2023年01月26日
ウルトラマンジャック(4)
直近だと、ゼラブ星人が西川口の、蕨市との境界に近いラブホテル街に現れた。出現スポットはどちらも栃木県から埼玉県にかけてが多く、たまに東京の北部や茨城県西部にも現れる。おそらくは北関東にその侵略拠点基地のようなものがあるものと推定されているが、これもまだわかっていない。ほぼ同時にウルトラマンも現れる。武器を使わないのか、という素朴な疑問についても分かっていない。おそらくは将来の植民にあたって、地球の自然に悪影響を与えてしまうといった環境配慮なのだろうとは推測されている。科学特捜隊は何をやっているのか、もちろん、ミサイル等を使った攻撃はしたのだが、何せ体の主成分が鉄なのでダメージを与えられないし、市街地に出現するので住民を巻き込むような大規模な攻撃はできない。そして、ウルトラマンに誤射してしまったこともあるが、ウルトラマンには相当のダメージを与えてしまうのだ。また、大事なところはゼラブ星人は住民に危害を与えていない。あくまで相手はウルトラマンに限られている。一説では、既に日本政府とゼラブ星人は取引をしていて、人間に危害を加えないという確約をもらっているようだ。なので、今ではゼラブ星人が登場しても、ウルトラマン以外は誰も手を出したりしない。
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2022年12月30日
ウルトラマンジャック(3)
隼人は漸く気が付いた。人間に戻ったところで、隼人の体を使っているのだが、どうやら隼人はそのウルトラマンでいるときの記憶もないし、また戦いによるケガも全くない。最初に説明しておかなければならないが、怪獣も宇宙人だ。ウルトラマンというのは伝説上のヒーローだ。伝説では様々な怪獣が出没していて、各地の壁画にその戦いの様子が残っているが、今回登場する怪獣はいつも同じ、ロシアのヴィエリチカ洞窟で描かれているものと姿かたちが全く同じ、ゼラブ星人である。ウルトラマンもゼラブ星人も、身長は3m程度である。これは地球では大きいと思うかもしれないが、宇宙では標準的な大きさである。であるが、ゼラブ星人の体の主成分が広い宇宙でもどこにでも普通に存在する鉄であるため、破壊力はかなりのものがある。また、これもウルトラマン伝説とは異なるのだが、いわゆるカラータイマーと呼ばれる生命維持アラートが付いているのはゼラブ星人の方である。地球上の酸素はゼラブ星人に毒性なのだが、ウルトラマンは伝説とは違って大丈夫なようである。ゼラブ星人は地球への滞在が大体3分を超えると体に有害な作用を及ぼすようで消えてしまうが、個体差があるようだ。ただ、ゼラブ星人のこともデータが少なく、よくわかっていない。また、これも大きな誤解なのだが、ゼラブ星人もウルトラマンも、実は地球を侵略する目的は共通している。伝説でもウルトラマンが怪獣をやっつけているので正義の味方のように思われているが、単なる主導権争いに過ぎない。
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2022年12月27日
ウルトラマンジャック(2)
「隼人、しっかりしろ、おい、隼人。」
狭山湖のほとりで気を失っているのが見つかった。というか、いなくなったときは狭山湖のほとりで伸びている。彼の名は井手隼人。科学特捜隊隊員であり、ウルトラマンだ。彼がウルトラマンになったのはよくわかっていない。ある日、寝ていた時に体が激しいけいれんを起こして昏睡し、それ以来、勝手にウルトラマンにさせられているというのだから、寝ている間にウルトラマンという宇宙人が寄生した説が有力である。隊員の間では、隼人がウルトラマンだということは、隊員の間では周知の事実だ。ウルトラマンが出現したら隼人はいなくなり、ウルトラマンが倒れて消えたら隼人が全裸で狭山湖にいるからだ。どうやって狭山湖にたどり着くのかは、まだ誰も分からない。ただ、ウルトラマンと怪獣が戦っている様子は防犯カメラでとらえられ、その日のうちに全国に放送されている。そのうち、ウルトラマンの正体がバレる日も来るのかもしれない。そう思うと、科学特捜隊は気が気でならない。なんせ、ウルトラマンが破壊した建造物は数知れない。ウルトラマンも伝説ではスペシウム光線とか使えるはずなのだが、今は全く使わない。また、伝説ではいろいろなところに出没していたが、今のところ市街地で多く出現しているため、破壊された建造物もそれなりに多い。ウルトラマンジャックが隼人だと露見すれば、莫大な損害賠償を請求されるに違いない・・
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2022年12月24日
ウルトラマンジャック(1)
「うぉっと、現れました。われらが正義の味方、ウルトラマンです。」実況中継の割には、淡々と話すアナウンサー。ウルトラマンとその相手、ゼラブ星人が荒川の湿地帯に現れた。出現する1時間前に時空が歪み、周囲の大気が急に不安定になるので、カメラは間に合わなくとも無人撮影機が周囲を取り囲む。「あっと、ウルトラマンから攻撃を仕掛けました。蹴る、蹴る、一方的な展開だ、しかしゼラブ星人には効いていない。」実況といっても実は1時間前の光景で、モザイク処理が施されている。当初は臨時ニュースの扱いだったが、ゼラブ星人の声明によって人間に危害を与えないことがわかると、ウルトラマンとの戦いはショーの様相を見せてきた。今まで、この一方的な展開、ウルトラマンが殴る蹴るをしたところでゼラブ星人にはなんらダメージを与えていない、それだけのものだったのだが、この戦いの後、アナウンサーも淡々と話すということはなくなった。「あっと、ウルトラマンが倒れました。それをゼラブ星人が、折った、折りました、右腕から明らかにバキッという音が聞こえ、あっと、足も、足も折りました、両足です、ウルトラマン、悶絶しています、ウルトラマン、」というところで、両者はまた時空の歪みに消えていった。
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2022年12月14日
月光仮面は誰でしょう(5)
と、考え事をしていたのでそのうちの一人が走り寄ってくるのに気が付かなかった。一瞬だった。ビリビリビリと衣を切り裂くような音がしたと思うと、その男は白いボロキレと化したものを持って反対方向に走っていく。もはや、顔は目鼻を除いて隠しているが、そこから下はすっぽんぽん。バイト先に用意されたパンツがあるし、蒸れて汗疹ができないように、シーツの下は何も履いていなかったのだった。周りではやし立てていた者は腹を抱えて大笑いしている。「返せよ、それ!!!」と追いかけるけれど、ボロキレを持った側は余裕で等間隔で逃げていく。異国の言葉なのでよく分からないが、下半身を指さして、ゲラゲラと笑い転げている。見ると、小さいながらもきちっと勃起していた。マッチョなのに小さいから嗤われているのか、勃起しているから嗤われているのか、・・どっちもだろう。追いかけられている奴すら笑いが止まらない様子。笑いすぎて走りも覚束なくなったので、ようやく追いついて取り返す。しかし、引き裂かれてしまったし、帯があるわけでもないからスリットというか、手で押さえていないとケツ丸出しになってしまう。と、急に皆が散り散りになって逃げだしていった。左腕を三角巾で釣った男は、三角巾自体を投げ捨てて一目散に逃げて行った。まあ、何も取られていないし、と思って振り返ると、警察官が数人で降りてくるところだった。逃げる?どこへ?
「君、ここで何をしているの?」
「何って・・」
「いや、通報があってね。不審者に追いかけられている人がいるって。名前は?」
「月光仮面・・です。」
「あっそう。交番で続きを聞かせてもらおうかな?」
月光仮面は、警察署の薄暗い個室で一晩を過ごした。
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2022年12月10日
月光仮面は誰でしょう(4)
常磐線の鉄橋下は、前は白髪の長髪のホームレスがいたのだが、いつの間にかどこかに行ってしまい、半ば壊れた段ボールと傘とかラジオとかのガラクタが残っていて、ひび割れたコンクリートから水が染み出していて、デコボコになった舗装に水たまりを作っていた。古びたサドルのない自転車の脇に、左腕を三角巾で吊った男が座っていた。「おいこれ、どうしてくれるんだ?」「お前がやったんだ。」と周りの若者たちが言う。しかし、よくよく見ると、見た感じは大人びているとはいえ中学生から高校生くらいで、あの骨折したらしい男も口ひげを生やして老けてみえるとはいえ、同じくらいの年代なんだろう。「というかさ、お前、その服、何?」さすがに異様な、ガンジス河のほとりにいるインド人のような布切れを巻いただけの服にケチをつけた。「こいつ、金、ないんじゃねーの?」「貧乏、貧乏、貧乏仮面。」「インド帰れ。」と、囃し立てて、河川敷にいくらでもあった石つぶてを投げてきた。隙を見て逃げようとしていたが、浩輔は体にまとった筋肉量が重いので、生意気なこいつ等を走って撒く程、足が速くはない。逃げようとしたところでまた追いつかれてしまう。ここは素直に謝って、金で解決した方がいい。
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2022年12月08日
月光仮面は誰でしょう(3)
数日後、いつものように荒川の自然堤防を、自転車は壊れたのでバイト先に向かって歩いていると、「月光仮面、おい、月光仮面。」という声が聞こえてきた。振り向くと、この前投げられたよりも太い、金属製の重量感のあるチェーンが飛んできた。顔のあたりに富んできたので、咄嗟に左腕で防いだが、チェーンは巻き付くように顔を一周半し、髪の毛に絡まったのとチェーンの遠心力とでバランスを崩して倒れ、自然堤防にかけられた階段の手すりをつかんでかろうじて落ちるのを防いだ。見ると、この前の不良どもだが、ヌンチャクとか、三節棍、分銅鎖を持ってこちらに迫ってきた。逃げようとしたが、タックルで倒されると、他の不良どもも追いついてきた。5,6人に囲まれ、「おじさん、少し遊ぼうよ。抵抗すると、痛いよ。」若干、怪しい日本語で言われ、まあ金目当てだろうし、物騒なもので殴られたらケガをするから、大人しく連れていかれた。
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2022年12月04日
月光仮面は誰でしょう(2)
その日も、普通に自転車で走っていると、ふいに衝撃を受けて自転車が止まったので浩輔は自転車ともども横倒しになった。「すいませーん」と何やら階段を上がってくる、茶髪の男が近寄ってきて「チェーン落としちゃって、これこれ。」金属製のチェーンが自転車のタイヤに絡まったようだ。しかし、こんなチェーンを落とすはずもなく、正確には投げつけられたのだった。下の方で笑い声が聞こえてくる。見ると、スケートボードをガチャガチャ弄りながら、3人くらいの男が、タバコを吸ったりしながらしゃがんでこっちの様子を窺っていた。「ところで、おじさん。」おじさんという言葉にはカチンときた。浩輔は大学2年なので、おそらく年はそう大差ないはずだ。「金持ってたら、貸してくんない?財布も落としちゃったんで。」下の方で、また笑い声が聞こえた。自転車に跨いで漕ごうとしたが、ふらふらする。どうも、さっきチェーンを投げつけられて自転車が破損してしまったようだ。「待てよ、おっさんよ。」自転車の後部を掴んで言った。「前に置いてあるバッグ、見せてみろよ。」さすがにイラっとして、そいつの胸をドンと両手で押した。茶髪の真ん中わけの男は、バランスを崩して自然堤防の急な斜面を転がるように落ちていった。怒号が聞こえたが、振り返らずに走ってその場を去った。
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2022年12月01日
月光仮面は誰でしょう(1)
颯爽と走る自転車、白い布切れを巻き付けてたような風采で、サングラスをかけ、荒川の自然堤防の砂利道をひたすら走っている。本人、鈴木浩輔は月光仮面と周囲がら言われていることに全く気づいていなかった。なぜ、全身をそんな恰好にしているかというと、単に日焼けをすると火傷のようになって、腫れて夜も眠れなかったりするし、服の跡がついてしまうとかえって格好悪いので、自慢の筋肉は日焼けサロンでジックリこんがり焼くことにして、外出するときはほぼ全身を布で覆っていた。荒川の河川敷は広いので、犬の散歩や野球、サッカー等のスポーツに使われるのだが、外灯がないので、夜になると人気がまったくなくなる。常磐線の橋の欄干の灯りが、この河川敷の行き止まりのサインであり、そこを降りたところにバイト先兼トレーニングルームがあった。バイト先はパンツ1枚なので、バイトと下宿先との往復は、自作の、遠目で見てもぼろ切れをまとっているようにしか見えないが、近くで見ればすぐわかる、古くすり切れた白いシーツを加工しただけの、簡単に言うとシーツから頭と手先足先が出ているだけの格好で、頭からは枕カバーを加工して、ただ目鼻が出ているだけのものを着用していた。こんな格好なので、月光仮面というのは正義の味方というよりは変質者紛いの言い方であった。
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2022年11月20日
雑記帳(2022/11/20)
どうも、小説をアップしていないのに雑記帳ばっかりアップして恐縮です。正直なところ、小説はアップしていないだけで結構書き溜めてあるのですが、イラストの方が・・卑猥になってしまっているのと小説とうまく噛み合わないというか、噛み合わせないイラストを描いているのがそもそも悪いのですが、そういう事情で、小説は粛々と載せていきますが、イラストは、pixivに基本的に載せるつもりでいます。健全なイラストではないし、どうしてもって人だけ見ればいいというのもありますが、見た反応も知りたいというのがあるので。あと、既存の小説のブラッシュアップ版もそっちに載せる予定です。(簡単に言うと、この小説のクライマックスをより詳細に書いてイラストに寄せる感じ。)どれを書いたかは「ブラッシュアップ概要」に載せますので、刺激が足りない、刺激が欲しいという方はどうぞ。より、フェチズム寄りになっています。ちなみに、見るのはもちろん無料ですが、意向調査(要はコメント必須)を兼ねているのでマイピク申請(プロフィールから申請できます)が必要です。期待外れだったらごめんなさい。
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2022年11月19日
ブルースリーに恋して(6)
エリック、無事に政治大学の修士号を取ったらしい。・・英語の論文。政治用語が難しくて全然わからない。今日はバスケ友達とワイワイやっている。俺に抱き着いてきた。香港のスターバックスはこんなうるさくしてても文句言われたりしないのだろうか。俺は大きな旅行カバンを持って。今日で香港もお別れだから。バスの時間なんてないけれど、そろそろ行かないと。エリックに悲しい顔を見せたくないから、友達にメモを渡して、トイレに行った隙にそっと席を立つ。空港行きのバスに乗り込んだ。なんか切ないよね。エリックと二人きりであんまりイチャイチャしたことなくて。だって、いつも友達と一緒だし、あんなんだからいい雰囲気になんてならないんで、手さえつないでいない。JALのカウンターで荷物を預け、ゲートに。まだ2時間くらいある。早く来すぎたね。俺っていつも即ヤリなんだけど、こんなに翻弄されるとは、これが愛・・そうだわ、写真の整理をしないと。携帯電話を取り出す。肩を叩かれる。振り向くと指でつっかえ棒。え、エリック??え、ここ、出国ゲートなんだけど。どうやって入ってきた?何、さよならを言いにやってきた?口を突き出している。いや、こんなオープンスペースで無理だけど。ああ、ちょっと股間揉まないで!ニヤッとして、手でその大きさを表している。そりゃ、健康な男なんで。あ、俺もエリックの股間を触ろっと。固い。と、彼の唇が俺の唇と重なって舌が入ってくるのと同時だった。空港でディープキスかよ。俺、この飛行機に搭乗するのよ?!後で聞いたら、エリックは空港で案内整理の仕事をしているから、中に入る身分証を持っているんだそうだ。にしても、出発便なんか知らないだろ。羽田か成田かすら言っていない。俺のこと、結構探したよね・・。というか、いつまでディープキスしてんだよ。と、エリックが走って、それこそ全力疾走して、視界から消えた。携帯に着信。動画?さっきの俺とのディープキスシーンじゃん。撮っていたの??ま、東京に帰ったらゆっくり見ようっと。というか、キスだけで俺、メロメロなんだけど。キスってこんなに心を奪われるかね。帰り間際にそれはないよ、エリック・・。
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2022年11月17日
ブルースリーに恋して(5)
おいしい店があるんだと言って、颯爽と歩きだす・・後ろ歩きして俺とぶつかったけど。あの、ボケが多すぎるんだよね。香港人のボケに、俺、東京出身なんでどう対処していいか分からないんだけど。「先生、やめてください。」ここで、彼が初めて日本語で言った言葉。なぜぶつかっておいて、そんなことを言うのか分からなかったが、その後も何回かその言葉が使われる。意味はよくわかっていないようだけれど、エロいシーンに使っているようだ。なんやかんやで点心の店に。香港っていえば点心だよね。お茶・・急須から直接飲もうとしている。止めなければ飲んでいるんだろうか。火傷するけど。写真ないし、何がおいしいんだか分からないし。お薦めは?自分を指さしている。疲れてきた。政治の話とか全然しないんだけど、本当に。双子の弟とかなんだろうか?昨日、香港人を裁くのに中国本土に移送するなんて、回収(返還といわずに回収と言っていた)時に香港に保証された自由を蹂躙しているとか、その口で話していたんだけど。・・俺とヤリたいんだろうか?ま、そうだよな。イケメンがただ旅行中の俺をひっかけるわけないもんな。タイプを聞いてみる。何、そっちも教えろと。3つ書くことに。何だろ。というか、俺はイケメン、マッチョ、デカチンしかないが、香港人にデカチンなんて期待しちゃいけないし、腹筋かな。6パック腹筋にしておこうっと。で、メモを交換する。エリックのタイプは、誠実で、優しくて、実行力のある人、え、俺のメモ、ちょっと返してくれない?書き直すから。すごい軽蔑なまなざしで見られている。うわ、大失敗した。俺って、エロ日本人じゃん。で、俺がタイプだと言っている。どうしよ、不誠実100%なんだけど。
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2022年11月15日
ブルースリーに恋して(4)
その翌日昼、早速尖沙咀のプール脇の公園で待ち合わせ。修士論文書いているところで、授業はないからいつでも会えるんだって。鳥がいるところでって言うけど・・たくさんいるんだけど。フラミンゴか。上に網がないけれど、フラミンゴって飛べないんだっけ?「グァァ、グァァ。」後ろからも鳴き声が。ペリカンとかか?まあ、いいや、フラミンゴってきれいだから人気だよね。万国共通・・。「グァァ、グァァ。」ん、近い、すぐ後ろ?振り向くと、鳥らしきポーズをしたエリックがいた。何、数分前からその声聞こえてたぞ。腕をぼりぼり掻いている。藪に潜んでいたから蚊に刺されたらしい。「キダリゴイッソ?」俺、韓国人じゃねーって。「待った?」いや、待ってたのは君じゃなくて?階段にわざとらしく躓いて、俺にもたれかかってきた。「先生、すごい。」あの、エロビのセリフだよね?それって字幕とか付いてないの?というか、ゲイビじゃなくて普通の学園物のエロビだよな?ああ、ちょっと今、股間とか触らないで!!舌なめずりして、手でその大きさを示している。いやいや、イケメンが抱きついてくるから、そりゃ自然現象・・ダメだわ、顔、真っ赤っかになってしまった。何を食べたい?何だろうね、中華・・手で輪を作って大きな口を開けて、明らかにフランクフルト状のものを頬張ろうとしている。これってあれだっけ、ハッテン場の中なんだっけ?というか、昨日の反中国の政治的メッセージを強く持った好青年はどこに消えた?別人物?香港警察に逮捕してもらえ。
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2022年11月13日
ブルースリーに恋して(3)
出会いは銅羅湾で。15時と遅い時間だったけれど、機内食だけしか食べていなかったから、下午茶セットのある適当な茶餐庁に入る。ガラガラだが、店員は全然寄ってこない。で、空いている席に座ると、ここじゃなくて向こうだという。最初に言えと思いつつも座るとその隣だと。相席?人いないのに?は?と思ったけれど、まあ向かいの彼がイケメンだったから、まあいいや。相手が嫌じゃなければね。「アンニョンハセヨ。」話しかけてきた。韓国人か。「アニ、チョヌンイルボンサラミエヨ。」というと、英語になった。というか、香港人だわ。韓国に留学していたんだそうで。名前を聞いてきたから、こっちも聞くと「エリック」だと。あの、俺、本名名乗っているんだけどね。まあいいや。女性の店員がアイスコーヒーを持ってきたが、まあ置き方が雑なので、テーブルにこぼれる。で、布巾で拭いたりもしない。なのにツンと澄ましてあっち行っちゃうし。「香港、嫌いになった?」いや、慣れているし、嫌いだったら来ないよ。何しに来たのか聞かれる。うーん、男探し・・なんて言えないから、観光だというと、一人で?と。ま、お茶を濁していると、なんかオバサンの顔にバツが書いてある厚紙を渡される。これからデモがあるんだとか。裏には「反送中」と。なんでも、法律が悪く改正されるから、それに反対の行動を起こすんだって。イケメンなのに難しいこと言うね。若い人って政治なんて興味あるのか聞いたら、政治大学の修士課程に通っているそうな。そ。時間だからって、彼は先に席を立った。そういえば、人が増えてきたような。焦げたソーセージに卵の黄身を絡めて食べていると、携帯が震えた。見ると、ゲイアプリのメッセージ。写真見たら、さっきの彼か!後で会おうって書いてある。なんだ、ゲイかよ。相席もたまにはいいことってあるんだな。
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2022年11月11日
ブルースリーに恋して(2)
15時、スターバックスで友達と合流。エリックは友達が多いらしく、毎回いろいろな友達に紹介される。エリックはその中でも格段にイケメンだし、盛り上げ役なのか、何か言うと皆が笑っている。俺は広東語が全然分からないからよく知らないけどさ。というか俺に抱きついてきたりまとわりついてくる。あの、オープンなの?って聞くと、皆ゲイだから大丈夫だと。いやいや、尖沙咀でこんなゲイ丸出しの行動していていいのかって意味なんだけど。今度はアチョーとか言って何やらやり出した。あの、スタバなんだけど、昼下がりの。周りの人、もう友達だけではなく周囲の人まで笑っている。あ、ブルースリー?にしては全然足が上がっていない。もっと足を上げろと言われているらしく、足を上げようとしても、地面と水平どころかせいぜい30°くらいにしか上がっていない。皆、バドミントン帰りなんだそうだ。香港では広い土地がないからか外が暑いからかよく知らないが、室内でやる競技が流行っている。バドミントンなんて、日本じゃ子供ややっているのを見るくらいだけどね。肩をたたかれる。振り向くと・・指でつっかえ棒?久方ぶりにそんなことをされた。香港も日本もそういうの、変わらないな。
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2022年11月09日
ブルースリーに恋して(1)
「何してんの?」
「寄り目。」
どこで覚えたんだ、そんな日本語。エリックと勝手に名乗っているが、彼は純粋な香港人、本名は何志強。まあ、香港人って元イギリスの植民地だったかなんだか知らないけれど、勝手に自分で英語の名前を付け、そしてそれを友達は普通にその名前で呼び合う。何とも理解できない風習だけど、俺だけ志強とか呼ぶわけにもいかないし。ま、別に俺、日本人だからそこまで気にかける必要もないんだけどさ。と、彼が俺の頬を抓んできた。
「何?」
「何何?」
エリックは俺と出会ったときは全く日本語がしゃべれなかった。いや、しゃべれたな。「先生、止めてください。」って。出典が不明だけれど、どうもエロビらしい。それって何のエロビ?学園ものなのは間違いなさそうだけれど。俺が日本語をしゃべると、意味が分からないくせにすぐに真似してくる。今度は両目を右に寄せている。
「寄り目。」
多分、目をどっちかに寄せれば寄り目だと誤って理解いるのかも。そうそう、エリックはなかなかのイケメン香港人。いや、伝わらないよね、こんなんじゃ。プロマイドがあったらずっと形見離さず持ち歩きたいというか、カッコいいんだけれど剽軽で、ちょっとでもこっちが黙っていると笑わせにかかる。
「上げ眉毛」
と、器用にも片方の眉をピクピクさせている。上げ眉毛なんて言葉あったかな?俺も自信がない。エリックは香港人なので広東語を使う。もちろん俺は広東語なんて知らないし、エリックも全然中国語は通じない。広東語だって中国語だろと思うかもしれないけれど、もう全然違う。そもそも漢字から違う。ま、香港なんで英語が通じるからいいんだけどさ。
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2022年09月19日
眠らない街バンコク(7)
手と手を取り合って、踊っているというより踊らされている。熱気がすごい。昨日の店と違って冷房が効いてはいるんだけれど、ムッとする熱気がカラダから発散されてくるから結局暑い。サムット、シャツを前からめくりあげて、ほぼ半裸になった。なぜ、こんなにエネルギッシュなんかね?あきれた感じで見ていると、え、俺も?ワイシャツなんで、無理だから。脱がないとノリ悪いみたいな感じなんだろうか?俺、3万円もするシャツ着てきたんだけど。周りも脱ぎ始めているし、皆、日本人がどうすんのか気になっている様子だし、ああ、ちょっと乱暴に脱がさないで、高いシャツだから、自分で脱ぐからさ。俺、そんないいカラダしていないんで、こんなゴーゴーボーイ紛いのことするんだったら、カラダを絞ってくればよかった・・って首?腹も?笑われている。だから、脱ぐの嫌なんだ・・ってキスマーク??ガッツリついている。いつの間に?!?たぶん、サムットと激しい夜を過ごしたことがバレてるな。・・それ見せようとして脱がせたよねぇ?ワイシャツ着よっと。と、サムットが俺の手を引いて隅のテーブル席に座らせると、カクテルを2つ持ってきて俺をジッと見つめている。カラフルなライトが彼のムキムキなカラダについた汗に反射してキラキラと煌めいている。セクシーすぎるけれど、昨日もあったな、こんなシーン。デジャブ?夢?「疲れた?ホテル戻る?」だって、ホテル戻ったらもっと疲れることをするんじゃないの?今日も眠らせてくれないんだろうか。日本までカラダが持つだろうか。え、今度は東京で会おう?じゃ、決まったら日程教えてくれない?それまで禁欲しとくからさ。
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2022年09月15日
眠らない街バンコク(6)
朝食を屋台で食べてからまたホテルに戻って寝転んで・・ハッと起きて時計を見たら、19時だ。バンコク来ているのに、昼間何にもせずに夜になっちゃった。起きたら起きたでまた・・精力剤欲しい。もう、今日一日セックスしかしていない。もう23時半・・だから、東京だったら25時半。と、サムットが「クラブ行こうよ。」と。ここから歩いても5分くらいのところにあるんだそうで、出会ったところとは違うらしい。俺は7割方不賛成だったんだけれど、いや、違うよ、本当に俺、別にもっとセックスしたいとかじゃなくて、逆。疲れてたんで。クタクタなんだよ。鏡を見る。俺って頬がゲッソリしてない?でも、バンコク来たんだし、ってことで渋々行くことに。だってホテルに来たのは何のため?って感じだしさ。いや、タフガイだと見た目から思っていたけれど、こんなにもタフガイだとは思ってもみなかったから。で、ホテルを出ると・・手をつないできた。何、サムットって図体デカいのに、不思議とそういうところある。で、組んだ手の上からキスをしてきた。本当にいい男。タダでこんなことされちゃっていいのだろうか?金を払うと、まずは人をかき分けて・・ドリンク?そういえば、入場料と一緒にドリンクチケット2枚付いていたからもらったけどさ、昨日もそうだったけど、何、これ?何のカクテルなのかしらないけれど、どれもかき氷のシロップのような色をしている。酔わないね。ぬるいし。腹減ったんだけど。え、踊ろう?俺、踊りなんて無理だよ。って強引に連れて行かれる。お立ち台、結構な人がいるけれど、壇上から見下ろすのって気持ちいい。
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2022年09月12日
眠らない街バンコク(5)
知っている限りのいろいろな技巧をお互いが繰り出して、心ゆくまで楽しみ、そして燃え尽き、二人して大の字に寝る。彼はここで寝てから帰ると言うから、寝るのはいいんだけど、喉だって渇いたし、小腹も空いたしさ。冷蔵庫に入れてあったのは飲むヨーグルトとか乳酸菌飲料とか、腸には優しいんだけれどかえって喉が渇くものしかない。だってこんなにいろいろしたし、みたいな、まあ、よくよく考えてみると、俺が誘ったと言うよりは誘うように仕向けられたと言う方が正確だな。外に出ようってことになって服を着る。タイ人に限らず東南アジア系って背丈が小さいってイメージがあるけれど、サムットは身長は180cmくらいあって、肩幅のある分すごく大きく見える。で、着ている服が、胸のところがザックリ開いていて、もう胸の谷間、その男の胸の谷間って伝わるかな?脂肪がほぼないと大胸筋が胸に貼り付いているって感じでクッキリ浮き出るんだよね。たったこれだけの情報しかないのに胸が厚いってわかる服、胸のところだけパッツンパッツンじゃん。その服を作った人が罪だよな。その上を血管がバイパスみたいに走っていて、もうそこに目が行ってしまって目眩がしそう。パンツ履く時が・・まあすごいよ、これ。あのさ、あのさ、タイ人のアソコ、知ってる?どこの国が一番大きいかとか知らないけれど、サムットはすごいよ。棍棒。マジかよって。殴られたらケガをするんじゃないかってくらいのメガトン級。ここまでくると、無敵というより、かえって何していいやらわからない。しゃぶるとか入れるとかいうんじゃなく、もう一ステージ上のことを考えないといけないわ。俺ってヨダレ出てない?大丈夫かな?
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2022年09月09日
眠らない街バンコク(4)
で、・・いや、俺は観光で来ていて、近くのホテルに泊まっているんだって言ったら、じゃ、遅い時間だから泊めてくれって向こうが言うから、全然、下心がないけれど、会ったばかりだけど、ホテルに連れだって戻って、シャワー浴びて、後のことは言うまでもないじゃない?友達がドア、ドンドン叩いてきたから、「具合悪いんで寝てる。」って、ドアの前にいるのにも関わらず真っ赤な嘘のメール書いて、・・友達ってこんなもんだよね。ま、さっきcold,coldって言っていたのが嘘のよう。寝させてくれない。タフ過ぎるし、超相性良くない?で、俺が彼に甘えようかと思ったら、なぜか彼の方が俺の胸の上で寝ている。いや、彼の方が胸なんてパンパンにはち切れそうなくらい厚いから、俺が寝たいんだけど。鳥のさえずりが聞こえてきたのでカーテンを開けたら、もう朝だわ。顔も今でははっきりと見えている。肩幅が広く、逆三角形の体型をして、広い背中には真っ赤な彼岸花に囲まれた仏像が座っている。すごい芸術的で緻密に描かれたタトゥ。ピチピチでツルツルの肌にもったいないんだけれど、ツルツルだからこそこんな絵が映えるんだな。顔も本当にタイ人?パッと見が韓流スターで、もうとろけそうなんだけど。そしたら大きな手で俺の顔を挟み付けて、唇をこじ開けて舌を入れてきた。もう心もカラダもメロメロだわ。好きにしてよって感じになってくる。ディープなキスをして、そして股間が弾けるように上向きになったところで・・何回目だっけ?本当に終わりがない。寝ないの?
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