2017年07月
2017年07月26日
デリバリー(8)
太い。その感触を確かめるように、なぞるように掴んでいく。長さは普通だけれど、ちょっとこの大きさは受け入れがたかった。達彦のカラダは、熱い鉄に水をかけたかのように、本当に体温なのかと言うくらい熱くほてって、その大きなカラダ全体から蒸気を発していた。フレグランスの混じった男の薫りが耕太郎の鼻腔を刺激する。キスを止め、また達彦の鋼鉄のように鍛え上げられた胸の上にある乳首に舌を這わした。さっきよりも柔らかく感じた。鼓動が伝わって来た。かなり力強くて、このビートにこっちの鼓動まで追随しそうな勢いだった。急に達彦は耕太郎の両足首を掴むと、開き目に持ち上げて、割れ目の間にある、毛で渦巻いた中心部のピンク色に光ったところを舌で嘗め回した。わざとピチャピチャと耕太郎に聞こえるように音を立てて嘗め回す。そして、指をその固く閉じられた穴へとそっと入れると、顔を恥ずかしさで赤らんだ耕太郎の顔へ近づけていき、またカラダと似つかわない信じられないくらいのソフトさでキスを交わした。耕太郎は、媚薬でも舐めたかのように従順で恍惚な表情を浮かべ、自然と入ってきた舌を受け入れた。そして同時に下の方にも指が徐々に入っていった。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月25日
デリバリー(7)
青いハーフパンツに手をかけた。耕太郎は哀願するような眼で達彦を見つめる。そして、再度懇願した。
「暗くして。」
そんな祈りも虚しく、幾分疲れた赤いストライプのトランクスだけになり、その中央部は時間の経過とその刺激に比例して既に大分湿っていた。
「ダメだ。」
そして、さっとそのトランクスも剥ぎ取った。臍に向かって垂直になったモノは、既に自らが出した透明な液で湿ってビシャビシャになっていた。そして、その独特のヌルッとした感触を楽しむかのように手で弄び、そして耕太郎の左腿の下に手を伸ばし、もう一方は肩の辺りに腕を回すと、あの無骨なカラダをした耕太郎をお姫様抱っこした。パンパンにはち切れんばかりに張れ上がった筋肉でコーティングされたカラダなので、相当な重量であろう。しかし、そんな耕太郎を何事もなく持ち上げてしまったのにはびっくりした。また、そんな抱っこをされるなんて経験が今までなかったから、先ほどの小さなモノを見られることと同じくらい恥ずかしかった。そんな照れて顔を赤らめる耕太郎を見て、かわいいなと感じ、先ほどのキスとは打って変わって、ほんのちょっと唇と唇が触れる程度のキスを交わした。耕太郎は、その浅黒い腕を達彦の首に回して、自分からキスをねだった。キスはソファへそっと下されるまで、ずっと続いた。そして、その後も二人はそのためらいがちなソフトタッチのキスをなかなか止めようとしなかった。
達彦は、そのキスの間に自分の履いていたものを脱ぎ取った。そして、耕太郎の手を取り、触ってみろと言わんばかりにそのまっすぐに突き出した部分へと誘導した。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月24日
デリバリー(6)
急に照れ始めた耕太郎を訝しく思った。達彦は彼のズボンの上からその形をなぞり、そしてその固い部分を、形に添って確認するように握っていった。
耕太郎は達彦の首に手を回して、また耳元で小声で囁くように「暗くして。」と言った。
そもそも、ここはワンルームマンションで、天井の照明は中央部分と玄関しか今は点けておらず、ソファのあたりは明るいと言うほどではない。達彦は、耕太郎のベルトを緩め、ボタンを外して臍からその下の部分へと手を入れていった。下の方にいくにつれて次第に熱く、そして湿気を帯び、鬱蒼と生えているもののザラザラした感覚、そして・・
「ダメです、俺、」
耕太郎は首に絡めている腕に力を込めて、顔をその逞しく筋張った肩にうずめて囁いた。耕太郎はその必然ともいえる動きを止めようと手を掴んだが、達彦の手はその反作用の力を拒み、やがて鋼鉄のように固くなった1本の棒に到達した。
「小さいから。」
確かに、こんなゴツいカラダからは想像もできないくらい、人差し指程度に細いモノがそこにあった。その形を確かめるように、なぞりながら揉んだ。
「恥ずかしいっす。」
うずまるところなどない肩にさらに顔を押し当てて、恥ずかしさに耐えているかのようだった。
達彦は、自分からベルトを外し、ボタンを取るとスラックスは自然と下がった。TOOTの青いボクサーパンツの中に溢れんばかりに折れ曲がったまま硬直したモノをそこに押し当て、時計の針のように円を描いて擦り付けた。擦り付けているうちに、収まりきらなくなったモノは上部から顔を出し、その汁が耕太郎のズボンにシミを付けた。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月23日
デリバリー(5)
耕太郎は、達彦のシャツを剥ぎ取りにかかった。
汗ばんだカラダにぴったりと貼り付いていたシャツを剥ぐのはなかなか困難だったが、なんとか取り去り、ソファへと投げ捨てた。
耕太郎は、ため息とともに達彦のカラダを見つめた。蛍光灯に照らされて、褐色の肌が輝いて見えた。
「たまらねえ。」
そう、つぶやくと、耕太郎は作業シャツを自分で脱いだ。脱ぐ瞬間、揮発性の刺激臭がした。宅配便の受け渡しを一日中していたせいで、カラダは汗をかいたその上から汗をかくという繰り返しだったため、汗の層ができていて若干べたついていた。顔に似つかわしい無骨なカラダで、特に首から肩にかけてが広範囲に盛り上がっており、上半身は逆三角形で、周囲を威圧するかのような厳つさで、腰のくびれと対照的にプロテクターのように筋肉がカラダにまとわりついていた。
達彦がグッと近づいてきて、そのカチカチに固まった肩の辺りに唇をつけた。
「シャワー、浴びていいっすか?」
「何言ってんだよ。」
達彦は、耕太郎の左腕を上げ、腋の臭いをわざと嗅いだ。鬱蒼と生えた腋毛に、汗のしずくが絡み合っている。その湿った腋毛に鼻をつけ、鼻の頭で腋をくすぐるようになぞる。達彦はくねるようにカラダを動かし悶えたので、左腕を腰に持っていき、引き寄せて、下を出して腋の下をえぐるように舐めた。若干舌先で苦みを感じた。鬱蒼と密に茂る腋毛から染み出す汗に、男を感じた。
「あぁっ。」
こんなに太くてゴツゴツしている腕を持っている人間が出すとは思えない、高めの声を上げた。
「シャワー、シャワー浴びさせてください。俺、臭いっす。」
はにかんで、訴えかけるような眼をしてこっちを見つめた。
「少し暗くしてください。」
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月22日
雑記帳(2017/07/22)
人物でいろいろ名前とか年齢とか設定していますが、これって俺のため。自分で書いていて、どういう設定だったっけって忘れてしまうんで。マッチョだったっけ、スジ筋だったっけ、デカチンなんだっけ、学生だっけ、名前何だっけ、って人物設定をイチイチ見ていかないと、途中で全然違う体型になってしまっていても困るし。「ひと夏のサンドバッグ」ってのを書き始めました。「堕ちるところまで堕ちて」の浩輔を使います。「耐えてみろ」の陽一郎にしようか、「終わりの見えないデスマッチ」の亘行にしようか迷ったんだけれど。誰を使うかで微妙に設定が変わるんでね。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月19日
堕ちるところまで堕ちて(14)
1週間後、やってみたいという電話をしたところ、赤ら顔のオヤジにゲイバーに呼び出された。
「で、浩ちゃんはいったい何ができるの?」
タバコの煙を吹かせながら、聞かれた。
「大体、大丈夫です。舐められたり触られたり程度なら全然。この前みたいな感じで大丈夫です。」
タバコをポージングした筋肉男の像で縁取られた灰皿の底で強めに消し、
「あのさ、この前みたいな感じだったら別にいらないよ?」
「え、あの、前の話じゃ、演者が決めるっていうことでしたよね?」
「んー、これってボランティアじゃないんでね、フリーでさ、浩ちゃんが路上パフォーマンスをするってなら全然それでいいよ。けどさ、場所を提供して集客もこっちでして、で人来ないじゃ困るんだわさ。」
「でも、SMはちょっと・・勘弁して欲しいかなって感じもあるんで・・。」
「じゃ、こうしよっか。こっちがプログラムを組むからさ、それを選べばいいじゃん。」
ってなことで、いくつか候補を挙げてもらった。というか、最初から選ばせるつもりだったのか、表にして提示された。洗濯ばさみ、竹刀、銀玉鉄砲、テニスボール・・SMばっかじゃん。ミット?野球で使うキャッチャーミット?竿・・竿って?
「ああ、これはそのまんま。しごかれるんだよ。」
それだけですか?
「そうそう。やっぱ触りたいものなんだよ、男の性っつーもんだよね。ギャハハハ。」
下品な笑い方で、奥歯の金銀カラフルな詰め物がよく見えた。
「じゃ、俺、それにします。」
「ん?これ?結構キツいけどできるんかいな?」
「大丈夫です。」
「ふーん、そっか。ま、経験だからな。それでとりあえずやってみっか。」
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月18日
堕ちるところまで堕ちて(13)
地下の階段から上がると、夕方とはいえ、日差しが強く照りつけていた。かなり古い集合住宅で、5階建てなのにエレベータもないようで、半分くらいは見た感じ空き家だ。
花壇であっただろう場所には、かなりデカい犬の糞がところどころに野ざらしになっていた。
正直、もう答えは出ていた。金になるということもそうだが、それよりもいろいろ自分の可能性を試してみたいという思いが強かった。いやいや来ている、ゲイかどうかさえ怪しい奴らよりも俺はもっといろいろできる能力を秘めている。金を掴むチャンスは無尽蔵にあるのではないか、そう思えてきた。
ジジイどもと関わりあいたいという気持ちはサラサラないんだけれど、中年やジジイからこんな扱いを受ける機会なんかきっと金輪際ないだろう。このモテモテボディの俺が、死に底ないのジジイどもにいたぶられるなんて面白いじゃないか。殺そうと思えばいつだって殺せるようなジジイに、逆に手出しできないのだから。そう思うと、異様に高揚してきた。さっき、得体の知れないオヤジたちに舐められまくった乳首の辺りが媚薬でも塗ったかのようにウズウズしてきた。何だか、異様にムラムラして、どこかで当たり構わず発散させたい気分だ。誰だっていい、目茶苦茶にされたい。今日は何発でもエンドレスでいけそうな気がする。体力、そして精力の限界までヤリこみたい感覚だ。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月16日
耐えてみろ!(10)
「大丈夫ですか?」
崇が目を覚ますと、慎吾が心配そうに覗き込んでいた。冷たいタオルが額に乗せられていた。自分自身では分かっていた。いつもセックスの後、クラッと貧血のような眩暈を覚えることがよくあった。しかし、こんな意識を失ってしまうようなことは嘗てなかった。
「どれくらい・・。」
「いや、ほんの1分くらいしか経っていないです。それより・・。」
「それより、俺がゴメン。俺、・・。」
「大丈夫です。俺がゲイって、もしかしてバレていました?」
「・・。」
実はゲイだとカミングアウトをされて、今初めて知ったくらいだ。顔を振って、目を覚まそうとした。
「水、飲みますか?たぶん脱水症状だと思います。少し安静にしてください。」
崇の肩を持って起こし、優しくそう言ったが、後ろで何か当たっているモノに気づいた。
「ゴメン、何も言わずについ。。本当にゴメン。」
「いいんです。でも、俺、いつもタチだからあまり経験なかったから・・。」
「俺は実は男にはウケなんだよね。けど、つい・・。」
慎吾はその言葉に反応した。崇のその筋張ったカラダに劣らないくらい、筋繊維でできているかのようなモノは激しく硬直し、目の前の獲物を虎視眈々と見据えていた。
「これ、欲しい。」
崇は、ちょっと口に余るような長さのモノにむしゃぶりついた。3日餌を与えられずに飢えた犬が、放られた鳥の手羽先を我が物にしたかのように、おいしそうにしゃぶった。そこから染み出すエキスを吸い出すかのごとく、丹念にしゃぶり込んだ。そして、慎吾を仰向けに寝かすと、そこに跨った。自分の唾をこれから入れる場所に塗り、指でその準備をした。ある種の覚悟がいった。入れてしまえばもうそこから先は平気なのだが、その過程が勇気がいるのだった。
そんな不安が慎吾にも伝わった。
「大丈夫ですか?」
先ほどまで倒れていたことを気遣うと同時に、ためらいがちに跨った悟の躊躇している様子を見て、思わず発した。けれど、その言葉に触発されたのか、徐々に腰を落としていった。バイである崇は、男の方はさほど経験がない。最近、その喜びを知ったばかりなので、入れてみたいという気持ちが先行する。けれど、まだ経験の浅い崇にとっては無理な大きさだった。先を入れただけで激痛が走り、その向こうの快楽まで行き着ける自信がなかった。
「ごめん。無理かも。」
二人は向かい合うと、笑いあった。暑さで汗が出尽くした感があり、二人とも喉がカラカラだった。シャワーを浴びて、外に出るとまだ西日が強く差していたが涼しく感じた。大学近くの安居酒屋でビールを飲むと、二人ともすぐに酔いが回って、ようやく主目的であったトレーニングの効果的方法を聞きだすことができた。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月15日
耐えてみろ!(9)
崇は無言でその熱くなった部分に手を差し伸べる。固さを確認するかのように、そしてこの行為が当然であるかのようにきわめて自然に、緩急を込めて握っていった。
そして、またそんなことを忘れたかのように話し出した。
「腹筋かな、やっぱり。この鏡、ちょっと持ってくれる?」
長方形の鏡を差し出されたので、受け取った。
「右と左の腹筋でずれているの、分かる?鍛え方を同じにしているつもりでも、どうしても偏ってしまいがちなんだよね。」
説明は淡々と行われているが、崇の膝は、その固くなっている部分をゴリゴリと回すように押している。
「腹直筋の方より腹横筋、腹斜筋の方を見ると分かりやすいかもね。ああ、鏡じゃ分からないか。ここはインナーマッスルって言ってさ、」
スウェットは淡々と説明する中で自然と脱がされ、また崇も履いていたロングパンツを脱ぎ、トランクス1枚になった。腹の辺りから、また胸にも、腕にも太い血管がくっきり浮き出ている。体毛は濃くはなさそうだけれど、臍の辺りから急にその下へと腹毛がラインを描いている。トランクスからもわっと熱を帯びた圧力が伝わってくる。崇はもう説明を止めていた。崇の汗がボタボタと滴り落ちて慎吾のカラダを濡らし、渡されてただ天井だけ写されている手鏡にも垂れ落ちている。古びた扇風機がいくら激しい音を出して風を生みだしても、湿り気を帯びた熱風となって返ってくるだけだ。男臭くて、じっとりとまとわりつくような風にあおられた汗がそれぞれのカラダを凄まじい勢いで流れ落ちる。慎吾の方から悟のトランクスのあるべきところを掴んだ。そんな大きいわけではないけれど、確かにそのモノは存在感を顕わにしていた。ほぼ一緒のタイミングでお互いの下着は取り払われた。悟は慎吾のその白くて無駄なところのない脚を両腕で開くようにして持ち上げて、そして黒々とつやっぽく輝き天を向いているモノを足の根元へ、そして引き締まった尻の間へと惹きつけられるかのように徐々に持って行った。そして、そのモノは、特段何も塗っていなかったのだが、汗とその先端から溢れ湧き出てくる液体のおかげで、吸い込まれるかのように慎吾の中へと入っていった。慎吾は痺れるような感覚を味わっていた。
崇は滝のように流れ落ちる汗を拭きつつ、慎吾を見下ろす形で腰をリズミカルに振っている。そして、右手で慎吾の凸凹して、臍の辺りの溝にところどころ汗溜まりのできた腹筋を撫で回し、そして時折拳をその腹筋に向かって振り下ろした。腹への衝撃より、その腹筋へと打ち込むタイミングで中に入っているものが跳ねるように踊る様子が中から感じられた。妊婦が「赤ちゃんが足で蹴っている。」っていうのはこんな感覚なんだろうかと、ふと永遠に体験することのない妊婦のことを思った。思ったより早く、その瞬間はやってきた。「ううっ。」急に結合から離れたと思うと、その液体は弧を描いて、慎吾の顔の上方を通過して斑模様になった柱の手前まで到達した。崇は、事が済むと、肩で荒く呼吸をし、そしてふわっと、急にバランスを失って、慎吾の方へ倒れてきた。慎吾は軽く抱いて、崇を仰向けに寝かせたのだった。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
2017年07月14日
耐えてみろ!(8)
近い、とは言いつつも郊外にある大学なので、そもそも周囲に家など殆どない。崇の家もどちらかというと駅の近くで、歩いて15分ほどかかるところにあった。パチンコやゲームセンター、居酒屋が立ち並ぶ通りの脇道を入ってすぐの木造2階建ての奥の、日当たりも良くないし、築数十年経ったかと思われる、かなり老朽化したアパートだった。
「どうぞ、むさ苦しいところだけれど。」
何もない部屋ではあったが、畳は日焼け跡が残りかなりささくれ立ち、カーテンも備え付けなのかところどころ汚れや破れが目立っていた。何よりも、15時だというのに西日が当たって真夏に1時間駐車した後に車のドアを開けたときのような、こちらに熱波が押し寄せてくるかのような暑さだ。
「エアコンなくて、扇風機なんです。」
どこからか拾ってきたかのような年季の入った小型扇風機が音を立てて回りだした。ただ、熱気がかき回されてサウナの中にいるかのようだ。
「麦茶、飲む?」
灰色の煎餅座布団に座り、キリンビールと書かれた小さなコップに注がれた麦茶が、テーブルというよりちゃぶ台といった感じの茶色いテーブルに乗せられた。テーブルだろうか、それともこのアパートだろうか、何か床がフラットではない感じがする。
何でこんなところに住んでいるのか、聞きたいけれど、きっと聞いてはいけない何かがあるのだろう。部屋全体は古びているが、全てがきれいに整理整頓されていて、ほこりどころか磨きがかっていてツヤツヤしている。しかし、暑いなんてものではなく、じっとしていても汗が滴り落ちて、畳へと吸い込まれる。
「ごめん、暑いでしょ?気を使わないで。」
崇は着ていた大学の名の入ったTシャツを脱いだ。色白で細い印象だったが、脱ぐと体脂肪がほぼないのではないかというくらい、筋繊維一つ一つがちょっとした動きでも浮き出て見える。脱いだTシャツはまた着るのだろうか、金属製の細いハンガーを強い日差しが差し込む窓のカーテンレールにかけた。
「かけるよ、脱いで。」
崇が慎吾の肩を軽くつまむようにつかんだので、慎吾もTシャツを脱いだ。崇は座布団を取って、向かい側に座り、麦茶を一気に飲み干した。
「どこを鍛えたいの?」
「いや、どこをっていうのは特に決めていないんです。全体的に、バランスのいいカラダをキープできればいいなって感じで。」
「バランスかぁ。左利き?」
「何でですか?」
「バランスでいうと、筋肉の付き方が左側が若干太い感じがするかな。」
崇は慎吾の両手首を握って見比べる。
「一回りくらい太いっしょ?」
うん、そういわれてみると、確かに左手首の方が太い。そんなことを今までほとんど気にしたこともなかった。
「その影響が体幹に影響しているんだよね。ちょっと仰向けになってもらっていい?」
日に照らされて熱くなった畳に仰向けに寝る。そして、指で横腹を思いっきり押し出した。
「痛い、痛い。」
「痛い?ここは?」
ものすごい力で、ピンポイントで押される。筋肉の鎧で覆い固められたかのように複雑な形状をなしている腹の辺りを、指一本の力でものすごく深いところまで押していく。
「あぁぁぁ。」
「気づかないうちに歪みが蓄積されているんだよ。その歪みをカバーしようとして筋肉がついているからバランスが取れているようで均等でないつき方をしているんだよね。」
「・・・。」
恥ずかしいことに、このやり取りで下腹部に硬直が始まり、グレーのスウェットにくっきりと、まっすぐな鉄棒を入れているかのように現れた。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村