2019年06月29日

堕ちるところまで堕ちて(19)

「はい?」
「はいって、何しに来たの?相談あるんだろ?」
「いや、あの、俺・・。」
「あのさ、売れるかどうかは君次第。こっちは与り知らぬところで。君のしたいことをすればいいんだけど、客がそれで来るか、客が付くか、それも君次第。」
「いや、でも、俺、思うんですけど、何か、これってそんないいバイトでもないかなって思って。」
「浩ちゃんさ、ちょっと鈍感じゃない?ねえ、ママ。」
さっきまでカウンターの奥でタバコを片手に、客からもらったウイスキーの水割りを飲んでいたカラダのデカい奴がうっすらと笑った。聞いていたのか。
「普通はさ、終わった後にオークションするんだよ。で、お持ち帰りしてもらうと。そんなくだらないショーだけ見に来るわけないっしょ。」
「え、俺、あの中のジイサンとやらなきゃいけないんですか?」
「いや、だから、それも君の勝手。ただ、何、浩ちゃんは何が目的なんだっけ?ジイサンたちに俺のカラダすごいでしょって見せつけるのが目的?違うっしょ?金稼ぎたいんっしょ?」
「そうです。でも、・・」
「いや、言いたいことは分かるぞ。勃たないってことだろ?だから?」
「なんで、俺には無理です。」
「ジイサンだって勃たないだろ。」
「!?」
「持ち帰ってガッツリヤルなんて元気ないだろ、ねえ、ママ。」
「アタシはガッツリヤルわよ。」
「随分お盛んじゃないの、ママ。」
またお下劣極まりない笑いを飛ばしている。よく見ると、下の前歯も2本欠けている。そっか、そうだよな。それに、年金生活者だけじゃなくて金を持っているジイサンだっているかもしれないしな。
「また、考えてみます。」
お、もう帰るのかよっていう目をしているオヤジを横目に、浩輔はそう言って、店を出た。

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