ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

夜明け前(3)

そんなことが2週間くらい続き、さすがに幸子が声をかけた。
「まだ、引きずってんの?」
明は無言で頷いた。
「もう、忘れなさいよ。あんな男だったらいくらでもいるわよ。」
「いないよ。」
溜息をつき、2杯目の生ビールを追加で頼んだ。
「あんたさ、まだ若いんだから、何とでもなるわよ。」
「もういいんだ。」
「じゃあさ、あんた、ちょっとここで働いてみなさいよ。」
明は顔を上げて、幸子を見つめた。どこで買ってきたのか、色黒のカラダに不釣り合いなチャイナドレスで紫のアイシャドーと紫の口紅、そこから発せられる言葉に明は息を呑んだ。
「別に好きな時間でいいから。そうやってグジグジグジグジと飲んでいるよりかわさ、気が少しは晴れるわよ。」
「お願いします。」
明は反射的に答えた。きっとカラダが渇望していたのかもしれなかった。声をかけてくれる人を。自分を理解してくれなくてもいいから、癒してくれる人を。
仕事帰り、明は早速「幸」を訪ねた。
「あら、来たのね。」
幸子は明らかにサイズがあっていないチャイナドレスに着替えているところだった。
「よろしくお願いします。」
明は帽子を取って、深々と頭を下げた。
「あんたも着る?」
幸子は紫のスパンコールの服を手に取ったが、さすがに断った。

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夜明け前(2)

いつも明は一人で訪れ、生ビールを1杯と、幸子が作るつまみを食べて、30分ほどで帰る、そんな感じで週に2,3回は顔を見せていた。
そもそもは年が一回り離れた、カラダのガッチリしていて背の高い元ラガーマンの彼氏と二人で来ていた。よく幸子と3人でワイワイ騒いで、終電間際に仲良く二人で帰っていた。
けれど、きっと別れたのだろう。それに話しかけても全然しゃべらず、ただ黙々と生ビールを飲んで、すっと立ち上がって帰っていく姿が、見ていて痛々しかった。
別れた彼氏のことが忘れられなくて、そのことを想い出しつつ飲んでいるのか、それともまた元彼が来るかもしれないと待っているのか、いずれにせよ、意気消沈ぶりが甚だしく、とても聞ける雰囲気ではなかった。

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夜明け前(1)

18時、まだ外は明るい。店のドアの前にセミが死んでいた。 「もう、セミ、嫌いなんだよな。」 蹴ると、セミが余力を振り絞って鈍い声を出しながらUターンしてきた。明はセミが入らないように気をつけながら、店に入った。 明がここ、東上野のゲイバーに勤め出したのは10日前のことだ。ゲイバーでは「明美」という名で働いていたが、別にニューハーフでも女装しているわけでもなんでもない。 よく、友達とかには風間俊介に似ていると言われてきたが、ここ上野ではV6の三宅健に似ていると、客の何人かから言われた。そろそろ小じわが出てきたからかな、と自己分析している。 明は既に31歳、店のママ、幸子(本当の名前は智幸)より5つも上だ。 元々は明はこのゲイバー、「幸」の常連客だった。上野という土地柄、客層は若くても40代で、もうヨボヨボのおじいちゃんのような客まで来るのだが、その中でも明は目立って若かった。31とはいえ、見た目は20代、どちらかというと、ママよりも年下にさえ見えた。
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そんなに仕事が大事?(3)

「ねえ、俺って一体何なの?何だったの?今まで、信君にとって、俺って何?」
「答えてよ、仕事って何?仕事が一番なんだ?俺じゃなくて、仕事なんだ。俺ってただ、信君のお荷物なんだ。」
「ねえ、何とか言ってよ、本当に?もう、俺、バカみたい。今までの時間、返してよ。失った時間、返してよ。」

「あはははははっ、あはっあははははははっ。」
統括課長はもう何も言わずに、口を半開きにして、信明の、半狂乱になって、殺虫剤をかけられたゴキブリのように、仰向けになって手足をバタバタさせて、目を大きく見開いたまま笑い続けている様子を見続けていた。絨毯には、失禁してズボンから染み出た尿が染みて、真紅のシミを作っていた。

「バカ、バカぁぁぁ!」
信明の耳の中で、1年前の光景が、ずっと反響していた。
耳の中にセミが数十匹いるかのような大音量で繰り返し、繰り返し止むことなく叫び続けられた。
半裸の状態で、力いっぱいかき毟った跡がミミズ腫れになっていたが、信明はなおも嗤っていた。
1年前と同じように。
統括課長は棒立ちで、終わることなく嗤い続ける信明を見つめていた。もはやかけるべき言葉も見つからなかった。

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そんなに仕事が大事?(2)

「何、前に言ったじゃん。何で分からないの?」 「それくらいのこと、言わなくても分かるじゃん。何年付き合っているの?」 「ねえ、本当に俺たちって恋人?俺のこと理解している?ねえ?」 「目を見てよ。恋人なんでしょ?目を見られない理由は?」 「ねえ、口あるんだから何か言えるでしょ?ねえ、ねえって。」 「本当に忘れてた?本当に??付き合った日を?今まで、俺たち何だったの?ねえ、ずっと前から約束していたじゃん。一昨日も念を押したよね?何で?ねえ、何で?」 「ふざけないでよ、こっちはずっと前から楽しみにしていたのに、そんな仕事の方が大事?」 「聞いてますか、6%。理由を私は知りたいですね。なぜ故に6%という数字が出てきたかを。」 信明は堰を切ったように、頭、顔、膝、胸、ふくらはぎ、背中、尻、二の腕、首を掻きむしり出した。そして、席を立ち、猛烈に掻きむしった。ネクタイを緩め、ワイシャツのボタンをはずして直接胸の辺り、背中をかき、ワイシャツの手首のボタンを外して腕をボリボリ、また肩の肩甲骨の辺りをかき、足も靴のまま、ふくらはぎ辺りをまずは右足で、そして左足でかき出した。 「仕事、仕事、大事じゃない、大事ではない。」 頬を激しく掻きむしり、頬から血が滲み出てきた。頭もかき毟って、ジェルで固めた髪の毛が最早見る影もないようなクセ毛になってしまった。 「どうしましたか?佐々木君、君、何しているんですか?」 「あぁぁ、あぁぁわぁ!」 制御不能で、皮膚の中のいたるところに糸のように細い虫が這いまわっているような感覚。

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そんなに仕事が大事?(1)

「昨年と比べて、今年の売り上げは6%ダウンですね。」 統括課長からジクジク、あれこれ30分以上は突き上げを喰らっている。 年2回のボーナス査定。これで明確な根拠を示さないと、さすがにボーナスもカットされるだろう。 今まで4年間ずっと上がり調子だったから、まあちょっとくらいはいいんだが。 「6%というのはちょっと異常な数字だと思いますよ。これがエラーでなければね。今までの売り上げ、5年間ですがグラフにしてみました。」 信明の腕の、ちょうど肘のあたりが、もぞもぞしてきた。もぞもぞしてるなと思うと、他のあたりももぞもぞした感じになってくる。 まあ長い付き合いだから、これがストレス性の蕁麻疹だってことはよく分かっている。 ポツッポツッと一つ一つ、蕁麻疹が増殖していく様子が手に取るようにわかる。 「グラフから見るとわかる通り、今まで上昇基調にあったわけですよ。担当が変わって、それが6%ダウンになった。これが厳然たる事実です。」 ポツッポツであったものが加速度的に増えていく。一つが二つになり、四つになり六つになり、肥大し共鳴し合い・・ これに似たようなことが、ほぼ1年前にもあったなということを思い返していた。

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とことん付き合って・・いけるか、俺?(2)

また、玄関の前で自撮りしている。努は、日課である腕立てとか腹筋とか一通りした後、自分の体を自撮りする。腹筋とか陰影によって違う(らしい)から、撮影場所はいつも同じ。一通り撮ると、呼ばれる。
背中とケツは俺の担当。担当って言うか、俺が撮る。自分で鏡に映して撮ったら?と提案したことがあるんだけれど、撮影位置が決まっているからと素気無い応え。最初に撮ったところが鏡の前だったら、こんなことにならなかったよ。
で、次にやるのは異常探し。単に赤く腫れているとか、無駄毛が生えているとかだけだったらいい(というか、それすら面倒)んだけど、腹筋が左右対称かどうかとか、右腕の方が太くなっていないかとか、バランスを気にしたり、日焼けにムラがあるとか、どうしたらいいんだか分からないような指摘も。
そんな暇があったら、もっと腕立てとか腹筋でもやっていたらいいのにと思うけれど、今のが自分の中で100%なんだろうか?
幸いなことに、俺にはそんなことは言わない。たぶん右腕の方が太いし、腹筋だって不揃い、乳首だって左の方がちょっと大きいような・・いや、全然そんなの気にならないし、努も言わない。
そういえば、俺のモノが上に反り返っているようなことを言われたっけ。マジマジと見られた。皆、ちょっとくらい曲がっているもんじゃないの?
きっと不揃いは不揃いで、努にとっては面白いのかもしれない。面白いと言う、その「面白さ」が分からないけどね。
なんか、親知らずに虫歯とかできたらどうすんのかね?左右両方抜いてくれとかいうのかな?そういや、口内炎が左側にできていて、すごいブルーになっていた。それが両方にできてたら、歓喜の涙を流してたかな?

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デリバリー(4)

「随分と感じやすいんだな。」
「あっ。」
急に乳首の辺りをつままれて、耕太郎は一段と高い声をあげた。自分でも不思議だった。耕太郎は普段のセックスで、カラダを触られても特段何とも思わなかったからだ。カラダが感じるということに慣れていなかったから、自分でも思わず声を上げてしまうことが恥ずかしかった。
制服から熱気とともに、馥郁とした、汗交じりの香りが立ち昇った。
耕太郎の筋張った首筋からうなじへと舌を這わせる。お互いの鼓動が共鳴しあってリズムを奏でる。段々荒く、激しく、アグレッシブなリズムへと変わっていく。
「んんっ。」
耕太郎は、達彦がほんの少しだけだったが、ためらいがちの吐息を吐き出したのを見逃さなかった。
「はっ、んぐっ。。」
耕太郎の指先がほんの少し、達彦の胸の先に触れただけだ。耕太郎は薄笑いを浮かべて、達彦のシャツのボタンを外しにかかった。
「なんだ、そっちの方が感じてんじゃん。」
薄地のシャツを片手でまくり上げた。
ベルトの上から、浅黒く、そしてくっきりと割れた腹筋が現れた。耕太郎ははっとして唾をごくりと飲み込み、2,3秒間、じっとベルトの下に隠れた臍へとつながっている縦にえぐれた窪みを見つめた。
そして、ゆっくりと右手でシャツを上へとまくっていった。とことんまで鍛え上げられ、深く刻まれた腹筋の一つ一つが徐々に現れた。シャツはじっとりと汗を吸い込んで湿っていたが、体から湧き上がってくる、熱のこもった蒸気が耕太郎の顔面に押し寄せてきた。それは何ともいいようのない、優しく包み込むような香りだった。
シャツをみぞおちあたりまでめくると、達彦の腹筋がヒクヒクと痙攣している様子が見えた。
舌でそっと達彦の乳首を転がした。
達彦は、恥ずかしさを秘めた目で、耕太郎を見つめていた。

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デリバリー(3)

先に手を出したのは達彦からだった。自然と手が肩に行き、そっと抱き寄せた。耕太郎は抗わず、それに従った。
足と足が触れ合い、お互いの温もりが伝わってきた。一呼吸おいて、達彦は耕太郎の唇に自分の唇をそっと重ねた。耕太郎はそっと目をつぶった。軽い、触れ合うようなキスだった。
いったんは唇を離したが、今度は耕太郎からキスを求めてきた。半ば暴力的に奪われた唇から舌が入り込み、それから先は自然に任せ、互いの舌の先を交差させ、激しく絡ませた。
「うっ・・。」
達彦が湿った服の上から胸にそっと触れると、耕太郎は低くて野太い息を漏らして、カラダをビクつかせた。
服の上から確認できるほどくっきりと盛り上がった胸。見た目とは違って岩のように固く引き締まっている。その固さを確認するかのように、丹念に指先でなぞる。耕太郎の息は荒く、そして徐々に激しくなっていった。


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デリバリー(2)

インターホンが鳴った。
「先ほど電話した、佐川・・」
無言でロックを解除した。
しばらくして部屋のチャイムがまた鳴る。達彦はすぐにドアを開けると、耕太郎が快活そうな笑顔を浮かべて立っていた。
「入って。」
いささか無愛想な感じで告げ、耕太郎は中に入った。
「何か、飲む?」
500mlの缶ビールを手に取って、聞いた。
「いえ、自分、買ってきました。」
コンビニの袋を掲げた。ノンアルコールビールを自分用に買ってきたようだった。
達彦は、自分のビールをちょっと口に含んだ。耕太郎もそれに合わせて、自分で開けてグビッと飲んだ。そして、達彦を見つめた。
達彦は何を言っていいか分からなくてドギマギした。沈黙を打ち破ったのは耕太郎の方だった。
「俺、どうですか?」
「どうって・・」
「タイプですか?」
「・・・。」
「俺、タイプっす。」
畳みかけるように告白した。そして達彦の答えを待った。達彦は耕太郎の顔をじっと見つめた。
ニキビ跡が複数残り、色黒で、決して男前とは言えないまでも、快活、純朴そうな、好青年という感じだった。

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優先順位(7)

もういいだろ?いつまで検死しているつもりだ?そろそろ俺も行きたいんだ、和明のところに。来世では、まず最初にお前を探すよ。そして一からやり直そう。それから・・

当初は花を手向ける人、線香を地面に差して手を合わせる人がいたが、こんな事件のことはあっという間に風化し、忘れ去られた。
ただ、いつしか、周囲には不気味な噂が立っていた。夜な夜な、線路に腕だけで歩く、上半身だけの黒い影が現れると。その影は、なくした足を探して彷徨っているんだと。
しかし、本当は、探しているのは足ではない。耳をよく澄ませば、幽かに聴こえることだろう。「和明、和明」とつぶやく声が。

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優先順位(6)

ある日、和明に、明日は来るか聞かれた。来ないと思うけど、何でって答えたよ。明日のことなんて分かんないじゃん?和明は、そうかって悲しげな眼で俺を見た。俺は何だコイツって思って帰った。別に帰ったって会話ゼロ。子どもは寝てるしな。部屋も別々、家庭内別居って奴だよ。
次の日は、何も言わずにいきなり行ってみたんだ。浮気してんのかって思ってね。だって、よくよく考えてみたら予定聞くの変じゃん?入ったら、小さなテーブルの上に缶ビールとケーキが置いてあった。
出会って1周年だって言うんだ。もうそんなになるんだっけ?だから何だって感じだけどね。ケーキは出ていたから、食べて一戦してから帰ったよ。
ある日、帰ろうとしたら、和明が泣いているんだ。変なのって思って、その日は帰った。1週間後に会って、また帰ろうとしたら、また同じように泣いているんだよ。何でか聞いたら、もしもう来なくなったらこれが最後と思うと悲しくてだって。笑っちゃうだろ?杞憂だろ。妻なんて泣くどころかずっと無表情だぜ?
そのうち、和明とばっかり会うようになって、家にも帰らなくなったよ。愛おしくなってさ。離れられなくなったって奴だね。
でも、妻から久しぶりにメールが入って、どうでもいいやって放っておいたら、今度はお袋から電話があってさ。親子で無理心中を図ったって。妻は胃洗浄して睡眠薬を吐き出したから命に別状はなかったけれど、まともな会話ができない。精神がおかしくなったんだ。子供は死んだ。まあ、俺の遺伝子を受け継いだ子供なんて、いない方が良かったかもしれないな。
葬式を済ませて、一段落してから和明のところに行ったよ。俺と一緒にいても不幸になるだけだから、清算しようと思って。でも、遅かったよ。鍵を開けたら、和明がぶら下がっていた。いつからこうしてぶら下がっていたんだろうな。テーブルの上に、メモが残してあった。ただ、「今まで、楽しかった。ありがとう。」って書いてあった。あれで楽しかったんだ、和明にとっては。

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とことん付き合って・・いけるか、俺?(1)

「ここは?」
「気持ちいい。」
「こことここはどっちが気持ちいい?」
「さっきの方。」
「では、ここを舐めるのとこう指先で触られるのは?」
「うーん。」
「じゃ、これは?」
かれこれ、1週間ほど、こんなことの繰り返し。努の、一番気持ちがいいセックスは如何なるものかという、俺にとっては確かに願ったりかなったりみたいな感じも最初はしていたんだけれど、こんな実験みたいな感じでノートにまとめられてもね。
医者の問診を受けているような感じで、最近は感じる感じないの話から大分外れてきたんじゃないかなって思えてきた。もういいよって言いたいところだけど、誠一郎にもういいなんてことは存在しない。やり遂げるまで続けるだろう。
最初に変だなって思ったのは、名前を誉められたとき。俺の名前は小林圭介っていうんだけれど、とてもいい名前だねって。そんなこと初めて言われたし、お世辞にしてもよく分からなかったから聞いてみたら、左右対称で、真ん中から折り曲げても同じだからって、リアクションに困る理由で。
努はすごくいろいろなことを知っていて、いろいろ相談にも乗ってくれるしアドバイスもしてくれて、そのうちに相談相手から尊敬できる人に、そして恋愛対象に変わっていったんだけれど、どうしてこんな完璧な努がモテないのかなっていうのが分かった。完璧主義者だからだ。相手に求めるわけじゃないからまだいいんだけどさ、完璧に付き合わされるってこんな気分なんだなって思って。
「何、ここ昨日は感じていたけれど、今日は感じないんだね。」
「え?」
「ほら、ヘソから真横の脇腹の、この辺り。」
「うーん。」
そうじゃなくて、考え事をしていたからだよ。その要素も含めて、考えた方がいいんじゃないかななんて言うと、今日はこれこれについて考え事をしててとか言われそうで、永遠に俺のGスポットまで辿り着けないや。まあ、俺のためなんだし。俺のためなんだっけ?努の知的探究心を養っているだけでは?
そもそも、努自身はどこが気持ちいいんだよって感じだよね。俺もした方がいいんかな。ま、つけ入る隙が全然ない。。。
「今日は体の具合は良くない?疲れているとか?」
「え?」
「今日は昨日感じているはずの場所が感じていないから、これはきっと身体の不調ではないかと思うんだよね。例えばストレスとかさ。」
ストレスだとしたらこれじゃないのかな・・。

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優先順位(5)

きっかけはよくある痴話喧嘩だよ。実に些細なね。だってさ、セクフレのうちの一人、和明と昵懇の仲になっちゃってさ。カラダだけじゃなくて心もつながりたいって奴で。でも、それは仕方ないことじゃないか?俺の心はぽっかり空洞が空いているんだぜ?ダイソンの扇風機みたいな感じで。穴が空いていたら埋めようとするだろ?それがたまたま和明だっただけのことさ。
けど、俺も年甲斐もなくのめり込んじゃってさ、アパートを家の近くに、和明のために借りたんだ。違うか、俺のためにだな。最初は、和明は俺が会いたいときに会えるようにって、だから俺の名義で借りたんだよ。身勝手な男と俺を責めるのは早計だぜ?俺には家族があるんだから、やっぱり家庭を守る義務があるだろ。家長なんだぜ?そりゃそうだろ。
和明は、ずっと俺を待っているんだ。メールは俺が一方的に入れるだけ。「これから行く。」ってメール打つと、必ず和明はいるんだよ。ビールとちょっとしたつまみも用意してあってさ。それも手造りの。うちの妻なんて、俺の好みなんて聞きもしないで、ただ決まった時間に料理本に載っている料理をこしらえるだけさ。よくできた妻だろ?俺が愛情ないって分かってて、それでも料理を作るんだからさ。子どもを産んでおいて良かったよ。
和明は俺の分身みたいなんだ。分身という表現は変だな。凸と凹というか、うまくかみ合うんだよ。お互いがお互いを必要としているというかな。キスだけでもそれが分かる。風にさらわれるような、抗えないキス。けれど、病み付きになるキス。女ではとてもそんなことはできないよ。体温を確認しあうような、相手の鼓動を共有しあうような、そんなキス。キスだけでは終わらないけれど、キスだけでも俺のカラダはクラゲのようにグニャグニャしちゃうんだ。異次元空間に陥ったように、平衡感覚が取れなくなって、重力っていうものの存在を忘れてしまうんだよ。

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優先順位(4)

閉塞感がようやく解消された。今はもう、爽やかな気分。重荷が取れたと言うかね。歯車で言えば脱線した感じだけれど、それはそれで、何のしがらみもなくて回る状態。ま、最早、回っていないんだけどさ。
4,5人の、お互い何の関係もなさそうな人たちが、互いにひそめき合っている。俺のことを見ているようで見ていない。それに遠巻きだ。見えるか、俺のこと。見えないだろう。
俺にはよく見えているよ。見えないとでも思っているのか?浅はかだな。そんなに顔を歪めるな。汚いものを見るような目で俺を見るな。少し前まで、お前らと同じ格好をしていたんだからな。
警官か?眩しいぞ、懐中電灯なんかで照らすから。見えるだろ、俺のこと。俺は十分見えているぞ。

フフ、何故にこういうことになったかを教えてあげるよ。もう全てが終わったのだから。どうせ俺が悪いというんだろ?責めるな。俺は既に体が真っ二つなんだぜ?哀れだろ?
でも、もし哀れに思ってくれる奴がいたら、俺の頼みを聞いてくれ。俺のマンションで弔ってやってくれ。後ろポケットに俺のキーホルダーあるだろ?そうそう、お巡りさんよ、俺の下半身は線路の下に転がっているよ。違う違う、50mくらい後ろの方。鍵は3つあるけど、そのうちの黄金色の方。住所分からないか。
免許証のは違うよ。馬淵昇平、顔は原型留めていないけどさ、俺だよ俺、本人だよ。妻と子はいるけれど、俺の家じゃないんだ。あ、そうか、子はもういなかったんだ。そうだな、何見ればいいんだろ。

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僕の彼氏は韓国人(7)

ギチョルは朝が早い。さっさと起きて、手際よく朝食を作る。無駄がない。
ポッキーもどきのペペロを1本、ワイングラスに入れる。
もう、毎朝の儀式でね、両端から食べ合って、最後はキスで終わる、みたいな。別に普通にキスすればいいじゃんね。
ペペロデーの附録にしては大きな茶色いクマのぬいぐるみはテレビの脇に置いた。男二人の部屋なんだけど。
今日はドライブ、海が見たいと言うんで。見てどうするのか不明だが。
何やら歌いだした。韓国語でもないようだけれど、日本語かというとそうでもないような。悦に入っているが、喚いていると言うか、バラード?何?
完全に歌い切ったところで恐る恐る聴いてみた。
「何、日本人のくせに福山雅治知らないのか?有名だぞ。」
え、今の福山っすか?微塵もそんな要素なかったから。もう一度とも思ったけれど、ジャイアンリサイタルみたいなことを車内でされても困るんで。植物があったら枯れているよ。
それに、そもそもクラッシックかけてるのに歌うかね?
駐車場に止める。線からはみ出ているとクレーム。飲酒運転で免停喰らっている奴に言われたくないけど。
雨が強いし寒い。なぜ秋なのに半袖?
「海は気持ちいいね、風が心地よい。」
ギチョルの背後には、どこからか流れ着いた、中が空洞な大木の幹と、結構大きめの魚の死骸が横たわっているだけで、人っ子一人いないが。潮風が強めに吹いていて、結構寒いんだけど。
「テトラポットに登ろう。」
ここ、そもそもビーチではないんじゃないかと思いつつ、二人して登った。近くで見ると、フジツボがぎっしり貼りついていて、登ろうとして手をかけると、ちょっとヌルヌルする。
「ゴキブリ、海ゴキブリ、気持ち悪い。」
俺の手をギチョルが握る。フナムシじゃん。なかなかの小ささ。
何の変哲もない砂浜だけれど、ギチョルには何か懐かしいところでもあるのかな?ずっと海の向こうを見ている。太平洋だから、何もないよ。
「行こうよ。」
波の音しかしない砂浜を、波と平行に歩くギチョル。何だろ、この辺りは得意のカッコつけのところか?皮靴に波が微妙にかかって濡れちゃっているけど。
ギチョルの後を追う。ギチョルは捕まるまいと走る。全速力で。そして叫ぶ。「捕まえてみろよ。」
何だよ、ギチョルはやっぱりまだ子どもだ。

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耐えてみろ!(4)

ふと、攻撃が止んだ。そして、フックから鎖が外され、さっきまで一方的に殴られた相手に、抱えられるようにして誘導された。
腹筋用の人一人寝られる程度の台に寝かされて、また腕の鎖を腹筋台の脚に縛り付けた。そして決まりきったかのように、慎吾のトランクスを脱がせた。慎吾のモノは、弓形に反り返り、荒い息で波打つ腹に突き刺さっていた。
撮影機材はそのまま置き去りにされていた。でも、なされるがままに身を委ねた。グローブのロープを手際よくほどいて、トランクスを脱ぎ捨てると、小振りだけれども生きのいいモノが、上へ上へと行こうとするかのように硬直して天井を見つめていた。
オヤジは腕組みしたままその光景を眺めていた。慎吾は、ただただ待っていた。ウケはしたことがなかったのだけれども、ウケるんだっていうことが自分でも分かっていた。不安はなかった。こうなることが必然なんだと言う、確信めいた想いを心のどこかで抱いていた、そんな気がした。
トランクスをやや乱暴に脱ぎ捨て、小振りではあるけれども若干上反りになったモノが露わになった。慎吾の両足を広げられて上方に荒々しく持ち上げられた。お互いのカラダは汗まみれで、白色ライトに照らされてキラキラと輝いている。慎吾よりも細く、どちらかというとスリムで華奢な体つきで、体中が静脈が走っているかのように青白い。
けれど、手を通して伝わってくる熱が、これから数秒後に起こることを予感させた。鉄のように固く、しかし熱を帯びたモノは慎吾のケツに押し付けられた。そして、ゆっくりと、ネジを回すかの如く、押し付けられていった。慎吾は、目を見開いて相手の顔を見つめた。相手は慎吾のことに無関心なような、乾いた目をしていた。脚は両腕で挟まれて、一瞬内臓まで突き刺さるような痺れを感じたが、すぐにリズムカルな動きと息遣いへと変わった。
意外なほどすんなり受け入れた自分に驚いていたし、またこのリズムが先ほどの腹をえぐるパンチといかに酷似していることか。ただ一点を目がけて単調に、そして機械的に続けられる動き。相手の半ば義務めいた、好んでやっているわけでもないような態度、そして受け入れている自分も、拘束は外れているにもかかわらず、一連の流れに逆らえない、諦めに似た感情。いつしか相手のリズムは速くなり、軽いうめき声と共に慎吾の岩のように尖った腹の上に噴き出した。
「終わった。」
相手は何も言わずに、そのままシャワー室へ向かった。慎吾もそれに続いた。その間、ずっと無言だった。金は、事前に聞いていた額より3万円多かったが、訳も聞かずに受け取った。その後のことはよく覚えていない。家に帰った後、倒れこむように布団に入り、昏々と眠り続けた。
太陽の強い日差しが窓から差し込んで、目覚めた。長い夢を見ていたようだった。疲労は嘘のように取れ、むしろ爽快な気分だった。何か新しい一頁が始まりそうな、そんな予感さえした。腹をいたわるようになでながら、洗面所に向かった。

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優先順位(3)

「女には愛情、男には性欲、そう昇平は割り切って行っているつもりだった。いや、事実そうしていた。だが、それは相手の感情を全く考慮しないで行っていたことに気づいていなかった。」
そういうけどさ、第一さ、妻に対して愛情なんてそもそもあっただろうかって話じゃん?性欲がなく、愛情さえなくなったら、それをさ、どうして妻と居続けなければならないよ?子どもと世間体と言った、クモの糸程度の細く切れやすいつながりでしか最早なかったんだよ。お互い離れようとしているけれど、糸と遠心力でバランスよくつながっているように見える、そんな関係よ。
「男には性欲というのも、昇平の自己都合である。相手の女には性欲はないのか、相手の男には愛情はないのか、そういったことを考える視点が欠けていた。自分中心に何もかもが動いているとまでは考えていたわけではない。ただ、自分中心に回っているんだとは思っていた。本当は地球も宇宙の一部であるのにもかかわらず、地球を中心にして太陽や星が回っているのだと考えているかのように。」
いやいや、これもね、俺から言わせてみたらさ、セックスとはじゃあ何ってことじゃない?子孫繁栄でしょ?DNAを後々まで残すことじゃない?だから、女には愛情によって子孫を残してさ、女はその子孫にまた愛情を注ぐだろ?男に対してはそれがないんだから、性欲ってことになるわけだ。使い分けというか、結構しっかりした説明だと思うけど。女とは子供ができるから永遠に続いていくわけで、男は単にセックスしたらそれで終わりというか、その瞬間瞬間でしかないわけよ。生活の中に部分的に入り込んでくるのが男。性欲っていうのは生理現象なわけだから、それを放出したら、元の生活に戻るというわけで。説明するまでもない。
そんなさ、既婚のゲイなんてやたらいるんだから、難しく考えることはない。うまくやっていけると思うよ。俺は不器用な人間だから妻にバレて、それ以来実体のない生活を送っているけれど。それでも子どももいるし、いくらなんでも俺の子供であることには間違いないんだから。苦労したんだ、勃たないのを勃たせるのって大変なんだから。男側の難産って奴よ。
男は消耗品なんだって言った奴がいたっけ?女が備品、男が消耗品っていうのは間違っちゃいないよ。悲しい生き物だよ、男って。まあ、家庭を守ってきたのがちょっとセックスにシフトしてきたかなって程度で、これはこれで弥次郎兵衛のようにバランスが取れている感じが俺にはしている。俺中心だなんて、それって誤解。いろいろバランスをとるって大変なんだから。人生という平均台を慎重に渡っているのが今の俺。自己中なんて的外れだね。
ただ、最近は手詰まりというか、未来が見えないや。八方ふさがりというか、行き当たりばったりの自転車操業のような状態に人生が陥っている。歯車は狂っていないんだけれど、噛み合っている感じがしない。どうしたらいいかね?どうしようもないか。
昇平は、和室の中央で、延々と、誰もいない部屋で誰に聞かせるわけでもなく喚き続けた。蛍光灯が煌々と、数週間前から片付けられていない雑然とした部屋を照らす。数日前に食べて、3分の1程度残っていたカップラーメンの容器が倒れて畳を汚したが、意に介さず、また同じような話を同じトーンで、空中の誰かと会話しているかのように、独白し続けた。

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優先順位(2)

「昇平は朝も最近は一人で食べている。勤務先が変わって通勤に時間がかかるようになったということもあるが、以前は子どもの弁当を作るために妻が先に起きていた。
その妻も、子どもと夫の弁当はスーパーの惣菜で済ますようになり、朝もご飯とみそ汁が用意してあるので、食べたければ勝手によそって食べろと言う感じで置いてある。
家にいるのがいたたれなくなり、配達された新聞を持って行き、早めの電車に乗って、座ってゆったりと新聞を読みながら通勤するのが常となった。」

ここに書いてあることは事実ですわ。そもそもが世間体で結婚したのだから、ゆくゆくはこうなるんじゃないかくらい、俺だって予測はできていたさ。ただ、その覚悟はできていなかった。仮面夫婦というものがこんなにも辛いものだとはね。
いや、妻と出会う前までは、さほどゲイらしい活動もしていなかったさ。それどころか、5年間付き合った女性がいたんだ。恋愛対象はもちろん男だったよ、その当時から。けど、不思議とその女とはしっかり関係ができた。関係ってセックスね。ちゃんと自然に勃起したよ。
けど、今の妻には全く性的魅力を感じない。勃たない。早く孫の顔が見たいと急かされて、何とか勢いで子どもはできたさ。いや、そういうけどさ、勢いで何とかなるもんだよ。成り行きというかさ。性欲とは全くかけ離れたところでできた子どもだ。こういうのをコウノトリが運んできたというんじゃないかな?何というか、意思の働かないところでできたというか、神のなせる業じゃん?子どもに聞かせたらきっとびっくりするだろうな。いつか聞かせてやる日が来るだろうか、「お前は別にパパとママが愛し合ってできた子どもではないんだよ。」って。
妻の妊娠が分かると、俺は男とのセックスを、以前よりも増して、今までの空白を埋めるように求めるようになったってことだよ。獣のようにね。


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僕の彼氏は韓国人(6)

朝、吉野家で朝定食を頼んだんだ。ギチョルは焼き鮭と海苔定食、俺は納豆と生卵定食にしたんだ。そしたら、露骨に嫌な顔をして、
「それ、食べるのか?」
って聞くからさ、ちょっと食べてみたら?って薦めたんだ。生卵の黄身がついた納豆一粒をね。でも、口に持って行こうとすると顔を背けるんだよね。全然チャレンジ精神というものがないよ。
「腐っているし、生卵は腹を壊すから。」
っていうから、もちろん俺は全部食べたよ。そしたら、ギチョルはキス魔なのに、その日はキス一切しなかったね。
ギチョルは梅干しもダメらしくてね。一切食べようとしない。納豆も卵も梅干しも健康にいいと言っているのに、断固拒否。
食わず嫌いは良くないし、日本の伝統食文化に対する理解も進まないのもいかがなものかと思ったから、テーブルの上にあった干し梅を5,6個いっぺんにギチョルのおちょぼ口に放り込んでやったよ。
「メシル、メシル!」
って叫んで涙目になっていたよ。でも、負けず嫌いなギチョルは吐き出さずに食べていたけれど。これで梅干しも克服できればいいね。
そういや、ギチョルは銭湯とかスパ銭に行っても、基本、前を隠さない。スパ銭のときはさすがに俺も言ったよ。そしたらさ、
「隠すとは、健一、女みたいだな。」って。恥ずかしいというよりは、汚いものを見せて申し訳ないと言う気持ちからだよって言ったんだけど、何だか隠すってことがよく腑に落ちないらしい。それどころか、「女か、お前は。」って言って、俺のタオルまで取り上げたりするんだよ。いや、それじゃ、どっちかというと見せたがりの露出趣味みたいに見られない?
あと、スパ銭で泳ぐのも止めて欲しい。子どもなら分かるけれど、毛も生えたいい大人じゃん。周りを見て分からないかね?俺は他人のふりをしているんだけれど、俺にお湯かけたり、いきなりヘッドロックしたりとちょっかい出してくる。まあ、無邪気だね。まだ子どものままなんだ。アソコはグロテスクなくせに。
蚊と思うと、露天風呂入っているときに、急に肩組んできて、耳元で、
「あの二人、見ろよ。あれ、絶対ゲイだぞ。」って。
いやいや、俺たちの方が絶対ゲイっぽく見られているって。ギチョルは結構ベタベタしてくるから。距離が近いんだ。肩を組むのはまあいいけれど、電車でも俺が座っている上に座ってきたりする。ふざけているのかなって思ったら、本当に体重かけてきて座っているんだ。
食べ物のシェアも全然平気。けれど、かき氷とかさ、ラーメンも牛丼もそうだけど、なんで最初にグチャグチャにかき回しちゃうかね?で、食べるかって聞かれても、食欲がちょっと・・せっかくきれいに乗せてあるのに台無しだよ。
かき氷の口移しとかね、・・最初は抵抗がかなりあったけれど、愛情表現・・なのかな?俺は冷たいかき氷が食べたいんだけれど、これじゃ、ただのイチゴシロップだよ。。

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