2017年05月19日

終わりの見えないデスマッチ(8)

裸足なので鉄独特の冷たさが伝わってくる。階段を下りた後、リングまでは一応、毛羽だってはいるが赤いじゅうたんが敷かれている。これは、さすがに裸足だと木のささくれが刺さったりするからなのだろう。しかし薄汚れてところどころがめくりあがったり大きなシミがあったり、決して花道と言う感じではない。弘一はリングに上がると、対角線のコーナーに寄りかかり、時を待った。名前、スペック、そしてオッズを読み上げる。どよめきが起こる。まあ、高オッズだからな。弘一のカラダは透き通るような白さで、服を着ていればガリガリに痩せた真面目な青瓢箪のようだが、脱ぐとカラダから脂肪という脂肪を削ぎ落としたかのような、シャープで筋張ったカラダが浮き出てくる。183cmと長身で、手足も長く、鉄筋でできているかのような鋼鉄の肉体ではあるが、相手のレスラーのようなカラダを見ると、体格差は歴然としていた。写真よりも実物の方が胸の厚みがえげつない。胸囲は1mを超えているのではないか。そして、胸全体にうっすらと、そしてその厚い胸に刻まれた谷間に特に密集して生えている胸毛から臍、そしてその下へと延びていく腹毛が相手をさらに厳つく見せている。最終オッズは1対4.4だった。脚の圧倒的多数が俺の負けを予想し、そして願っている。周りの客も言ってみりゃ敵ばっかってことだ。

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