試合開始のコングがなると、智哉は軽快なステップでこっちに向かってきて、積極的に回し蹴りやフックを繰り出してくる。もちろん全然届かないが、距離を取るためでもあるし、デモストレーションの意味もあるのだろう。智哉の回し蹴りは初めて見たが、かなり速いし安定している。しかし、俺の間合いに踏み込まなければ当たらないことくらいは分かっているだろう。俺も応えて、蹴りを入れていく。ハイキックは踏み込まれる怖れが高いから、ミドルで様子を見る。ただ、どれも腕でブロックされている。右でフックを入れると避けずに踏み込んできた。やはり腕でガードする。ボクシングの技術のようだ。前蹴りで距離を取り、もう一度左フックを入れても、やはり腕でガード。カラダの軸も安定していて倒れない。智哉がずっと俺の垂れ下がるモノを見ていることが分かっている。金的のチャンスを虎視眈々と狙っているのだ。また意味もなく蹴りを放つ。俺から踏み込んで智哉の顔面を狙ったが、ガードされて、同時に智哉のストレートが俺の腹に当たる。中ぐらいの石が腹にめり込んだような感覚だ。距離を置いて蹴りを放ったが、若干バランスを崩したところを智哉の拳が俺の右脇腹にヒットする。そして、俺が渾身の力で顔を狙っていったところを避けられて、顎の辺りにアッパーを喰らい、天井のまばゆいばかりの灯りを見た後、フラッシュのように瞬いて、視界が揺らいだなと思うと足から崩れ落ちた。目眩でしばらく立てなかったが、その間に腕を抱えられてリングを引きずられていった。

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