方が左側が若干太い感じがするかな。」
崇は慎吾の両手首を握って見比べる。
「一回りくらい太いっしょ?」
うん、そういわれてみると、確かに左手首の方が太い。そんなことを今までほとんど気にしたこともなかった。
「その影響が体幹に影響しているんだよね。ちょっと仰向けになってもらっていい?」
日に照らされて熱くなった畳に仰向けに寝る。そして、指で横腹を思いっきり押し出した。
「痛い、痛い。」
「痛い?ここは?」
ものすごい力で、ピンポイントで押される。筋肉の鎧で覆い固められたかのように複雑な形状をなしている腹の辺りを、指一本の力でものすごく深いところまで押していく。
「あぁぁぁ。」
「気づかないうちに歪みが蓄積されているんだよ。その歪みをカバーしようとして筋肉がついているからバランスが取れているようで均等でないつき方をしているんだよね。」
「・・・。」
恥ずかしいことに、このやり取りで下腹部に硬直が始まり、グレーのスウェットにくっきりと、まっすぐな鉄棒を入れているかのように現れた。


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耐えてみろ!(9)

崇は無言でその熱くなった部分に手を差し伸べる。固さを確認するかのように、そしてこの行為が当然であるかのようにきわめて自然に、緩急を込めて握っていった。
そして、またそんなことを忘れたかのように話し出した。
「腹筋かな、やっぱり。この鏡、ちょっと持ってくれる?」
長方形の鏡を差し出されたので、受け取った。
「右と左の腹筋でずれているの、分かる?鍛え方を同じにしているつもりでも、どうしても偏ってしまいがちなんだよね。」
説明は淡々と行われているが、崇の膝は、その固くなっている部分をゴリゴリと回すように押している。
「腹直筋の方より腹横筋、腹斜筋の方を見ると分かりやすいかもね。ああ、鏡じゃ分からないか。ここはインナーマッスルって言ってさ、」
スウェットは淡々と説明する中で自然と脱がされ、また崇も履いていたロングパンツを脱ぎ、トランクス1枚になった。腹の辺りから、また胸にも、腕にも太い血管がくっきり浮き出ている。体毛は濃くはなさそうだけれど、臍の辺りから急にその下へと腹毛がラインを描いている。トランクスからもわっと熱を帯びた圧力が伝わってくる。崇はもう説明を止めていた。崇の汗がボタボタと滴り落ちて慎吾のカラダを濡らし、渡されてただ天井だけ写されている手鏡にも垂れ落ちている。古びた扇風機がいくら激しい音を出して風を生みだしても、湿り気を帯びた熱風となって返ってくるだけだ。男臭くて、じっとりとまとわりつくような風にあおられた汗がそれぞれのカラダを凄まじい勢いで流れ落ちる。慎吾の方から悟のトランクスのあるべきところを掴んだ。そんな大きいわけではないけれど、確かにそのモノは存在感を顕わにしていた。ほぼ一緒のタイミングでお互いの下着は取り払われた。悟は慎吾のその白くて無駄なところのない脚を両腕で開くようにして持ち上げて、そして黒々とつやっぽく輝き天を向いているモノを足の根元へ、そして引き締まった尻の間へと惹きつけられるかのように徐々に持って行った。そして、そのモノは、特段何も塗っていなかったのだが、汗とその先端から溢れ湧き出てくる液体のおかげで、吸い込まれるかのように慎吾の中へと入っていった。慎吾は痺れるような感覚を味わっていた。
崇は滝のように流れ落ちる汗を拭きつつ、慎吾を見下ろす形で腰をリズミカルに振っている。そして、右手で慎吾の凸凹して、臍の辺りの溝にところどころ汗溜まりのできた腹筋を撫で回し、そして時折拳をその腹筋に向かって振り下ろした。腹への衝撃より、その腹筋へと打ち込むタイミングで中に入っているものが跳ねるように踊る様子が中から感じられた。妊婦が「赤ちゃんが足で蹴っている。」っていうのはこんな感覚なんだろうかと、ふと永遠に体験することのない妊婦のことを思った。思ったより早く、その瞬間はやってきた。「ううっ。」急に結合から離れたと思うと、その液体は弧を描いて、慎吾の顔の上方を通過して斑模様になった柱の手前まで到達した。崇は、事が済むと、肩で荒く呼吸をし、そしてふわっと、急にバランスを失って、慎吾の方へ倒れてきた。慎吾は軽く抱いて、崇を仰向けに寝かせたのだった。


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耐えてみろ!(10)

「大丈夫ですか?」
崇が目を覚ますと、慎吾が心配そうに覗き込んでいた。冷たいタオルが額に乗せられていた。自分自身では分かっていた。いつもセックスの後、クラッと貧血のような眩暈を覚えることがよくあった。しかし、こんな意識を失ってしまうようなことは嘗てなかった。
「どれくらい・・。」
「いや、ほんの1分くらいしか経っていないです。それより・・。」
「それより、俺がゴメン。俺、・・。」
「大丈夫です。俺がゲイって、もしかしてバレていました?」
「・・。」
実はゲイだとカミングアウトをされて、今初めて知ったくらいだ。顔を振って、目を覚まそうとした。
「水、飲みますか?たぶん脱水症状だと思います。少し安静にしてください。」
崇の肩を持って起こし、優しくそう言ったが、後ろで何か当たっているモノに気づいた。
「ゴメン、何も言わずについ。。本当にゴメン。」
「いいんです。でも、俺、いつもタチだからあまり経験なかったから・・。」
「俺は実は男にはウケなんだよね。けど、つい・・。」
慎吾はその言葉に反応した。崇のその筋張ったカラダに劣らないくらい、筋繊維でできているかのようなモノは激しく硬直し、目の前の獲物を虎視眈々と見据えていた。
「これ、欲しい。」
崇は、ちょっと口に余るような長さのモノにむしゃぶりついた。3日餌を与えられずに飢えた犬が、放られた鳥の手羽先を我が物にしたかのように、おいしそうにしゃぶった。そこから染み出すエキスを吸い出すかのごとく、丹念にしゃぶり込んだ。そして、慎吾を仰向けに寝かすと、そこに跨った。自分の唾をこれから入れる場所に塗り、指でその準備をした。ある種の覚悟がいった。入れてしまえばもうそこから先は平気なのだが、その過程が勇気がいるのだった。
そんな不安が慎吾にも伝わった。
「大丈夫ですか?」
先ほどまで倒れていたことを気遣うと同時に、ためらいがちに跨った悟の躊躇している様子を見て、思わず発した。けれど、その言葉に触発されたのか、徐々に腰を落としていった。バイである崇は、男の方はさほど経験がない。最近、その喜びを知ったばかりなので、入れてみたいという気持ちが先行する。けれど、まだ経験の浅い崇にとっては無理な大きさだった。先を入れただけで激痛が走り、その向こうの快楽まで行き着ける自信がなかった。
「ごめん。無理かも。」
二人は向かい合うと、笑いあった。暑さで汗が出尽くした感があり、二人とも喉がカラカラだった。シャワーを浴びて、外に出るとまだ西日が強く差していたが涼しく感じた。大学近くの安居酒屋でビールを飲むと、二人ともすぐに酔いが回って、ようやく主目的であったトレーニングの効果的方法を聞きだすことができた。

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