ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

夜明け前

夜明け前(1)

18時、まだ外は明るい。店のドアの前にセミが死んでいた。 「もう、セミ、嫌いなんだよな。」 蹴ると、セミが余力を振り絞って鈍い声を出しながらUターンしてきた。明はセミが入らないように気をつけながら、店に入った。 明がここ、東上野のゲイバーに勤め出したのは10日前のことだ。ゲイバーでは「明美」という名で働いていたが、別にニューハーフでも女装しているわけでもなんでもない。 よく、友達とかには風間俊介に似ていると言われてきたが、ここ上野ではV6の三宅健に似ていると、客の何人かから言われた。そろそろ小じわが出てきたからかな、と自己分析している。 明は既に31歳、店のママ、幸子(本当の名前は智幸)より5つも上だ。 元々は明はこのゲイバー、「幸」の常連客だった。上野という土地柄、客層は若くても40代で、もうヨボヨボのおじいちゃんのような客まで来るのだが、その中でも明は目立って若かった。31とはいえ、見た目は20代、どちらかというと、ママよりも年下にさえ見えた。
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夜明け前(2)

いつも明は一人で訪れ、生ビールを1杯と、幸子が作るつまみを食べて、30分ほどで帰る、そんな感じで週に2,3回は顔を見せていた。
そもそもは年が一回り離れた、カラダのガッチリしていて背の高い元ラガーマンの彼氏と二人で来ていた。よく幸子と3人でワイワイ騒いで、終電間際に仲良く二人で帰っていた。
けれど、きっと別れたのだろう。それに話しかけても全然しゃべらず、ただ黙々と生ビールを飲んで、すっと立ち上がって帰っていく姿が、見ていて痛々しかった。
別れた彼氏のことが忘れられなくて、そのことを想い出しつつ飲んでいるのか、それともまた元彼が来るかもしれないと待っているのか、いずれにせよ、意気消沈ぶりが甚だしく、とても聞ける雰囲気ではなかった。

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夜明け前(3)

そんなことが2週間くらい続き、さすがに幸子が声をかけた。
「まだ、引きずってんの?」
明は無言で頷いた。
「もう、忘れなさいよ。あんな男だったらいくらでもいるわよ。」
「いないよ。」
溜息をつき、2杯目の生ビールを追加で頼んだ。
「あんたさ、まだ若いんだから、何とでもなるわよ。」
「もういいんだ。」
「じゃあさ、あんた、ちょっとここで働いてみなさいよ。」
明は顔を上げて、幸子を見つめた。どこで買ってきたのか、色黒のカラダに不釣り合いなチャイナドレスで紫のアイシャドーと紫の口紅、そこから発せられる言葉に明は息を呑んだ。
「別に好きな時間でいいから。そうやってグジグジグジグジと飲んでいるよりかわさ、気が少しは晴れるわよ。」
「お願いします。」
明は反射的に答えた。きっとカラダが渇望していたのかもしれなかった。声をかけてくれる人を。自分を理解してくれなくてもいいから、癒してくれる人を。
仕事帰り、明は早速「幸」を訪ねた。
「あら、来たのね。」
幸子は明らかにサイズがあっていないチャイナドレスに着替えているところだった。
「よろしくお願いします。」
明は帽子を取って、深々と頭を下げた。
「あんたも着る?」
幸子は紫のスパンコールの服を手に取ったが、さすがに断った。

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夜明け前(4)

明は、昼は池袋の某百貨店でアパレル勤務をしているため、アルバイトをすると言ってもそう長い時間いられない。
シフトで木金休みなので、金曜日は早く来るようにしている。週末はさすがに客が多く、10時以降になると満席になる。
明は元々寡黙な性格で、しかも人見知りなので、こうした客相手の商売には不向きである。それは自分でも重々承知している。
客から「明美ちゃん、今日もかわいいね。」とか言われても、顔を赤くして黙ってうつむいてしまう。
すかさずママが「何、うちの秘蔵っ子に手出してんのよ。高くつくわよ!」と間髪入れずに返すのが常だった。
ゲイバーの喧騒とは裏腹に、黙々と酒を作って出し、皿やコップを洗っている。しゃべりは専らママの役目。けれど、店に来るオヤジたちは、やっぱりイケメンの若い明を放っておくわけがない。なんとか話の糸口をつかもうと、いろいろ話しかけてくる。
ママに明のことを聞き出そうとする客も多い。ただ、ママは「そんなの、明美ちゃんに直接聞けばいいじゃない。」と冷たくあしらう。
ママも明の気持ちがよく分からないのだった。口下手なのにここで働いているのは、ひょっとしたら前の彼氏が訪れるのを待っているのかもしれない。
前の彼氏は浮気性で、ママが知っているだけでも常時2,3人はスペアがいた。明は一途だったが、彼氏の方はそのうちの一人程度にしか思っていなかったようで、明が不実を責めると、今までの熱々な関係は何だったのかと思うくらい、あっけなく別れて次の男に乗り換えた。
端的に言うと捨てられたのだ。あくまで都合のいい男であって、面倒なことが起こればもう用済みだった。ただ、明はその男に身も心も捧げていたから、急に別れると言われても心がついて行かなかった。


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夜明け前(5)

金曜日にしては珍しく、夜2時くらいに客がいなくなった。まだ来るかもしれないので、店は開けておいたが、来たとしてもたかが知れていると思うので、明を先に帰すことにした。
「もう、いいわよ。明日も仕事でしょ?」
明は黙々と、多少疲れたスポンジで、コップと平皿を洗っている。
「どう?大分紛れたかしら?それともまだまだ引きずっているの?」
明は答えないで、若干シミのついた布巾でコップを拭く。
「いつまでも溜めこむのって、カラダに良くないわよ。」
「ママ・・。」
コップを置いて、幸子(繰り返すが、本当の名前は智幸)を見つめた。
「ママ、俺、ママのことがずっと好きなんだ!」
「えっ!?」
幸子は思わず、普段は出さない、地の低い声をあげた。
「やだ、あんた、オバサンをからかうもんじゃないわよ。」
「俺じゃダメかな?」
明は幸子の手首を掴んだ。
「俺、ママが・・」
「駄目よ。」
幸子は明の手を払い、カラダを90度ひねって自分に言い聞かせるかのようにつぶやいた。
「生理なの。」
明は、ちょっと引きつったような顔をしたが、それもすぐ破顔一笑に変わった。
「じゃあ、生理治ったら・・。」
「生理は病気じゃないわよ。」
「ママのは病気だよ。血が出てるんでしょ?」
明は、なんだか久しぶりに笑ったように感じた。笑うことを今まで忘れていたのかもしれない。何か、つかえていたものが取れた感じがした。
「俺が、血を止めてみせるよ。」
幸子は幸子で、逆に脳の血管が切れそうだった。こめかみに青筋が立っていないか不安なくらいだ。
二人は見つめ合って、そしてどちらともなく抱き合った。明は幸子の厚い胸に顔をうずめた。幸子は、ルージュのマニキュアを塗ったごつい手で、明の頭をなでた。いつまでも、いつまでも。

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