2018年03月25日

終わりの見えないデスマッチB(12)

終わった後、ハッとするとすっと鼻血が一筋垂れて、ジーンズを赤く染めていた。そして股間はずっと硬い状態を維持していた。一対一の喧嘩、それも誰にも止められることもないし、ルールに縛られずに強い者が勝つという単純明快なルール。今までずっと意味も分からず、時には理不尽なルールで雁字搦めに縛り付けられていた実来にとって、内から解き放たれた、とても爽快で弾け飛ぶような強い衝撃だった。こんなにも高揚とした気分は初めてだった。これが探していたものかとカラダに電気が貫通したかのようにビリビリという感覚が走った。帰ると、自分の気持ちを率直に仲間に伝えた。目標を持った実来は、それからは率先して暇さえあればトレーニングをこなし、そして健とスパーリングをした。というのも、他の者が全然相手にしてくれなかったからだ。頼み込んだがダメの一点張りだった。このデスマッチを選んでいるのはジャナバルとナデートだけだった。二人とも、今まで会ったことのない人間だった。人間には違いない。しっかりとした日本語をしゃべっているのだから。ジャナバルはトルコから、ナデートはタイから子どもの時に買われてきた、というよりは親に見捨てられて引き取られたというのが正解だろう。そもそも、風貌が人間とはいえず、親から忌み嫌われて生まれたときから孤児だったのである。


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