2017年11月23日

耐えてみろ!(17)

陽一郎のいる寮は駅を通り抜けて反対側にある。この商店街と平行して伸びている飲み屋街は、駅に近づくにつれて華やかになり、風俗街に変わる。都心では勧誘はもちろん御法度だけれど、八王子まで来ると規制も緩いのか、半ば大っぴらに呼び込みをしている。陽一郎がゲイだとは知る由もなく、また対学生でもあり、キャッチは馴れ馴れしく肩に手をかけていい子がいると言ってきたり、腕をつかんだり行く手を阻んだりして、半ば強引に勧誘してくる。元々愛想がいいタイプでもないし、今日はずっと一人で酒を飲んで発散する相手もいなかったため、鬱屈していた。
「お兄さん、ちょっと遊ぼうよ。」
とデカパイしか売りがなさそうな女が、手を無理矢理胸に持って行った。
「うるせーな、触んな!」
女を突き飛ばすと、その横の分厚い金のネックレスをつけてサングラスをかけた男にぶつかった。
「なあなあ、兄ちゃん、威勢がいいな。」
陽一郎より二回り位でかいカラダをした奴がこっちに向かってきた。
「商品に手を出したら困るんだけどね。」
「うるせーな、そっちがやって来たんだろ。」
「見てたけど、胸触っちゃったよね?」
「あのブスが勝手に触らせてきたんだろうがよ。」
「ひどーい。」
そこにやせ細った勤勉そうな警官が割って入って来た。
「何かありましたか?」
すると、たまたま通りがかった通行人であるかのように、皆がそれぞれ勝手な方向へと歩いて行った。警官はそれを見届けると、自転車に乗って奥へ消えていった。

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toppoi01 at 08:00│Comments(0)耐えてみろ!Ⅵ 

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