2017年06月09日

終わりの見えないデスマッチ(26)

というのも、実は弘一に身に覚えがあったからである。この前、来て早々に見知らぬ男が寄ってきた。40前後でサングラスを取らずに、そのよく日焼けした男は、「次の試合、いつもの倍払うから、負けてくれないか?」と言われたのだ。「俺、そういうのやってないんで。」と早々に断った。別に八百長が不健全だとかいうつもりは毛頭ない。金が目当てで転んだと思われたくないとかいうわけでもない。そんな妙なプライドだったらとっくに捨てている。単に、うまく負ける自信がないからだった。俺には八百長を悟られずに試合を進める自信がない。単にそれだけだ。男と話したのはそれっきりで、試合自身は素っ気無く終わった。距離を取るための前蹴りがダメージになり、自分からリングを降りて上がってこなかったのだった。それで2人と戦えと言う提示・・公開処刑だと思えば、あの3ヶ月前のことがつながる。あの男は、あれ以来試合で見ることはなかった。あれが来週の俺の姿か。ボロ雑巾のように誰にも顧みられない俺を見たら、智哉はどう思うだろうか。あんな惨めに負けたとしたら、俺に欲情しなくなるか。でも、そんなときこそ激しくして欲しい、そう思うと、弘一はがむしゃらに智哉のそれを頬張った。口の中で、若さの迸りから急速な膨張と硬直を見せ、そして急加速的怒張は最早口外に出ようと言う力が強くなり、智哉のまだ生え揃ったばかりの臍毛に接触するくらいに反り立ち、それでもなお力が余っているかのように振動していた。そして、いささか乱暴に弘一のその部分へと突き刺した。弘一がまさに求めていた、熱い猛々しいモノで突かれると、その陰惨な気分が快楽へと転換し、上方は深く濃厚なキスで同じくつながっていた。

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