携帯が鳴る。予定より5分くらい早い。
「今、駅に着きました。」
「では、東口に降りてもらえますか?」
駅に向かう。急いで行っても自転車で5分くらいかかる。着いてから、電話を入れる。
「マックの前に立っています。」
見ると、皮ジャンをまとった、何というかちょっと浮いた感じで立ち尽くしている男がいて、左手に赤いガラケーを持っている。
近づいていって携帯を鳴らすと、そいつが出た。ああ、やっぱりコイツかと。向こうも一瞬驚いた感じだった。
個人でやってるマッサージ、まあウリ専だ。顔はモザイクがかけられていたんで、こっちは初めて見る。向こうは俺のことを全然知らないわけだから、まあ想像と全然違うことだってよくあることだ。
それにしてもな、まあ90分1万円と安かったってのもあるが、これ、本当に20代か?って感じの顔なんだけど。縦ジワがすげえし、坊主って言っていたけどさ、半分禿げている感じだし。まあ、いいや。カラダ目当てなんだし。マッサージと言いつつ、抜きありマッサージなんておかしいだろ。どんだけ淫乱なんだろって感じ。
向こうも全然しゃべんねーな。さすが個人営業、接客なってねーよ。何か、皮ジャン洗ってんのかよって感じだし、ジーパンもヨレヨレだし。なんかな、1万でも高えわ。
家に着く。離れの6畳間。克利の勉強部屋として使っているのが建前なので、本宅とは渡り廊下でつながっているけれども、トイレすらない。テレビもないからゲームもできない。
まあ、本気で会計士になろうとしていたのは大学にいた期間を含めても3年くらいか?ま、2年留年している時点で親も分からないもんかね?結局大学も辞めて、会計士関係の本だって今じゃ漫画に埋もれて埃まみれ出し。そういや、ずっとあいつは玄関で立ち尽くしていた。入れよ、親に見つかるとまたややこしいから。
「あの、ここで、ですか?」
「そうっすけど。」
「スペースとか、結構厳しい感じしますが。」
「ああ、この布団のとこでいいんで。」
スペースではなく、黒く汚れたこの煎餅布団でやるのかっていうことだ。
「シャワー、大丈夫ですか?」
「ああ、俺、そういうの平気だから。じゃ、始めてよ。」
「では、今から90分コースということで。では、ちょっとご用意をさせていただきます。」
そんな説明はうわの空で、克利はそそくさと服を脱ぎ、ブリーフ1枚になった。服は机の下に押し込んで。
「では、まず仰向けになってください。アロマオイルを塗っていきます。このオイルは肌質を・・。」
「ちょいちょい、ちょい待った、何してんの?オイルはまずいだろ。」
「お客様、アロマオイルコースでは・・?」
「いやいや、察しろよ。それにさ、何、オマエ、脱がないの?」
「脱いだ方がよろしいですか?」
「当たり前だろ。おかしいだろ、俺が脱いでてオマエが着たままなんてよ。」
克利の両足にまたいだ形で座りながら、渋々と脱ぎ、上半身裸になった。写真で見るよりも幾分毛深く、ピンク色の乳首が胸毛からピーンと突き出していた。
そして、肩から腕にかけて、揉みほぐし出した。
「ああ、そんなのいいから、乳首いじって。」
「全身マッサージは順番がありますので。」
「エロい乳首。感じるんだろ、これ。」
克利はマッサージ師の乳首を抓った。
「すみません、止めてください。」
「何言ってんだよ、この売女が。止めろ止めろって、本当は欲しがってるんだろ?すげえ淫乱な乳首。舐めてやろうか?」
マッサージ師は立ち上がった。
「お代はいただきませんので。自分、こういう商売ではありませんから。」
「おい、どこ行くんだ、おい。オマエは買われたんだぞ?俺の玩具だ。自分の立場、分かってないだろ。」
「こういうことはしない方がいいと思います。」
皮ジャンを着て、商売道具の手提げかばんを持ち、ドアを開けた。
「バッカじゃねーの?契約違反だろ。違約金払えよ、おい、売女、おい。」
「何だよアイツ。ブッサイクのくせに調子こきやがってよ。身の程を知れってんだよ。」
克利はブツブツ文句を言い始めた。そして、パソコンを開き、無料動画サイトからお気に入りの動画を再生しだした。編集済みの動画で、腹筋のきれいに割れたあどけなさの残る少年が、正常位で色黒のゴーグルをはめた中年に、横からの固定されたカメラとヤリながらハメ撮りされている、2パターンが同時に映し出された映像が画面いっぱいに映し出された。
「へ、売女。オマエのケツマンガバガバなんだよ。しょうもない。いくらもらって出てんだ、おい、オマエだよ、オマエ。」
克利は、自分の乳首をつまみながら、自分のモノを引っ張り出し、思いっきりガシガシとしごいていた。動画サイトに負けないくらいの声を出して。
マッサージ師が出て行った後のドアは半開きで、隣のおばさんがずっと垣根から覗いて、その醜悪な光景を見ていたことには克利は全く気付いていなかった。隣のおばさんはあまりのことに絶句して、しばらくそこから動けなかった。
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