ゲイなんすっけど、小説書いてみました。

ゲイ系の小説を書いてみました。素人が書く小説ですし、発表するほどのものでもないのですが。エロい内容も若干含まれていますので、気にされる方はお勧めしません。コメント残してくれるとうれしいです。

終わりの見えないデスマッチ(31)

相手は来いと手招きをしている。手馴れた感じだ。相手をしてやるぞといわんばかりの挑発。蹴りで腿あたりを蹴り、様子を窺う。全く効いていない。でも、長期戦は不利だろうな。向こうが右のパンチを繰り出してきたのと同時に、コンビネーションで蹴りを放った。リーチの長い俺の方が一瞬速かった。腕で防いだけれど、腕の筋肉が押しつぶされる衝撃を受けた。こんな化け物のような腕をしたパンチなど喰らったら、顎の骨が砕けてしまうかと思ったが、こういう場で試合したことがなかったのだろう、俺の蹴りは急所に的確に入っていた。こんなこれ以上筋肉が発達しようもないくらい鍛え上げたマッチョマンでも、金的を喰らえば猫のように大人しくなるのだから面白いもんだ。両手で急所を押さえたまま屈み込んでしまい、吐き気を催しているようで口をつぼめていた。一瞬で繊維を喪失した相手のハードジェルで固めた髪を掴み、膝で顔を何回も何回も蹴っていく。歯に当たって膝が痛むが、それに耐えつつ打ち込んだ。低めの鼻から出血し出し、弘一の膝を汚した。鼻血を抑えようとして手が鼻へといったところで、またも股間に蹴りを食らわす。

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終わりの見えないデスマッチ(30)

今日の試合はまさしく人間と言うよりはゴリラでも相手をしているかのような、ひどい組み合わせだった。プロとは言わないが、レスラーのように筋肉で覆い尽くされたカラダで、体重にすれば俺の1.5倍はあるのではないかと思われる男だった。オッズもさすがに今までにないくらいな開きになった。俺はどこか頭が朧気というか、何かガラスの破片が脳の深くに刺さったような、妙な感覚だった。試合に勝ちたいといった欲がなかった。むしろ他の人が試合をしているのを遠くで見ているかのような、客観的というか他人事のような感じで試合に臨んだ。試合が始まったが、相手には余裕がありありと感じられた。どんな衝撃も吸収してしまうだろう胸の厚み、俺の脚よりも太いと思われる胸、腹も筋肉でプロテクトされているようにどの部分も隙間なく囲われている感じだった。首から肩にかけても、こんなところまで鍛えられるのかと言うくらい筋肉が付いていて、足も棍棒なのかと言うくらいの膨れぶりだ。一撃を喰らえば致命傷なのだろうし、明らかに俺の攻撃を待っていた。掴まれても終わりだ。
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終わりの見えないデスマッチ(29)

また、智哉とスパーリングだ。日に日に智哉は、目の奥に獣が潜んでいると言うか、凄みを帯びてきた。カラダもあのスポーツをやっていて自然とついた筋肉から、脂肪を削ぎ落として筋量がそこから染み上がってきたかのような、俺のカラダと同じくらいの体脂肪量でありながら、胸の谷間の部分から腹にかけて深く刻まれる溝が顕著で、俺と似ていて否なるものを見にまとってきた。最初の頃は、かかってくる智哉を横に転がしたり、跳ね飛ばしたり、力の差が歴然として子供を相手にしているような感じだったのが、今では力は互角かもしれないがスピードはついていけなくなった。そして、寸止めをするようになったし、勢い余って当たってしまったら「ごめんなさい。」と逆に言うようになった。手加減をされているようにも思えたが、智哉はそれを否定した。以前のような、やったらやり返すと言ったような刺々しさはなくなり、互いが計算めいた、いや、智哉の目の奥にはもっとつかみどころのない何か得体の知れない怪物が隠されているかのようだった。

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終わりの見えないデスマッチ(28)

「そろそろです。」事務的な電話だった。智哉には結局このことは言わなかった。試合前には会わないようにしているが、きっとどこかで見ているのだろう。ロッカーで着替え、リングに向かうと、既に相手はリングにいた。二人とも俺と同じくらいの長身だ。奥目の方の右目は義眼のようだし、南米人の顔立ちの男も前歯が3本くらい欠損していた。コングが鳴った。義眼の奴は早くも後ろに回りこんでいる。もう一方は隙っ歯を覗かせてニヤリと醜悪な笑みを浮かべると、何かペットボトルのキャップのようなものを咥えたようだった。こっちから仕掛けた。その隙っ歯に蹴りを入れようとしたが、これはかわされた。しかし、フェイントで回し蹴りを行った。後ろは見えていなかったが、ふくらはぎの辺りがヒットしたようで、倒れる音がした。そして向かい合う。仰け反って蹴りを放ったのが良かった。相手の顔面を掠ったが、その際に霧状のものを噴き出して、その青い器具が口から跳び出した。若干目が染みたところから、目潰しのための噴霧剤だったのかもしれない。予想外のことに戸惑い、額に深い皺を浮かべてこちらを見るが、既にもう一度、今度はしっかりと重心を保った蹴りを放っていて、防ぐ間もなく後頭部を直撃し、前から倒れていった。ダウンだ。よし、と思ったが、その間に義眼はカラダを起こしていて、すぐに俺を羽交い絞めにした。しかし、俺の腕が長いというのが計算外だったようだ。義眼の下にぶら下がるモノを探り当てるのは容易だった。握り緊めていくと義眼は両手で俺の手首を掴んだ。顎の辺りを目掛けて殴ると、そのまままた倒れた。そして、隙っ歯の方は幸いなことにダウンしたまま起き上がってこなかった。ダウンを取る時間が長く感じたが、10秒が経過し、懸念とは裏腹に勝利を得たのであった。

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終わりの見えないデスマッチ(27)

「そろそろです。」事務的な電話だった。智哉には結局このことは言わなかった。試合前には会わないようにしているが、きっとどこかで見ているのだろう。ロッカーで着替え、リングに向かうと、既に相手はリングにいた。二人とも俺と同じくらいの長身だ。奥目の方の右目は義眼のようだし、南米人の顔立ちの男も前歯が3本くらい欠損していた。コングが鳴った。義眼の奴は早くも後ろに回りこんでいる。もう一方は隙っ歯を覗かせてニヤリと醜悪な笑みを浮かべると、何かペットボトルのキャップのようなものを咥えたようだった。こっちから仕掛けた。その隙っ歯に蹴りを入れようとしたが、これはかわされた。しかし、フェイントで回し蹴りを行った。後ろは見えていなかったが、ふくらはぎの辺りがヒットしたようで、倒れる音がした。そして向かい合う。仰け反って蹴りを放ったのが良かった。相手の顔面を掠ったが、その際に霧状のものを噴き出して、その青い器具が口から跳び出した。若干目が染みたところから、目潰しのための噴霧剤だったのかもしれない。予想外のことに戸惑い、額に深い皺を浮かべてこちらを見るが、既にもう一度、今度はしっかりと重心を保った蹴りを放っていて、防ぐ間もなく後頭部を直撃し、前から倒れていった。ダウンだ。よし、と思ったが、その間に義眼はカラダを起こしていて、すぐに俺を羽交い絞めにした。しかし、俺の腕が長いというのが計算外だったようだ。義眼の下にぶら下がるモノを探り当てるのは容易だった。握り緊めていくと義眼は両手で俺の手首を掴んだ。顎の辺りを目掛けて殴ると、そのまままた倒れた。そして、隙っ歯の方は幸いなことにダウンしたまま起き上がってこなかった。ダウンを取る時間が長く感じたが、10秒が経過し、懸念とは裏腹に勝利を得たのであった。
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終わりの見えないデスマッチ(26)

というのも、実は弘一に身に覚えがあったからである。この前、来て早々に見知らぬ男が寄ってきた。40前後でサングラスを取らずに、そのよく日焼けした男は、「次の試合、いつもの倍払うから、負けてくれないか?」と言われたのだ。「俺、そういうのやってないんで。」と早々に断った。別に八百長が不健全だとかいうつもりは毛頭ない。金が目当てで転んだと思われたくないとかいうわけでもない。そんな妙なプライドだったらとっくに捨てている。単に、うまく負ける自信がないからだった。俺には八百長を悟られずに試合を進める自信がない。単にそれだけだ。男と話したのはそれっきりで、試合自身は素っ気無く終わった。距離を取るための前蹴りがダメージになり、自分からリングを降りて上がってこなかったのだった。それで2人と戦えと言う提示・・公開処刑だと思えば、あの3ヶ月前のことがつながる。あの男は、あれ以来試合で見ることはなかった。あれが来週の俺の姿か。ボロ雑巾のように誰にも顧みられない俺を見たら、智哉はどう思うだろうか。あんな惨めに負けたとしたら、俺に欲情しなくなるか。でも、そんなときこそ激しくして欲しい、そう思うと、弘一はがむしゃらに智哉のそれを頬張った。口の中で、若さの迸りから急速な膨張と硬直を見せ、そして急加速的怒張は最早口外に出ようと言う力が強くなり、智哉のまだ生え揃ったばかりの臍毛に接触するくらいに反り立ち、それでもなお力が余っているかのように振動していた。そして、いささか乱暴に弘一のその部分へと突き刺した。弘一がまさに求めていた、熱い猛々しいモノで突かれると、その陰惨な気分が快楽へと転換し、上方は深く濃厚なキスで同じくつながっていた。

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終わりの見えないデスマッチ(25)

大振りでガンガン顔に右、左、右、左と連打していく。唇からか出血して胸と床は真っ赤な血の色が徐々についていき、顔も元の顔がどうだったか思い出せないほど、原形をとどめずどんどん赤黒く腫れていく。時間制限もないし、セコンドがいないからタオルも投げられない。倒れていないからタップもできないし、ダウンもできない。二人相手はこのシステム、想定外なのではないか?何か因縁でもあったとしか思えないこの光景、相当打ち疲れて動きも緩慢になってきた。相手も目が腫れて開かないのではないだろうか?顔は鬱血し、鼻よりも目や唇の方が突き出ている。これで最後と言わんばかりに金的に痛恨の蹴りを喰らわせた。もう化け物のように血まみれで腫れあがったその男は、とどめの金的で膝から崩れ落ち、床に跪いて、ゆっくりと頭から倒れこんだ。タップする気力もないのか、ダウンの10秒を以てその凄惨で一方的な試合は終わりを告げた。

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終わりの見えないデスマッチ(24)

始まった。両者が中央に向かう。一人で二人相手にするのは無理だから、一人をまず倒してからだろうな。やっぱほっそりした方からいくのかなと思ったが、向かい合っているのはこげ茶色の肌をした方だ。もう一人は90度離れて様子を窺っている、というより役に立つのかなっていう印象だ。仕掛けたのはこげ茶肌の方、顔を殴りに行って当たったのはいいけれど、長い髪を掴まれた。ボコボコにされるかなと思っていると、ガリガリに痩せた方が後ろに回り、羽交い絞めにした。振り解こうとしているが、痩せていて身長があり、首のところで手を組み合わせて外れないようにしているから難しいらしい。髪は掴んだままだったが、度重なる頭突きを喰らって意気消沈したのか、程なく手を離してしまった。

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終わりの見えないデスマッチ(23)

1対2という試合はそのとき初めて見た。2人のうちの一人は見覚えがあった。背丈は普通で全体的にほっそりしていて、肩までかかる髪、細い眉に日焼けサロンで焼いたような不自然な肌の黒さ。ホストなんだろう。借金苦か金か女のトラブルか知らないが、ホストっぽい風情の参加者もそこそこいる。俺とも対戦したことがあったが、牽制のための回し蹴りが顔に当たってしまい、それっきりダウンだった。しかし、それからも何回か見ているが、その試合に興味がないからか、買ったか負けたかということまで覚えていない。2人を相手する方は、160cmそこそこ、髪も短くて田舎臭い容貌、ただカラダつきはゴツい。肩が盛り上がって見えるのも筋肉なのだろう。胸にも一面に薄い体毛が生えている、オス力が強そうな印象。まあ、2人のうちもう1人もホストなんだろう。やはり髪が長くてアバラ骨が遠目でも認識できるくらい細い。顔も凡庸で、喧嘩もできなければ勉強もできない、取り得がなさそうな薄幸そうな顔立ちである。まあ、こんなんだったら1人でも2人でもあまり大差ない印象を受けた。

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終わりの見えないデスマッチ(22)

次の試合が決まった。相手は当日にならないと分からない。これは事前に相手と接触を試みるのを防ぐためでもあり、怖気づいてドタキャンされても困ると言うこともあるからだが、当日急に出場する者や、逆に体調不良等で都合が悪くなる者もいるから、事前通知する意味があまりないのが実情であった。全ては賭けが成立するかにかかっていて、誰が誰とという試合を見に来ているわけではないのだから。ただ、今回は2人だと聞いている。賭けが成立するかどうかなので、例えば相手がいかにも弱弱しい感じで体力差があったら、そもそも賭けが成立しない。また、急に相手がキャンセルしたからといって、不戦勝とかいうシステムはない。もちろん、全く勝運がないとはいえないが、オッズが高ければイカサマを疑われるだろう。今日も高校帰りの智哉を呼んで、実践トレーニングをしようとしたが、今日はその気力が起きなかった。「どうしたんですか?」智哉に訝しげに尋ねられるまで、考え事をしていて放心状態だった。というのも、2,3ヶ月前になるか、やはり1対2の試合を観たときのことが思い出されるのだった。

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終わりの見えないデスマッチ(21)

「治まりました?」智哉が、先ほど拳で突き上げた玉を優しく揉みほぐす。「強くなったな。」智哉の長い髪を掻き分けるように撫でる。「ケツの方がズキズキする。」元々、弘一はバックの経験がほとんどない。しかし、智哉だけは受け入れるのだった。そもそも、智哉とは、このタワーマンションに附設されているジムで知り合った。当初は黙々とトレーニングをこなしていた二人だったが、ミストサウナで一緒になったときに、お互いがお互いを見つめあい、磁石の如く惹かれるようにキスを交わしたのだった。お互いのカラダが何かを嗅ぎ取ったのだろう、そこで試合のことを聞き、そして観覧をして、試合そのものよりも弘一と言う存在に深く入り込んでいったのであった。「なぜ、試合をするんですか?」弘一に聞いたことがある。「分からない。」それが答えだった。答えになっていないようで、答えを出しているのだろう。金が稼ぎたいわけではない、もちろん名声でもない。自分の可能性をとことん試してみたいからなのだろう。ただ、優勝とか最強とか称号や権利がもらえるわけではない。試合の積み重ねにしか過ぎない。ただ、経験値の蓄積が答えで、智哉の存在はその答えに包含されている。ふてぶてしくシャープな腹の上に乗っかっている弘一のモノを手の平に乗せてみた。その先からは5分ほど前に噴水のように飛ばした後に遅れて溢れ出してきた液体が染み出していた。さっきまで静かに横たわっていたものが、また徐々に重みを増して硬直していった。「風呂、入るか。」「はい。」そして、二人は温かいぬくもりの中で、また一つになった。

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雑記帳(2017/06/03)

「終わりの見えないデスマッチ」、一応Ⅲに入りましたけど、実は今のところ42章あるので、本当に終わりが見えないです(笑)。ま、書き終わっているんですけれど書き足したりしているんで。「登場人物」「概略」はその都度書き足しています。これ、自分で見ておかないと設定を忘れてしまったりするんで、どっちかというと自分用だったりします。あと、「終わりの見えないデスマッチB」を書き始めています。泣ける金的物語?だいたいこれもストーリーの骨格はできているんで、後は書き進めていくだけなんでね。ストックばっかり溜まっている感じですね。。

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終わりの見えないデスマッチ(20)

汗で大理石のように筋肉の一つ一つが光り輝いて見える。股間に与えられた打撃に抗うかのように、その筋肉の一つ一つが万華鏡のような蠢きを見せる。それを見ながら、智哉は、野生のバナナのようにしなって固くなったものに透明な液体を塗りたくり、弘一の両足を持ち上げて拡げ、入るべきところへと滑り込ませた。二人は一つになり、静寂の中を互いの吐息だけが響き、メトロノームのような規則正しいリズムで、しかしときに激しくそのずっと奥にある何かを探究するが如く、ときに優しくシロップのような甘いけれどしつこくもない感じで互いの熱を交換し合った。それぞれ別々の動きをしていた筋肉の一つ一つが、統制力を持って均整の取れた芸術作品として融合していった。そして、荒々しい鼓動でお互いが包まれ、全身が紅潮し刻むリズムの間隔が短くなり、咆哮と共に熱情を迸らせた。また二人の個性に分かれ、甘い口付けでその別れを惜しんだ。

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終わりの見えないデスマッチ(19)

「まだまだ。」智哉は自分に言い聞かせるように言い、また、距離をとって向かい合った。間合いは智哉には踏み込まなければ弘一に当たらない距離ではあるが、リーチのある弘一には十分射程距離内だ。智哉は肩で息をしているが、目はさっきよりも鋭くなった。若干腹を庇っている様子がとれる。弘一が左フックを繰り出してきたので避ける。本気ではないフックはフェイントだ。若干足がふらついているのが自分でも分かるが、悟られないようにしている。また左フックか。次に何か来るなと直感した。右のフックが来たのでカラダを後方に倒れこませて攻撃を防ぐと共に、右足で蹴り上げた。弘一の左はやはり智哉の左脇腹を狙ったが僅差で避けられ、逆に智哉の右足が弘一の金的を直撃した。「ガッ」弘一の動きが止まるが、踏みとどまった。あの20cm近い、白いフランクフルトのようなモノが緩衝材となったのだろう。智哉は、頭から弘一に突進し。弘一の腹へ頭突きを喰らわせた。弘一の右は智哉の頬を鋭く打ったが、智哉の右は、それ以上に弘一の玉を抉っていた。仰向けに膝から崩れるように倒れて左腕をマットに付き、苦悶の表情を浮かべる弘一を見下ろす。「かわいいですね、弘さん。」
 
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終わりの見えないデスマッチ(18)

「トレすんぞ。」「もうっすか?」弘一は着ていた服を全て脱ぎ捨てる。智哉もそれに倣った。正面で向かい合う。2週間ぶりに会ったが、智哉は日に日に成長している様子が分かる。腹筋なんか、前は高校にあがりたての初々しい、板チョコのような見た目もきれいな感じの腹筋をしていたが、今では洗濯板のようなエグイ彫りをみせている。その下に垂れ下がったモノも、最近はちょっと右に曲がって蛇のようなグロテスクな形をしてきた。予め、黒いマットが2枚敷いてあり、そこが自宅兼練習場だ。先に手を出したのは智哉だ。さっき蹴りを喰らった左脇腹を狙ってフックを喰らわした。嫌がってバランスを崩したところを両足で挟み込んで倒そうとする。しかし、弘一は智哉の方へと倒れ込み、肘をその鍛えこまれた腹筋にめり込ませた。思わず両手で腹をかばうが、そのときには既に智哉の玉は弘一に握られていた。「何だ、その腹筋は見せ掛けか?」玉から離して、また等距離を取った。ゆっくり呼吸を整えつつ、智哉は立ち上がる。今度は弘一がミドルキックを智哉に喰らわせるが、それをがっしりと捕まえる。しかし、弘一の拳がまたも智哉のみぞおちの下あたりに喰い込んだ。たまらず持っていた足を離して崩れ落ちる。鈍痛がカラダの中央部から広がるように苛む。「おい、これで終わりか?」足の裏で智哉の股間をいたぶる。
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終わりの見えないデスマッチ(17)

思えば最初の試合、弘一は油断から負けを喫したのであった。練習を積んでいて、初戦の相手を見た途端、余裕で勝てる、そう思ってしまったのが敗因だった。相手はごく平凡な、髪が長めで若干痩せ気味の、どうしてここに出てきたのか分からないくらい凡庸な相手だった。瞬殺だな、そう思うのも無理はなかった。デビュー戦でもあり、華々しく勝利を飾りたかった。だから、練習していたハイキックで華麗に決めよう、そう思って臨んだ。しかし、実際始まってみると、相手の警戒は凄まじく、距離を取られた。何度か試みたが、全然当たらなかった。距離を詰めなければならない、そして廻し蹴りを喰らわすか、そう思い、踏み込んで、勢いをつけて廻し蹴りを試みたところ、相手はそれを察してしゃがみ込み、さらに踏み込んで弘一の股間へと拳を打ち込んだ。弘一にとって、初めて喰らう金的だった。ドリルで下半身を下から抉られるような、そんな鈍痛が急激に襲い、後ろに倒れこんだ。相手がさらに襲い掛かってくる素振りを見せたので、戦意喪失した弘一は自らタップをした。帰り際、浴びせられる罵声、そして飲み終わったワンカップやら空き缶やらを投げつけられ、惨めな形でのデビュー戦となったのである。振り返れば大した試合ではなかったが、今でもまざまざとその光景が思い浮かんでくる。しかし、それがあったからこそ、今があるのだ。
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終わりの見えないデスマッチ(16)

「ギャッ!!」下腹部からキリッと抉られるような痛みが全身を貫いた。「スキあり、ですよ、弘さん。」またもやニヤリとする智哉の顔が。想いを馳せていたら背後から智哉に玉を握られたのだ。智哉を軽く小突く。汗も引いて既に肌寒くなっていた。シャワーはあるがお湯が元々出ない。さっと浴びると素早く着替え、ファイトマネーと賞金を手にして、智哉と車に乗り込む。「何食べます?」「いや、今日の反省をしてからだ。」川崎市M駅前にあるタワーマンションの36階が弘一の住まいだ。東京タワーとみなとみらい地区の観覧車がどっちもよく見える。広いワンルームマンションには必要最低限の物しか置いていない。弘一が入ると、智哉はいきなりキスをしてきた。濃厚なキス、智哉はうっとりした目を浮かべている。「あっ!!」智哉は跳ね飛んで、「今日はスキ多いっすよ、弘さん。」キスをしつつ、拳で弘一の股間を殴りあげたのだった。手加減したとはいえ、やはり急所は急所である。特に油断しているときの金的は堪える。弟分の前で情けないような声をあげてしまった。「そういう弘さん、かわいいっす。」7歳も年が離れている奴にバカにされたような口調で言われると、悔しいけれど寛容な気持にもなる。

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終わりの見えないデスマッチ(15)

眉がほとんどなくて顎がしゃくれた男は、またさっきと同じことを言うと、同時にかがんで思いっきりその毛むくじゃらな股間へと正拳突きした。「グッ。」そして次に控えていたシンナーのせいで前歯が数本欠けた奴が、すぐにエナメルの白い靴を振り上げて股間を蹴り上げる。「あっつー。」定岡は甲高い声で痛みをこらえる。「止めて、ここだけは止めてくれ。お願いだ。」涙声でそう喚く。「何だよ、お前それでも男かよ。」「根性見せろや。」3発目もやはり股間を狙って蹴り上げられた。とっさに腰をクッと引いたが、逆にモロに入ったようだ。「あー、汚ねえ!!!」羽交い絞めをしていたリーゼントが定岡を振り解く。定岡は小便をジャバジャバと放出し出し、そして頭を地面につけて土下座して「ごめんなさい、ごめんなさい、許してください。」そう、泣きながら叫ぶように言った。さすがに見ていて、情けない思いがした。いくらなんでもこんなすぐに根を上げるのか。この程度の奴にいろいろ指導されていたのかと思うと、何やらこっちも悔しかった。「何だよ、コイツつまんねーわ。相手すんのがだせーよ。もう、行こうぜ。」ケツを出したまま、自分の撒いた小便の水溜りの上で、頭を濡らして土下座する定岡に愛想が尽きたのか、4人は揃って築山の向こうへと消えていった。見えなくなっても、なお定岡は泣き喚いて土下座を続けていた。
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終わりの見えないデスマッチ(14)

「顔は止めとけ、サツにチクられても面倒だからよ。」さほど焼きを入れられたようには見えないが、殴られて若干唇が切れたらしく、定岡は口から血を垂らしながら言った。「お前ら、こんな卑怯な真似して恥ずかしくないのか?男だろ?」「うっせーな、テメーに言われたかねーんだよ。」また殴られる。「おい、コイツが男かどうか、試してみようぜ。」と、合法ドラッグの吸いすぎなのか、甲高い声を出してフラフラとしていた金髪が言う。ヤンキー共はそれで全てが分かったのか、何やらニヤニヤしていた。タバコを吸っていたヤンキーの一人が、定岡のウェットに手をかけると、いっぺんにずり下した。課外活動の帰りかどうか知らないが、そんな格好で現れるのがそもそも不用心だったといえる。全てを一気にずり下ろされて、毛むくじゃらなモノがボロンと露わになった。結構毛が濃く、剛毛に隠れて、正直そのモノはよく見えなかった。「アハハハ、ご開チーン。」「やべえ、定岡、笑える。」「超小さくね?」「何だよ、これ、おもしれー。」ヤンキー共は、意外と小さかったモノを見て、口々に囃しだした。「お前ら、止めろ。止めろ。」定岡はその恥ずかしさからか、さっきより声を抑え目にして言い放った。「おい、定岡よ、お前が男かどうか、試してやるよ。」

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終わりの見えないデスマッチ(13)

まだ、あの色黒のセミロングはエッエッとえづきながら泣いている。鼻血と鼻水が入り混じったものを無様に垂れ流しながら。この光景、そういや4年前の地元の成人式でも似たようなものを見た。成人式が終わって、久々に開かれる高校の仲間との懇親会まで時間があったから、トイレのついでに裏にある小学校に行ってみた。校舎が増築工事の最中で、時折ドリルでコンクリを砕く音が聞こえた。「おい、オラァ」と工事とは違う方向から声が聞こえた。半分埋まったタイヤの向こうの築山からだ。「分かった、お前らのことを誤解していた。謝る。」鼻血を出して詫びを入れているのは高校のときの数学講師の定岡だ。まだ30そこそこの若い教師で、俺が3年の時にD高からH商に赴任してきたから、正直あまり馴染みがない。ただ、門で毎朝服装や髪をチェックしていたり、カバン検査をしたりと生活指導に力を入れていた印象がある。特に不良の取締りには厳しかった。パーマをかけてきた奴をバリカンで刈ったり、タバコを吸った奴を一列に並べて殴っているのを見たことがある。だから目をつけられたのだろう。「テメー、何目線なんだよ?」「反省してねーだろ。」成人式とは思えない派手な服装の男4人が取り囲んでいた。イケイケな教員だから、まだ教師気分で指導しようとしているんだろう。この街の成人式後の一大イベントを知らないようだ。金髪に染めたリーゼントをカッチリ決めた細身の奴が背後から羽交い絞めにする。「やっちまおうぜ、コイツ。」
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