2018年08月26日

一石二鳥のアルバイト(3)

「いいじゃないか、え?」ニタニタと笑いつつ、高志は自らの服を脱ぎ去った。一糸乱れぬ姿は一言でいうと中肉中背、中年特有の体型であった。しかし、元柔道部主将の名残はそのカラダつきに刻まれていた。昔はあったであろう筋肉が今では贅肉に変わったのであろうが、それが筋肉であった頃を彷彿させる、浅黒くて脂の乗りきった、そんなカラダであった。しかし、浩輔のこの鍛えに鍛え抜かれたカラダと比較すれば、脂肪ばっかりの中肉中背の中年体型以上の何物でもなかった。「どうだ、痛いか、痛いだろ。」苦痛に歪む浩輔の顎を掴み、当たり前すぎる質問をした。内臓が腐ったような口臭がツーンと鼻腔を刺激した。「俺が柔道部にいた頃はこんなもんじゃなかったぜ。」この台詞、そしてその後の話は毎回聞かされて、それをただ痛みに耐えている状態で聞いている。きっと、その柔道部のしごきでも同じような光景だったのだろう。

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