ある日、和明に、明日は来るか聞かれた。来ないと思うけど、何でって答えたよ。明日のことなんて分かんないじゃん?和明は、そうかって悲しげな眼で俺を見た。俺は何だコイツって思って帰った。別に帰ったって会話ゼロ。子どもは寝てるしな。部屋も別々、家庭内別居って奴だよ。
次の日は、何も言わずにいきなり行ってみたんだ。浮気してんのかって思ってね。だって、よくよく考えてみたら予定聞くの変じゃん?入ったら、小さなテーブルの上に缶ビールとケーキが置いてあった。
出会って1周年だって言うんだ。もうそんなになるんだっけ?だから何だって感じだけどね。ケーキは出ていたから、食べて一戦してから帰ったよ。
ある日、帰ろうとしたら、和明が泣いているんだ。変なのって思って、その日は帰った。1週間後に会って、また帰ろうとしたら、また同じように泣いているんだよ。何でか聞いたら、もしもう来なくなったらこれが最後と思うと悲しくてだって。笑っちゃうだろ?杞憂だろ。妻なんて泣くどころかずっと無表情だぜ?
そのうち、和明とばっかり会うようになって、家にも帰らなくなったよ。愛おしくなってさ。離れられなくなったって奴だね。
でも、妻から久しぶりにメールが入って、どうでもいいやって放っておいたら、今度はお袋から電話があってさ。親子で無理心中を図ったって。妻は胃洗浄して睡眠薬を吐き出したから命に別状はなかったけれど、まともな会話ができない。精神がおかしくなったんだ。子供は死んだ。まあ、俺の遺伝子を受け継いだ子供なんて、いない方が良かったかもしれないな。
葬式を済ませて、一段落してから和明のところに行ったよ。俺と一緒にいても不幸になるだけだから、清算しようと思って。でも、遅かったよ。鍵を開けたら、和明がぶら下がっていた。いつからこうしてぶら下がっていたんだろうな。テーブルの上に、メモが残してあった。ただ、「今まで、楽しかった。ありがとう。」って書いてあった。あれで楽しかったんだ、和明にとっては。

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