ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

耐えてみろ!(6)

同じクラスの柔道部の奴が先生にずうずうしくも腕相撲などと。
「いいぞ。腕太いな、兼子君。」
え、やるの?えー、俺もしたい。瑞樹は腕相撲を見るために近寄った。というか、慎吾が腕相撲を取っているところを見るために。
「先生、やめなよ。無理だよ。」
「先生、腕相撲強いの?」
「先生、早くしないと次の授業始まっちゃうよ?」
女どもが本当にウルセー。でも、先生、力比べは止めた方がいいよ。
兼子と慎吾は教壇で向かい合って、互いの右腕の肘を置き、右手で握り合った。10人ほどのギャラリーに囲まれている。
「長塚君、君、審判な。」
兼子は不敵な笑いを浮かべ、自信満々な様子で瑞樹を見つめる。瑞樹は両者の拳を手で上から軽く押さえた。なぜか瑞樹の手が一番熱かった。
「レディ・・・ゴー!」
勝負は結構あっけなかった。遊んだりとか焦らしたりすることなく、兼子の腕がその力とは反対の方に押され、驚きの表情と共に倒された。急だったためか、体もバランスを崩して倒れかけた。
「先生、ツエー・・・。」
「また、体調のいい時にやろう、兼子君。」
そう、言い残して、夏季講習テキストを机でトントンと揃えてから、サッと教室から出て行った。
「えー、何、兼子。それはなくない?」
「先生、腕細いくせに、結構やるよね。」
バーカ、兼子。先生は鋼のような肉体しているから、オマエみたいな雑魚に負けるわけがないんだよ。
俺は見たんだ、先生の秘密を知っているんだ。
ゲイ動画の「SHIGOKI」シリーズでメインで出てたのが先生だ。顔が手とかで隠れててはっきり分からないけれど、左腕のサポーターと左足についていた2本のミサンガがそのままなんだよね。
えぇって思って、パーツで確かめてみた。でも、決定的だったのは、薄いピンクのTシャツで、LONDON CITY BOYSって黄色くロゴの入ったものを着てきたときかな。動画では、その後でまくって自慢の腹筋を見せるんだもんね、先生。
俺もめくってみたいな、そして・・と夢想を巡らせていても、そんなことを言う勇気さえなかった。せいぜい、目で脱がせて、全裸の状態で授業をする慎吾の姿を夢想して・・
1週間後、勉強に手がつかなくなった結果、クラス替えテストで下のクラスへの変更を余儀なくされ、女性教師の元で人一倍勉強に励む長塚瑞樹の姿があった。

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耐えてみろ!(5)

「惜しい。これは一つしか入れられないだろ?分詞構文だよ。」
後ろから先生が声をかける。でも、声をかけられたかと思ったら、前の奴に声をかけている。
「うん、そうそう。ん?ここはもうちょっと考えた方がいいな。ヒント。「か」。」
夏期講習。いつもとは違って、見慣れない奴も半分くらい混じっている。先生、前の奴なんて昨日初めて会ったんじゃん?
「おー、正解。やるね。」
先生は右に左にと声をかけながら、生徒のプリントをチェックしていく。
先生、もう俺終わったよ。でも、先生は俺なんか最初から見えていないかのように、他の奴に声をかけている。
「はい、では、だいたい終わったようなので、32ページを開きましょう。仮定法はよく出るので、もう一度確認します。」
うーん、先生はかっこいいね。今日は黒縁メガネをして一段と冴えている。背も高いし、甘いマスクで、うーん、絶対彼女いるよ。
「(3)admitは分詞構文にすると、長塚君。・・長塚君?」
え、え、俺?何、何?
「難しいかな?これは過去分詞だからadmitedだね。次、(4)。」
やっちまったー。下手こいた。先生の前でいいとこ見せられなかったー。
「じゃ、今日はここまで。」
先生が言うのを待って、皆帰り支度をする。夏期講習以前からいる生徒のうち何人かは先生を囲んでいる。
「先生、彼女いるの?先生、いくつ?ねえ、先生。」
ウッセー女だな。俺の先生に軽々しく声かけるな。心にそう念じつつ、ダラダラと分厚いテキストをリュックに入れる。次は数学なので別の教室に行かなければならない。
「先生、腕相撲やろうぜ。」

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とことん付き合って・・いけるか、俺?(3)

昼は丼を食べに行った。海鮮丼。努の食べ方って特殊で、取り分け皿をもらうと、上の刺身の部分をちゃんと同じようにその皿によそって、丼の方をご飯だけにする。で、要するに刺身定食のようにして食べる。
定食にすればいいじゃんと誰でも思うだろうけれど、丼の盛り付け方がきれいなんだとか。
この前、初詣行ったときはもう大変。真ん中でお賽銭を投げようとする。川崎大師なんて相当先から動けない状態なんだけれど、真ん中にこだわるからいつになっても投げられない。いや、俺はいいんだけれど、はぐれそうだし、人混み過ぎて携帯つながらないから仕方なく付き合う。
そして、きっかりとゾロ目が好き。例えば、パンをオーブンで焼く時間、7時開始。家を出る時間、8時ちょうど。必ずそう。おそらく乗る電車も決まっているみたいで、遅れると必ずメールが来る。俺、そんなメールもらっても困るんだが。
シャワー浴びる時間とか寝る時間とか、そういうのは特にない。ない理由は知らない。付き合っていられないので。いや、たぶん俺にあんまり関わり合いなさそうなのを決めているっぽい。俺に配慮しているんじゃなくて、俺がそういうのルーズだと思っているんじゃないかな?
「すべてがfになる」の犀川先生が時報で腕時計を合わせていたけれど、うちはそんなことしない。全部電波時計に入れ替えたからね。全部デジタル。
Tシャツのマークが「555」。色違いで3着持っている。22年2月22日の切符が机の上にある。何気ない封筒にも、よく見ると22年2月22日の消印が。いや、これは言わないよ。俺が気づいたことで。たぶん、俺が知らないところでこれ以外にもいろいろあるんじゃないかな。逆に探している俺の方が気になっている。おお、あったぞ、12345なんだ、自転車のチェーン。それはそれで危なくない?

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ハサミムシ(7)

「お待んたせ。」
悠然と克利はその相手に近づいて行った。
「来いよ、サクッとやろうぜ?」
顎をクイッとしゃくって自転車の置いてある方に行きかける。
「あ、いや、ちょっとしゃべりませんか?そこにドトールあるんで。」
なんだよ、コイツ。ノリ悪いな。そう思いつつも、コーヒー飲んでからヤルのには変わらないわけだからな、と付いていくことにした。
その相手はアイスコーヒーを頼んだので、克利も同じものを頼んだ。15時の店内は結構な人。階段下のちょっと薄暗いスペースが空いていたので、そこに向かい合って腰を下ろした。
克利は席について早々、アイスコーヒーにストローを差して、一気に飲み干した。しかし、相手は気にも留めず、ガムシロップを入れている。
「あの、写真のことなんですけど。」
「はい?」
「あれ、本物ですか?」
明らかにセーターの上から下っ腹が出ているが分かるのに腹筋画像を使っているから、誰だって訝しく思うのは当たり前だが、本人はそんなことを全く意に介していない。
「当たり前だろ?そんなの。脱げば分かるって。」
「そうなんですか?」
相手は無表情で聞き返す。
「なんだ、欲情してんのか?すげえスケベ。俺のテク・・」
コーヒーが無情にも克利の顔面にびっしゃりかかり、驚いた勢いで後ろに椅子ごと倒れた。
それを相手はパシャパシャと写メを撮っている。
何が起こったのか分からず、呆然としている克利に、
「それ、俺の画像だ、バーカ。次やったら殺すぞ。」
顔を足で思いっきり踏まれ、相手は足早に出て行った。あまりの出来事に、あたりはシーンと静まり返った。
その日のうちに、ゲイアプリで不細工な画像つきの、詐欺画像注意投稿があり、ツイッターで拡散されたのだが、克利は知らないままだ。
というのも、投稿してすぐ、克利はブロックされているのだから。

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ハサミムシ(6)

「今日、これからって暇ですか?」
「空いてるよ。やろうぜ。」
「場所ありですか?」
「あるある。来れる?」
「でも、ちょっとうちからじゃ遠いかな?」
「平気平気。意外と思っているほど遠くないって。」
「でも、会う前に顔みたいな。」
「もう、俺のマグナム発射寸前。」
「写メあります?」
「オマエのケツマNに俺の極太マグナムをぶち込んでやるぜ。」
履歴が消えた。ブロックされたのだろう。
「何だよ、コイツ。使えねーな。クソが。」
克利は、気持ちを新たにして、ゲイアプリで次の相手を探し出した。
「165/58/28 ダンサー。今、ジムのトレーナーになるために一生懸命頑張ってます。俺のことを大切に思ってくれる人だけを探しています。」
顔入りの全体写真、後ろ姿の裸写真、ビーチでピースをする写真の3枚が載せてあった。
まあ、そこそこだな。克利はそうつぶやくと、早速メールを出した。
「175/57/28 スジ筋タチ。デカいとよく言われる。かわいいね。会わねー?」
すぐに返信が来た。
「タイプです。カッコいい。どこですか?」
克利はカラダ写真しか掲載していない。腹筋が薄く6パックに割れた画像を2枚載せている。もちろん本人とは似ても似つかない画像で、どこからか拝借したものだ。
身長は175㎝ない。3㎝サバを読んだ。体重も6キロ、年齢も4歳サバを読んでいるが、本人はどこ吹く風だ。それくらいは許容範囲というか、詐称したところで誤魔化せるレベルだと思っている節がある。
それに、詐欺画像だろうが何だろうが、部屋に連れ込んでしまえばこっちのものだ。画像はそれまでの手段に過ぎない。
最寄駅を伝えた。
「今日、会えますか、そこなら30分かからないくらいで行けます。」
「いいぜいいぜ、俺のキャノン砲をぶちかましてやろうか?」
「最寄駅はどこですか?」
「志木駅、東口に出たら連絡寄こせよ。」
なんだ、超淫乱野郎でやがる。やりたくてやりたくてたまんねーんだな。まてよ、ガバマNかもしんねーな。
薄手の桃色のセーターの上からお気に入りの黒くて薄手のジャンバーを羽織り、赤いマフラーをまとって、自転車で駅に向かう。
途中、マツキヨに寄ってテスターのフレグランスを体中に振りまく。お気に入りだからかかなりセーターも着疲れしていて、手首のところは若干脱色気味に変色している。ジャンバーもほつれがかなり目立つようになってきた。長年洗ってもいないので、フレグランスと相俟って得も言われぬ臭いを放つ。
着いたと言うメールが入る。東口を睨むように見ていると、髪を茶色く染め、ジーンズに無地の青いセーターを着た、見た目は22くらいのやんちゃそうなのが立っていた。
写真では色白で髪も耳が隠れるくらい長くて、どっちかというと物静かな感じだったんだが、服装はメールで指示のあったとおりだった。

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夜明け前(5)

金曜日にしては珍しく、夜2時くらいに客がいなくなった。まだ来るかもしれないので、店は開けておいたが、来たとしてもたかが知れていると思うので、明を先に帰すことにした。
「もう、いいわよ。明日も仕事でしょ?」
明は黙々と、多少疲れたスポンジで、コップと平皿を洗っている。
「どう?大分紛れたかしら?それともまだまだ引きずっているの?」
明は答えないで、若干シミのついた布巾でコップを拭く。
「いつまでも溜めこむのって、カラダに良くないわよ。」
「ママ・・。」
コップを置いて、幸子(繰り返すが、本当の名前は智幸)を見つめた。
「ママ、俺、ママのことがずっと好きなんだ!」
「えっ!?」
幸子は思わず、普段は出さない、地の低い声をあげた。
「やだ、あんた、オバサンをからかうもんじゃないわよ。」
「俺じゃダメかな?」
明は幸子の手首を掴んだ。
「俺、ママが・・」
「駄目よ。」
幸子は明の手を払い、カラダを90度ひねって自分に言い聞かせるかのようにつぶやいた。
「生理なの。」
明は、ちょっと引きつったような顔をしたが、それもすぐ破顔一笑に変わった。
「じゃあ、生理治ったら・・。」
「生理は病気じゃないわよ。」
「ママのは病気だよ。血が出てるんでしょ?」
明は、なんだか久しぶりに笑ったように感じた。笑うことを今まで忘れていたのかもしれない。何か、つかえていたものが取れた感じがした。
「俺が、血を止めてみせるよ。」
幸子は幸子で、逆に脳の血管が切れそうだった。こめかみに青筋が立っていないか不安なくらいだ。
二人は見つめ合って、そしてどちらともなく抱き合った。明は幸子の厚い胸に顔をうずめた。幸子は、ルージュのマニキュアを塗ったごつい手で、明の頭をなでた。いつまでも、いつまでも。

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夜明け前(4)

明は、昼は池袋の某百貨店でアパレル勤務をしているため、アルバイトをすると言ってもそう長い時間いられない。
シフトで木金休みなので、金曜日は早く来るようにしている。週末はさすがに客が多く、10時以降になると満席になる。
明は元々寡黙な性格で、しかも人見知りなので、こうした客相手の商売には不向きである。それは自分でも重々承知している。
客から「明美ちゃん、今日もかわいいね。」とか言われても、顔を赤くして黙ってうつむいてしまう。
すかさずママが「何、うちの秘蔵っ子に手出してんのよ。高くつくわよ!」と間髪入れずに返すのが常だった。
ゲイバーの喧騒とは裏腹に、黙々と酒を作って出し、皿やコップを洗っている。しゃべりは専らママの役目。けれど、店に来るオヤジたちは、やっぱりイケメンの若い明を放っておくわけがない。なんとか話の糸口をつかもうと、いろいろ話しかけてくる。
ママに明のことを聞き出そうとする客も多い。ただ、ママは「そんなの、明美ちゃんに直接聞けばいいじゃない。」と冷たくあしらう。
ママも明の気持ちがよく分からないのだった。口下手なのにここで働いているのは、ひょっとしたら前の彼氏が訪れるのを待っているのかもしれない。
前の彼氏は浮気性で、ママが知っているだけでも常時2,3人はスペアがいた。明は一途だったが、彼氏の方はそのうちの一人程度にしか思っていなかったようで、明が不実を責めると、今までの熱々な関係は何だったのかと思うくらい、あっけなく別れて次の男に乗り換えた。
端的に言うと捨てられたのだ。あくまで都合のいい男であって、面倒なことが起こればもう用済みだった。ただ、明はその男に身も心も捧げていたから、急に別れると言われても心がついて行かなかった。


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夜明け前(3)

そんなことが2週間くらい続き、さすがに幸子が声をかけた。
「まだ、引きずってんの?」
明は無言で頷いた。
「もう、忘れなさいよ。あんな男だったらいくらでもいるわよ。」
「いないよ。」
溜息をつき、2杯目の生ビールを追加で頼んだ。
「あんたさ、まだ若いんだから、何とでもなるわよ。」
「もういいんだ。」
「じゃあさ、あんた、ちょっとここで働いてみなさいよ。」
明は顔を上げて、幸子を見つめた。どこで買ってきたのか、色黒のカラダに不釣り合いなチャイナドレスで紫のアイシャドーと紫の口紅、そこから発せられる言葉に明は息を呑んだ。
「別に好きな時間でいいから。そうやってグジグジグジグジと飲んでいるよりかわさ、気が少しは晴れるわよ。」
「お願いします。」
明は反射的に答えた。きっとカラダが渇望していたのかもしれなかった。声をかけてくれる人を。自分を理解してくれなくてもいいから、癒してくれる人を。
仕事帰り、明は早速「幸」を訪ねた。
「あら、来たのね。」
幸子は明らかにサイズがあっていないチャイナドレスに着替えているところだった。
「よろしくお願いします。」
明は帽子を取って、深々と頭を下げた。
「あんたも着る?」
幸子は紫のスパンコールの服を手に取ったが、さすがに断った。

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夜明け前(2)

いつも明は一人で訪れ、生ビールを1杯と、幸子が作るつまみを食べて、30分ほどで帰る、そんな感じで週に2,3回は顔を見せていた。
そもそもは年が一回り離れた、カラダのガッチリしていて背の高い元ラガーマンの彼氏と二人で来ていた。よく幸子と3人でワイワイ騒いで、終電間際に仲良く二人で帰っていた。
けれど、きっと別れたのだろう。それに話しかけても全然しゃべらず、ただ黙々と生ビールを飲んで、すっと立ち上がって帰っていく姿が、見ていて痛々しかった。
別れた彼氏のことが忘れられなくて、そのことを想い出しつつ飲んでいるのか、それともまた元彼が来るかもしれないと待っているのか、いずれにせよ、意気消沈ぶりが甚だしく、とても聞ける雰囲気ではなかった。

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夜明け前(1)

18時、まだ外は明るい。店のドアの前にセミが死んでいた。 「もう、セミ、嫌いなんだよな。」 蹴ると、セミが余力を振り絞って鈍い声を出しながらUターンしてきた。明はセミが入らないように気をつけながら、店に入った。 明がここ、東上野のゲイバーに勤め出したのは10日前のことだ。ゲイバーでは「明美」という名で働いていたが、別にニューハーフでも女装しているわけでもなんでもない。 よく、友達とかには風間俊介に似ていると言われてきたが、ここ上野ではV6の三宅健に似ていると、客の何人かから言われた。そろそろ小じわが出てきたからかな、と自己分析している。 明は既に31歳、店のママ、幸子(本当の名前は智幸)より5つも上だ。 元々は明はこのゲイバー、「幸」の常連客だった。上野という土地柄、客層は若くても40代で、もうヨボヨボのおじいちゃんのような客まで来るのだが、その中でも明は目立って若かった。31とはいえ、見た目は20代、どちらかというと、ママよりも年下にさえ見えた。
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そんなに仕事が大事?(3)

「ねえ、俺って一体何なの?何だったの?今まで、信君にとって、俺って何?」
「答えてよ、仕事って何?仕事が一番なんだ?俺じゃなくて、仕事なんだ。俺ってただ、信君のお荷物なんだ。」
「ねえ、何とか言ってよ、本当に?もう、俺、バカみたい。今までの時間、返してよ。失った時間、返してよ。」

「あはははははっ、あはっあははははははっ。」
統括課長はもう何も言わずに、口を半開きにして、信明の、半狂乱になって、殺虫剤をかけられたゴキブリのように、仰向けになって手足をバタバタさせて、目を大きく見開いたまま笑い続けている様子を見続けていた。絨毯には、失禁してズボンから染み出た尿が染みて、真紅のシミを作っていた。

「バカ、バカぁぁぁ!」
信明の耳の中で、1年前の光景が、ずっと反響していた。
耳の中にセミが数十匹いるかのような大音量で繰り返し、繰り返し止むことなく叫び続けられた。
半裸の状態で、力いっぱいかき毟った跡がミミズ腫れになっていたが、信明はなおも嗤っていた。
1年前と同じように。
統括課長は棒立ちで、終わることなく嗤い続ける信明を見つめていた。もはやかけるべき言葉も見つからなかった。

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そんなに仕事が大事?(2)

「何、前に言ったじゃん。何で分からないの?」 「それくらいのこと、言わなくても分かるじゃん。何年付き合っているの?」 「ねえ、本当に俺たちって恋人?俺のこと理解している?ねえ?」 「目を見てよ。恋人なんでしょ?目を見られない理由は?」 「ねえ、口あるんだから何か言えるでしょ?ねえ、ねえって。」 「本当に忘れてた?本当に??付き合った日を?今まで、俺たち何だったの?ねえ、ずっと前から約束していたじゃん。一昨日も念を押したよね?何で?ねえ、何で?」 「ふざけないでよ、こっちはずっと前から楽しみにしていたのに、そんな仕事の方が大事?」 「聞いてますか、6%。理由を私は知りたいですね。なぜ故に6%という数字が出てきたかを。」 信明は堰を切ったように、頭、顔、膝、胸、ふくらはぎ、背中、尻、二の腕、首を掻きむしり出した。そして、席を立ち、猛烈に掻きむしった。ネクタイを緩め、ワイシャツのボタンをはずして直接胸の辺り、背中をかき、ワイシャツの手首のボタンを外して腕をボリボリ、また肩の肩甲骨の辺りをかき、足も靴のまま、ふくらはぎ辺りをまずは右足で、そして左足でかき出した。 「仕事、仕事、大事じゃない、大事ではない。」 頬を激しく掻きむしり、頬から血が滲み出てきた。頭もかき毟って、ジェルで固めた髪の毛が最早見る影もないようなクセ毛になってしまった。 「どうしましたか?佐々木君、君、何しているんですか?」 「あぁぁ、あぁぁわぁ!」 制御不能で、皮膚の中のいたるところに糸のように細い虫が這いまわっているような感覚。

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そんなに仕事が大事?(1)

「昨年と比べて、今年の売り上げは6%ダウンですね。」 統括課長からジクジク、あれこれ30分以上は突き上げを喰らっている。 年2回のボーナス査定。これで明確な根拠を示さないと、さすがにボーナスもカットされるだろう。 今まで4年間ずっと上がり調子だったから、まあちょっとくらいはいいんだが。 「6%というのはちょっと異常な数字だと思いますよ。これがエラーでなければね。今までの売り上げ、5年間ですがグラフにしてみました。」 信明の腕の、ちょうど肘のあたりが、もぞもぞしてきた。もぞもぞしてるなと思うと、他のあたりももぞもぞした感じになってくる。 まあ長い付き合いだから、これがストレス性の蕁麻疹だってことはよく分かっている。 ポツッポツッと一つ一つ、蕁麻疹が増殖していく様子が手に取るようにわかる。 「グラフから見るとわかる通り、今まで上昇基調にあったわけですよ。担当が変わって、それが6%ダウンになった。これが厳然たる事実です。」 ポツッポツであったものが加速度的に増えていく。一つが二つになり、四つになり六つになり、肥大し共鳴し合い・・ これに似たようなことが、ほぼ1年前にもあったなということを思い返していた。

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とことん付き合って・・いけるか、俺?(2)

また、玄関の前で自撮りしている。努は、日課である腕立てとか腹筋とか一通りした後、自分の体を自撮りする。腹筋とか陰影によって違う(らしい)から、撮影場所はいつも同じ。一通り撮ると、呼ばれる。
背中とケツは俺の担当。担当って言うか、俺が撮る。自分で鏡に映して撮ったら?と提案したことがあるんだけれど、撮影位置が決まっているからと素気無い応え。最初に撮ったところが鏡の前だったら、こんなことにならなかったよ。
で、次にやるのは異常探し。単に赤く腫れているとか、無駄毛が生えているとかだけだったらいい(というか、それすら面倒)んだけど、腹筋が左右対称かどうかとか、右腕の方が太くなっていないかとか、バランスを気にしたり、日焼けにムラがあるとか、どうしたらいいんだか分からないような指摘も。
そんな暇があったら、もっと腕立てとか腹筋でもやっていたらいいのにと思うけれど、今のが自分の中で100%なんだろうか?
幸いなことに、俺にはそんなことは言わない。たぶん右腕の方が太いし、腹筋だって不揃い、乳首だって左の方がちょっと大きいような・・いや、全然そんなの気にならないし、努も言わない。
そういえば、俺のモノが上に反り返っているようなことを言われたっけ。マジマジと見られた。皆、ちょっとくらい曲がっているもんじゃないの?
きっと不揃いは不揃いで、努にとっては面白いのかもしれない。面白いと言う、その「面白さ」が分からないけどね。
なんか、親知らずに虫歯とかできたらどうすんのかね?左右両方抜いてくれとかいうのかな?そういや、口内炎が左側にできていて、すごいブルーになっていた。それが両方にできてたら、歓喜の涙を流してたかな?

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デリバリー(4)

「随分と感じやすいんだな。」
「あっ。」
急に乳首の辺りをつままれて、耕太郎は一段と高い声をあげた。自分でも不思議だった。耕太郎は普段のセックスで、カラダを触られても特段何とも思わなかったからだ。カラダが感じるということに慣れていなかったから、自分でも思わず声を上げてしまうことが恥ずかしかった。
制服から熱気とともに、馥郁とした、汗交じりの香りが立ち昇った。
耕太郎の筋張った首筋からうなじへと舌を這わせる。お互いの鼓動が共鳴しあってリズムを奏でる。段々荒く、激しく、アグレッシブなリズムへと変わっていく。
「んんっ。」
耕太郎は、達彦がほんの少しだけだったが、ためらいがちの吐息を吐き出したのを見逃さなかった。
「はっ、んぐっ。。」
耕太郎の指先がほんの少し、達彦の胸の先に触れただけだ。耕太郎は薄笑いを浮かべて、達彦のシャツのボタンを外しにかかった。
「なんだ、そっちの方が感じてんじゃん。」
薄地のシャツを片手でまくり上げた。
ベルトの上から、浅黒く、そしてくっきりと割れた腹筋が現れた。耕太郎ははっとして唾をごくりと飲み込み、2,3秒間、じっとベルトの下に隠れた臍へとつながっている縦にえぐれた窪みを見つめた。
そして、ゆっくりと右手でシャツを上へとまくっていった。とことんまで鍛え上げられ、深く刻まれた腹筋の一つ一つが徐々に現れた。シャツはじっとりと汗を吸い込んで湿っていたが、体から湧き上がってくる、熱のこもった蒸気が耕太郎の顔面に押し寄せてきた。それは何ともいいようのない、優しく包み込むような香りだった。
シャツをみぞおちあたりまでめくると、達彦の腹筋がヒクヒクと痙攣している様子が見えた。
舌でそっと達彦の乳首を転がした。
達彦は、恥ずかしさを秘めた目で、耕太郎を見つめていた。

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デリバリー(3)

先に手を出したのは達彦からだった。自然と手が肩に行き、そっと抱き寄せた。耕太郎は抗わず、それに従った。
足と足が触れ合い、お互いの温もりが伝わってきた。一呼吸おいて、達彦は耕太郎の唇に自分の唇をそっと重ねた。耕太郎はそっと目をつぶった。軽い、触れ合うようなキスだった。
いったんは唇を離したが、今度は耕太郎からキスを求めてきた。半ば暴力的に奪われた唇から舌が入り込み、それから先は自然に任せ、互いの舌の先を交差させ、激しく絡ませた。
「うっ・・。」
達彦が湿った服の上から胸にそっと触れると、耕太郎は低くて野太い息を漏らして、カラダをビクつかせた。
服の上から確認できるほどくっきりと盛り上がった胸。見た目とは違って岩のように固く引き締まっている。その固さを確認するかのように、丹念に指先でなぞる。耕太郎の息は荒く、そして徐々に激しくなっていった。


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デリバリー(2)

インターホンが鳴った。
「先ほど電話した、佐川・・」
無言でロックを解除した。
しばらくして部屋のチャイムがまた鳴る。達彦はすぐにドアを開けると、耕太郎が快活そうな笑顔を浮かべて立っていた。
「入って。」
いささか無愛想な感じで告げ、耕太郎は中に入った。
「何か、飲む?」
500mlの缶ビールを手に取って、聞いた。
「いえ、自分、買ってきました。」
コンビニの袋を掲げた。ノンアルコールビールを自分用に買ってきたようだった。
達彦は、自分のビールをちょっと口に含んだ。耕太郎もそれに合わせて、自分で開けてグビッと飲んだ。そして、達彦を見つめた。
達彦は何を言っていいか分からなくてドギマギした。沈黙を打ち破ったのは耕太郎の方だった。
「俺、どうですか?」
「どうって・・」
「タイプですか?」
「・・・。」
「俺、タイプっす。」
畳みかけるように告白した。そして達彦の答えを待った。達彦は耕太郎の顔をじっと見つめた。
ニキビ跡が複数残り、色黒で、決して男前とは言えないまでも、快活、純朴そうな、好青年という感じだった。

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優先順位(7)

もういいだろ?いつまで検死しているつもりだ?そろそろ俺も行きたいんだ、和明のところに。来世では、まず最初にお前を探すよ。そして一からやり直そう。それから・・

当初は花を手向ける人、線香を地面に差して手を合わせる人がいたが、こんな事件のことはあっという間に風化し、忘れ去られた。
ただ、いつしか、周囲には不気味な噂が立っていた。夜な夜な、線路に腕だけで歩く、上半身だけの黒い影が現れると。その影は、なくした足を探して彷徨っているんだと。
しかし、本当は、探しているのは足ではない。耳をよく澄ませば、幽かに聴こえることだろう。「和明、和明」とつぶやく声が。

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優先順位(6)

ある日、和明に、明日は来るか聞かれた。来ないと思うけど、何でって答えたよ。明日のことなんて分かんないじゃん?和明は、そうかって悲しげな眼で俺を見た。俺は何だコイツって思って帰った。別に帰ったって会話ゼロ。子どもは寝てるしな。部屋も別々、家庭内別居って奴だよ。
次の日は、何も言わずにいきなり行ってみたんだ。浮気してんのかって思ってね。だって、よくよく考えてみたら予定聞くの変じゃん?入ったら、小さなテーブルの上に缶ビールとケーキが置いてあった。
出会って1周年だって言うんだ。もうそんなになるんだっけ?だから何だって感じだけどね。ケーキは出ていたから、食べて一戦してから帰ったよ。
ある日、帰ろうとしたら、和明が泣いているんだ。変なのって思って、その日は帰った。1週間後に会って、また帰ろうとしたら、また同じように泣いているんだよ。何でか聞いたら、もしもう来なくなったらこれが最後と思うと悲しくてだって。笑っちゃうだろ?杞憂だろ。妻なんて泣くどころかずっと無表情だぜ?
そのうち、和明とばっかり会うようになって、家にも帰らなくなったよ。愛おしくなってさ。離れられなくなったって奴だね。
でも、妻から久しぶりにメールが入って、どうでもいいやって放っておいたら、今度はお袋から電話があってさ。親子で無理心中を図ったって。妻は胃洗浄して睡眠薬を吐き出したから命に別状はなかったけれど、まともな会話ができない。精神がおかしくなったんだ。子供は死んだ。まあ、俺の遺伝子を受け継いだ子供なんて、いない方が良かったかもしれないな。
葬式を済ませて、一段落してから和明のところに行ったよ。俺と一緒にいても不幸になるだけだから、清算しようと思って。でも、遅かったよ。鍵を開けたら、和明がぶら下がっていた。いつからこうしてぶら下がっていたんだろうな。テーブルの上に、メモが残してあった。ただ、「今まで、楽しかった。ありがとう。」って書いてあった。あれで楽しかったんだ、和明にとっては。

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とことん付き合って・・いけるか、俺?(1)

「ここは?」
「気持ちいい。」
「こことここはどっちが気持ちいい?」
「さっきの方。」
「では、ここを舐めるのとこう指先で触られるのは?」
「うーん。」
「じゃ、これは?」
かれこれ、1週間ほど、こんなことの繰り返し。努の、一番気持ちがいいセックスは如何なるものかという、俺にとっては確かに願ったりかなったりみたいな感じも最初はしていたんだけれど、こんな実験みたいな感じでノートにまとめられてもね。
医者の問診を受けているような感じで、最近は感じる感じないの話から大分外れてきたんじゃないかなって思えてきた。もういいよって言いたいところだけど、誠一郎にもういいなんてことは存在しない。やり遂げるまで続けるだろう。
最初に変だなって思ったのは、名前を誉められたとき。俺の名前は小林圭介っていうんだけれど、とてもいい名前だねって。そんなこと初めて言われたし、お世辞にしてもよく分からなかったから聞いてみたら、左右対称で、真ん中から折り曲げても同じだからって、リアクションに困る理由で。
努はすごくいろいろなことを知っていて、いろいろ相談にも乗ってくれるしアドバイスもしてくれて、そのうちに相談相手から尊敬できる人に、そして恋愛対象に変わっていったんだけれど、どうしてこんな完璧な努がモテないのかなっていうのが分かった。完璧主義者だからだ。相手に求めるわけじゃないからまだいいんだけどさ、完璧に付き合わされるってこんな気分なんだなって思って。
「何、ここ昨日は感じていたけれど、今日は感じないんだね。」
「え?」
「ほら、ヘソから真横の脇腹の、この辺り。」
「うーん。」
そうじゃなくて、考え事をしていたからだよ。その要素も含めて、考えた方がいいんじゃないかななんて言うと、今日はこれこれについて考え事をしててとか言われそうで、永遠に俺のGスポットまで辿り着けないや。まあ、俺のためなんだし。俺のためなんだっけ?努の知的探究心を養っているだけでは?
そもそも、努自身はどこが気持ちいいんだよって感じだよね。俺もした方がいいんかな。ま、つけ入る隙が全然ない。。。
「今日は体の具合は良くない?疲れているとか?」
「え?」
「今日は昨日感じているはずの場所が感じていないから、これはきっと身体の不調ではないかと思うんだよね。例えばストレスとかさ。」
ストレスだとしたらこれじゃないのかな・・。

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