2016年06月05日

僕の彼氏は韓国人(7)

ギチョルは朝が早い。さっさと起きて、手際よく朝食を作る。無駄がない。
ポッキーもどきのペペロを1本、ワイングラスに入れる。
もう、毎朝の儀式でね、両端から食べ合って、最後はキスで終わる、みたいな。別に普通にキスすればいいじゃんね。
ペペロデーの附録にしては大きな茶色いクマのぬいぐるみはテレビの脇に置いた。男二人の部屋なんだけど。
今日はドライブ、海が見たいと言うんで。見てどうするのか不明だが。
何やら歌いだした。韓国語でもないようだけれど、日本語かというとそうでもないような。悦に入っているが、喚いていると言うか、バラード?何?
完全に歌い切ったところで恐る恐る聴いてみた。
「何、日本人のくせに福山雅治知らないのか?有名だぞ。」
え、今の福山っすか?微塵もそんな要素なかったから。もう一度とも思ったけれど、ジャイアンリサイタルみたいなことを車内でされても困るんで。植物があったら枯れているよ。
それに、そもそもクラッシックかけてるのに歌うかね?
駐車場に止める。線からはみ出ているとクレーム。飲酒運転で免停喰らっている奴に言われたくないけど。
雨が強いし寒い。なぜ秋なのに半袖?
「海は気持ちいいね、風が心地よい。」
ギチョルの背後には、どこからか流れ着いた、中が空洞な大木の幹と、結構大きめの魚の死骸が横たわっているだけで、人っ子一人いないが。潮風が強めに吹いていて、結構寒いんだけど。
「テトラポットに登ろう。」
ここ、そもそもビーチではないんじゃないかと思いつつ、二人して登った。近くで見ると、フジツボがぎっしり貼りついていて、登ろうとして手をかけると、ちょっとヌルヌルする。
「ゴキブリ、海ゴキブリ、気持ち悪い。」
俺の手をギチョルが握る。フナムシじゃん。なかなかの小ささ。
何の変哲もない砂浜だけれど、ギチョルには何か懐かしいところでもあるのかな?ずっと海の向こうを見ている。太平洋だから、何もないよ。
「行こうよ。」
波の音しかしない砂浜を、波と平行に歩くギチョル。何だろ、この辺りは得意のカッコつけのところか?皮靴に波が微妙にかかって濡れちゃっているけど。
ギチョルの後を追う。ギチョルは捕まるまいと走る。全速力で。そして叫ぶ。「捕まえてみろよ。」
何だよ、ギチョルはやっぱりまだ子どもだ。

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toppoi01 at 11:08│Comments(0)僕の彼氏は韓国人 

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