ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

優先順位

優先順位(1)

地下鉄の車内で、携帯が鳴った。妻からだ。
「夕食、どうしますか?」
帰りが不定なので、夕食の時間を確かめる意味で聞いてくる。だいたい夜7時くらいに定期的に来る。
「遅くなるから要らない。」
22時に子どもを寝せるので、帰宅がそれ以降になるときは外で済ますことにしている。そもそも、19時には夕食は大体できているので、ただそれが翌日の弁当に回るだけのことだが。
仕事かどうか、最近は聞いてこない。もちろん、聞かれれば仕事か飲みかと使い分けて答えるのだけれど、白々しい。俺がゲイだと、妻にはバレているから。
ここ半年ほど前から敬語を使われるようになった。子どもでつながっている仮面夫婦。子どもがいなければ、きっと家にも帰らないだろう。
車内が大分混みあってきた。この電車は新宿を通って郊外に抜けるので、新宿に近づくにつれてどんどん乗車してくる。
また、メールが来た。セフレからだ。
「今日、空いてる?」
昇平には、定期的に連絡を取ってセックスをする、セフレが3,4人いる。セフレと呼べなくても、言えばセックスできるようなのも含めれば両手に余るくらい。
セフレの中でも優先順位があって、一位の奴にはアパートを貸し与えている。従順で可愛い奴でね。今、メールがあったのはギリギリセフレって奴かな。一番メールがくるけれど、本当にただカラダだけって感じで、最近はちょっと飽きてきたかなって思っていて会っていない。
名前もどうせ行き当たりばったりで覚えてられないから、地名で呼んでいる。西荻窪ユルケツとか、石神井寸止めとか。携帯はそれで登録してある。さっきの奴は大森海岸サセコ。ま、周りに見られたくない名前だわな。

何でばれたかは、俺の帰りの遅いのを不審に思った妻が興信所に頼んだから。携帯とかパソコンを見られていたかもしれないし、そのうちばれるなとは思っていたけどさ。興信所って奴はすごいね。写真でしっかり男同士ラブホテル入るところと出るところ、日時までちゃんと入れて撮るんだから。
お袋から写真突きつけられて、もう返す言葉がなかった。泣いて、頼むから、後生だから二度としないって誓ってくれって言われた。お袋がね。妻からは何一つ言われていない。離婚どうこうより話もしない。汚いものでも見るかのように嫌悪の表情を浮かべて、ただ淡々と日常を送っている。
俺のことを変態かなんかだと思っているのかな?汚らわしいって目をしている。元々親の紹介で出会ったんで、見合いっていえばそんなんだし、愛情があったかっていえば、普通かなってくらいの愛情しかなかったし。ばれたらばれたで、その方が気が楽かも。

今日は西荻のユルケツとでもやるかな。メールを入れる。高円寺の奴にも聞いて、速くレスがあった方とするか。男って皆俺と同じで、貞操ってものがない。欠落している。まあ、入れるか入れられるかの違いはあるけどさ。
高円寺の奴からメールが来たので、新宿に引き返すことにした。あっちも妻子持ちだから、ラブホで待ち合わせ。向こうがよく使っているラブホはちょっと新宿駅から5分ほど歩いたところにある。おそらく大久保とかから歩いた方が近いのだろうが、教えられた道が新宿からだったので、忠実にその道を辿る。
そろそろ着くかなって頃に、メール。
「すみません。子どもが熱出しちゃったみたいなんで、またの機会にしましょう。」
子どもの熱の方が優先、か。使えねーな。家族の絆の強さ、セクフレのつながりの弱さというものを、改めて感じた。ただ、代わりはいくらでもいるから、と思うと、一抹の切なさもすぐに消え去った。


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優先順位(2)

「昇平は朝も最近は一人で食べている。勤務先が変わって通勤に時間がかかるようになったということもあるが、以前は子どもの弁当を作るために妻が先に起きていた。
その妻も、子どもと夫の弁当はスーパーの惣菜で済ますようになり、朝もご飯とみそ汁が用意してあるので、食べたければ勝手によそって食べろと言う感じで置いてある。
家にいるのがいたたれなくなり、配達された新聞を持って行き、早めの電車に乗って、座ってゆったりと新聞を読みながら通勤するのが常となった。」

ここに書いてあることは事実ですわ。そもそもが世間体で結婚したのだから、ゆくゆくはこうなるんじゃないかくらい、俺だって予測はできていたさ。ただ、その覚悟はできていなかった。仮面夫婦というものがこんなにも辛いものだとはね。
いや、妻と出会う前までは、さほどゲイらしい活動もしていなかったさ。それどころか、5年間付き合った女性がいたんだ。恋愛対象はもちろん男だったよ、その当時から。けど、不思議とその女とはしっかり関係ができた。関係ってセックスね。ちゃんと自然に勃起したよ。
けど、今の妻には全く性的魅力を感じない。勃たない。早く孫の顔が見たいと急かされて、何とか勢いで子どもはできたさ。いや、そういうけどさ、勢いで何とかなるもんだよ。成り行きというかさ。性欲とは全くかけ離れたところでできた子どもだ。こういうのをコウノトリが運んできたというんじゃないかな?何というか、意思の働かないところでできたというか、神のなせる業じゃん?子どもに聞かせたらきっとびっくりするだろうな。いつか聞かせてやる日が来るだろうか、「お前は別にパパとママが愛し合ってできた子どもではないんだよ。」って。
妻の妊娠が分かると、俺は男とのセックスを、以前よりも増して、今までの空白を埋めるように求めるようになったってことだよ。獣のようにね。


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優先順位(3)

「女には愛情、男には性欲、そう昇平は割り切って行っているつもりだった。いや、事実そうしていた。だが、それは相手の感情を全く考慮しないで行っていたことに気づいていなかった。」
そういうけどさ、第一さ、妻に対して愛情なんてそもそもあっただろうかって話じゃん?性欲がなく、愛情さえなくなったら、それをさ、どうして妻と居続けなければならないよ?子どもと世間体と言った、クモの糸程度の細く切れやすいつながりでしか最早なかったんだよ。お互い離れようとしているけれど、糸と遠心力でバランスよくつながっているように見える、そんな関係よ。
「男には性欲というのも、昇平の自己都合である。相手の女には性欲はないのか、相手の男には愛情はないのか、そういったことを考える視点が欠けていた。自分中心に何もかもが動いているとまでは考えていたわけではない。ただ、自分中心に回っているんだとは思っていた。本当は地球も宇宙の一部であるのにもかかわらず、地球を中心にして太陽や星が回っているのだと考えているかのように。」
いやいや、これもね、俺から言わせてみたらさ、セックスとはじゃあ何ってことじゃない?子孫繁栄でしょ?DNAを後々まで残すことじゃない?だから、女には愛情によって子孫を残してさ、女はその子孫にまた愛情を注ぐだろ?男に対してはそれがないんだから、性欲ってことになるわけだ。使い分けというか、結構しっかりした説明だと思うけど。女とは子供ができるから永遠に続いていくわけで、男は単にセックスしたらそれで終わりというか、その瞬間瞬間でしかないわけよ。生活の中に部分的に入り込んでくるのが男。性欲っていうのは生理現象なわけだから、それを放出したら、元の生活に戻るというわけで。説明するまでもない。
そんなさ、既婚のゲイなんてやたらいるんだから、難しく考えることはない。うまくやっていけると思うよ。俺は不器用な人間だから妻にバレて、それ以来実体のない生活を送っているけれど。それでも子どももいるし、いくらなんでも俺の子供であることには間違いないんだから。苦労したんだ、勃たないのを勃たせるのって大変なんだから。男側の難産って奴よ。
男は消耗品なんだって言った奴がいたっけ?女が備品、男が消耗品っていうのは間違っちゃいないよ。悲しい生き物だよ、男って。まあ、家庭を守ってきたのがちょっとセックスにシフトしてきたかなって程度で、これはこれで弥次郎兵衛のようにバランスが取れている感じが俺にはしている。俺中心だなんて、それって誤解。いろいろバランスをとるって大変なんだから。人生という平均台を慎重に渡っているのが今の俺。自己中なんて的外れだね。
ただ、最近は手詰まりというか、未来が見えないや。八方ふさがりというか、行き当たりばったりの自転車操業のような状態に人生が陥っている。歯車は狂っていないんだけれど、噛み合っている感じがしない。どうしたらいいかね?どうしようもないか。
昇平は、和室の中央で、延々と、誰もいない部屋で誰に聞かせるわけでもなく喚き続けた。蛍光灯が煌々と、数週間前から片付けられていない雑然とした部屋を照らす。数日前に食べて、3分の1程度残っていたカップラーメンの容器が倒れて畳を汚したが、意に介さず、また同じような話を同じトーンで、空中の誰かと会話しているかのように、独白し続けた。

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優先順位(4)

閉塞感がようやく解消された。今はもう、爽やかな気分。重荷が取れたと言うかね。歯車で言えば脱線した感じだけれど、それはそれで、何のしがらみもなくて回る状態。ま、最早、回っていないんだけどさ。
4,5人の、お互い何の関係もなさそうな人たちが、互いにひそめき合っている。俺のことを見ているようで見ていない。それに遠巻きだ。見えるか、俺のこと。見えないだろう。
俺にはよく見えているよ。見えないとでも思っているのか?浅はかだな。そんなに顔を歪めるな。汚いものを見るような目で俺を見るな。少し前まで、お前らと同じ格好をしていたんだからな。
警官か?眩しいぞ、懐中電灯なんかで照らすから。見えるだろ、俺のこと。俺は十分見えているぞ。

フフ、何故にこういうことになったかを教えてあげるよ。もう全てが終わったのだから。どうせ俺が悪いというんだろ?責めるな。俺は既に体が真っ二つなんだぜ?哀れだろ?
でも、もし哀れに思ってくれる奴がいたら、俺の頼みを聞いてくれ。俺のマンションで弔ってやってくれ。後ろポケットに俺のキーホルダーあるだろ?そうそう、お巡りさんよ、俺の下半身は線路の下に転がっているよ。違う違う、50mくらい後ろの方。鍵は3つあるけど、そのうちの黄金色の方。住所分からないか。
免許証のは違うよ。馬淵昇平、顔は原型留めていないけどさ、俺だよ俺、本人だよ。妻と子はいるけれど、俺の家じゃないんだ。あ、そうか、子はもういなかったんだ。そうだな、何見ればいいんだろ。

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優先順位(5)

きっかけはよくある痴話喧嘩だよ。実に些細なね。だってさ、セクフレのうちの一人、和明と昵懇の仲になっちゃってさ。カラダだけじゃなくて心もつながりたいって奴で。でも、それは仕方ないことじゃないか?俺の心はぽっかり空洞が空いているんだぜ?ダイソンの扇風機みたいな感じで。穴が空いていたら埋めようとするだろ?それがたまたま和明だっただけのことさ。
けど、俺も年甲斐もなくのめり込んじゃってさ、アパートを家の近くに、和明のために借りたんだ。違うか、俺のためにだな。最初は、和明は俺が会いたいときに会えるようにって、だから俺の名義で借りたんだよ。身勝手な男と俺を責めるのは早計だぜ?俺には家族があるんだから、やっぱり家庭を守る義務があるだろ。家長なんだぜ?そりゃそうだろ。
和明は、ずっと俺を待っているんだ。メールは俺が一方的に入れるだけ。「これから行く。」ってメール打つと、必ず和明はいるんだよ。ビールとちょっとしたつまみも用意してあってさ。それも手造りの。うちの妻なんて、俺の好みなんて聞きもしないで、ただ決まった時間に料理本に載っている料理をこしらえるだけさ。よくできた妻だろ?俺が愛情ないって分かってて、それでも料理を作るんだからさ。子どもを産んでおいて良かったよ。
和明は俺の分身みたいなんだ。分身という表現は変だな。凸と凹というか、うまくかみ合うんだよ。お互いがお互いを必要としているというかな。キスだけでもそれが分かる。風にさらわれるような、抗えないキス。けれど、病み付きになるキス。女ではとてもそんなことはできないよ。体温を確認しあうような、相手の鼓動を共有しあうような、そんなキス。キスだけでは終わらないけれど、キスだけでも俺のカラダはクラゲのようにグニャグニャしちゃうんだ。異次元空間に陥ったように、平衡感覚が取れなくなって、重力っていうものの存在を忘れてしまうんだよ。

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優先順位(6)

ある日、和明に、明日は来るか聞かれた。来ないと思うけど、何でって答えたよ。明日のことなんて分かんないじゃん?和明は、そうかって悲しげな眼で俺を見た。俺は何だコイツって思って帰った。別に帰ったって会話ゼロ。子どもは寝てるしな。部屋も別々、家庭内別居って奴だよ。
次の日は、何も言わずにいきなり行ってみたんだ。浮気してんのかって思ってね。だって、よくよく考えてみたら予定聞くの変じゃん?入ったら、小さなテーブルの上に缶ビールとケーキが置いてあった。
出会って1周年だって言うんだ。もうそんなになるんだっけ?だから何だって感じだけどね。ケーキは出ていたから、食べて一戦してから帰ったよ。
ある日、帰ろうとしたら、和明が泣いているんだ。変なのって思って、その日は帰った。1週間後に会って、また帰ろうとしたら、また同じように泣いているんだよ。何でか聞いたら、もしもう来なくなったらこれが最後と思うと悲しくてだって。笑っちゃうだろ?杞憂だろ。妻なんて泣くどころかずっと無表情だぜ?
そのうち、和明とばっかり会うようになって、家にも帰らなくなったよ。愛おしくなってさ。離れられなくなったって奴だね。
でも、妻から久しぶりにメールが入って、どうでもいいやって放っておいたら、今度はお袋から電話があってさ。親子で無理心中を図ったって。妻は胃洗浄して睡眠薬を吐き出したから命に別状はなかったけれど、まともな会話ができない。精神がおかしくなったんだ。子供は死んだ。まあ、俺の遺伝子を受け継いだ子供なんて、いない方が良かったかもしれないな。
葬式を済ませて、一段落してから和明のところに行ったよ。俺と一緒にいても不幸になるだけだから、清算しようと思って。でも、遅かったよ。鍵を開けたら、和明がぶら下がっていた。いつからこうしてぶら下がっていたんだろうな。テーブルの上に、メモが残してあった。ただ、「今まで、楽しかった。ありがとう。」って書いてあった。あれで楽しかったんだ、和明にとっては。

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優先順位(7)

もういいだろ?いつまで検死しているつもりだ?そろそろ俺も行きたいんだ、和明のところに。来世では、まず最初にお前を探すよ。そして一からやり直そう。それから・・

当初は花を手向ける人、線香を地面に差して手を合わせる人がいたが、こんな事件のことはあっという間に風化し、忘れ去られた。
ただ、いつしか、周囲には不気味な噂が立っていた。夜な夜な、線路に腕だけで歩く、上半身だけの黒い影が現れると。その影は、なくした足を探して彷徨っているんだと。
しかし、本当は、探しているのは足ではない。耳をよく澄ませば、幽かに聴こえることだろう。「和明、和明」とつぶやく声が。

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