2018年08月29日

一石二鳥のアルバイト(4)

問わず語りに高志は話を続けた。「練習中に先輩から、内股をかける前に反動で玉を蹴られるなんてのはかわいいもんだ。岡本って1年上の先輩がいて、そいつはそもそもカラダがただデカいだけで動きが鈍くて、まあ動作も鈍ければそれに輪をかけて頭の回転も遅いから、普通に乱取りやってても投げられる練習台にしかならないくらいどうしようもない奴なんだけどよ、そいつとまともにやりゃ、そりゃ俺らの方が強えわ、けど先輩だから一応稽古つけてもらわにゃならんってことで、ま、こっちも手加減するんだけどよ、なんせ基本がなってねーもんだから技をかけたんだか何だか分からないもんで、仕方ねえからワザとかけられた体で受け身を取ったわけさ。そしたら周りが爆笑。」何がおかしいのだが分からないが、苦痛で顔を歪めたままの俺に、ゲタゲタ笑いながら話をし続ける。脂で歯は全体的に山吹色をしており、上の前歯が欠けてそこから虫歯になって黒く変色している見にくい歯を気にするでもなく、刺激臭を時折吐き出しながら。
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