2019年11月11日

熾天使アブディエル(2)

アブディエルは切り立った岩壁に張り付けられ、サタンによる邪悪な呪文によって幾十にも目には見えない鎖で手首と首を縛り付けられていた。空を飛ぶための大きな翼が人間で言う肩甲骨あたりにつき、それを白くて大きな羽が幾層にも重なって覆っている。胸板はこれでもかというくらい厚く、そして鋼鉄のように硬く厚い筋肉で覆われて、その表面をうっすらと黄金の毛が覆っている。神の子であるアブディエルは、言われなければ神かと見紛うくらい美しく、そして気品がある出で立ちをしている。無駄な贅肉など一切ないその腹は、8つのそれぞれのブロックに分かれ、それぞれがそれぞれとその硬さを競い合うかのようだった。カラダの中央を通る胸の割れ目から臍を通じて下に伸びた黄金の毛が、その下の神々しく揺れるモノへと誘った。そのモノと言えば、高貴な出で立ちにふさわしく、輝くばかりにその大きさをこれでもかというくらい主張して、引力に逆らうことなく垂れ下がっていた。また、その奥に、隠そうとしても隠しきれるものではない大きさの、収穫間近のたわわに実った果実を彷彿させるような堂々とした玉が二つ、きっと赤ん坊だったらすぐに眠りに着くのではないかと思われるくらいにいかにも柔らかそうな袋に入れられて、心持ちユラユラと揺れていた。強靱な腿といい、そして足のつま先まで何の欠点もなく作られた偉大で唯一絶対である神の創造物は、こうして今、地獄の門から程ないところで責め苦を受けているのであった。

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