2020年09月06日

終わりの見えないデスマッチB(27)

隣にいつの間にかシディークがいた。いつの間に、実来は驚いた顔をしていたが、シディークにとってはそれくらいは朝飯前だった。「何していた?」とシディークは聞いたが、聞かなくても大体は分かっていた。シディークも、インドでは少数派であるイスラム教徒であったため、家は大変貧しく、まだろくに言葉もしゃべれない頃に人に売られて、紆余曲折を経て遠い日本に連れてこられたのである。シディークがカラダを寄せて、そしてそっとキスをした。そこから、シディークは実来がしたいと思っていることに、あえて何も拒むことなく、すんなりと受け入れた。実来はこれが初めての経験だったが、衝動が自然とカラダを動かして、そして迸る情熱をシディークのカラダへと伝えた後は、二人して夜の帳に囲まれて冷たくなったコンクリートに仰向けに横たわった。そして、またキスを交わし、また同じであるけれども先ほどよりもより情熱的なことを始めたのであった。そして何度も何度も、お互いが疲れて眠りにつくまで、何度も。

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