2020年08月16日

終わりの見えないデスマッチB(19)

そこには、あの獣毛をまとったナデートが、うつ伏せになって伸びていた。隣で背なし椅子に座って、健は携帯電話を弄っていた。「やぁ、健。休憩中?」シディークが声をかけると、健が近寄ってきた。「どうも頭では理解しているのかもしれないけどさ、カラダが動かないよ。」「何、ディフェンスのこと?」「そうそう、倒そうって気ばかり強くて防御が疎かになっているって言ってんのにさ、分かんないんだよね。」よく見ると、ナデートはアンダーウェアを身に着けていなかった。黄色の毛で覆われた尻尾と対照的に、尻がきれいにツルツルなのが際立って見えた。「ああ、じゃあこの実来と同じだ。」「え、手加減してくれた?」「もちろんだよ。大事な君の実来を壊したら、僕、どんな目に遭わされるんだか。」ってシディークが笑っている。健はシディークよりも強いのか?そもそもなぜナデートは伸びているのだろうか?「まあ、いいよ。約束でシディークに戻すってことにしてあるから。」ん?もしかして、お互いに戻すって約束させてスパーリングさせていた?「ナデート、じゃ、約束だから。」「まだ、まだ、俺、できる。」俺と同じことを言っている。「いいけど、同じだろ?」と、健はグローブを器用にはめ始めた。

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