2018年03月10日

終わりの見えないデスマッチB(5)

ときどき、どうしても寂しくなったときは、ベッドと布団の間に隠してあったそのシールを眺めた。ピンク色のハートに囲まれて笑いかける両親。どっちも会ったことは一度もないし、きっと会うことも永遠にないのだろうが、そのシールを見ると、不思議と寂しさが消えるのだった。その大切なシールを、奪われてしまった。2年上で、育てていた祖父母が死んで、幼い頃から施設に預けられ、この施設のリーダー格になっていた奴だった。
「なんだ、このシール。誰、コイツ?」
「返してください。」
奪おうとしても、背が高いので届かない。周りの奴らは皆嗤って見ている。
「誰って聞いてんだけど。」
「返してください。」
「言えば返してやるよ。」
「・・お父さんとお母さん。」
皆、笑い転げた。
「お前、バカじゃねーの?お前は誰でも股開く名もないソープ嬢と薄汚いハゲたエロオヤジの子なんだよ。」
そう言って、そのシールを丸めて投げ返した。何かプツリと切れる音がした。
「うおぉぉぉぉぉ!!!」
気づいたら、そいつがうずくまって呻いていた。怒りに任せて股間に蹴りを入れたのだ。普段からいじめている奴がまさか反撃するとは思っていなかったからか、不意を喰らってモロに急所を直撃した。痛烈な痛みにもがき苦しみ、痛みに耐えかねて声をあげて泣いていた。シールをまた伸ばしてから周りを見ると、皆目を反らした。実来はシールを元の場所に貼って、固くひんやりしたベッドの上に寝転がった。


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