2021年11月04日

終わりの見えないデスマッチB(38)

全試合が終わり、客が帰っていくのを見ると余計ソワソワしてきたが、智哉は隣の男と密着してしゃべっていた。智哉が男の膝に手を当てたり、手を握ったりと、かなり親しげだった。最初、親子なのかなと思っていたが、男の体にまとわりついたりしているところを見ると、まあ付き合っていると見た方が自然だった。客も全くいなくなって、清掃や後片付けを済ますとスタッフもいなくなった。「じゃ、やるかな。」と、右腕をグルングルン回して、服を脱ぎだした。「ああ、ここで着替えてもいいけど、雰囲気でないか。あっちで着替える?」と言うので、見慣れた更衣室に移動した。智哉はさっさと脱いでいく。サングラスを取ったら、結構愛嬌のある人懐っこい顔をしている。それに・・、腹筋とかパキパキって割れていて、無駄な脂肪なんて全然ない、普段の黒服からは想像もできないようなファイターのカラダ付きをしていたのに驚いた。「先行ってるよ。」と履いていたブランドもののトランクスを投げ捨てると、リングに向かって行った。

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