ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

2017年03月

夜明け前(4)

明は、昼は池袋の某百貨店でアパレル勤務をしているため、アルバイトをすると言ってもそう長い時間いられない。
シフトで木金休みなので、金曜日は早く来るようにしている。週末はさすがに客が多く、10時以降になると満席になる。
明は元々寡黙な性格で、しかも人見知りなので、こうした客相手の商売には不向きである。それは自分でも重々承知している。
客から「明美ちゃん、今日もかわいいね。」とか言われても、顔を赤くして黙ってうつむいてしまう。
すかさずママが「何、うちの秘蔵っ子に手出してんのよ。高くつくわよ!」と間髪入れずに返すのが常だった。
ゲイバーの喧騒とは裏腹に、黙々と酒を作って出し、皿やコップを洗っている。しゃべりは専らママの役目。けれど、店に来るオヤジたちは、やっぱりイケメンの若い明を放っておくわけがない。なんとか話の糸口をつかもうと、いろいろ話しかけてくる。
ママに明のことを聞き出そうとする客も多い。ただ、ママは「そんなの、明美ちゃんに直接聞けばいいじゃない。」と冷たくあしらう。
ママも明の気持ちがよく分からないのだった。口下手なのにここで働いているのは、ひょっとしたら前の彼氏が訪れるのを待っているのかもしれない。
前の彼氏は浮気性で、ママが知っているだけでも常時2,3人はスペアがいた。明は一途だったが、彼氏の方はそのうちの一人程度にしか思っていなかったようで、明が不実を責めると、今までの熱々な関係は何だったのかと思うくらい、あっけなく別れて次の男に乗り換えた。
端的に言うと捨てられたのだ。あくまで都合のいい男であって、面倒なことが起こればもう用済みだった。ただ、明はその男に身も心も捧げていたから、急に別れると言われても心がついて行かなかった。


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夜明け前(3)

そんなことが2週間くらい続き、さすがに幸子が声をかけた。
「まだ、引きずってんの?」
明は無言で頷いた。
「もう、忘れなさいよ。あんな男だったらいくらでもいるわよ。」
「いないよ。」
溜息をつき、2杯目の生ビールを追加で頼んだ。
「あんたさ、まだ若いんだから、何とでもなるわよ。」
「もういいんだ。」
「じゃあさ、あんた、ちょっとここで働いてみなさいよ。」
明は顔を上げて、幸子を見つめた。どこで買ってきたのか、色黒のカラダに不釣り合いなチャイナドレスで紫のアイシャドーと紫の口紅、そこから発せられる言葉に明は息を呑んだ。
「別に好きな時間でいいから。そうやってグジグジグジグジと飲んでいるよりかわさ、気が少しは晴れるわよ。」
「お願いします。」
明は反射的に答えた。きっとカラダが渇望していたのかもしれなかった。声をかけてくれる人を。自分を理解してくれなくてもいいから、癒してくれる人を。
仕事帰り、明は早速「幸」を訪ねた。
「あら、来たのね。」
幸子は明らかにサイズがあっていないチャイナドレスに着替えているところだった。
「よろしくお願いします。」
明は帽子を取って、深々と頭を下げた。
「あんたも着る?」
幸子は紫のスパンコールの服を手に取ったが、さすがに断った。

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夜明け前(2)

いつも明は一人で訪れ、生ビールを1杯と、幸子が作るつまみを食べて、30分ほどで帰る、そんな感じで週に2,3回は顔を見せていた。
そもそもは年が一回り離れた、カラダのガッチリしていて背の高い元ラガーマンの彼氏と二人で来ていた。よく幸子と3人でワイワイ騒いで、終電間際に仲良く二人で帰っていた。
けれど、きっと別れたのだろう。それに話しかけても全然しゃべらず、ただ黙々と生ビールを飲んで、すっと立ち上がって帰っていく姿が、見ていて痛々しかった。
別れた彼氏のことが忘れられなくて、そのことを想い出しつつ飲んでいるのか、それともまた元彼が来るかもしれないと待っているのか、いずれにせよ、意気消沈ぶりが甚だしく、とても聞ける雰囲気ではなかった。

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夜明け前(1)

18時、まだ外は明るい。店のドアの前にセミが死んでいた。 「もう、セミ、嫌いなんだよな。」 蹴ると、セミが余力を振り絞って鈍い声を出しながらUターンしてきた。明はセミが入らないように気をつけながら、店に入った。 明がここ、東上野のゲイバーに勤め出したのは10日前のことだ。ゲイバーでは「明美」という名で働いていたが、別にニューハーフでも女装しているわけでもなんでもない。 よく、友達とかには風間俊介に似ていると言われてきたが、ここ上野ではV6の三宅健に似ていると、客の何人かから言われた。そろそろ小じわが出てきたからかな、と自己分析している。 明は既に31歳、店のママ、幸子(本当の名前は智幸)より5つも上だ。 元々は明はこのゲイバー、「幸」の常連客だった。上野という土地柄、客層は若くても40代で、もうヨボヨボのおじいちゃんのような客まで来るのだが、その中でも明は目立って若かった。31とはいえ、見た目は20代、どちらかというと、ママよりも年下にさえ見えた。
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そんなに仕事が大事?(3)

「ねえ、俺って一体何なの?何だったの?今まで、信君にとって、俺って何?」
「答えてよ、仕事って何?仕事が一番なんだ?俺じゃなくて、仕事なんだ。俺ってただ、信君のお荷物なんだ。」
「ねえ、何とか言ってよ、本当に?もう、俺、バカみたい。今までの時間、返してよ。失った時間、返してよ。」

「あはははははっ、あはっあははははははっ。」
統括課長はもう何も言わずに、口を半開きにして、信明の、半狂乱になって、殺虫剤をかけられたゴキブリのように、仰向けになって手足をバタバタさせて、目を大きく見開いたまま笑い続けている様子を見続けていた。絨毯には、失禁してズボンから染み出た尿が染みて、真紅のシミを作っていた。

「バカ、バカぁぁぁ!」
信明の耳の中で、1年前の光景が、ずっと反響していた。
耳の中にセミが数十匹いるかのような大音量で繰り返し、繰り返し止むことなく叫び続けられた。
半裸の状態で、力いっぱいかき毟った跡がミミズ腫れになっていたが、信明はなおも嗤っていた。
1年前と同じように。
統括課長は棒立ちで、終わることなく嗤い続ける信明を見つめていた。もはやかけるべき言葉も見つからなかった。

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そんなに仕事が大事?(2)

「何、前に言ったじゃん。何で分からないの?」 「それくらいのこと、言わなくても分かるじゃん。何年付き合っているの?」 「ねえ、本当に俺たちって恋人?俺のこと理解している?ねえ?」 「目を見てよ。恋人なんでしょ?目を見られない理由は?」 「ねえ、口あるんだから何か言えるでしょ?ねえ、ねえって。」 「本当に忘れてた?本当に??付き合った日を?今まで、俺たち何だったの?ねえ、ずっと前から約束していたじゃん。一昨日も念を押したよね?何で?ねえ、何で?」 「ふざけないでよ、こっちはずっと前から楽しみにしていたのに、そんな仕事の方が大事?」 「聞いてますか、6%。理由を私は知りたいですね。なぜ故に6%という数字が出てきたかを。」 信明は堰を切ったように、頭、顔、膝、胸、ふくらはぎ、背中、尻、二の腕、首を掻きむしり出した。そして、席を立ち、猛烈に掻きむしった。ネクタイを緩め、ワイシャツのボタンをはずして直接胸の辺り、背中をかき、ワイシャツの手首のボタンを外して腕をボリボリ、また肩の肩甲骨の辺りをかき、足も靴のまま、ふくらはぎ辺りをまずは右足で、そして左足でかき出した。 「仕事、仕事、大事じゃない、大事ではない。」 頬を激しく掻きむしり、頬から血が滲み出てきた。頭もかき毟って、ジェルで固めた髪の毛が最早見る影もないようなクセ毛になってしまった。 「どうしましたか?佐々木君、君、何しているんですか?」 「あぁぁ、あぁぁわぁ!」 制御不能で、皮膚の中のいたるところに糸のように細い虫が這いまわっているような感覚。

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そんなに仕事が大事?(1)

「昨年と比べて、今年の売り上げは6%ダウンですね。」 統括課長からジクジク、あれこれ30分以上は突き上げを喰らっている。 年2回のボーナス査定。これで明確な根拠を示さないと、さすがにボーナスもカットされるだろう。 今まで4年間ずっと上がり調子だったから、まあちょっとくらいはいいんだが。 「6%というのはちょっと異常な数字だと思いますよ。これがエラーでなければね。今までの売り上げ、5年間ですがグラフにしてみました。」 信明の腕の、ちょうど肘のあたりが、もぞもぞしてきた。もぞもぞしてるなと思うと、他のあたりももぞもぞした感じになってくる。 まあ長い付き合いだから、これがストレス性の蕁麻疹だってことはよく分かっている。 ポツッポツッと一つ一つ、蕁麻疹が増殖していく様子が手に取るようにわかる。 「グラフから見るとわかる通り、今まで上昇基調にあったわけですよ。担当が変わって、それが6%ダウンになった。これが厳然たる事実です。」 ポツッポツであったものが加速度的に増えていく。一つが二つになり、四つになり六つになり、肥大し共鳴し合い・・ これに似たようなことが、ほぼ1年前にもあったなということを思い返していた。

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