「ここは?」
「気持ちいい。」
「こことここはどっちが気持ちいい?」
「さっきの方。」
「では、ここを舐めるのとこう指先で触られるのは?」
「うーん。」
「じゃ、これは?」
かれこれ、1週間ほど、こんなことの繰り返し。努の、一番気持ちがいいセックスは如何なるものかという、俺にとっては確かに願ったりかなったりみたいな感じも最初はしていたんだけれど、こんな実験みたいな感じでノートにまとめられてもね。
医者の問診を受けているような感じで、最近は感じる感じないの話から大分外れてきたんじゃないかなって思えてきた。もういいよって言いたいところだけど、誠一郎にもういいなんてことは存在しない。やり遂げるまで続けるだろう。
最初に変だなって思ったのは、名前を誉められたとき。俺の名前は小林圭介っていうんだけれど、とてもいい名前だねって。そんなこと初めて言われたし、お世辞にしてもよく分からなかったから聞いてみたら、左右対称で、真ん中から折り曲げても同じだからって、リアクションに困る理由で。
努はすごくいろいろなことを知っていて、いろいろ相談にも乗ってくれるしアドバイスもしてくれて、そのうちに相談相手から尊敬できる人に、そして恋愛対象に変わっていったんだけれど、どうしてこんな完璧な努がモテないのかなっていうのが分かった。完璧主義者だからだ。相手に求めるわけじゃないからまだいいんだけどさ、完璧に付き合わされるってこんな気分なんだなって思って。
「何、ここ昨日は感じていたけれど、今日は感じないんだね。」
「え?」
「ほら、ヘソから真横の脇腹の、この辺り。」
「うーん。」
そうじゃなくて、考え事をしていたからだよ。その要素も含めて、考えた方がいいんじゃないかななんて言うと、今日はこれこれについて考え事をしててとか言われそうで、永遠に俺のGスポットまで辿り着けないや。まあ、俺のためなんだし。俺のためなんだっけ?努の知的探究心を養っているだけでは?
そもそも、努自身はどこが気持ちいいんだよって感じだよね。俺もした方がいいんかな。ま、つけ入る隙が全然ない。。。
「今日は体の具合は良くない?疲れているとか?」
「え?」
「今日は昨日感じているはずの場所が感じていないから、これはきっと身体の不調ではないかと思うんだよね。例えばストレスとかさ。」
ストレスだとしたらこれじゃないのかな・・。

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