慎吾は、いつものように大学のフィットネスルームでウェイトをしていた。
慎吾の行っている大学のフィットネスルームは、市の施設と違ってマシンが新しくて充実しているし、使用料も学生であればかからず、何よりも日中は人が殆どいないので、慎吾は週に3,4回は利用していた。
トレーナーも学生を雇用していたが、トレーニングの方法やメニューなど、同じ学生ということもあって親身に相談に乗ってくれて、結構打ち解けて話すようになった。中でもいつもいるトレーナー、崇は体育会系のボクシング部に入っていたが、どちらかというとマネージャー的役割をしているそうで、ボクシングも試合をこなしたり観たりというよりは、シェイプアップのために続けているそうだ。
そのためか、他のトレーナー(といっても、皆、学生だが。)とは違ってマシンの効果的な使い方とかどこをどうやって鍛えたらいいかといったことに異様に詳しかった。信吾はどちらかというと空いた時間の暇つぶし程度に通っていたのだが、トレーナーの崇の言葉に影響され、いつしかのめり込んでいった。
慎吾から誘うということ自体が珍しいのだが、もっといろいろ聞きたいと思って、カフェテリアでコーヒーでもと誘ってみた。しかし、崇はコーヒーは体に悪いから、と断った。まあ、向こうにとって見たら、コーヒー飲みながら金にならない鍛え方の相談されるのもうんざりだよな。いくらなんでも自己中心的な誘いだったと、さすがに気まずい空気が流れた。
「今日、空いていますか?うち、近くだから。」
家?
「借りてるんです。」
むしろ、急な申し出に慎吾の方がちょっと戸惑ったが、この後は授業がないしと思って行って見ることにした。

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