2018年04月01日

終わりの見えないデスマッチB(15)

シディークは選手ではなくトレーナー志望で、ナデートだけではなく、いろいろな人をサポートしているようだった。普段はただ、基礎的なトレーニングとかアドバイス、栄養指導をしているのだが、俺には特別に実技指導をしてくれることになった。要するに、教えるところがあるというよりは、まだまだ見ていて荒いのだろう。しかし、実来には、きっと舐められている、シディークにも勝てると思い込ませるほど、自分を甘く見られているというように思えた。自分では健に学ぶことがないというくらいの気持ちだったので、その高く伸びた鼻を叩き折られたような形で屈辱的であった。加減してやったのに、もっと痛い目に遭わせた方がいいのだろうか。シディークは、またも打ってこいと実来を挑発した。赤い旗を前にした闘牛の如くいきり立ち、結構最初から本気モードでシディークに打ちかかっていった。しかし、本当に当たらない。逃げられているのではなく、スレスレのところでかわされている。そして、ふいに打ち込んでくるけれど、それはなぜか脇腹ばかりにヒットする。そこに吸い付けられるかのように狙ってきたところを当てようと思うが、そう狙い通りにはいかない。ガードが下がれば顔ががら空きになってしまう。また、同じ脇腹に!そして実来は崩れるように前のめりに倒れた。シディークは笑って「これで五分五分だね。」と言う。いや、全然五分五分ではない。足がガクガクして全然立ち上がれない。あんな当たっているか分からないくらい軽いパンチだったのになぜ?喉が渇いたという理由で、相手に悟られないようにゆっくり立ち上がり、ベンチの方に向かった。「肩、貸そうか?」と、やはりシディークにはそんな繕った元気が見透かされているようだ。


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