閉塞感がようやく解消された。今はもう、爽やかな気分。重荷が取れたと言うかね。歯車で言えば脱線した感じだけれど、それはそれで、何のしがらみもなくて回る状態。ま、最早、回っていないんだけどさ。
4,5人の、お互い何の関係もなさそうな人たちが、互いにひそめき合っている。俺のことを見ているようで見ていない。それに遠巻きだ。見えるか、俺のこと。見えないだろう。
俺にはよく見えているよ。見えないとでも思っているのか?浅はかだな。そんなに顔を歪めるな。汚いものを見るような目で俺を見るな。少し前まで、お前らと同じ格好をしていたんだからな。
警官か?眩しいぞ、懐中電灯なんかで照らすから。見えるだろ、俺のこと。俺は十分見えているぞ。

フフ、何故にこういうことになったかを教えてあげるよ。もう全てが終わったのだから。どうせ俺が悪いというんだろ?責めるな。俺は既に体が真っ二つなんだぜ?哀れだろ?
でも、もし哀れに思ってくれる奴がいたら、俺の頼みを聞いてくれ。俺のマンションで弔ってやってくれ。後ろポケットに俺のキーホルダーあるだろ?そうそう、お巡りさんよ、俺の下半身は線路の下に転がっているよ。違う違う、50mくらい後ろの方。鍵は3つあるけど、そのうちの黄金色の方。住所分からないか。
免許証のは違うよ。馬淵昇平、顔は原型留めていないけどさ、俺だよ俺、本人だよ。妻と子はいるけれど、俺の家じゃないんだ。あ、そうか、子はもういなかったんだ。そうだな、何見ればいいんだろ。

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