2017年08月15日
耐えてみろ!(15)
「オマエ、分かってるよな。」
ま、いつものとおりだ。先に帰っちゃったのを怒っているんだな。慎吾は上着を脱いで上半身裸になって正座をした。さっきのビールでカラダがほんのり桜色になっている。
食事した後の腹蹴りはちょっと堪えるな。気を抜いてモロに入ったら、戻してしまいそうなんで、グッと腹に力を入れて、陽一郎の繰り出す腹蹴りを堪える。すると、廊下で慎吾の前に陽一郎と飲んでいたらしい後輩が部屋の前を通りかかった。
「おい、オマエ、こっち入れ!!」
全体的にがっちりした背の低くて坊主頭の、おそらくまだ大学入りたての1年生という感じな彼を呼び止めた。ランニングとトランクスと言う男子寮ならではの簡素な格好で、呼ばれたからと陽一郎の怒気の含んだ声と対照的に悪びれた様子もなく部屋の中に入ってきた。すると陽一郎は唐突に、その垢抜けない丸顔をした1年生の前に立つと、股間に膝蹴りを喰らわせた。
「はぁぁぅっ。」
両手で股間を押さえると、床に倒れてそのままうずくまった。
驚いている慎吾を見て、「オマエ、次やったらこれだかんな。」と言い残して部屋を出て行った。
ファールカップを買おうかな、と全く起き上がってこない後輩を横目にそう思った。
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toppoi01 at 08:30│Comments(0)│耐えてみろ!Ⅴ