2019年07月31日
灰色の空間(1)
正座した状態で後ろから蹴られ、前につんのめった状態で目隠しを外された。
冷たいコンクリートの床、周りに窓はない。ただ、裸電球が数個、この10畳くらいある広い部屋を照らしているだけだ。
「おい。」
木製の椅子に、背もたれに腕を載せた男が言った。
「ここがどこだか分かるか?」
「・・・。」
テガンには大体見当がついていた。大通りでいきなり目隠しをされ、車に詰め込まれて、ここまで連れてこられた。
移動中、30分ばかりの間、後部座席で頭を自分の膝下につける姿勢のまま拘束された。少しでも身動きしようものなら、両脇にいる男からこぶしで殴られた。
ドアが開くと強い力で引っ張られ、よろめいて倒れた。
「立て!」
怒号と共に足蹴りにされ、また両脇を抱えられて地下室に連れてこられたのだ。
こんなことをするのはKCIAくらいだろう。大韓民国中央情報部、通称KCIA。朴政権に反対する者を連行し、取り調べる機関。
そしてここは南山・・五体満足で生きて出る人は皆無といわれる、人々から恐れられている場所。
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toppoi01 at 08:30│Comments(0)│灰色の空間