2017年06月12日

終わりの見えないデスマッチ(29)

また、智哉とスパーリングだ。日に日に智哉は、目の奥に獣が潜んでいると言うか、凄みを帯びてきた。カラダもあのスポーツをやっていて自然とついた筋肉から、脂肪を削ぎ落として筋量がそこから染み上がってきたかのような、俺のカラダと同じくらいの体脂肪量でありながら、胸の谷間の部分から腹にかけて深く刻まれる溝が顕著で、俺と似ていて否なるものを見にまとってきた。最初の頃は、かかってくる智哉を横に転がしたり、跳ね飛ばしたり、力の差が歴然として子供を相手にしているような感じだったのが、今では力は互角かもしれないがスピードはついていけなくなった。そして、寸止めをするようになったし、勢い余って当たってしまったら「ごめんなさい。」と逆に言うようになった。手加減をされているようにも思えたが、智哉はそれを否定した。以前のような、やったらやり返すと言ったような刺々しさはなくなり、互いが計算めいた、いや、智哉の目の奥にはもっとつかみどころのない何か得体の知れない怪物が隠されているかのようだった。

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