ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

耐えてみろ!(3)

「ボスッボスッ。」
くっ・・左脇腹に喰らうパンチがじわじわと効いてきた。半身傾けてかばおうとするが、相手はそれを見越して打ってくる。
リング内に固定されたカメラが一台、またオヤジのところにもカメラがあって、時折モニターを見ながら操作をしている。
いくらバキバキに割れた腹筋を誇る慎吾でも、吊るされ、手の自由を失い、ただ延々と耐えるだけ、しかも崩れ落ちることさえ許されない、絶望的な状況。終わりがあるとすれば、相手が疲れ果てて根を上げるか、それとも・・

3日後、慎吾は思い切って電話をしてみた。話だけでも聞いてみようと。
先方は、ゲイ向けの広告に使うんだと、はっきり言った。カラダだけの写真で3万、顔付きだと5万、いずれも現金先払い。条件として、アンダーウェアはこちらで用意したものを使うこと、拘束時間は半日程度であることを告げられた。
ちょっと早口で説明を受けて聞き逃した点があるかもしれないのと、念を押す意味で、写真撮影だけで3万なんですね、って聞き返した。それだけだと、そしてその場で写真はお互いに確認するとの答えが返ってきた。
金に困っているというわけではないんだけれど、写真で3万は悪い話ではない。時間も融通が利くし。

「ボスッボスッ。」
この単調な動き、決して乱れず的確に腹を狙う感じ、決して強くはないが衰えない威力、当たり前だな。俺は練習台だ。相手にダメージを与えられない、ただのサンドバックだ。いや、サンドバッグより弱い、消耗していくサンドバッグ。
俺の呼吸が乱れていること、俺に余裕がなくなってきていること、でも無表情で俺の腹を打ち続ける。自分のペースを崩さずに、腹だけを狙って。

写真撮影は順調に進んだ。というのも、ただ言われたとおりのポーズをして撮るだけだ。似たような写真ばかりを撮って、チェックした。1時間もかからなかったが、それで3万円をもらった。
「本当にいいんですか?」
こっちが逆に申し訳なく思って聞いた。
「契約通りのことだから当たり前だよ。それにしても、兄さん、いいカラダしてるね。」
既にTシャツに着替えていた慎吾だが、まだ裸体を見られている感じがした。
「兄さん、腹筋がすごいね。鍛えてるんだ?」
まあ、慎吾は腹筋が特に自慢で、水泳以外にも毎日腹筋のトレーニングを欠かさなかった。腹筋のブロック一つ一つが岩でも詰め込んだかのように固く、浮き出ていた。
「でさ、広告で動画も取りたいんだわ。腹筋を殴る、ただそれだけなんだけど、8万、、いや10万でどうかな?」
「それは痛がったり苦しがったりする必要があるんですか?」
妙な質問だった。演技する必要があるのかという、何とも腹筋に自信のある慎吾ならではの発言だった。
「自然でいい、それに演技だとどうしてもわざとらしく映って、ロクな作品にならない。自然体にしていればいい。」
その回答は、それはそれで何か噛みしめると言うか、自分に言い聞かせるような感じでゆっくりと出された。


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耐えてみろ!(2)

「ボスッ。」
鈍い音が冷たい室内に響く。
擦り切れたグローブが俺の腹をえぐる。
「バスッ、バスッ。」
リズムよく、グローブは俺の腹を捕える。相手は俺の顔を無機質な目で見て、俺を腹をサンドバックのように、狙い澄まして叩く。
「ボスッ。」
俺は逃れようと腰を引かせるが、鎖で両手を拘束されて吊るされているから、逃げられないし反撃もできない。
ただ、弧を描くように、相手から逃げるだけだ。
だが、相手は少なくともボクシングの経験があるようで、ステップを踏み、リズムよく俺の腹を的確に狙ってくる。
「ボスッ、ボスッ。」
コーナーのロープには、毛の薄く中年太りしたオヤジが、両手をロープに乗せて、薄ら笑いを浮かべながらジッと見ている。
「ボスッ。」
やべぇ、気を抜いたらモロに入った。
慎吾の顔は苦痛で歪む。対照的に、金属質のライトで照らされたオヤジは、軽くうなずいてにやけていた。

10日前、自転車で15分ほどしたところにあるスーパー銭湯に行った。そこは風呂もそこそこ広く、サウナも2種類あるのだが、なぜか日焼けマシンが置いてある。
平日の午後は客も数えるほどしかいない。水曜日の午後は講義もなく、バイトまで時間があるので、週に1回はスーパー銭湯に通ってリラックスを図るのがここ数か月の習慣となっていた。
15分ほど日焼けマシンを使った後、シャワーを浴びてサウナに入った。サウナは薄暗く、特にミストサウナは視界が悪く、近くに来て初めて人がいることに気付くこともしばしばだった。
ミストサウナに入って3分くらい経っただろうか、
「兄さん、いいカラダしてんな。」
と、左手から声をかけられた。慎吾は、ここがゲイのハッテン場になっていることも知っていた。特にサウナがハッテン場としての機能を果たしているようで、ゲイ特有の強い視線を感じることもよくあった。
ただ、慎吾のタイプからは程遠い人ばかりで、今日も声のする方を見ずに、気持ちだけ会釈した。
「兄さん、そのカラダ生かして、仕事してみないかい?」
聞いてもいないのに、こちらの意思とは関係なく向こうはしゃべり続ける。
「何、兄さんのカラダの写真を使って広告作りたいんだわ。3万円払う。どうだ?」
写真で3万?一瞬心が揺れ動いたが、そんなうまい話があるわけはない。ただ、たったそれだけで済むならばという気もあった。
慎吾は水泳で推薦入学していて、寮生活をしていた。ただ、仕送りは授業料と寮費に消えて、残りは自分で稼がなければならなかった。
と言っても、朝も夜も練習で拘束され、疲れ果てた状態でできるアルバイトというのはそんなにあるわけではない。
「いつでもいいんだ、兄さんの都合のいい時でさ。興味持ったら電話くれよ。」
なぜか電話番号の書かれた紙を出して置いていった。サウナに入る前から、知らず知らずのうちに目をつけられていたのだろう。


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僕の彼氏は韓国人(5)

ギチョルはさ、寝るとき細い腕のくせに腕枕しようとするんだよね。俺を抱きたいって感覚らしい。
よく頭を撫でられるよ。ちょっと恥ずかしい。
この前も、階段登ってて疲れたと言ったら、おんぶするって言うんだよ。してもらってけど。俺重いのに、無理しちゃって。
朝さ、布団を干そうと思ったら「布団が吹っ飛んだ。」って言うんだよ。
へ?って思って。フリーズしたよ。今どき誰が言うの、オヤジギャグ。
「鮭が叫んだ。」「鹿が叱った。」「カエルが帰った。」あたりも頻出。
「熊がクマった。」(困った?)「ビンがビビった。」(ンはどうした?)とか無理があるものもあるし。何の脈略もなく、急に言う。
なんだろね。日本語ユーモア集とかに載っているのかな?愛想笑いすらできないし、どう対処していいか分からない。どうしたら正解なのかな?
逆に、若手芸人が先輩芸人に叩かれたりとか突っ込まれたりみたいなのは全然笑わないどころか、しかめっ面するよ。笑いの感覚がちょっと違うみたい。
コーヒーとタバコが好きだね。1日の半分くらいはコーヒーとタバコなんじゃないかってくらい。どっちも軍隊で覚えたんだって。軍隊って暇なのかな?
日本でタバコは高いから止めたらって言っているんだけれど、あの頻度でね。コーヒーは、どっちかというとアメリカン好き。家で飲むときはもう薄い、俺には薄くてコーヒーの味なんかしないくらい、出がらし?みたいなのを好んで飲んでいる。で、暇さえあればトイレ。俺、トイレとタバコで待たされるっての結構多いよ。
ギチョルはアメリカに留学していたって言って、俺の英語が変な発音だって言うんだけどギチョルだって、fの発音が、俺にはpに聴こえる。
「プライト」「プランス」「パイナンス」って、なんか俺には違和感があるけれど、アメリカ人にはちゃんと理解できているのかな?俺の発音ばっか変だ変だと言ってけつかって。
日本に来る直前まで英語の講師をしていたというから、ソウルの教え子たちは皆「プライト」「プランス」「パイナンス」って言っているんだろうね。

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僕の彼氏は韓国人(4)

ギチョルとデパートに出かけた。細身のくせに、ドルチェ&ガッバーナのブランドを好んで着ている。ギチョルは必ず襟のついたシャツを着る。
ネクタイをするときもある。学生なのに。そのネクタイがちょっと派手目で、傾奇者じゃんかって感じの柄。正直恥ずかしい。オンリーワンというか個性を出そうとする。
あと、何かというとポーズをとる。カッコつけだ。別に皆がギチョルを見ているわけでもあるまいし。唖然とする。特に写真。写真写りをすごく気にするし、兎角ポーズを取りたがる。俺としては自然体の写真を撮りたいのに、そういうのは撮らせてくれない。
だから笑顔の写真なんかないし、あってもブレている。わざと撮らせないようにするんだ。で、口を真一文字に結んだ横顔の決めポーズばっかり撮らせようとする。昭和30年代の銀幕スターかよって感じ。
もちろん食べるところも撮らせないね。食べる前の、見合い写真かよと思うような、ガチガチの感じのを撮るしかない。絶対目の前の料理がおいしそうに見えないよ。
何でかっていうのは大体分かる。外に出る前、異常なほどのスタイルチェック。全身見て、顔見て、化粧品塗りたくって、髪の毛弄って、もういつ行くんだろうってくらい入念に自分の姿をチェックする。
で、韓国製の化粧品を使っているのかと思うと、これがまた高いイギリス製のを使っている。女でもこんなに使わないんじゃない?というか、どれが何の効果があるのかさっぱり分からないけれど。
夏のクソ暑いときでも長袖を着る神経も俺には分からない。日焼けをしたくないんだろうね。そりゃ、色が白いわけだよ。アソコは黒いくせに。
油とり紙だけは日本製なんだよね。イギリス製がないのかな?よく知らないけれど。リップもハンドクリームも気が付くと塗っている。また脂紙使ってるし。どっちが女っぽいんだよ。まあ、その甲斐あってか手なんて俺と違ってスベスベのツルツル。それでいて、「俺の方が強い。」とかいうんだから不思議なものだよ。少なくとも、肌は俺の方が強いよ。
カッコつけてばかりいやがって。外で髪をクシャクシャにしてやりたいね。殺されるかな?

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愛しているって言って(7)

夜、新宿で買い物をして、CMでやっていたホラー映画を見た。まあ、CM以上に怖い場面が出て来なくて、途中から半ばウンザリして見ていた。
悟は実はホラーとか苦手なんだなって思ったよ。ポルターガイストが椅子でガラスを割るシーンなんか、こんなに力ある?ってくらい強く握られた。かわいいところもあるものだよ。
悟がイタリアンが食べたいと言う。アルタのポポラマーマで、ニンニクをたっぷり入れたパスタを食べたら、結構いい時間に。終電にはまだまだ間に合うけれどさ、明日もあるし。
会計を済ませた後、エレベータに乗り込もうとするとき、ちょっと暗かったから、後ろにいる悟に急に振り向いて「わっ。」って大きな声を出したんだ。
悟が驚いて、後ろによろけて、階段の方まで行っちゃって落ちそうになったからさ、とっさに悟の腕を掴んだ。まさかそんなに驚くとは思わないからさ。さっきのホラーを引きずっているんだな。
俺も何かにやついちゃって、悟に「なんだよ。」って言われた。
「何でもないよ。」って言いつつ、やっぱりにやけちゃうね。自分でホラー見たいって言ってたのに。
「クラブ行こうよ。」
「え?終電そろそろじゃね?」
「いいじゃん、今日は。」
悟が言うんで、2丁目のクラブに行くことにしたよ。眠くなったら、どこかラブホにでも入ればいいし。
2階に上がると、もうドアの前からガンガン音楽が聞こえてくる。開けると、もうすごい人。たまたま吹き抜けの階段のすぐ脇のテーブルが開いていたので、腰をかけた。とりあえずドリンク、何飲む・・
「踊ろうよ。」
普段は座って静かにドリンク飲んでいる悟が、珍しい。二人で螺旋階段を下りて行った。カラフルなスポットライトが目まぐるしく動き回り、壇上で踊っている男たちとは対照的に、階段下は薄暗く、リズムから微妙にずれたステップで緩やかに、そして人にぶつからない程度の申し訳なさそうな間隔を空けて踊っている。
悟を見ると、別に特段楽しそうでもなく、周囲と同じく、何となく皆が踊っているから合わせて踊ろうかといった調子で風景と一体化している。
悟が上で飲んでいるんだったら壇上に行ったっていいんだけどさ。俺も周りを見渡しながら、でもついついイケメンのいる壇上の方を見てしまうけれど。
後ろから悟がそっと抱きついてきた。手を脇腹のところにあてている。あれか、俺がナンパされるのを阻止しようという魂胆か。別にナンパされたっていいじゃん。
次第に密着度が高くなる。俺の胸辺りに手が伸びる。そして俺の乳首をコリコリ。悟、それはダメだって。
というか、全然止めようとしない。人前でも構わず、執拗に乳首をコリコリされる。
「悟、ダメだって。周りの人が見ているから。」
悟の腕を取るけれど、力が入らない。結構ジロジロ見られているし。
股間に手を伸ばしてきて、俺の曲がったまま固くなったモノを撫でる。・・クラブってどの辺まで許されるんだっけ??あの、この先はトイレとか別のところで・・
皆に見られて、もうどうにでもしてくれって感じ。周りもゲイだし。というか、もうイカせて・・
ガンガン体を突き抜けていくような音楽と反比例して、メルトダウンしていく俺。
サーチライトのような強烈な光が時折俺を照らしては何もなかったかのように去っていく。
トランス状態のようにヨダレを垂らしながら悶える俺とは対照的に、冷静沈着に俺のカラダをまさぐる悟。
悟はおもむろに半パンのチャックを下げて、俺のモノを乱暴に掴んで取り出した。俺のモノは勢いよくのけ反って俺のヘソをえぐり、先から流れ出す潤沢な汁が俺のTシャツの裾を濡らし滴る。
殆ど踊ってもいないのに息が荒い。カラダが異様に熱い。全てを脱いで、生まれたままの状態になってしまいたい。
って、ん?悟、既にサイドテーブルに手をかけて、なんか飲んでいるし。え、終わり?俺は?
周囲の冷たい視線を浴びつつ、柔らかくなったモノを無理矢理しまい込んで、トイレに駆け込んだ。悟のバカ。。
 

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ハサミムシ(5)

克利の日課は2ちゃんねるチェック。今、夢中なのは照信っていうウリ専を叩くこと。以前絡んだマッサージ師が、登録先のマッサージ店とは別の、個人名で照信という名でホームページを作成しているのを発見。
アイツ、マッサージ専門と口では言いつつ、カッチリウリしてんじゃん。ハゲてるくせに。2ちゃんねるに「照信にぞっこんLOVE vol.1」って板を新規に作って、専ら人格批判を繰り広げる。1回しか会ったことないくせに、想像であること、いやないことばっかりの悪口を書き連ねる。
「照信、成人式のときには既に禿げていた。禿げは遺伝でオヤジもジジイも禿げ。」
「照信が金に汚いことはこの業界では超有名。ストップウォッチで細かく時間を図ってちょっとでも出たら延長料金徴収。」
「マッサージ技術がないから、10分くらいですぐに性感マッサージに移行。希望しなくて移行したくせにカッチリ料金はいただき。守銭奴。」
「照信の家は近所でも評判のゴミ屋敷。猫が12匹で避妊手術もせずに毎日やりまくり。照信も獣姦は当然経験済み。ちなみに猫に対しては両刀使い。」
「照信、照という字の由来は先祖代々受け継がれた禿げ遺伝子から。お天道様からソーラーパワーを得るために禿げた選び抜かれたスーパー禿げ。」
「マッサージするときの液は、もちろん自分の股間から流れ出たカウパー液。カウパー液はとどめなくいつでも流れ出ていて照信のパンツはいつもグチョグチョ。」
「高校では照信は禿げが移ると嫌われて、女子から鼻つまみ者にされていた。皮膚病的禿げだが、遺伝」
「河童の血が入っているという噂。水を頭からぶっかけると喜ぶらしい。」
同じIDで丸一日延々と批判を書き込み、レスを上げることに執念を燃やす。ただ、照信の知名度が当たり前だけれど全然ないので、盛り上がっているのは克利だけだった。
執念深さは筋金入りの克利は、twitterからとってきた照信の写真使ってイケメンゲイランキングに勝手に投稿した。まあ、twitterからなかなかの不細工な写真を持ち込んだからか、コメントに
「イケメンの意味が分かっているのか、不細工!。」
「あの、ふざけないでほしいんですが。こういう人がいると迷惑なんです。」
「日本語読めるのか?ここはイケメンであることが条件なんですよ。わかります?早急に削除をお願いします。」
と、批判が寄せられ、2ちゃんねるにも同じような批判コメントが続々と載せられた。
いつしか2ちゃんねるパワーで上位にランクイン。
とうとう擁護する奴も登場し、輝信板は盛り上がっていた。今日は擁護派のコッテリちゃんとバトル。
「照信さんを誹謗中傷するのはどうかと思います。事実ではないし。個人的な怨恨ですか?」
「出たな、コッテリ。擁護する奴は禿げ。」
「あなたも禿げているじゃないですか。人のこと言えます?」
「バーカ、コッテリふざけんな、禿げてんのはオマエだ、ハーゲ。」
「でも、腹もぽっこり膨れてて、・・おいくつですか?中年体型ですね。」
・・え?実は克利もかなりおでこが広くなってきていて、自分でも気にはしていた。ただ、腹?え?俺のことを知ってる奴?まさか、照信自身・・?
これだけ照信のことを批判しているのだから、もちろん照信の書き込むことは想定していた。ただ、克利自身のことを特定されるとは思っていなかった。
特定されれば、電話番号も知っているし、住所だってもしかしたら覚えているかもしれない。ネットに晒されたら、削除されない限り永遠に残ってしまう。
あれだけ毎日のように罵っていた克利だが、それからピタリと書き込みを止めた。
コッテリは照信自身ではなかった。2ちゃんねるに照信のホームページがあるのだが、早い段階から克利が2ちゃんねるに書き込んでいることを特定していた。
別リンクで2ちゃんねるに書いてある内容が事実無根であること、また書き込んでいる人、克利がマッサージなのに性行為を要求した過程が赤裸々に語られていた。
期限を決めて警告したにもかかわらず、批判がエスカレートして第三者がコメントする等拡大の様相を示してきたので、電話番号とメールアドレスから克利のfacebook、twitter、Lineを芋づる式に調べ上げ、そこから顔と体の写真をコピペしホームページに載せた。
それをみて、コッテリは2ちゃんねるに書いたのである。克利が知らないうちに2ちゃんねるには克利板ができ、イケメンランキングに登場するのにそう時間はかからなかった。

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ハサミムシ(4)

コンビニでレジを打つ。水道料金のシートに赤いスタンプを押して、お釣りと一緒に返す。そして、さっき入荷した雑誌の梱包を解いて、並べ始める。
「おい、ハサミムシ、ハサミムシじゃんか、オマエ。久しぶりじゃね?」
「あ、マジで!ハサミムシだ、ハサミムシだ。ウケる。」
ハサミムシ・・中学、高校を通じて俺につけられたあだ名。クラスの男子だけでなく女子も、そして顧問の先生もそう呼んでいた。
簗場とメスゴリラだ。久しぶりに遭った。成人式以来か?簗場は昔から馬鹿面をしていたが、さらに太って馬鹿度合いが増したな。メスゴリラもすげえ迫力。簗場より体重あるんじゃないか?
「何、コンビニで働いてんだ。超ウケる。」
「ハサミムシ、ちょっと禿げたんじゃね?マジか。禿げてんじゃん、コイツ。」
俺はシカトぶっこいていた。
「おい、テメー、何シカトしてんだよ。また、遊ぶか?」
「いえ、いえシカトなんてしてないです。しなければいけない仕事が溜まっているんです。」
遊ぶっていうのは隠語で、要はイジメだ。簗場の顔を見ると、放課後の鬼ごっこを思い出す。
鬼は簗場だけではなく、いつも5,6人いた。逃げるのは俺の他にもいたが、大体、俺は逃げ切ることができなくて、真っ先に捕まった。
捕まると、鬼の言うことを1つ聞かなければならない。プロレス技や柔道の技の実験台だったり、下半身だけ全部脱がされたり、眉毛を半分剃られたり、髪の毛燃やされたり、石食わされたり、まあいろいろだ。ただ、誰が鬼であろうと、それらの大半は簗場の指示によるものだった。
克利はそんなことがいろいろあり過ぎて忘れているのだろうが、ハサミムシの由来は、プールと校舎の間で鬼ごっこをして捕まった時に、壁面と地面との境に数匹のハサミムシがいて、それを喰わされたことからだった。
最初は「便所虫」と言われていたのだけれど、昆虫博士と呼ばれていた秀才からの指摘を受けて、それ以来ハサミムシと呼ばれるようになったのだ。
「久しぶりの再会なんだしよ、なんか奢れよ。」
「え、マジで?奢ってくれんの?」
何言ってんだよ、デブメスゴリラ。
「じゃあ、アッタシ、スムージー飲みたいかも。」
「俺、セブンスターくれや。」
ベトナムから来た留学生のバイトが、レジを打っていいものやら戸惑っている。
「ちっげーよ、2個ずつ。そうそう。払いはアイツだから。」
「バイビー、ハサミムシ。ちゃんと働けよ!」
簗場たちは意外とあっさり帰って行った。克利が簗場たちが車に乗り込むところを見つめている間、ベトナム人留学生は「ハサミムシ」という単語の意味を携帯で調べていた。
「今の、誰にも言うなよ。言ったらクビだかんな。お前なんかすぐクビだ。」
ベトナム人留学生にさっきとは打って変わって威勢よく言い放った。
やられたらやり返す、それが克利の信条だ。店内からセメダインと虫眼鏡を取り出し、コンビニを出て駐車場の脇にある緑色をしたフェンスの前にしゃがみこんだ。蟻の巣を見つけると、そこにおもむろにセメダインを流し込んだ。働きアリの数匹は飲み込まれたが、あとは散り散りに散らばって行った。それを虫眼鏡で追いかけた。太陽光を集中させて、一匹一匹を焼き殺していった。
「逆らうとこうなるのだ。二度と来るな。お前たちの来るところではなーい、立ち去るがよい。」
にやけながら、虫眼鏡で次のターゲットを追いかけていた。
その姿を店長の息子がすぐ側で立って見ていた。ベトナム人留学生からたどたどしくも詳細な報告を、既に聞いていた。しばらくはその行為を見つめていたが、注意せずに放っておいた。
満足げにコンビニに戻ると、事務室に呼ばれ、そこで店長から共限りで解雇ということとスムージー等の未払金の支払について、淡々と説明を受けた。

帰りに蟻の巣を見たら、セメダインは土に吸収されて跡形もなくなり、すぐ側に新たな穴ができていた。それを足で踏み潰し、「カスが!」と大声を出し、駅に向かって走った。
まっしぐらに家に戻り、自分の部屋にこもった。早速、DVDを鑑賞しようと思ったが、いつも置いてあるはずの棚にそれがない。段ボールごとなくなっている。バディもディルドも、すっかりなくなっている。
隣のおばさんが、克利のオナニーを見た翌日、克利の母親に、それとなく言ったのだった。
聞いたとき、母親はもう赤面して声も出なかった。周囲にはいい大学を出て、将来は会計士になるんだと良いことばかり言っていたので、男の裸映像見ながら全裸で騒いでいたなんて醜態を聞かされて・・
部屋に入って隠してあったDVDや雑誌、グッズを全て運びだし、母屋に運び込んだのだ。DVDにつぎ込んだ額は100万円ではきかない。自分の部屋を一生懸命探し、これはもう両親の仕業に違いないことを確信した。
鬼神のような形相で、髪を振り乱し、母屋に入るなり、
「おい、おい、DVDどうした、おい、おい。」
「知りません。」
洗濯物を畳みながら、母親は答えたが、これは明らかに知っている口ぶりであった。
「おい、知ってるな、知ってるな?おい、いくらしてると思ってるんだ、DVD。どこやった、言え、言え。」
「ちょっと、克利、やめなさい、克利!」
克利は、家の中を引っ掻き回すように一心不乱に探し回った。しかし、全然見つかりはしなかった。
半狂乱になり、ウォーと叫びながら探し回った。
隣のおばさんは、ベランダから一部始終を聞いていた。一言も聞き漏らさぬように、細心の注意を払って聞き耳を立てていた。
獣が殺される間際の断末魔のような、号泣が聞こえてきた。間もなく嗚咽に変わった。隣のおばさんは、探し物だったらそのビニール袋の中じゃないかいって、隣の家との境に捨てられた不審物を眺めつつ、未だ断続的に聞こえてくる嗚咽を聞いていた。


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デリバリー(1)

仕事が終わり、帰りがけに買った缶ビールを開けようかと思った矢先にインターホンが鳴った。
「佐川急便です。お届け物に伺いました。」
ああ、再配達頼んでおいたやつか。すっかり忘れていた。
達彦は頭を掻きつつ、不在通知書を手に取った。何だ、21時までにって言ったのに、15分くらい過ぎてる。
まあ、いいや、お互い様だからなと、缶ビールを手に取った。窓からは飛行機が羽田空港へと着陸する様子、その向こうにはレインボーブリッジが見える。
新調仕立ての白いソファに座って、缶ビールを口に付けた。
部屋のチャイムが鳴る。
「お届け物のクール便です。」
ああ、通販で日本酒注文したんだったな。30そこそこの配達員、笑顔が爽やかだ。目が合った。
「今日はここが最後ですか?」
「はい、ここで終わりです。」
いかにも嬉しそうに、白い歯を出して笑う。思わず、
「よかったら、少しどうです?ビールくらい。」
つい、笑顔に惹かれて、口走ってしまった。自分でも言った後で、何言ってんだ、俺と思ったくらい。
「すみません。これから事務所帰らなくてはいけないんで、気持ちだけいただきます。」
うん、まあ、そうだよな。達彦はうつむきながら、自分に言い聞かせた。すると、
「これ、自分の連絡先です。後で良かったら連絡ください。失礼します。」
名刺を渡され、唖然とする達彦を背にして、彼は出て行った。

耕太郎は、車内で一人、若干顔を紅潮させて運転していた。
達彦の家に行くのはこれで4回目だった。また、耕太郎は達彦がゲイであることは知っていた。
9monで近いことが分かり、耕太郎は達彦にメッセージを送ったことがあった。
ただ、耕太郎が風景写真しか載せいていないのを訝ったのか、メッセージが返ってこないばかりかブロックされてしまった。
そこには、達彦のネクタイ姿の顔写真と、均整のとれた、彫刻のような肉体美が2枚掲載されていた。
鼓動の高鳴りが自分でも分かった。ハンドルをしっかり握りしめ、幾分加速して走った。

達彦はというと、この意味をまだ計りかねていた。おそらく相手は俺がゲイだということを知っている!?
ただ、なぜ分かったのだろうか?会った覚えもないし、と、この部屋を見回したが、特段ゲイっぽい要素も感じさせない、無機質な部屋だ。
解せないが、電話番号・・見ると、営業用の携帯番号ではないらしい番号が、名刺の裏に手書きで記載してあった。
恐る恐るかけてみた。缶ビールもすっかり泡がなくなって、当初の冷たさはなくなっていた。
「はい。」
「あの、先ほど酒を配達してもらった、・・。」
「ああ、電話ありがとうございます。」
部屋に入ってきた時の、あの営業の声と同じ、威勢のいい声が返ってきた。
「で、あの・・。」
「自分、もう営業所に帰りまして、これから時間、大丈夫です。」
「あ、あの・・。」
「これからじゃ迷惑ですか?」
畳み掛けるように耕太郎は言った。向こうからかかってきた電話、このチャンスをモノにしなければという焦りがそうさせた。
「これから、じゃ、これからで。」
達彦はただそれだけいうのが精一杯だった。
「じゃ、あと10分くらいで行けると思いますから。」
10分・・か。部屋をざっと見まわしてから、ベランダに出て、タバコを吸った。落ち着こうと思ったが、動悸は全く収まりそうもなかった。


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短かった夏

ある夏の日
「ねえ、翔太。」
布団に入って宙を見つめている翔太に話しかけた。翔太は聞いているようでもあり、無関心なようでもあった。
「去年の沖縄に行ったときのこと、覚えてる?」
俊夫は右手を布団の上に乗せた。おそらく翔太のヘソの上の辺りに。いつも寝るときはこうして腕を翔太のヘソのあたりを触れていた。ただ、いつもと違って掛布団の上から乗せた。
「翔太はさ、全然沖縄行こうとしなくてさ。日に焼けるからって。そんなの、どこに行ったって日に焼けるじゃん。俺が沖縄、沖縄しつこく言うもんだから、渋々行くことにしたんだよね。」
「俺は沖縄が昔から好きだったから、翔太と絶対に行きたくてさ。旅行会社かよって言うくらい、沖縄の良さを説明したよ。でも、もう飛行機に乗る前からすっごく日焼けクリーム塗りたくってさ、俺、びっくりしたよ。空港を出たら日差しが強いからって、羽田空港から塗らなくったっていいじゃんね。飛行機の中も臭くて。」
翔太は相変わらず真上を向いていた。
「あと、そうだ。ハブクラゲ。沖縄のクラゲ。あれがすごい痛いらしいってビビっていて。酢を持って行くかどうかで揉めたよな?酢なんか現地で買えばよかろうもん。」
「でもさ、現地に行ったらネットが張ってあるんだよ。クラゲがビーチに入って来ないようにさ。だったらあの夜中の喧嘩なんだったんだろって大笑いしちゃって。」
遮光カーテンで窓も閉めきっていたが、南向きのマンションであったため、かすかではあるが陽が室内に差してきた。
「日焼けもさ、俺の世代だとガンガンに日焼けして、みんなロン毛でさ。工藤静香だって真っ黒だったんだぜ?あ、工藤静香とか知らないか。キムタクの嫁だよ。」
「だってさ、高田みづえ知らないんでしょ?みづえちゃん。若島津でさえ知らないもんね。いやー、高田みづえ知らないんだーって思ったときはさすがにジェネレーションギャップを感じたよ。」
翔太の口は、ずっと半開きのままだった。左の八重歯がちょっと顔を出していた。
「ギャップって言ったら、やっぱり歌だよな。ほら、沖縄でレンタカー借りたじゃん?ほいで、俺のiPodをかけたらさ、翔太全然知らないんだもん。俺が前の日に「夏」セレクションを作ったのにさ、知らない知らないって。名曲ばかりよ?」
「そうそう、カラオケもさ。歌じゃなくてドリンク。翔太が酒苦手って言うからカルアミルク薦めたら、知らないって言うじゃん。おいしいおいしいって飲んで、飲み過ぎて店出たらすぐに吐いていたけれど。アルコールどれだけ入っているかなんて分からないからな、甘ったるくて。」
俊夫は翔太の手を握り締めた。ひんやりとしていたが、まだ柔らかくて、まるでまだ生きているみたいだった。
翔太の眼は開いていたけれど、瞳孔はすっかり開いてしまって、まるでもう死んでいるみたいだった。
「もっとさ、いろいろ翔太と行きたかったよ。」
敏夫は涙声になって、さらに翔太に語り掛けた。
「もっとさ、いろいろ思い出を作りたかったんだよ。一緒にさ、楽しく暮らしたかったんだよ。」
段ボールが数個置いてあった。翔太が新しく借りたアパートの住所が書いてあった。
「出て行かないでくれ、出て行くなんて言わないでくれよっ!!!」
敏夫は号泣した。その頃、ドアをノックするとともに、チャイムが押された。
「ちょっとここ、開けてもらえますか?すみません、警察ですけれども。」
敏夫はすっと立ち上がった。涙もすっと引いて、何かに押されるかのように歩き出した。
「俺もそろそろ行かなきゃ。長居したよ。」
窓を開け、敏夫は14階のベランダから軽く上を見た。空は巻層雲で薄く覆われていたが、それが却って夏の強烈な日差しを遮っていた。セミの声と共に強い閃光のようなものを感じたが、それも一瞬のことで、すぐに静寂に覆われた。地面は生温かく、蟻が俺を避けるかのように通り過ぎて行った。
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愛しているって言って(6)

ベッドで茂人は悟の寝顔を見ていた。悟は寝息をスースーたてて熟睡している。悟はどちらかというとよく動く。俺がいなければ、ダブルベッドの端から端まで寝返りを打つ。
金髪で一重の色白で・・寝ている顔はかわいいんだけどね、って思ったが、それすらやばいと思ったので目をそらした。おそるおそる見て、熟睡していることを再確認。寝てる、寝てるな。
いつからそうなったのだろうか。付き合い始めた頃は、どちらかというと悟の方が茂人にベタ惚れで、ずっと一緒でずっと腕を組まれ、ずっと見られていた。風呂も一緒、トイレだって、俺が嫌がらなければきっと一緒だっただろう。
やっぱりエッチのときかな。俺らは付き合い始めてからも、エッチはなかなかしなかった。キスで、互いに何か気恥ずかしくなって終わり。いや、童貞じゃなかったよ、もちろん。けれど、純愛に慣れていなかっただけで。だって男同士の「愛」ってどう表現していいか分からないから、手探り。自分たちで、紙粘土でテーマを与えられない何かを作っていくが如く、全てが一からだったから。逆なんだよね。皆、セックスから始まるのが当たり前だったからさ。新鮮で、どれもこれも新しく見えて。視界が急に晴れ渡った、そんな感じがしたよ、あの頃は。
付き合ってから3か月経ったくらいかな。悟とベッドで横になっていたら、俺にしがみついてきたんだ。
「僕とどうしてエッチしないの?」
上目づかいで聞いてきた。
「悟との関係を大切にしたいからさ。」
「それって、エッチすると壊れるの?」
こんなかわいい声してたっけって思ったね。まあ、そんな声も今では懐かしく感じるけれど。
「俺とする?」
悟は、小さくうなずいて、
「シャワーを浴びてくる。」
と、ベッドから一旦出ていった。俺はタバコを吸って、戻ってくるのを待ったよ。悟は腰にバスタオルを巻いた姿で現れた。顔と同じで、大理石のように白く輝いて見えた。
俺、もう我慢できなくて、っていうか、やっぱり壊しちゃいけないからって我慢していたんだ。
もう、一つになったよ。というか、すぐに終わった。俺、早漏だから。。
やっぱり。そういう目で見るよね。悟って、こんな冷たい目をしてたっけ?って目で俺を見つめるんだ。というか、目で俺を責めるんだよ。
だから、エッチすると壊れるって言ったじゃないか。。
悟が、不意に俺のモノの先っちょを狙って、デコピンを思いっきりした。で、不意だったからさ、俺って「痛っ!」って反応じゃなくて、「あん。」って結構高めの声で喘いじゃったんだよね。。
ますます悟の冷たい視線が突き刺さる。顔真っ赤っかだし、モノはギンギンになってるし。
立場が逆転した瞬間だよ。そのときはどうしたか?ずっとデコピンでモノをいたぶられたよ。ずっとね。
悟はネコでも、凶暴で残忍な方のネコだよ。寝てるよな。聞かれたら、きっとどんな目にあわされるか分からないよ。。
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僕の彼氏は韓国人(3)

ギチョルは留学生で、とても勉強熱心。アメリカで英語を身に着けて、日本では経営学の修士課程に入ったんだ。
「健一、『盃を交わす』と言うのはどういうことだ?」
あの、なぜ教科書が「代紋take2」なんだ!?机の前に附箋で「盃を交わす」って書いてある。あの、使わないよ、それ。
ギチョルは喧嘩っ早い。
「いつでも相手になってやるよ。」が口癖だ。俺、彼氏なんだけど。
そもそも、ギチョルは全身色白で彫刻のようなカラダをしているけれど、俺よりも腕は細いし、胸だって俺の方が断然あるんだ。
この前、布団の中で、ギチョルが俺に説教するんだ。観葉植物を枯らせただけで、あんなにいうかね?だって、分かってるなら自分で水をあげればいいだろ?
「なんだ、やる気か?かかって来い。」
なぜそうなるよ?でも、ちょっとギチョルに少し俺が強いことを分からせてやらなきゃと思って、仰向けのギチョルに跨って、顔を殴る振りをしたんだ。
そしたら、俺の腕をとって、足を絡めて腕ひしぎをあっという間にされたよ。
「おい、いつでも相手になるからな。」
苦しむ俺の顔を見て、俺がタップするまで俺の腕を責め上げたよ。
だいたい、ギチョルはまずは論理的に俺を屈服させようとする。で、俺が言うと今度は力ずくだ。
前も、俺がいつも漫画ばっかり読んでいると言うんだ。別に俺は社会人だから、漫画読んだっていいじゃないか。ギチョルの「代紋take2」はどうなんだっていうと、テキストだって澄ました顔で言う。
それで、俺が言うと、今度は「かかって来い。」だ。そんな話ってある?俺が詰め寄って顔を近づけたら、ギチョルは俺の鳩尾を軽く打って、俺を仰向けに倒して、マウント状態になって言うんだ。
「まだやるか?」
韓国人は軍隊経験があるからか、なんか喧嘩慣れしている。顔はシュッとしたイケメンなのに。通信兵って聞いていたのに。。
まあ、ギチョルの挑発には乗らないようにしたんだ。「それでも、男か?」と言われようとも、敵わないし。俺が先に折れることにしたんだ。
そうそう、この前もパスタの味付けのことでグチャグチャいうから、
「韓国人なんだから唐辛子くらいでつべこべ言うな、男らしくないぞ。」
って言ってやったんだ。そしたら、激昂して
「おい、白黒つけてやる、かかって来い。」っていつものようにいうから、急にキスしてやったんだよ。あっちも、戸惑ったみたいでそれっきりだったね。
また、何か言ってきたら、またキス攻撃してやるよ。ギチョルの弱点だ。
 
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僕の彼氏は韓国人(2)

今日はギチョルが日本に来てから1年が経ったという記念日。いや、記念日でもなんでもないんだけどさ、韓国人は何かというと記念日だから。
そんなこといったら、毎日記念日になるんじゃないかって思うだろうけれど、きっと韓国人って毎日が何かしらの記念日なんだろう。それをね、クイズにしたりするからタチが悪い。
この前、「今日は記念日だから、赤ワインを開けよう。」ってギチョルが言うんだよ。
ギチョルは韓国人のくせに酒があんまり強くない。あ、また韓国人のくせにとか言うと超怒るか。色白のギチョルは、ちょっと飲んだだけでもう真っ赤。
陽気になるので、できればずっと飲んでいて欲しいものだけれど、神様はそんなことは許してくれないんだね。すぐ寝ちゃう。
そんなことより、記念日ねぇってカレンダー見たけれど、仏陀生誕・・はまだ先だしな。ギチョルはキリスト教だから、なんか聖者でも生まれた日かな?まあ、とにかく赤ワインを開けたんだ。
「健一、何の記念日か、知ってるか?」
来た。うわっ、知らないや。ノーヒントだし。
「俺たちが一緒に結ばれてから3か月記念だ。」
ん?それ、明日じゃん。
「明日じゃない。一緒にセックスした日を忘れたのか?」
うわっ、直接的に言うんだ。デリカシーとか全然ない。それ、祝うの?別に童貞喪失とかじゃないじゃん。第一、3か月って何とも中途半端な。
そうそう、付き合い始めて家でソーメン食べていた時に、
「健一はどこが感じるんだ?」
って唐突に言うわけよ。恥ずかしくて言えないよ、そんなことって言ったら、
「恥ずかしいって何?どこをどうされると気持ちがいいと言わないと分からないよ。」
って。いや、昼の話題ではないよ。。ギチョルはアメリカに留学していたからか、アメリカナイズされた韓国人。というか、アメリカ人だってもう少し気を使うと思うよ。悪いところばかり見習ったようだ。
彼はセックスの時は全然声を上げない。普通に澄ました顔をしているんだ。
「感じる?」って言っても、「別に。」って。でも、アソコはギンギンになっていて、汁も出てくるから、絶対感じているはずなんだけど。
俺にはいろいろ聞く癖に、自分のことは全然言わない。きっと、男とは感じても声を上げないとかがあるのかもしれない。韓国人の男は本当に男っぽいからね。
俺が感じているのが分かると、ギチョルはすごい責めてくる。集中的に責めてきて、全然止めないよ。おかしくなりそうだから止めてと言っても、全然止めないんだ。
けれど、ギチョルも俺に劣らず感じていることは分かっているよ。すぐにタバコとかトイレとか言って、中断させるからね。
俺は構わずに続けたことがあるよ。ギチョルは腹のあたりが性感帯なんだ。丹念にやっていると、ちょっと触るだけでも感じるようになるらしい。そしたら、「ハジマ、ハジマ!」って韓国語で言われて、俺をひっくり返そうとしたんだ。
もちろん止めなかったよ。いつも俺がされていることをしているだけだから。でも、ギチョルは俺の脇腹を抉って、無理矢理俺をひっぺ剥がしたよ。
ギチョルはイク時がすごいんだ。もう、ハトヤのCMを思い出すよ。ピチピチの大魚を抱いている気分。こんなにもヨガるんだっていうくらい、激しくヨガるんだ。
ギチョルにこんなことを言ったら、たぶんただでは済まないだろうけれど、きっと俺よりも感じているんじゃない?
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愛しているって言って(5)

ホームセンターに観葉植物を買いに行った。悟が緑のある環境がいいっていうからね。俺はデカいのがいいと思っていたんだけれど、悟が多肉植物がいいっていうからさ。
さっきから鈴虫の声が聞こえる。ペットコーナーの方に鈴虫のつがいが売っていた。なんだか落ち着くよ。田舎に帰ったみたいで。
「一つ買わない?」
「いらないよ、気持ち悪い。」
「そう?でも、夏って感じがしない?」
「鳴いているの、虫じゃん。キモい。」
「鈴虫だよ?」
「出てきたら誰が捕まえるの?」
「これだよ?」
って鈴虫の写真があったから見せたら、びっくりして退いていた。
「ビビった?かわいいところあんだね、悟。鈴虫で怖いなんて。」
悟、虫嫌いなんだ。こんなバッタより小さい虫なのに、結構ビビり。

家に帰って、飯を食った。ソーメンとミニトマト。デザートのヨーグルトはいつも何も入れないのに、今日はハチミツをかけて。
悟が観葉植物を寄せ植えにしている間、俺はスラックスにアイロンをかけた。そして、洗濯物を取り込んで畳んでいたら、悟が後ろから抱きついてきたんだ。
悟は俺の耳たぶを甘噛みして、俺の左胸の乳首を探し出してそっとつまんだ。そして、悟に手を引かれてベッドになだれ込んだ。普段はベッドに寝てから始まるのに、積極的。
「シャワー浴びてくるよ。」
「いいよ、シャワーは。」
悟は俺のTシャツを脱がしにかかった。脱がす途中で乳首を吸われる。
「しょっぱい。」
ヨガりながら、帰ったらすぐシャワー浴びるんだったと後悔。
悟はボディタオルで俺の両腕を縛り、ベッドに括り付けた。腋毛見せるのは悟でも恥ずかしい。見ないで、悟・・
悟は俺の乳首をベロベロ舐め始めた。何、ちょっとアクティブな感じ。両手をベッドに縛られているから、芋虫のようにヨガる俺。そして、ジーンズとトランクスを一気にひっぺ剥がし、俺のそそり立つモノが露わになった。
「汁出てるよ。」
言わなくてもいいことを。だって、急に俺の乳首を舐めるから。。
悟が何やら俺のモノにつけ始めた。ローション?ゴムは?
「蜂蜜だよ。」
なんか、恥ずかしいな。それ、舐めるわけか。
淡々と悟はスプーンを使って蜂蜜をモノにかける。
「恥ずかしいな、何か、俺。」
茂人のモノは、早く舐めろと言わんばかりにビクついている。
チクっとした。っていうか、モノに棘?
「痛い、痛い、何かちんぽに刺さってる、痛い、何?」
見ると、カブトムシが俺のモノに!
「あ、何これ、悟、悟君、痛い痛い、取って!」
カブトムシは、腰を振った反動でベッドの下に振り落された。
「何だよ、根性ないな。」
悟はまた、虫かごらしきものから何か取り出した。
「次はこれを試してみようよ。」
「え、何?」
目を凝らしてみると、オスのクワガタだ。
「無理だよ、バカ、無理だから、止めろって。」
「誰がバカだよ。コクワガタだから。」
「いや、コクワの方が痛いって、いや、ちょっと待って、悟、悟さん、ごめん、ごめんって。何でも聞くから、何でも聞くから、悟、悟さん。」
悟はすっかり縮こまった茂人のモノの傍までコクワガタを近づけて、そこで手を止めた。
「何でも聞くか?」
「うんうん。」
「じゃあ、鈴虫の件を謝って。」
「うん、謝る、謝るから、それ、虫かごに入れて。」
「もう、虫の写真とか、俺に近づけたりしないって誓うか?」
「誓う誓う、もうしません。早く、虫かごに。」
「じゃ、これ、捨ててきて。」
悟は、虫かごのカブトムシとクワガタを指さした。
相当虫嫌いなのに、これだけのために買ってきたんだな、かわいい。
茂人はそう心の中で呟いたが、口に出したら絶対クワガタの刑だと思って、すぐに表情を引き締めた。

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ハサミムシ(3)

木曜日はリサイクルの日。ゴミ捨て場に新聞紙の束、発砲トレイ、酒瓶や空き缶が一か所にまとめて捨てられている。
克利は家の側にある収集ボックスから、アルミ缶を取り出し、足でそれを踏み潰した。縦にしてもなかなか潰れないので、まず横に転がして、踏み潰してから端を折り曲げてコンパクトにする。それを何個か見繕って繰り返して、自転車の前かごに入れる。もはや木曜日の習慣ともなっている。
夜中の2時、自転車で家を出る。街灯で照らされているので2時と言ってもそんなに暗くもない。信号機は黄色のまま点滅している。周辺は克利の家の東側が新興住宅街なので、道路もきれいに一直線に舗装されて、歩道も完備されている。終電も終わり、人通りはほとんどない。今度は左に曲がる。西側は古い住宅地で、細い道も多く、道が入り組んでいる。
すると、ボロボロの大きなずた袋を引きずって、灰色の作業着だか何だか原形をとどめていない服を着た、髪の長いホームレスが半ば左足を引きずりながら歩いているのを見つけた。克利は見つけるや否や全力で自転車をこぎ出し、追い抜きざまにさっき踏み潰したアルミ缶を、ホームレスめがけて全部投げつけた。ホームレスは意味不明な言葉を喚き散らした。克利は「ゴミ!社会のゴミ!」と、シーンと静まり返った住宅街の中で怒鳴った。
性格に言うと、ムシャクシャしたときのストレス発散のためであって、習慣ではない。ただ、ムシャクシャすることが水曜日の夜にあるから、半ば習慣めいてしまったのだ。

水曜日は、行きつけのヤリ部屋が安い日だった。いや、25歳以下が500円であって、克利は32歳なので、7歳もオーバーしているのであるが、偽造した大学院の学生証を呈示して、いつも入っているのだった。この日は当然のことながら、客層は若め。克利はこの曜日はわざわざバイトの時間を早めに切り上げて、16時には既にヤリ部屋でスタンバイしているのであった。
水曜日はアンダーウェアの日だが、克利はいつもSPEEDの、赤くて中央に白い斜線の入ったデザインの競パンを履いてきていた。ガリガリの洗濯板のような胸にポッコリとした下腹、競パンは選択肢としてはないはずだが、克利にとってはお気に入りだった。
克利のタイプは、ずばり競パンが似合う奴。水泳体型でビキニ跡があればなおいい。できれば競パン履いた者同士で競パンプレイができればベスト。ロッカースペースとハッテンスペースとの間には喫煙兼休憩スペースがあって、ロッカースペースとは薄いのれんのような布きれで仕切られているのであるが、ロッカーの開ける音がするたびに、のれんを除けて品定めをしていた。
ハッテンスペースは暗くて顔とかチェックできないし。17時には克利を含めて4人。ただ、どいつもこいつも普通体型のオッサンばかりで、克利の目に叶う者はいなかった。ロッカーの開く音がしたので例によって除くと、横顔をちらっと見ただけだが爽やか系のイケメン。携帯を入れるフリをしてロッカールームに行き、明るいところでじっくり堪能。アンダーウェアになってシャワーを浴びに行くまで、しっかりと舐め回すように見た。
で、シャワーから出た直後が要チェック!スッポンポンなわけだから、大事な場所をじっくり吟味。黄色い競パン履いた!これ、俺とヤリたいってサインじゃん。早速中でスタンバイ。中では中肉中背どもがアホ面して立ってやがる。帰れ、アホ。邪魔なだけだ。
来た。すれ違いざま、ケツをペロンって触る。いい弾力。俺の股間もムクムクしてきたぜ。克利は真っ黒く変色して突起した乳首を平手でこする。興奮したときのいつもの癖だ。競パンプレイするんだから、ガラス張りの部屋を押さえておくか。部屋に半身入れた状態で陣取る。5分くらいそうしていたが、ちっとも来ないので、しびれを切らしてロッカールームに戻る。何、帰る用意してんじゃん。
ジーンズを履こうとしていたので、その隙に競パンをずり下ろそうとしたが止められた。脇から出してやれと思って手を入れようとすると拒まれた。
「何、何だよ、オマエは。」
俺の口テク使えばこっちもんだと思って、競パンの膨らみに口を持っていく。ベロを出して舐めようとした。
「お客様、お客様。」
受付からちょっと太めの店員が出てきた。
「迷惑行為は禁止されていますので。」
その間にすばやくジーンズと履いて白いシャツを羽織り、バッグを手にして逃げるように出ていった。
「はぁ?ハッテン場でハッテン行為して何が悪いの?」
「迷惑行為ですので。」
「セックスが迷惑なわけねーじゃん。ここってそういうとこだろ。教育受けたか?頭おかしいんじゃねーの、オマエ。」
「店内のルールに従えないのでしたら、退場してください。」
「オマエだろ、それ。病気か?病気だよ、オマエ。病院行けよ。いい病院あるよ。」
「退場してください。」
太めの店員は、顔を紅潮させて、ゆっくりと大きめの声を出した。
「当たり前だろ。誰が来るか、こんな店。臭えしよ、掃除してないだろ。勉強しろ。死ね。」
悪態をつきながら、克利はこの店を出た。
「バカが、ふざけんじゃねーよ。」
エレベーターの中でも帰り道も、ずっと悪態をつき続けていた。すれ違う人は皆怪訝な顔をして見つめ、誰一人として意味を理解する人はいなかった。電車の中でも、駅を降りても、家に帰ってからも。
もちろん、そのことは2ちゃんねるのハッテン掲示板に書き込んだが、早速袋叩き状態になり、パソコンに対してさえも悪態をついていた。

ホームレスのオヤジはまだ喚いていた。ゴミにゴミをぶつけるのは痛快だな。ま、俺のぶつけたのは有用なゴミで、ぶつけられたほうが無用のゴミだがな。
向こうから自転車が来た。警官か。通り過ぎようとしたら、遮られて止められた。
「お急ぎのところすみません、ちょっとよろしいですか?」
「悪いが、急いでいるんで。」
「自転車の確認をさせてください。」
「俺のだよ。防犯登録してあるじゃん。」
「身分証明書の提示をお願いいたします。」
「持ってないし。」
「これからどちらへ?」
「家だよ、決まってるだろ?」
「お仕事の帰りですか?」
警官が集まってきた。逃げるか。しかし、自転車のハンドルが掴まれている。
「すみませんが、こっちは急いでいるんで。」
「うん、すぐ済むから。防犯登録の確認はできましたんで。お仕事はどういったことをされてます?」
「おい、頭悪いだろ、オマエ、学校出ているか?急いでいるって市民が言っているだろ。拘束する権利があるんですか?何条の何項に書いてありますか?」
「うんうん、で、お名前から教えてもらえますか?」
「警官は国家の犬ー、犬に言葉は通じなーい、よってしゃべることなーし、帰れバカ。最も頭悪いオマエは、まず帰れ。」
警官に悪態をずっとついていた。
「オマエら警官の仕事はゴミ掃除だ、社会のゴミを掃除することだ。犬が。俺は法によって守られているんだ。弁護士呼べよ。オマエはバカだから話にならない。」
ゴミ、今掃除してんだけどな。応援で駆け付けた警官は、心の中でそう呟いた。

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ハサミムシ(2)

携帯が鳴る。予定より5分くらい早い。
「今、駅に着きました。」
「では、東口に降りてもらえますか?」
駅に向かう。急いで行っても自転車で5分くらいかかる。着いてから、電話を入れる。
「マックの前に立っています。」
見ると、皮ジャンをまとった、何というかちょっと浮いた感じで立ち尽くしている男がいて、左手に赤いガラケーを持っている。
近づいていって携帯を鳴らすと、そいつが出た。ああ、やっぱりコイツかと。向こうも一瞬驚いた感じだった。
個人でやってるマッサージ、まあウリ専だ。顔はモザイクがかけられていたんで、こっちは初めて見る。向こうは俺のことを全然知らないわけだから、まあ想像と全然違うことだってよくあることだ。
それにしてもな、まあ90分1万円と安かったってのもあるが、これ、本当に20代か?って感じの顔なんだけど。縦ジワがすげえし、坊主って言っていたけどさ、半分禿げている感じだし。まあ、いいや。カラダ目当てなんだし。マッサージと言いつつ、抜きありマッサージなんておかしいだろ。どんだけ淫乱なんだろって感じ。
向こうも全然しゃべんねーな。さすが個人営業、接客なってねーよ。何か、皮ジャン洗ってんのかよって感じだし、ジーパンもヨレヨレだし。なんかな、1万でも高えわ。
家に着く。離れの6畳間。克利の勉強部屋として使っているのが建前なので、本宅とは渡り廊下でつながっているけれども、トイレすらない。テレビもないからゲームもできない。
まあ、本気で会計士になろうとしていたのは大学にいた期間を含めても3年くらいか?ま、2年留年している時点で親も分からないもんかね?結局大学も辞めて、会計士関係の本だって今じゃ漫画に埋もれて埃まみれ出し。そういや、ずっとあいつは玄関で立ち尽くしていた。入れよ、親に見つかるとまたややこしいから。
「あの、ここで、ですか?」
「そうっすけど。」
「スペースとか、結構厳しい感じしますが。」
「ああ、この布団のとこでいいんで。」
スペースではなく、黒く汚れたこの煎餅布団でやるのかっていうことだ。
「シャワー、大丈夫ですか?」
「ああ、俺、そういうの平気だから。じゃ、始めてよ。」
「では、今から90分コースということで。では、ちょっとご用意をさせていただきます。」
そんな説明はうわの空で、克利はそそくさと服を脱ぎ、ブリーフ1枚になった。服は机の下に押し込んで。
「では、まず仰向けになってください。アロマオイルを塗っていきます。このオイルは肌質を・・。」
「ちょいちょい、ちょい待った、何してんの?オイルはまずいだろ。」
「お客様、アロマオイルコースでは・・?」
「いやいや、察しろよ。それにさ、何、オマエ、脱がないの?」
「脱いだ方がよろしいですか?」
「当たり前だろ。おかしいだろ、俺が脱いでてオマエが着たままなんてよ。」
克利の両足にまたいだ形で座りながら、渋々と脱ぎ、上半身裸になった。写真で見るよりも幾分毛深く、ピンク色の乳首が胸毛からピーンと突き出していた。
そして、肩から腕にかけて、揉みほぐし出した。
「ああ、そんなのいいから、乳首いじって。」
「全身マッサージは順番がありますので。」
「エロい乳首。感じるんだろ、これ。」
克利はマッサージ師の乳首を抓った。
「すみません、止めてください。」
「何言ってんだよ、この売女が。止めろ止めろって、本当は欲しがってるんだろ?すげえ淫乱な乳首。舐めてやろうか?」
マッサージ師は立ち上がった。
「お代はいただきませんので。自分、こういう商売ではありませんから。」
「おい、どこ行くんだ、おい。オマエは買われたんだぞ?俺の玩具だ。自分の立場、分かってないだろ。」
「こういうことはしない方がいいと思います。」
皮ジャンを着て、商売道具の手提げかばんを持ち、ドアを開けた。
「バッカじゃねーの?契約違反だろ。違約金払えよ、おい、売女、おい。」
「何だよアイツ。ブッサイクのくせに調子こきやがってよ。身の程を知れってんだよ。」
克利はブツブツ文句を言い始めた。そして、パソコンを開き、無料動画サイトからお気に入りの動画を再生しだした。編集済みの動画で、腹筋のきれいに割れたあどけなさの残る少年が、正常位で色黒のゴーグルをはめた中年に、横からの固定されたカメラとヤリながらハメ撮りされている、2パターンが同時に映し出された映像が画面いっぱいに映し出された。
「へ、売女。オマエのケツマンガバガバなんだよ。しょうもない。いくらもらって出てんだ、おい、オマエだよ、オマエ。」
克利は、自分の乳首をつまみながら、自分のモノを引っ張り出し、思いっきりガシガシとしごいていた。動画サイトに負けないくらいの声を出して。
マッサージ師が出て行った後のドアは半開きで、隣のおばさんがずっと垣根から覗いて、その醜悪な光景を見ていたことには克利は全く気付いていなかった。隣のおばさんはあまりのことに絶句して、しばらくそこから動けなかった。
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愛しているって言って(4)

夜22時、近所の公園で、いつものように、悟はベンチでDSに夢中、その間、茂人は日課である懸垂をする。
最初のうちは20回、腕立てを50回、スクワットを30回、と繰り返すが、懸垂だけは2回目、3回目とどんどん回数が落ちていく。4回目には7回がやっと。
と、筋トレをしている間、悟は素知らぬ顔でDSをしている。果たして悟が筋トレに付き合っているのか、それともDSに俺が付き合っているのか。
汗でベトベトになったから、そろそろ帰りたいんだけどね。というか、DS、家でもどこでもできるじゃん。
悟の横に腰かけて5分くらい経って、ようやくDSを閉じた。
「懸垂は20回しかできないの?」
「どうだろ。もう少しできると思うけど。」
「30回は?」
「ちょっと微妙かな。」
ま、調子いい時は30回できるけど。
「ふーん。」
その日は、まっすぐ家に帰った。

2日後、夜22時半、近所の公園で。
今日は悟にもらったグレーのタンクトップを着て。折角逆三角形のカラダしているんだから、もったいないって。俺は、肩日焼けしたくないのと、腋毛が濃いから実はタンクトップ苦手なんだけれど、夜人気のないところなら。まあ、愛する悟からもらったものだし、見せるのは悟だけだし。
いつもの藤棚の前に座る。
「懸垂30回、挑戦する?」
「え、今日?30回ねぇ。微妙かな。」
「んー、じゃあ、サービスで25回、25回できるかできないかで、帰りのマックを賭けよう。」
ん、なんか悟は機嫌がいいみたい。もらったタンクトップ、早速着てきたからだな。
「じゃ、やるから数えて。」
一番高い鉄棒に茂人はぶら下がった。肩幅よりこぶし2つ分広めに握る。その方が筋力アップにつながるから。
普通の人より多めの腋毛が外灯に照らされて光り輝く。タンクトップも上方に引っ張られて、ヘソと、そこから直下に伸びたヘソ毛、そして深く刻まれた腹筋が現れた。
普段ほぼ放置状態だから、いざ見られていると意識すると、ちょっと緊張する。手が汗ばむ。
「顎が鉄棒の上にいったら1カウントだから。」
・・なんか、あんまり興味なさそう。自分から言い出したくせに。
「じゃあ、始めるよ。1,・・2,・・」
出だしは好調で、顎を鉄棒の上まで上げる必要があるので、顔は終始上向き。ちらっと悟の方を見ると、こっち全然見てなくて、バッグごそごそしてるし。
まあ、いいや。でも、後で見てなかったからノーカウントとか言わないかな?
「7,・・8,・・,9,・・」
悟がカウントしだした。何かチェックでもしているんだろうか。近づいてきたし。
「10,・・11,・・」
「あっ!!」
胸にビリってきた。見ると、悟がディルドの形状をした電気あんま器を手にしている。
「んんー!!!」
悟が俺の左の乳首の当たりに電気あんま器を当てる。
「んー、卑怯だぞ、悟。」
「過少申告したろ。何、嘘ついてんだ?」
俺の腹に当たるか当たらないかの距離で、悟は立ち止まった。
「あ、ダメ、そこはぁぁぁ・・!」
茂人の股間に電気あんま器を当てると、鉄棒から手を放すまで2秒もかからなかった。砂場で転げ回り、
「やめろ、やめて。」
と懇願する茂人の声に一切耳を貸さず、電気あんま器を股間に当て続けた。
「マック、おごりな。」
「分かった、分かったからやめてぇぇ。」
柴犬を連れた中年のおばさんが何事もなかったかのように、足早に通り過ぎた。ただ、柴犬だけが何度も振り返り、こっちを見ていた。


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僕の彼氏は韓国人(1)

「もう、怒ったよ。許さないよ。」
ギチョルはちょっとしたことで怒る。とても短気。こっちは急に怒るので、対処がなかなかできない。
「何、どうしたの?」
「手を自分の胸に当てて聞いてみろよ。」
頬を膨らませてギチョルが言う。
最近お気に入りのフレーズみたいで、今日もそれ3回は聞いたんだけれど。胸に当てたくらいで分かったら聞かないじゃん。
「ヒント、いつしか。」
ヒントが分からん。ヒント、間違ってるんじゃないかと思うが、機嫌悪い時に間違いを指摘すると怒るんだよね。
「ごめんごめん、悪かったから、謝るから。」
「本当か?もうしないか?」
「で、怒っている理由を教えてよ。」
「ん?知らないで謝罪するのはどういうことだ?貴様、それでも軍人か?」
それもお気に入りのフレーズみたいで。貴様とか俺以外に使わないでね。。どこからそんな言葉を仕入れてくるんだか。
「さっき、勝手に金を払ったろ。」
「トイレに行っている間にね。」
「俺が払うと言っていたのに、なぜ払う。」
「だから、トイレ行っていたから・・。」
「もう、怒ったよ。全然人の話を聞いていないよ。」
はぁ、全然怒る理由が分からない。韓国人留学生のギチョルと付き合いだして2か月。韓国人って日本人と変わらなそうに見えて、結構違うんだよね。
出会ったときは、向こうからのアタックがすごくて。ヤリ部屋だったんだけど、ずっとキスを交わして。延々と寝ないで。8時間よ!?何回もお互いイッて、愛している、ハンサムと言われてずっと抱き合ったまままたキスして。
いや、俺もヤリ部屋でタバコ吸っているのを見かけたとき、超タイプで、横顔が超カッコよかったから。シェアハウスに住んでいて不便だっていうから、だったら俺のうちに住みなよってことで、次の日曜日から同棲スタート。いや、早かったんだよね。お互いのこと、よく知らないうちからの交際スタートだから。
もう喧嘩が絶えないよ。すぐギチョルは手を出してくる。急に胸元とか掴んでくるんだよ。

さっきもさ、ああ、本当にさっきだよ。何食べるかって聞くから韓国料理食べようよってことになって。
「ビビン冷麺にしようよ。」
って言ったら、俺は辛いの嫌いだって。韓国人のくせに辛いの苦手っておかしいよって言ったらさ、いきなり胸倉掴むんだ。
「貴様、韓国人のくせにって何だよ。」
って。え、俺の言ったこと、おかしかった?
「韓国人だからいつもキムチ食べると思ったら大間違いだぞ。」
え、いつもキムチ食べてるじゃん。
「それはあるから食べているんだ。」
あれば食べるんじゃない?
「貴様はああ言えばこう言う。悪い癖だ。今日は許してやるが、次は許さないぞ。」って。意味分からなくない?
でも、俺はギチョルを怒らすのも好きなんだ。怒っているところがまたカッコよくてね。俺がにやけてるから、きっと余計にいきり立ってるのかもしれないけれど。
俺はギチョルに怒られても全然怖くないんだ。何か、愛情の一手段なんじゃない?それが最近分かってきた。言うと怒り出すだろうから、まだ言わないけどね。けど、「貴様」は止めてほしいな。


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ハサミムシ(1)

「克利、克利!」
ウッセー。シカト。
「克利!いるんでしょ?今日、バイトは?」
「ウルセーな。休みだよ。」
「嘘でしょ?どうせ辞めたんでしょ?」
「・・・。」
「お母さんね、心配だから言ってるの。もう何回目なの?あのね、お父さんだって退職して、うちにあなたを養うお金なんてないんだから、真面目に稼いでくれないと困るじゃないの。あなた、もう32になったのよ。」
また、いつもの小言だ。聞かなくても言いたいことは分かっているし、こっちが聞いていようが聞いていまいが、どうせ最後まで話すんだろ?
高校受験にいくらかかって、予備校にいくら、大学にいくら、会計士の予備校にいくら、まあこっちにしてみりゃだから何って感じだが。返せって?投資だろ、それ。勝手に投資しておいて、損したから返せって?バカな。
「同級生の小永井君、今度帝京大学の講師ですって。ゆくゆくは教授かしら。お母さんが言ってたわよ。うちもたまにはそんなことを言わせてちょうだいよ。」
講師くらい誰でもなれるだろ。マリオカートやりながら、克利はつぶやいた。大体、俺だって会計士に受かってればこんな生活してないけどね。会計士になったら、一流会社の顧問にでもなって、適当に言われた通りの監査をしてさ、固定給をもらって、まあ安泰な生活だよ。面倒なことは会計士補にやらせてさ、俺は最後に判だけ押せばいいんだから。
「あんたさぁ、これからどうしていくの?アルバイトの給料なんてたかが知れているじゃない。小永井君、あんた馬鹿にしていたけれど、抜かれちゃったじゃないの。悔しくないの?もう会計士なんていいから、ちょっとはまともな職について・・ちょっとどこ行くの、克利、克利!」
ウッセー、マジで。耳にタコ。ミニにタコ。自分の腹をポンポンと叩く。最近は相撲取りのように、腹をたたくのが癖になった。体重は人並みだけれど、急に腹がポコッと出てきた。スリムだったんだけど、というか、腹を除けば今もスリム体型なんだけどな。まあ、いいや。背脂鬼盛ラーメンでも喰ってから行くか。
腹ごなしをして、食欲を満たした後は性欲だな。木曜日は中野のヤリ部屋でデカマラデーのイベントがある。克利はモノには自信がある。ウケだから使いはしないのだが。デカマラパスポートを提示すると700円割引になる。今日も勝負競パンを装着して、中央線に乗り込んだ。
電車は乗ったけれど、しばらく動かなかった。
「人身事故の影響で、上下線とも当面運転を見合わせております。地下鉄東西線、新宿線、京王線で振替輸送をしておりますので・・」
何やってんだよ、克利はホームに唾を吐き、迂回して中野に向かった。
ヤリ部屋は、居酒屋が立ち並ぶ通りを突っ切って、角の薄汚れたビルを上がった4階にあった。
デカマラパスポートを提示して、1000円札を出した。
「お客様、申し訳ありませんが、当店は短髪イカニモ系をコンセプトにしてまして、」
「はあ、知ってますが、これ。」
パスポートを受付に向かって見せる。
「お客様のような長髪は、ちょっとこの店のコンセプトに合いませんので、申し訳ありませんが。」
克利は激昂して、どもりつつ言った。
「オオオ、オマエさ、こここ、このパスポートさ、誰、だ、誰が発行したんだよ。ん?」
「申し訳ございません。」
「いや、入れるんだよ。オマエ、俺はさ、入る権利があるんだよ。バカだろ。大学出たのか?」
「お客様、」
「入れろよ、じゃなければ、オマエみたいなバカはいいから責任者呼んで来いよ。オマエが判断する話じゃないんだよ。」
デカマラパスポートには、所持者はデカマラデーに限り割引になるとしか書いていなかった。また、有効期限の半年もとっくに経過していた。
他の客もいつの間にか入ってきたが、受付の手前で携帯をいじっている。
「おい、いいからカギ渡せよ。バカと話してられねーんだよ。権利を行使します。全宇宙で共通なんです。カギ渡さないということは、どこのロッカーにも入れて構わない、そう解釈していいですか?」
受付から若い男が出てきた。克利の首元を掴むと、強い力で入口の方まで連れて行った。
「すみません、不当な行為です。誰か、警察呼んでもらえますか?ああ、痛い痛い、刑法上の罪になりますよ?いいんですか?バカだからそんなことも分からないんですか?」
ドアから突き飛ばすように出され、一気に閉められた。
「つぶれろ、バーカ、死ね。」
そう、ドアの向こうに向かって大声で騒ぎ、階段をまたブツブツ言いながら下りて行った。
この様子は動画サイトに投稿され、ゲイの間ではそこそこの有名人へと成り上がった。もちろん本人はそんなことは知る由もないことで、2ちゃんねるにそこのヤリ部屋の悪口をネチネチと書き込むのが当面の日課となった。



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優先順位(1)

地下鉄の車内で、携帯が鳴った。妻からだ。
「夕食、どうしますか?」
帰りが不定なので、夕食の時間を確かめる意味で聞いてくる。だいたい夜7時くらいに定期的に来る。
「遅くなるから要らない。」
22時に子どもを寝せるので、帰宅がそれ以降になるときは外で済ますことにしている。そもそも、19時には夕食は大体できているので、ただそれが翌日の弁当に回るだけのことだが。
仕事かどうか、最近は聞いてこない。もちろん、聞かれれば仕事か飲みかと使い分けて答えるのだけれど、白々しい。俺がゲイだと、妻にはバレているから。
ここ半年ほど前から敬語を使われるようになった。子どもでつながっている仮面夫婦。子どもがいなければ、きっと家にも帰らないだろう。
車内が大分混みあってきた。この電車は新宿を通って郊外に抜けるので、新宿に近づくにつれてどんどん乗車してくる。
また、メールが来た。セフレからだ。
「今日、空いてる?」
昇平には、定期的に連絡を取ってセックスをする、セフレが3,4人いる。セフレと呼べなくても、言えばセックスできるようなのも含めれば両手に余るくらい。
セフレの中でも優先順位があって、一位の奴にはアパートを貸し与えている。従順で可愛い奴でね。今、メールがあったのはギリギリセフレって奴かな。一番メールがくるけれど、本当にただカラダだけって感じで、最近はちょっと飽きてきたかなって思っていて会っていない。
名前もどうせ行き当たりばったりで覚えてられないから、地名で呼んでいる。西荻窪ユルケツとか、石神井寸止めとか。携帯はそれで登録してある。さっきの奴は大森海岸サセコ。ま、周りに見られたくない名前だわな。

何でばれたかは、俺の帰りの遅いのを不審に思った妻が興信所に頼んだから。携帯とかパソコンを見られていたかもしれないし、そのうちばれるなとは思っていたけどさ。興信所って奴はすごいね。写真でしっかり男同士ラブホテル入るところと出るところ、日時までちゃんと入れて撮るんだから。
お袋から写真突きつけられて、もう返す言葉がなかった。泣いて、頼むから、後生だから二度としないって誓ってくれって言われた。お袋がね。妻からは何一つ言われていない。離婚どうこうより話もしない。汚いものでも見るかのように嫌悪の表情を浮かべて、ただ淡々と日常を送っている。
俺のことを変態かなんかだと思っているのかな?汚らわしいって目をしている。元々親の紹介で出会ったんで、見合いっていえばそんなんだし、愛情があったかっていえば、普通かなってくらいの愛情しかなかったし。ばれたらばれたで、その方が気が楽かも。

今日は西荻のユルケツとでもやるかな。メールを入れる。高円寺の奴にも聞いて、速くレスがあった方とするか。男って皆俺と同じで、貞操ってものがない。欠落している。まあ、入れるか入れられるかの違いはあるけどさ。
高円寺の奴からメールが来たので、新宿に引き返すことにした。あっちも妻子持ちだから、ラブホで待ち合わせ。向こうがよく使っているラブホはちょっと新宿駅から5分ほど歩いたところにある。おそらく大久保とかから歩いた方が近いのだろうが、教えられた道が新宿からだったので、忠実にその道を辿る。
そろそろ着くかなって頃に、メール。
「すみません。子どもが熱出しちゃったみたいなんで、またの機会にしましょう。」
子どもの熱の方が優先、か。使えねーな。家族の絆の強さ、セクフレのつながりの弱さというものを、改めて感じた。ただ、代わりはいくらでもいるから、と思うと、一抹の切なさもすぐに消え去った。


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愛しているって言って(3)

悟が何やら魚をさばいている。アジ?合羽橋で買った魚包丁を使って、器用とは言えない手つきで、三枚に下ろす。インターネットでやり方を見ながらね。
マグロはサクで買って、切っている。そんなに刺身好きだっけ?普段は生臭いからってあんまり食べないのに。
まあ、またいつもの気まぐれなんだろうなと思いつつ、ソファで古本屋で買った単行本を読んでいる。
手を念入りに石鹸で洗っているよ。予想外に生臭くて、臭いが取れないんだろうな。悟は爪が長いから、小骨取ったりするのはいいかもしれないけれど、その後の臭い取りが大変だろうな。
さっきも手伝おうかと聞いてみたけれど、キッって睨まれたから、放っておくことにした。大体、ダイエーで刺身の盛り合わせくらい売ってそうなものだけど。
「茂人、茂人?」
お、切り終ったかな?
「服脱いで。」
洗濯かごを渡される。え、なぜに?
「アンダーも。」
全裸になった。
「シャワー浴びてきて。」
どっちかというと、魚臭い悟が浴びるべきじゃないかと思ったが、また睨まれるといけないので、浴びてきた。
「ちゃんと洗った?」
「水で流しただけだけど?」
「この石鹸で洗って。」
そんな臭いかなと、ちょっと訝ったが、まあ、またシャワーを浴びて戻ってくる。
「アンダー履かなくていいから、そのまま。」
テーブルをどけて、ブルーシートを敷きだした。
「そこに仰向けに寝て、舟になって。」
え?
「舟。足首を手で持って、舟になるの。」
「こ、こうかな?」
言われた通りの格好をした。
悟は、俺の股間の辺りに大根の千切りとワカメを敷きだした。そして、異様な数の食用菊と蘭の花でヘソのあたりまで散りばめて、氷を・・
「あー、冷たい、冷たいよ。」
「おい。」
「氷は無理が・・。」
「舟はしゃべるんだっけ?」
悟が俺を睨むから、俺は黙って舟の格好をし続けた。氷が解けてブルーシートに流れていく。
「水、こぼれてるよ。」
「それは、仕方がないんじゃ・・。」
「舟!しゃべるっけ?」
悟が頭上にこぶしを振りかざし、殴るポーズをする。また、俺は舟に戻る。体をちょっとくねらせて、・・余計に水がこぼれるし、ワカメがちょっと落ちた。悟が横腹を殴る。
「あっ!」
「何?」
「氷が俺のチンポに・・。」
「舟!」
何だよ、何って聞くから・・茂人はまた舟の格好をした。悟は2,3秒、茂人に睨みを利かせた後、刺身を敷き出した。
三枚におろした味を楊枝で・・俺と同じ舟の格好にして、置いた。なんか、身がかなりついているけど。その中に、小さな瀬戸物のアヒルとカエルを置いた。
ヘソにわさびを載せて、刺身を散りばめて、・・完成なのかな?うーん、でも、女体盛りって、こんな舟の格好してないよな。。
悟は、ご飯を自分の分だけよそって、食べ始めた。
「俺も・・。」
「船は食べない。」
「ああぅ。」
悟が箸で茂人の左乳首をつまんだ。豆でも掴むかのようにつまんだり、箸の先で乳首をつついたり。
「ああ、あーっ。」
茂人の黒くて短いものがグングンと大きさを増し、ヘソにびったり引っ付く。
「痛い痛い、何、何?」
ヘソに乗せてあったわさびが氷と一緒になって溶けて、茂人の黒く膨張した亀頭を黄緑色に濡らした。
「もう、うっさい、舟!!!」
悟はヘソに残っていたわさびを指にとって亀頭に塗りたくった。
「あーっっっ熱い、熱い。」
茂人は硬直して叫んでいた。
「出航のサイレンみたい。」
悟はひどくご満悦。
「ごちそうさま。」
手を合わせるのはいいんだけれど、刺身、大分残っている。
「あと、食べていいから。」
「俺も、裸体盛がいいな・・。」
悟が思いっきりにらんで、冷ややかに言った。
「舟の分際で、100年早いよ。」
100年後でもいいから、裸体盛食べさせて・・悟の後姿を見ながら、素っ裸のまま呟いた。

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