「お待んたせ。」
悠然と克利はその相手に近づいて行った。
「来いよ、サクッとやろうぜ?」
顎をクイッとしゃくって自転車の置いてある方に行きかける。
「あ、いや、ちょっとしゃべりませんか?そこにドトールあるんで。」
なんだよ、コイツ。ノリ悪いな。そう思いつつも、コーヒー飲んでからヤルのには変わらないわけだからな、と付いていくことにした。
その相手はアイスコーヒーを頼んだので、克利も同じものを頼んだ。15時の店内は結構な人。階段下のちょっと薄暗いスペースが空いていたので、そこに向かい合って腰を下ろした。
克利は席について早々、アイスコーヒーにストローを差して、一気に飲み干した。しかし、相手は気にも留めず、ガムシロップを入れている。
「あの、写真のことなんですけど。」
「はい?」
「あれ、本物ですか?」
明らかにセーターの上から下っ腹が出ているが分かるのに腹筋画像を使っているから、誰だって訝しく思うのは当たり前だが、本人はそんなことを全く意に介していない。
「当たり前だろ?そんなの。脱げば分かるって。」
「そうなんですか?」
相手は無表情で聞き返す。
「なんだ、欲情してんのか?すげえスケベ。俺のテク・・」
コーヒーが無情にも克利の顔面にびっしゃりかかり、驚いた勢いで後ろに椅子ごと倒れた。
それを相手はパシャパシャとシャメを撮っている。
何が起こったのか分からず、呆然としている克利に、
「それ、俺の画像だ、バーカ。次やったら殺すぞ。」
顔を足で思いっきり踏まれ、相手は足早に出て行った。あまりの出来事に、あたりはシーンと静まり返った。
その日のうちに、ゲイアプリで不細工な画像つきの、詐欺画像注意投稿があり、ツイッターで拡散されたのだが、克利は知らないままだ。
というのも、投稿してすぐ、克利はブロックされているのだから。

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