ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

優先順位(6)

ある日、和明に、明日は来るか聞かれた。来ないと思うけど、何でって答えたよ。明日のことなんて分かんないじゃん?和明は、そうかって悲しげな眼で俺を見た。俺は何だコイツって思って帰った。別に帰ったって会話ゼロ。子どもは寝てるしな。部屋も別々、家庭内別居って奴だよ。
次の日は、何も言わずにいきなり行ってみたんだ。浮気してんのかって思ってね。だって、よくよく考えてみたら予定聞くの変じゃん?入ったら、小さなテーブルの上に缶ビールとケーキが置いてあった。
出会って1周年だって言うんだ。もうそんなになるんだっけ?だから何だって感じだけどね。ケーキは出ていたから、食べて一戦してから帰ったよ。
ある日、帰ろうとしたら、和明が泣いているんだ。変なのって思って、その日は帰った。1週間後に会って、また帰ろうとしたら、また同じように泣いているんだよ。何でか聞いたら、もしもう来なくなったらこれが最後と思うと悲しくてだって。笑っちゃうだろ?杞憂だろ。妻なんて泣くどころかずっと無表情だぜ?
そのうち、和明とばっかり会うようになって、家にも帰らなくなったよ。愛おしくなってさ。離れられなくなったって奴だね。
でも、妻から久しぶりにメールが入って、どうでもいいやって放っておいたら、今度はお袋から電話があってさ。親子で無理心中を図ったって。妻は胃洗浄して睡眠薬を吐き出したから命に別状はなかったけれど、まともな会話ができない。精神がおかしくなったんだ。子供は死んだ。まあ、俺の遺伝子を受け継いだ子供なんて、いない方が良かったかもしれないな。
葬式を済ませて、一段落してから和明のところに行ったよ。俺と一緒にいても不幸になるだけだから、清算しようと思って。でも、遅かったよ。鍵を開けたら、和明がぶら下がっていた。いつからこうしてぶら下がっていたんだろうな。テーブルの上に、メモが残してあった。ただ、「今まで、楽しかった。ありがとう。」って書いてあった。あれで楽しかったんだ、和明にとっては。

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とことん付き合って・・いけるか、俺?(1)

「ここは?」
「気持ちいい。」
「こことここはどっちが気持ちいい?」
「さっきの方。」
「では、ここを舐めるのとこう指先で触られるのは?」
「うーん。」
「じゃ、これは?」
かれこれ、1週間ほど、こんなことの繰り返し。努の、一番気持ちがいいセックスは如何なるものかという、俺にとっては確かに願ったりかなったりみたいな感じも最初はしていたんだけれど、こんな実験みたいな感じでノートにまとめられてもね。
医者の問診を受けているような感じで、最近は感じる感じないの話から大分外れてきたんじゃないかなって思えてきた。もういいよって言いたいところだけど、誠一郎にもういいなんてことは存在しない。やり遂げるまで続けるだろう。
最初に変だなって思ったのは、名前を誉められたとき。俺の名前は小林圭介っていうんだけれど、とてもいい名前だねって。そんなこと初めて言われたし、お世辞にしてもよく分からなかったから聞いてみたら、左右対称で、真ん中から折り曲げても同じだからって、リアクションに困る理由で。
努はすごくいろいろなことを知っていて、いろいろ相談にも乗ってくれるしアドバイスもしてくれて、そのうちに相談相手から尊敬できる人に、そして恋愛対象に変わっていったんだけれど、どうしてこんな完璧な努がモテないのかなっていうのが分かった。完璧主義者だからだ。相手に求めるわけじゃないからまだいいんだけどさ、完璧に付き合わされるってこんな気分なんだなって思って。
「何、ここ昨日は感じていたけれど、今日は感じないんだね。」
「え?」
「ほら、ヘソから真横の脇腹の、この辺り。」
「うーん。」
そうじゃなくて、考え事をしていたからだよ。その要素も含めて、考えた方がいいんじゃないかななんて言うと、今日はこれこれについて考え事をしててとか言われそうで、永遠に俺のGスポットまで辿り着けないや。まあ、俺のためなんだし。俺のためなんだっけ?努の知的探究心を養っているだけでは?
そもそも、努自身はどこが気持ちいいんだよって感じだよね。俺もした方がいいんかな。ま、つけ入る隙が全然ない。。。
「今日は体の具合は良くない?疲れているとか?」
「え?」
「今日は昨日感じているはずの場所が感じていないから、これはきっと身体の不調ではないかと思うんだよね。例えばストレスとかさ。」
ストレスだとしたらこれじゃないのかな・・。

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優先順位(5)

きっかけはよくある痴話喧嘩だよ。実に些細なね。だってさ、セクフレのうちの一人、和明と昵懇の仲になっちゃってさ。カラダだけじゃなくて心もつながりたいって奴で。でも、それは仕方ないことじゃないか?俺の心はぽっかり空洞が空いているんだぜ?ダイソンの扇風機みたいな感じで。穴が空いていたら埋めようとするだろ?それがたまたま和明だっただけのことさ。
けど、俺も年甲斐もなくのめり込んじゃってさ、アパートを家の近くに、和明のために借りたんだ。違うか、俺のためにだな。最初は、和明は俺が会いたいときに会えるようにって、だから俺の名義で借りたんだよ。身勝手な男と俺を責めるのは早計だぜ?俺には家族があるんだから、やっぱり家庭を守る義務があるだろ。家長なんだぜ?そりゃそうだろ。
和明は、ずっと俺を待っているんだ。メールは俺が一方的に入れるだけ。「これから行く。」ってメール打つと、必ず和明はいるんだよ。ビールとちょっとしたつまみも用意してあってさ。それも手造りの。うちの妻なんて、俺の好みなんて聞きもしないで、ただ決まった時間に料理本に載っている料理をこしらえるだけさ。よくできた妻だろ?俺が愛情ないって分かってて、それでも料理を作るんだからさ。子どもを産んでおいて良かったよ。
和明は俺の分身みたいなんだ。分身という表現は変だな。凸と凹というか、うまくかみ合うんだよ。お互いがお互いを必要としているというかな。キスだけでもそれが分かる。風にさらわれるような、抗えないキス。けれど、病み付きになるキス。女ではとてもそんなことはできないよ。体温を確認しあうような、相手の鼓動を共有しあうような、そんなキス。キスだけでは終わらないけれど、キスだけでも俺のカラダはクラゲのようにグニャグニャしちゃうんだ。異次元空間に陥ったように、平衡感覚が取れなくなって、重力っていうものの存在を忘れてしまうんだよ。

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優先順位(4)

閉塞感がようやく解消された。今はもう、爽やかな気分。重荷が取れたと言うかね。歯車で言えば脱線した感じだけれど、それはそれで、何のしがらみもなくて回る状態。ま、最早、回っていないんだけどさ。
4,5人の、お互い何の関係もなさそうな人たちが、互いにひそめき合っている。俺のことを見ているようで見ていない。それに遠巻きだ。見えるか、俺のこと。見えないだろう。
俺にはよく見えているよ。見えないとでも思っているのか?浅はかだな。そんなに顔を歪めるな。汚いものを見るような目で俺を見るな。少し前まで、お前らと同じ格好をしていたんだからな。
警官か?眩しいぞ、懐中電灯なんかで照らすから。見えるだろ、俺のこと。俺は十分見えているぞ。

フフ、何故にこういうことになったかを教えてあげるよ。もう全てが終わったのだから。どうせ俺が悪いというんだろ?責めるな。俺は既に体が真っ二つなんだぜ?哀れだろ?
でも、もし哀れに思ってくれる奴がいたら、俺の頼みを聞いてくれ。俺のマンションで弔ってやってくれ。後ろポケットに俺のキーホルダーあるだろ?そうそう、お巡りさんよ、俺の下半身は線路の下に転がっているよ。違う違う、50mくらい後ろの方。鍵は3つあるけど、そのうちの黄金色の方。住所分からないか。
免許証のは違うよ。馬淵昇平、顔は原型留めていないけどさ、俺だよ俺、本人だよ。妻と子はいるけれど、俺の家じゃないんだ。あ、そうか、子はもういなかったんだ。そうだな、何見ればいいんだろ。

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僕の彼氏は韓国人(8)

ギチョルは朝が早い。さっさと起きて、手際よく朝食を作る。無駄がない。
ポッキーもどきのペペロを1本、ワイングラスに入れる。
もう、毎朝の儀式でね、両端から食べ合って、最後はキスで終わる、みたいな。別に普通にキスすればいいじゃんね。
ペペロデーの附録にしては大きな茶色いクマのぬいぐるみはテレビの脇に置いた。男二人の部屋なんだけど。
今日はドライブ、海が見たいと言うんで。見てどうするのか不明だが。
何やら歌いだした。韓国語でもないようだけれど、日本語かというとそうでもないような。悦に入っているが、喚いていると言うか、バラード?何?
完全に歌い切ったところで恐る恐る聴いてみた。
「何、日本人のくせに福山雅治知らないのか?有名だぞ。」
え、今の福山っすか?微塵もそんな要素なかったから。もう一度とも思ったけれど、ジャイアンリサイタルみたいなことを車内でされても困るんで。植物があったら枯れているよ。
それに、そもそもクラッシックかけてるのに歌うかね?
駐車場に止める。線からはみ出ているとクレーム。飲酒運転で免停喰らっている奴に言われたくないけど。
雨が強いし寒い。なぜ秋なのに半袖?
「海は気持ちいいね、風が心地よい。」
ギチョルの背後には、どこからか流れ着いた、中が空洞な大木の幹と、結構大きめの魚の死骸が横たわっているだけで、人っ子一人いないが。潮風が強めに吹いていて、結構寒いんだけど。
「テトラポットに登ろう。」
ここ、そもそもビーチではないんじゃないかと思いつつ、二人して登った。近くで見ると、フジツボがぎっしり貼りついていて、登ろうとして手をかけると、ちょっとヌルヌルする。
「ゴキブリ、海ゴキブリ、気持ち悪い。」
俺の手をギチョルが握る。フナムシじゃん。なかなかの小ささ。
何の変哲もない砂浜だけれど、ギチョルには何か懐かしいところでもあるのかな?ずっと海の向こうを見ている。太平洋だから、何もないよ。
「行こうよ。」
波の音しかしない砂浜を、波と平行に歩くギチョル。何だろ、この辺りは得意のカッコつけのところか?皮靴に波が微妙にかかって濡れちゃっているけど。
ギチョルの後を追う。ギチョルは捕まるまいと走る。全速力で。そして叫ぶ。「捕まえてみろよ。」
何だよ、ギチョルはやっぱりまだ子どもだ。

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耐えてみろ!(4)

ふと、攻撃が止んだ。そして、フックから鎖が外され、さっきまで一方的に殴られた相手に、抱えられるようにして誘導された。
腹筋用の人一人寝られる程度の台に寝かされて、また腕の鎖を腹筋台の脚に縛り付けた。そして決まりきったかのように、慎吾のトランクスを脱がせた。慎吾のモノは、弓形に反り返り、荒い息で波打つ腹に突き刺さっていた。
撮影機材はそのまま置き去りにされていた。でも、なされるがままに身を委ねた。グローブのロープを手際よくほどいて、トランクスを脱ぎ捨てると、小振りだけれども生きのいいモノが、上へ上へと行こうとするかのように硬直して天井を見つめていた。
オヤジは腕組みしたままその光景を眺めていた。慎吾は、ただただ待っていた。ウケはしたことがなかったのだけれども、ウケるんだっていうことが自分でも分かっていた。不安はなかった。こうなることが必然なんだと言う、確信めいた想いを心のどこかで抱いていた、そんな気がした。
トランクスをやや乱暴に脱ぎ捨て、小振りではあるけれども若干上反りになったモノが露わになった。慎吾の両足を広げられて上方に荒々しく持ち上げられた。お互いのカラダは汗まみれで、白色ライトに照らされてキラキラと輝いている。慎吾よりも細く、どちらかというとスリムで華奢な体つきで、体中が静脈が走っているかのように青白い。
けれど、手を通して伝わってくる熱が、これから数秒後に起こることを予感させた。鉄のように固く、しかし熱を帯びたモノは慎吾のケツに押し付けられた。そして、ゆっくりと、ネジを回すかの如く、押し付けられていった。慎吾は、目を見開いて相手の顔を見つめた。相手は慎吾のことに無関心なような、乾いた目をしていた。脚は両腕で挟まれて、一瞬内臓まで突き刺さるような痺れを感じたが、すぐにリズムカルな動きと息遣いへと変わった。
意外なほどすんなり受け入れた自分に驚いていたし、またこのリズムが先ほどの腹をえぐるパンチといかに酷似していることか。ただ一点を目がけて単調に、そして機械的に続けられる動き。相手の半ば義務めいた、好んでやっているわけでもないような態度、そして受け入れている自分も、拘束は外れているにもかかわらず、一連の流れに逆らえない、諦めに似た感情。いつしか相手のリズムは速くなり、軽いうめき声と共に慎吾の岩のように尖った腹の上に噴き出した。
「終わった。」
相手は何も言わずに、そのままシャワー室へ向かった。慎吾もそれに続いた。その間、ずっと無言だった。金は、事前に聞いていた額より3万円多かったが、訳も聞かずに受け取った。その後のことはよく覚えていない。家に帰った後、倒れこむように布団に入り、昏々と眠り続けた。
太陽の強い日差しが窓から差し込んで、目覚めた。長い夢を見ていたようだった。疲労は嘘のように取れ、むしろ爽快な気分だった。何か新しい一頁が始まりそうな、そんな予感さえした。腹をいたわるようになでながら、洗面所に向かった。

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優先順位(3)

「女には愛情、男には性欲、そう昇平は割り切って行っているつもりだった。いや、事実そうしていた。だが、それは相手の感情を全く考慮しないで行っていたことに気づいていなかった。」
そういうけどさ、第一さ、妻に対して愛情なんてそもそもあっただろうかって話じゃん?性欲がなく、愛情さえなくなったら、それをさ、どうして妻と居続けなければならないよ?子どもと世間体と言った、クモの糸程度の細く切れやすいつながりでしか最早なかったんだよ。お互い離れようとしているけれど、糸と遠心力でバランスよくつながっているように見える、そんな関係よ。
「男には性欲というのも、昇平の自己都合である。相手の女には性欲はないのか、相手の男には愛情はないのか、そういったことを考える視点が欠けていた。自分中心に何もかもが動いているとまでは考えていたわけではない。ただ、自分中心に回っているんだとは思っていた。本当は地球も宇宙の一部であるのにもかかわらず、地球を中心にして太陽や星が回っているのだと考えているかのように。」
いやいや、これもね、俺から言わせてみたらさ、セックスとはじゃあ何ってことじゃない?子孫繁栄でしょ?DNAを後々まで残すことじゃない?だから、女には愛情によって子孫を残してさ、女はその子孫にまた愛情を注ぐだろ?男に対してはそれがないんだから、性欲ってことになるわけだ。使い分けというか、結構しっかりした説明だと思うけど。女とは子供ができるから永遠に続いていくわけで、男は単にセックスしたらそれで終わりというか、その瞬間瞬間でしかないわけよ。生活の中に部分的に入り込んでくるのが男。性欲っていうのは生理現象なわけだから、それを放出したら、元の生活に戻るというわけで。説明するまでもない。
そんなさ、既婚のゲイなんてやたらいるんだから、難しく考えることはない。うまくやっていけると思うよ。俺は不器用な人間だから妻にバレて、それ以来実体のない生活を送っているけれど。それでも子どももいるし、いくらなんでも俺の子供であることには間違いないんだから。苦労したんだ、勃たないのを勃たせるのって大変なんだから。男側の難産って奴よ。
男は消耗品なんだって言った奴がいたっけ?女が備品、男が消耗品っていうのは間違っちゃいないよ。悲しい生き物だよ、男って。まあ、家庭を守ってきたのがちょっとセックスにシフトしてきたかなって程度で、これはこれで弥次郎兵衛のようにバランスが取れている感じが俺にはしている。俺中心だなんて、それって誤解。いろいろバランスをとるって大変なんだから。人生という平均台を慎重に渡っているのが今の俺。自己中なんて的外れだね。
ただ、最近は手詰まりというか、未来が見えないや。八方ふさがりというか、行き当たりばったりの自転車操業のような状態に人生が陥っている。歯車は狂っていないんだけれど、噛み合っている感じがしない。どうしたらいいかね?どうしようもないか。
昇平は、和室の中央で、延々と、誰もいない部屋で誰に聞かせるわけでもなく喚き続けた。蛍光灯が煌々と、数週間前から片付けられていない雑然とした部屋を照らす。数日前に食べて、3分の1程度残っていたカップラーメンの容器が倒れて畳を汚したが、意に介さず、また同じような話を同じトーンで、空中の誰かと会話しているかのように、独白し続けた。

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優先順位(2)

「昇平は朝も最近は一人で食べている。勤務先が変わって通勤に時間がかかるようになったということもあるが、以前は子どもの弁当を作るために妻が先に起きていた。
その妻も、子どもと夫の弁当はスーパーの惣菜で済ますようになり、朝もご飯とみそ汁が用意してあるので、食べたければ勝手によそって食べろと言う感じで置いてある。
家にいるのがいたたれなくなり、配達された新聞を持って行き、早めの電車に乗って、座ってゆったりと新聞を読みながら通勤するのが常となった。」

ここに書いてあることは事実ですわ。そもそもが世間体で結婚したのだから、ゆくゆくはこうなるんじゃないかくらい、俺だって予測はできていたさ。ただ、その覚悟はできていなかった。仮面夫婦というものがこんなにも辛いものだとはね。
いや、妻と出会う前までは、さほどゲイらしい活動もしていなかったさ。それどころか、5年間付き合った女性がいたんだ。恋愛対象はもちろん男だったよ、その当時から。けど、不思議とその女とはしっかり関係ができた。関係ってセックスね。ちゃんと自然に勃起したよ。
けど、今の妻には全く性的魅力を感じない。勃たない。早く孫の顔が見たいと急かされて、何とか勢いで子どもはできたさ。いや、そういうけどさ、勢いで何とかなるもんだよ。成り行きというかさ。性欲とは全くかけ離れたところでできた子どもだ。こういうのをコウノトリが運んできたというんじゃないかな?何というか、意思の働かないところでできたというか、神のなせる業じゃん?子どもに聞かせたらきっとびっくりするだろうな。いつか聞かせてやる日が来るだろうか、「お前は別にパパとママが愛し合ってできた子どもではないんだよ。」って。
妻の妊娠が分かると、俺は男とのセックスを、以前よりも増して、今までの空白を埋めるように求めるようになったってことだよ。獣のようにね。


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僕の彼氏は韓国人(7)

朝、吉野家で朝定食を頼んだんだ。ギチョルは焼き鮭と海苔定食、俺は納豆と生卵定食にしたんだ。そしたら、露骨に嫌な顔をして、
「それ、食べるのか?」
って聞くからさ、ちょっと食べてみたら?って薦めたんだ。生卵の黄身がついた納豆一粒をね。でも、口に持って行こうとすると顔を背けるんだよね。全然チャレンジ精神というものがないよ。
「腐っているし、生卵は腹を壊すから。」
っていうから、もちろん俺は全部食べたよ。そしたら、ギチョルはキス魔なのに、その日はキス一切しなかったね。
ギチョルは梅干しもダメらしくてね。一切食べようとしない。納豆も卵も梅干しも健康にいいと言っているのに、断固拒否。
食わず嫌いは良くないし、日本の伝統食文化に対する理解も進まないのもいかがなものかと思ったから、テーブルの上にあった干し梅を5,6個いっぺんにギチョルのおちょぼ口に放り込んでやったよ。
「メシル、メシル!」
って叫んで涙目になっていたよ。でも、負けず嫌いなギチョルは吐き出さずに食べていたけれど。これで梅干しも克服できればいいね。
そういや、ギチョルは銭湯とかスパ銭に行っても、基本、前を隠さない。スパ銭のときはさすがに俺も言ったよ。そしたらさ、
「隠すとは、健一、女みたいだな。」って。恥ずかしいというよりは、汚いものを見せて申し訳ないと言う気持ちからだよって言ったんだけど、何だか隠すってことがよく腑に落ちないらしい。それどころか、「女か、お前は。」って言って、俺のタオルまで取り上げたりするんだよ。いや、それじゃ、どっちかというと見せたがりの露出趣味みたいに見られない?
あと、スパ銭で泳ぐのも止めて欲しい。子どもなら分かるけれど、毛も生えたいい大人じゃん。周りを見て分からないかね?俺は他人のふりをしているんだけれど、俺にお湯かけたり、いきなりヘッドロックしたりとちょっかい出してくる。まあ、無邪気だね。まだ子どものままなんだ。アソコはグロテスクなくせに。
蚊と思うと、露天風呂入っているときに、急に肩組んできて、耳元で、
「あの二人、見ろよ。あれ、絶対ゲイだぞ。」って。
いやいや、俺たちの方が絶対ゲイっぽく見られているって。ギチョルは結構ベタベタしてくるから。距離が近いんだ。肩を組むのはまあいいけれど、電車でも俺が座っている上に座ってきたりする。ふざけているのかなって思ったら、本当に体重かけてきて座っているんだ。
食べ物のシェアも全然平気。けれど、かき氷とかさ、ラーメンも牛丼もそうだけど、なんで最初にグチャグチャにかき回しちゃうかね?で、食べるかって聞かれても、食欲がちょっと・・せっかくきれいに乗せてあるのに台無しだよ。
かき氷の口移しとかね、・・最初は抵抗がかなりあったけれど、愛情表現・・なのかな?俺は冷たいかき氷が食べたいんだけれど、これじゃ、ただのイチゴシロップだよ。。

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耐えてみろ!(3)

「ボスッボスッ。」
くっ・・左脇腹に喰らうパンチがじわじわと効いてきた。半身傾けてかばおうとするが、相手はそれを見越して打ってくる。
リング内に固定されたカメラが一台、またオヤジのところにもカメラがあって、時折モニターを見ながら操作をしている。
いくらバキバキに割れた腹筋を誇る慎吾でも、吊るされ、手の自由を失い、ただ延々と耐えるだけ、しかも崩れ落ちることさえ許されない、絶望的な状況。終わりがあるとすれば、相手が疲れ果てて根を上げるか、それとも・・

3日後、慎吾は思い切って電話をしてみた。話だけでも聞いてみようと。
先方は、ゲイ向けの広告に使うんだと、はっきり言った。カラダだけの写真で3万、顔付きだと5万、いずれも現金先払い。条件として、アンダーウェアはこちらで用意したものを使うこと、拘束時間は半日程度であることを告げられた。
ちょっと早口で説明を受けて聞き逃した点があるかもしれないのと、念を押す意味で、写真撮影だけで3万なんですね、って聞き返した。それだけだと、そしてその場で写真はお互いに確認するとの答えが返ってきた。
金に困っているというわけではないんだけれど、写真で3万は悪い話ではない。時間も融通が利くし。

「ボスッボスッ。」
この単調な動き、決して乱れず的確に腹を狙う感じ、決して強くはないが衰えない威力、当たり前だな。俺は練習台だ。相手にダメージを与えられない、ただのサンドバックだ。いや、サンドバッグより弱い、消耗していくサンドバッグ。
俺の呼吸が乱れていること、俺に余裕がなくなってきていること、でも無表情で俺の腹を打ち続ける。自分のペースを崩さずに、腹だけを狙って。

写真撮影は順調に進んだ。というのも、ただ言われたとおりのポーズをして撮るだけだ。似たような写真ばかりを撮って、チェックした。1時間もかからなかったが、それで3万円をもらった。
「本当にいいんですか?」
こっちが逆に申し訳なく思って聞いた。
「契約通りのことだから当たり前だよ。それにしても、兄さん、いいカラダしてるね。」
既にTシャツに着替えていた慎吾だが、まだ裸体を見られている感じがした。
「兄さん、腹筋がすごいね。鍛えてるんだ?」
まあ、慎吾は腹筋が特に自慢で、水泳以外にも毎日腹筋のトレーニングを欠かさなかった。腹筋のブロック一つ一つが岩でも詰め込んだかのように固く、浮き出ていた。
「でさ、広告で動画も取りたいんだわ。腹筋を殴る、ただそれだけなんだけど、8万、、いや10万でどうかな?」
「それは痛がったり苦しがったりする必要があるんですか?」
妙な質問だった。演技する必要があるのかという、何とも腹筋に自信のある慎吾ならではの発言だった。
「自然でいい、それに演技だとどうしてもわざとらしく映って、ロクな作品にならない。自然体にしていればいい。」
その回答は、それはそれで何か噛みしめると言うか、自分に言い聞かせるような感じでゆっくりと出された。


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耐えてみろ!(2)

「ボスッ。」
鈍い音が冷たい室内に響く。
擦り切れたグローブが俺の腹をえぐる。
「バスッ、バスッ。」
リズムよく、グローブは俺の腹を捕える。相手は俺の顔を無機質な目で見て、俺を腹をサンドバックのように、狙い澄まして叩く。
「ボスッ。」
俺は逃れようと腰を引かせるが、鎖で両手を拘束されて吊るされているから、逃げられないし反撃もできない。
ただ、弧を描くように、相手から逃げるだけだ。
だが、相手は少なくともボクシングの経験があるようで、ステップを踏み、リズムよく俺の腹を的確に狙ってくる。
「ボスッ、ボスッ。」
コーナーのロープには、毛の薄く中年太りしたオヤジが、両手をロープに乗せて、薄ら笑いを浮かべながらジッと見ている。
「ボスッ。」
やべぇ、気を抜いたらモロに入った。
慎吾の顔は苦痛で歪む。対照的に、金属質のライトで照らされたオヤジは、軽くうなずいてにやけていた。

10日前、自転車で15分ほどしたところにあるスーパー銭湯に行った。そこは風呂もそこそこ広く、サウナも2種類あるのだが、なぜか日焼けマシンが置いてある。
平日の午後は客も数えるほどしかいない。水曜日の午後は講義もなく、バイトまで時間があるので、週に1回はスーパー銭湯に通ってリラックスを図るのがここ数か月の習慣となっていた。
15分ほど日焼けマシンを使った後、シャワーを浴びてサウナに入った。サウナは薄暗く、特にミストサウナは視界が悪く、近くに来て初めて人がいることに気付くこともしばしばだった。
ミストサウナに入って3分くらい経っただろうか、
「兄さん、いいカラダしてんな。」
と、左手から声をかけられた。慎吾は、ここがゲイのハッテン場になっていることも知っていた。特にサウナがハッテン場としての機能を果たしているようで、ゲイ特有の強い視線を感じることもよくあった。
ただ、慎吾のタイプからは程遠い人ばかりで、今日も声のする方を見ずに、気持ちだけ会釈した。
「兄さん、そのカラダ生かして、仕事してみないかい?」
聞いてもいないのに、こちらの意思とは関係なく向こうはしゃべり続ける。
「何、兄さんのカラダの写真を使って広告作りたいんだわ。3万円払う。どうだ?」
写真で3万?一瞬心が揺れ動いたが、そんなうまい話があるわけはない。ただ、たったそれだけで済むならばという気もあった。
慎吾は水泳で推薦入学していて、寮生活をしていた。ただ、仕送りは授業料と寮費に消えて、残りは自分で稼がなければならなかった。
と言っても、朝も夜も練習で拘束され、疲れ果てた状態でできるアルバイトというのはそんなにあるわけではない。
「いつでもいいんだ、兄さんの都合のいい時でさ。興味持ったら電話くれよ。」
なぜか電話番号の書かれた紙を出して置いていった。サウナに入る前から、知らず知らずのうちに目をつけられていたのだろう。


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僕の彼氏は韓国人(6)

ギチョルはさ、寝るとき細い腕のくせに腕枕しようとするんだよね。俺を抱きたいって感覚らしい。
よく頭を撫でられるよ。ちょっと恥ずかしい。
この前も、階段登ってて疲れたと言ったら、おんぶするって言うんだよ。してもらってけど。俺重いのに、無理しちゃって。
朝さ、布団を干そうと思ったら「布団が吹っ飛んだ。」って言うんだよ。
へ?って思って。フリーズしたよ。今どき誰が言うの、オヤジギャグ。
「鮭が叫んだ。」「鹿が叱った。」「カエルが帰った。」あたりも頻出。
「熊がクマった。」(困った?)「ビンがビビった。」(ンはどうした?)とか無理があるものもあるし。何の脈略もなく、急に言う。
なんだろね。日本語ユーモア集とかに載っているのかな?愛想笑いすらできないし、どう対処していいか分からない。どうしたら正解なのかな?
逆に、若手芸人が先輩芸人に叩かれたりとか突っ込まれたりみたいなのは全然笑わないどころか、しかめっ面するよ。笑いの感覚がちょっと違うみたい。
コーヒーとタバコが好きだね。1日の半分くらいはコーヒーとタバコなんじゃないかってくらい。どっちも軍隊で覚えたんだって。軍隊って暇なのかな?
日本でタバコは高いから止めたらって言っているんだけれど、あの頻度でね。コーヒーは、どっちかというとアメリカン好き。家で飲むときはもう薄い、俺には薄くてコーヒーの味なんかしないくらい、出がらし?みたいなのを好んで飲んでいる。で、暇さえあればトイレ。俺、トイレとタバコで待たされるっての結構多いよ。
ギチョルはアメリカに留学していたって言って、俺の英語が変な発音だって言うんだけどギチョルだって、fの発音が、俺にはpに聴こえる。
「プライト」「プランス」「パイナンス」って、なんか俺には違和感があるけれど、アメリカ人にはちゃんと理解できているのかな?俺の発音ばっか変だ変だと言ってけつかって。
日本に来る直前まで英語の講師をしていたというから、ソウルの教え子たちは皆「プライト」「プランス」「パイナンス」って言っているんだろうね。

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僕の彼氏は韓国人(5)

ギチョルはさ、寝るとき細い腕のくせに腕枕しようとするんだよね。俺を抱きたいって感覚らしい。
よく頭を撫でられるよ。ちょっと恥ずかしい。
この前も、階段登ってて疲れたと言ったら、おんぶするって言うんだよ。してもらってけど。俺重いのに、無理しちゃって。
朝さ、布団を干そうと思ったら「布団が吹っ飛んだ。」って言うんだよ。
へ?って思って。フリーズしたよ。今どき誰が言うの、オヤジギャグ。
「鮭が叫んだ。」「鹿が叱った。」「カエルが帰った。」あたりも頻出。
「熊がクマった。」(困った?)「ビンがビビった。」(ンはどうした?)とか無理があるものもあるし。何の脈略もなく、急に言う。
なんだろね。日本語ユーモア集とかに載っているのかな?愛想笑いすらできないし、どう対処していいか分からない。どうしたら正解なのかな?
逆に、若手芸人が先輩芸人に叩かれたりとか突っ込まれたりみたいなのは全然笑わないどころか、しかめっ面するよ。笑いの感覚がちょっと違うみたい。
コーヒーとタバコが好きだね。1日の半分くらいはコーヒーとタバコなんじゃないかってくらい。どっちも軍隊で覚えたんだって。軍隊って暇なのかな?
日本でタバコは高いから止めたらって言っているんだけれど、あの頻度でね。コーヒーは、どっちかというとアメリカン好き。家で飲むときはもう薄い、俺には薄くてコーヒーの味なんかしないくらい、出がらし?みたいなのを好んで飲んでいる。で、暇さえあればトイレ。俺、トイレとタバコで待たされるっての結構多いよ。
ギチョルはアメリカに留学していたって言って、俺の英語が変な発音だって言うんだけどギチョルだって、fの発音が、俺にはpに聴こえる。
「プライト」「プランス」「パイナンス」って、なんか俺には違和感があるけれど、アメリカ人にはちゃんと理解できているのかな?俺の発音ばっか変だ変だと言ってけつかって。
日本に来る直前まで英語の講師をしていたというから、ソウルの教え子たちは皆「プライト」「プランス」「パイナンス」って言っているんだろうね。

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僕の彼氏は韓国人(4)

ギチョルとデパートに出かけた。細身のくせに、ドルチェ&ガッバーナのブランドを好んで着ている。ギチョルは必ず襟のついたシャツを着る。
ネクタイをするときもある。学生なのに。そのネクタイがちょっと派手目で、傾奇者じゃんかって感じの柄。正直恥ずかしい。オンリーワンというか個性を出そうとする。
あと、何かというとポーズをとる。カッコつけだ。別に皆がギチョルを見ているわけでもあるまいし。唖然とする。特に写真。写真写りをすごく気にするし、兎角ポーズを取りたがる。俺としては自然体の写真を撮りたいのに、そういうのは撮らせてくれない。
だから笑顔の写真なんかないし、あってもブレている。わざと撮らせないようにするんだ。で、口を真一文字に結んだ横顔の決めポーズばっかり撮らせようとする。昭和30年代の銀幕スターかよって感じ。
もちろん食べるところも撮らせないね。食べる前の、見合い写真かよと思うような、ガチガチの感じのを撮るしかない。絶対目の前の料理がおいしそうに見えないよ。
何でかっていうのは大体分かる。外に出る前、異常なほどのスタイルチェック。全身見て、顔見て、化粧品塗りたくって、髪の毛弄って、もういつ行くんだろうってくらい入念に自分の姿をチェックする。
で、韓国製の化粧品を使っているのかと思うと、これがまた高いイギリス製のを使っている。女でもこんなに使わないんじゃない?というか、どれが何の効果があるのかさっぱり分からないけれど。
夏のクソ暑いときでも長袖を着る神経も俺には分からない。日焼けをしたくないんだろうね。そりゃ、色が白いわけだよ。アソコは黒いくせに。
油とり紙だけは日本製なんだよね。イギリス製がないのかな?よく知らないけれど。リップもハンドクリームも気が付くと塗っている。また脂紙使ってるし。どっちが女っぽいんだよ。まあ、その甲斐あってか手なんて俺と違ってスベスベのツルツル。それでいて、「俺の方が強い。」とかいうんだから不思議なものだよ。少なくとも、肌は俺の方が強いよ。
カッコつけてばかりいやがって。外で髪をクシャクシャにしてやりたいね。殺されるかな?

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愛しているって言って(7)

夜、新宿で買い物をして、CMでやっていたホラー映画を見た。まあ、CM以上に怖い場面が出て来なくて、途中から半ばウンザリして見ていた。
悟は実はホラーとか苦手なんだなって思ったよ。ポルターガイストが椅子でガラスを割るシーンなんか、こんなに力ある?ってくらい強く握られた。かわいいところもあるものだよ。
悟がイタリアンが食べたいと言う。アルタのポポラマーマで、ニンニクをたっぷり入れたパスタを食べたら、結構いい時間に。終電にはまだまだ間に合うけれどさ、明日もあるし。
会計を済ませた後、エレベータに乗り込もうとするとき、ちょっと暗かったから、後ろにいる悟に急に振り向いて「わっ。」って大きな声を出したんだ。
悟が驚いて、後ろによろけて、階段の方まで行っちゃって落ちそうになったからさ、とっさに悟の腕を掴んだ。まさかそんなに驚くとは思わないからさ。さっきのホラーを引きずっているんだな。
俺も何かにやついちゃって、悟に「なんだよ。」って言われた。
「何でもないよ。」って言いつつ、やっぱりにやけちゃうね。自分でホラー見たいって言ってたのに。
「クラブ行こうよ。」
「え?終電そろそろじゃね?」
「いいじゃん、今日は。」
悟が言うんで、2丁目のクラブに行くことにしたよ。眠くなったら、どこかラブホにでも入ればいいし。
2階に上がると、もうドアの前からガンガン音楽が聞こえてくる。開けると、もうすごい人。たまたま吹き抜けの階段のすぐ脇のテーブルが開いていたので、腰をかけた。とりあえずドリンク、何飲む・・
「踊ろうよ。」
普段は座って静かにドリンク飲んでいる悟が、珍しい。二人で螺旋階段を下りて行った。カラフルなスポットライトが目まぐるしく動き回り、壇上で踊っている男たちとは対照的に、階段下は薄暗く、リズムから微妙にずれたステップで緩やかに、そして人にぶつからない程度の申し訳なさそうな間隔を空けて踊っている。
悟を見ると、別に特段楽しそうでもなく、周囲と同じく、何となく皆が踊っているから合わせて踊ろうかといった調子で風景と一体化している。
悟が上で飲んでいるんだったら壇上に行ったっていいんだけどさ。俺も周りを見渡しながら、でもついついイケメンのいる壇上の方を見てしまうけれど。
後ろから悟がそっと抱きついてきた。手を脇腹のところにあてている。あれか、俺がナンパされるのを阻止しようという魂胆か。別にナンパされたっていいじゃん。
次第に密着度が高くなる。俺の胸辺りに手が伸びる。そして俺の乳首をコリコリ。悟、それはダメだって。
というか、全然止めようとしない。人前でも構わず、執拗に乳首をコリコリされる。
「悟、ダメだって。周りの人が見ているから。」
悟の腕を取るけれど、力が入らない。結構ジロジロ見られているし。
股間に手を伸ばしてきて、俺の曲がったまま固くなったモノを撫でる。・・クラブってどの辺まで許されるんだっけ??あの、この先はトイレとか別のところで・・
皆に見られて、もうどうにでもしてくれって感じ。周りもゲイだし。というか、もうイカせて・・
ガンガン体を突き抜けていくような音楽と反比例して、メルトダウンしていく俺。
サーチライトのような強烈な光が時折俺を照らしては何もなかったかのように去っていく。
トランス状態のようにヨダレを垂らしながら悶える俺とは対照的に、冷静沈着に俺のカラダをまさぐる悟。
悟はおもむろに半パンのチャックを下げて、俺のモノを乱暴に掴んで取り出した。俺のモノは勢いよくのけ反って俺のヘソをえぐり、先から流れ出す潤沢な汁が俺のTシャツの裾を濡らし滴る。
殆ど踊ってもいないのに息が荒い。カラダが異様に熱い。全てを脱いで、生まれたままの状態になってしまいたい。
って、ん?悟、既にサイドテーブルに手をかけて、なんか飲んでいるし。え、終わり?俺は?
周囲の冷たい視線を浴びつつ、柔らかくなったモノを無理矢理しまい込んで、トイレに駆け込んだ。悟のバカ。。
 

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ハサミムシ(5)

克利の日課は2ちゃんねるチェック。今、夢中なのは照信っていうウリ専を叩くこと。以前絡んだマッサージ師が、登録先のマッサージ店とは別の、個人名で照信という名でホームページを作成しているのを発見。
アイツ、マッサージ専門と口では言いつつ、カッチリウリしてんじゃん。ハゲてるくせに。2ちゃんねるに「照信にぞっこんLOVE vol.1」って板を新規に作って、専ら人格批判を繰り広げる。1回しか会ったことないくせに、想像であること、いやないことばっかりの悪口を書き連ねる。
「照信、成人式のときには既に禿げていた。禿げは遺伝でオヤジもジジイも禿げ。」
「照信が金に汚いことはこの業界では超有名。ストップウォッチで細かく時間を図ってちょっとでも出たら延長料金徴収。」
「マッサージ技術がないから、10分くらいですぐに性感マッサージに移行。希望しなくて移行したくせにカッチリ料金はいただき。守銭奴。」
「照信の家は近所でも評判のゴミ屋敷。猫が12匹で避妊手術もせずに毎日やりまくり。照信も獣姦は当然経験済み。ちなみに猫に対しては両刀使い。」
「照信、照という字の由来は先祖代々受け継がれた禿げ遺伝子から。お天道様からソーラーパワーを得るために禿げた選び抜かれたスーパー禿げ。」
「マッサージするときの液は、もちろん自分の股間から流れ出たカウパー液。カウパー液はとどめなくいつでも流れ出ていて照信のパンツはいつもグチョグチョ。」
「高校では照信は禿げが移ると嫌われて、女子から鼻つまみ者にされていた。皮膚病的禿げだが、遺伝」
「河童の血が入っているという噂。水を頭からぶっかけると喜ぶらしい。」
同じIDで丸一日延々と批判を書き込み、レスを上げることに執念を燃やす。ただ、照信の知名度が当たり前だけれど全然ないので、盛り上がっているのは克利だけだった。
執念深さは筋金入りの克利は、twitterからとってきた照信の写真使ってイケメンゲイランキングに勝手に投稿した。まあ、twitterからなかなかの不細工な写真を持ち込んだからか、コメントに
「イケメンの意味が分かっているのか、不細工!。」
「あの、ふざけないでほしいんですが。こういう人がいると迷惑なんです。」
「日本語読めるのか?ここはイケメンであることが条件なんですよ。わかります?早急に削除をお願いします。」
と、批判が寄せられ、2ちゃんねるにも同じような批判コメントが続々と載せられた。
いつしか2ちゃんねるパワーで上位にランクイン。
とうとう擁護する奴も登場し、輝信板は盛り上がっていた。今日は擁護派のコッテリちゃんとバトル。
「照信さんを誹謗中傷するのはどうかと思います。事実ではないし。個人的な怨恨ですか?」
「出たな、コッテリ。擁護する奴は禿げ。」
「あなたも禿げているじゃないですか。人のこと言えます?」
「バーカ、コッテリふざけんな、禿げてんのはオマエだ、ハーゲ。」
「でも、腹もぽっこり膨れてて、・・おいくつですか?中年体型ですね。」
・・え?実は克利もかなりおでこが広くなってきていて、自分でも気にはしていた。ただ、腹?え?俺のことを知ってる奴?まさか、照信自身・・?
これだけ照信のことを批判しているのだから、もちろん照信の書き込むことは想定していた。ただ、克利自身のことを特定されるとは思っていなかった。
特定されれば、電話番号も知っているし、住所だってもしかしたら覚えているかもしれない。ネットに晒されたら、削除されない限り永遠に残ってしまう。
あれだけ毎日のように罵っていた克利だが、それからピタリと書き込みを止めた。
コッテリは照信自身ではなかった。2ちゃんねるに照信のホームページがあるのだが、早い段階から克利が2ちゃんねるに書き込んでいることを特定していた。
別リンクで2ちゃんねるに書いてある内容が事実無根であること、また書き込んでいる人、克利がマッサージなのに性行為を要求した過程が赤裸々に語られていた。
期限を決めて警告したにもかかわらず、批判がエスカレートして第三者がコメントする等拡大の様相を示してきたので、電話番号とメールアドレスから克利のfacebook、twitter、Lineを芋づる式に調べ上げ、そこから顔と体の写真をコピペしホームページに載せた。
それをみて、コッテリは2ちゃんねるに書いたのである。克利が知らないうちに2ちゃんねるには克利板ができ、イケメンランキングに登場するのにそう時間はかからなかった。

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ハサミムシ(4)

コンビニでレジを打つ。水道料金のシートに赤いスタンプを押して、お釣りと一緒に返す。そして、さっき入荷した雑誌の梱包を解いて、並べ始める。
「おい、ハサミムシ、ハサミムシじゃんか、オマエ。久しぶりじゃね?」
「あ、マジで!ハサミムシだ、ハサミムシだ。ウケる。」
ハサミムシ・・中学、高校を通じて俺につけられたあだ名。クラスの男子だけでなく女子も、そして顧問の先生もそう呼んでいた。
簗場とメスゴリラだ。久しぶりに遭った。成人式以来か?簗場は昔から馬鹿面をしていたが、さらに太って馬鹿度合いが増したな。メスゴリラもすげえ迫力。簗場より体重あるんじゃないか?
「何、コンビニで働いてんだ。超ウケる。」
「ハサミムシ、ちょっと禿げたんじゃね?マジか。禿げてんじゃん、コイツ。」
俺はシカトぶっこいていた。
「おい、テメー、何シカトしてんだよ。また、遊ぶか?」
「いえ、いえシカトなんてしてないです。しなければいけない仕事が溜まっているんです。」
遊ぶっていうのは隠語で、要はイジメだ。簗場の顔を見ると、放課後の鬼ごっこを思い出す。
鬼は簗場だけではなく、いつも5,6人いた。逃げるのは俺の他にもいたが、大体、俺は逃げ切ることができなくて、真っ先に捕まった。
捕まると、鬼の言うことを1つ聞かなければならない。プロレス技や柔道の技の実験台だったり、下半身だけ全部脱がされたり、眉毛を半分剃られたり、髪の毛燃やされたり、石食わされたり、まあいろいろだ。ただ、誰が鬼であろうと、それらの大半は簗場の指示によるものだった。
克利はそんなことがいろいろあり過ぎて忘れているのだろうが、ハサミムシの由来は、プールと校舎の間で鬼ごっこをして捕まった時に、壁面と地面との境に数匹のハサミムシがいて、それを喰わされたことからだった。
最初は「便所虫」と言われていたのだけれど、昆虫博士と呼ばれていた秀才からの指摘を受けて、それ以来ハサミムシと呼ばれるようになったのだ。
「久しぶりの再会なんだしよ、なんか奢れよ。」
「え、マジで?奢ってくれんの?」
何言ってんだよ、デブメスゴリラ。
「じゃあ、アッタシ、スムージー飲みたいかも。」
「俺、セブンスターくれや。」
ベトナムから来た留学生のバイトが、レジを打っていいものやら戸惑っている。
「ちっげーよ、2個ずつ。そうそう。払いはアイツだから。」
「バイビー、ハサミムシ。ちゃんと働けよ!」
簗場たちは意外とあっさり帰って行った。克利が簗場たちが車に乗り込むところを見つめている間、ベトナム人留学生は「ハサミムシ」という単語の意味を携帯で調べていた。
「今の、誰にも言うなよ。言ったらクビだかんな。お前なんかすぐクビだ。」
ベトナム人留学生にさっきとは打って変わって威勢よく言い放った。
やられたらやり返す、それが克利の信条だ。店内からセメダインと虫眼鏡を取り出し、コンビニを出て駐車場の脇にある緑色をしたフェンスの前にしゃがみこんだ。蟻の巣を見つけると、そこにおもむろにセメダインを流し込んだ。働きアリの数匹は飲み込まれたが、あとは散り散りに散らばって行った。それを虫眼鏡で追いかけた。太陽光を集中させて、一匹一匹を焼き殺していった。
「逆らうとこうなるのだ。二度と来るな。お前たちの来るところではなーい、立ち去るがよい。」
にやけながら、虫眼鏡で次のターゲットを追いかけていた。
その姿を店長の息子がすぐ側で立って見ていた。ベトナム人留学生からたどたどしくも詳細な報告を、既に聞いていた。しばらくはその行為を見つめていたが、注意せずに放っておいた。
満足げにコンビニに戻ると、事務室に呼ばれ、そこで店長から共限りで解雇ということとスムージー等の未払金の支払について、淡々と説明を受けた。

帰りに蟻の巣を見たら、セメダインは土に吸収されて跡形もなくなり、すぐ側に新たな穴ができていた。それを足で踏み潰し、「カスが!」と大声を出し、駅に向かって走った。
まっしぐらに家に戻り、自分の部屋にこもった。早速、DVDを鑑賞しようと思ったが、いつも置いてあるはずの棚にそれがない。段ボールごとなくなっている。バディもディルドも、すっかりなくなっている。
隣のおばさんが、克利のオナニーを見た翌日、克利の母親に、それとなく言ったのだった。
聞いたとき、母親はもう赤面して声も出なかった。周囲にはいい大学を出て、将来は会計士になるんだと良いことばかり言っていたので、男の裸映像見ながら全裸で騒いでいたなんて醜態を聞かされて・・
部屋に入って隠してあったDVDや雑誌、グッズを全て運びだし、母屋に運び込んだのだ。DVDにつぎ込んだ額は100万円ではきかない。自分の部屋を一生懸命探し、これはもう両親の仕業に違いないことを確信した。
鬼神のような形相で、髪を振り乱し、母屋に入るなり、
「おい、おい、DVDどうした、おい、おい。」
「知りません。」
洗濯物を畳みながら、母親は答えたが、これは明らかに知っている口ぶりであった。
「おい、知ってるな、知ってるな?おい、いくらしてると思ってるんだ、DVD。どこやった、言え、言え。」
「ちょっと、克利、やめなさい、克利!」
克利は、家の中を引っ掻き回すように一心不乱に探し回った。しかし、全然見つかりはしなかった。
半狂乱になり、ウォーと叫びながら探し回った。
隣のおばさんは、ベランダから一部始終を聞いていた。一言も聞き漏らさぬように、細心の注意を払って聞き耳を立てていた。
獣が殺される間際の断末魔のような、号泣が聞こえてきた。間もなく嗚咽に変わった。隣のおばさんは、探し物だったらそのビニール袋の中じゃないかいって、隣の家との境に捨てられた不審物を眺めつつ、未だ断続的に聞こえてくる嗚咽を聞いていた。


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デリバリー(1)

仕事が終わり、帰りがけに買った缶ビールを開けようかと思った矢先にインターホンが鳴った。
「佐川急便です。お届け物に伺いました。」
ああ、再配達頼んでおいたやつか。すっかり忘れていた。
達彦は頭を掻きつつ、不在通知書を手に取った。何だ、21時までにって言ったのに、15分くらい過ぎてる。
まあ、いいや、お互い様だからなと、缶ビールを手に取った。窓からは飛行機が羽田空港へと着陸する様子、その向こうにはレインボーブリッジが見える。
新調仕立ての白いソファに座って、缶ビールを口に付けた。
部屋のチャイムが鳴る。
「お届け物のクール便です。」
ああ、通販で日本酒注文したんだったな。30そこそこの配達員、笑顔が爽やかだ。目が合った。
「今日はここが最後ですか?」
「はい、ここで終わりです。」
いかにも嬉しそうに、白い歯を出して笑う。思わず、
「よかったら、少しどうです?ビールくらい。」
つい、笑顔に惹かれて、口走ってしまった。自分でも言った後で、何言ってんだ、俺と思ったくらい。
「すみません。これから事務所帰らなくてはいけないんで、気持ちだけいただきます。」
うん、まあ、そうだよな。達彦はうつむきながら、自分に言い聞かせた。すると、
「これ、自分の連絡先です。後で良かったら連絡ください。失礼します。」
名刺を渡され、唖然とする達彦を背にして、彼は出て行った。

耕太郎は、車内で一人、若干顔を紅潮させて運転していた。
達彦の家に行くのはこれで4回目だった。また、耕太郎は達彦がゲイであることは知っていた。
9monで近いことが分かり、耕太郎は達彦にメッセージを送ったことがあった。
ただ、耕太郎が風景写真しか載せいていないのを訝ったのか、メッセージが返ってこないばかりかブロックされてしまった。
そこには、達彦のネクタイ姿の顔写真と、均整のとれた、彫刻のような肉体美が2枚掲載されていた。
鼓動の高鳴りが自分でも分かった。ハンドルをしっかり握りしめ、幾分加速して走った。

達彦はというと、この意味をまだ計りかねていた。おそらく相手は俺がゲイだということを知っている!?
ただ、なぜ分かったのだろうか?会った覚えもないし、と、この部屋を見回したが、特段ゲイっぽい要素も感じさせない、無機質な部屋だ。
解せないが、電話番号・・見ると、営業用の携帯番号ではないらしい番号が、名刺の裏に手書きで記載してあった。
恐る恐るかけてみた。缶ビールもすっかり泡がなくなって、当初の冷たさはなくなっていた。
「はい。」
「あの、先ほど酒を配達してもらった、・・。」
「ああ、電話ありがとうございます。」
部屋に入ってきた時の、あの営業の声と同じ、威勢のいい声が返ってきた。
「で、あの・・。」
「自分、もう営業所に帰りまして、これから時間、大丈夫です。」
「あ、あの・・。」
「これからじゃ迷惑ですか?」
畳み掛けるように耕太郎は言った。向こうからかかってきた電話、このチャンスをモノにしなければという焦りがそうさせた。
「これから、じゃ、これからで。」
達彦はただそれだけいうのが精一杯だった。
「じゃ、あと10分くらいで行けると思いますから。」
10分・・か。部屋をざっと見まわしてから、ベランダに出て、タバコを吸った。落ち着こうと思ったが、動悸は全く収まりそうもなかった。


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短かった夏

ある夏の日
「ねえ、翔太。」
布団に入って宙を見つめている翔太に話しかけた。翔太は聞いているようでもあり、無関心なようでもあった。
「去年の沖縄に行ったときのこと、覚えてる?」
俊夫は右手を布団の上に乗せた。おそらく翔太のヘソの上の辺りに。いつも寝るときはこうして腕を翔太のヘソのあたりを触れていた。ただ、いつもと違って掛布団の上から乗せた。
「翔太はさ、全然沖縄行こうとしなくてさ。日に焼けるからって。そんなの、どこに行ったって日に焼けるじゃん。俺が沖縄、沖縄しつこく言うもんだから、渋々行くことにしたんだよね。」
「俺は沖縄が昔から好きだったから、翔太と絶対に行きたくてさ。旅行会社かよって言うくらい、沖縄の良さを説明したよ。でも、もう飛行機に乗る前からすっごく日焼けクリーム塗りたくってさ、俺、びっくりしたよ。空港を出たら日差しが強いからって、羽田空港から塗らなくったっていいじゃんね。飛行機の中も臭くて。」
翔太は相変わらず真上を向いていた。
「あと、そうだ。ハブクラゲ。沖縄のクラゲ。あれがすごい痛いらしいってビビっていて。酢を持って行くかどうかで揉めたよな?酢なんか現地で買えばよかろうもん。」
「でもさ、現地に行ったらネットが張ってあるんだよ。クラゲがビーチに入って来ないようにさ。だったらあの夜中の喧嘩なんだったんだろって大笑いしちゃって。」
遮光カーテンで窓も閉めきっていたが、南向きのマンションであったため、かすかではあるが陽が室内に差してきた。
「日焼けもさ、俺の世代だとガンガンに日焼けして、みんなロン毛でさ。工藤静香だって真っ黒だったんだぜ?あ、工藤静香とか知らないか。キムタクの嫁だよ。」
「だってさ、高田みづえ知らないんでしょ?みづえちゃん。若島津でさえ知らないもんね。いやー、高田みづえ知らないんだーって思ったときはさすがにジェネレーションギャップを感じたよ。」
翔太の口は、ずっと半開きのままだった。左の八重歯がちょっと顔を出していた。
「ギャップって言ったら、やっぱり歌だよな。ほら、沖縄でレンタカー借りたじゃん?ほいで、俺のiPodをかけたらさ、翔太全然知らないんだもん。俺が前の日に「夏」セレクションを作ったのにさ、知らない知らないって。名曲ばかりよ?」
「そうそう、カラオケもさ。歌じゃなくてドリンク。翔太が酒苦手って言うからカルアミルク薦めたら、知らないって言うじゃん。おいしいおいしいって飲んで、飲み過ぎて店出たらすぐに吐いていたけれど。アルコールどれだけ入っているかなんて分からないからな、甘ったるくて。」
俊夫は翔太の手を握り締めた。ひんやりとしていたが、まだ柔らかくて、まるでまだ生きているみたいだった。
翔太の眼は開いていたけれど、瞳孔はすっかり開いてしまって、まるでもう死んでいるみたいだった。
「もっとさ、いろいろ翔太と行きたかったよ。」
敏夫は涙声になって、さらに翔太に語り掛けた。
「もっとさ、いろいろ思い出を作りたかったんだよ。一緒にさ、楽しく暮らしたかったんだよ。」
段ボールが数個置いてあった。翔太が新しく借りたアパートの住所が書いてあった。
「出て行かないでくれ、出て行くなんて言わないでくれよっ!!!」
敏夫は号泣した。その頃、ドアをノックするとともに、チャイムが押された。
「ちょっとここ、開けてもらえますか?すみません、警察ですけれども。」
敏夫はすっと立ち上がった。涙もすっと引いて、何かに押されるかのように歩き出した。
「俺もそろそろ行かなきゃ。長居したよ。」
窓を開け、敏夫は14階のベランダから軽く上を見た。空は巻層雲で薄く覆われていたが、それが却って夏の強烈な日差しを遮っていた。セミの声と共に強い閃光のようなものを感じたが、それも一瞬のことで、すぐに静寂に覆われた。地面は生温かく、蟻が俺を避けるかのように通り過ぎて行った。
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愛しているって言って(6)

ベッドで茂人は悟の寝顔を見ていた。悟は寝息をスースーたてて熟睡している。悟はどちらかというとよく動く。俺がいなければ、ダブルベッドの端から端まで寝返りを打つ。
金髪で一重の色白で・・寝ている顔はかわいいんだけどね、って思ったが、それすらやばいと思ったので目をそらした。おそるおそる見て、熟睡していることを再確認。寝てる、寝てるな。
いつからそうなったのだろうか。付き合い始めた頃は、どちらかというと悟の方が茂人にベタ惚れで、ずっと一緒でずっと腕を組まれ、ずっと見られていた。風呂も一緒、トイレだって、俺が嫌がらなければきっと一緒だっただろう。
やっぱりエッチのときかな。俺らは付き合い始めてからも、エッチはなかなかしなかった。キスで、互いに何か気恥ずかしくなって終わり。いや、童貞じゃなかったよ、もちろん。けれど、純愛に慣れていなかっただけで。だって男同士の「愛」ってどう表現していいか分からないから、手探り。自分たちで、紙粘土でテーマを与えられない何かを作っていくが如く、全てが一からだったから。逆なんだよね。皆、セックスから始まるのが当たり前だったからさ。新鮮で、どれもこれも新しく見えて。視界が急に晴れ渡った、そんな感じがしたよ、あの頃は。
付き合ってから3か月経ったくらいかな。悟とベッドで横になっていたら、俺にしがみついてきたんだ。
「僕とどうしてエッチしないの?」
上目づかいで聞いてきた。
「悟との関係を大切にしたいからさ。」
「それって、エッチすると壊れるの?」
こんなかわいい声してたっけって思ったね。まあ、そんな声も今では懐かしく感じるけれど。
「俺とする?」
悟は、小さくうなずいて、
「シャワーを浴びてくる。」
と、ベッドから一旦出ていった。俺はタバコを吸って、戻ってくるのを待ったよ。悟は腰にバスタオルを巻いた姿で現れた。顔と同じで、大理石のように白く輝いて見えた。
俺、もう我慢できなくて、っていうか、やっぱり壊しちゃいけないからって我慢していたんだ。
もう、一つになったよ。というか、すぐに終わった。俺、早漏だから。。
やっぱり。そういう目で見るよね。悟って、こんな冷たい目をしてたっけ?って目で俺を見つめるんだ。というか、目で俺を責めるんだよ。
だから、エッチすると壊れるって言ったじゃないか。。
悟が、不意に俺のモノの先っちょを狙って、デコピンを思いっきりした。で、不意だったからさ、俺って「痛っ!」って反応じゃなくて、「あん。」って結構高めの声で喘いじゃったんだよね。。
ますます悟の冷たい視線が突き刺さる。顔真っ赤っかだし、モノはギンギンになってるし。
立場が逆転した瞬間だよ。そのときはどうしたか?ずっとデコピンでモノをいたぶられたよ。ずっとね。
悟はネコでも、凶暴で残忍な方のネコだよ。寝てるよな。聞かれたら、きっとどんな目にあわされるか分からないよ。。
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