2019年08月14日
灰色の空間(6)
また、2日くらい日が開いた。そして、その次の朝、食事を済ませた後に、また同じように「出ろ。」と言われ、また手首をフックにかけられて吊るされた。もう抵抗せずにそのままにしていたが、今度は精悍な顔をした二人が無表情で木製の机といすを持ってきて、そのまま出て行った。すると、いつもの尋問者が現れ、そこに座った。書記官も横に立っているが、何かする様子もなく、直立不動の体勢だ。
「覚えていることを話してくれればいい。チョン代議士と面会して何を話した?」
沈黙をしていると、一人が二本のコードを持ってきた。その先は、一つは金属製のクリップで、もう一つは細い金属製の棒になっている。もう一人は、俺の背後に回るとベルトを解いてズボンと下着をサッと下ろした。そして、竿の根元をクリップで挟んだ。
「現政権の転覆を諮るため、朴大統領の側近であるG補佐官を唆した、そうだな?」
「そんな事実はな・・、ぎゃぁぁぁ!」
言い終わる前に、カラダを突き抜けるような強烈な刺激があった。竿全体が焼けるように痛い。電気ショックか。
「もう一度聞くが、現政権の転覆を諮るため、朴大統領の側近であるG補佐官を唆した、間違いないな?」
「でっち上げだ、お前らが書いた筋書じゃないか、ぎゃぁぁぁ!」
またも局所に電気ショックが与えられた。無表情だった二人が苦笑している。陰毛が焦げたような臭いを発している。よっぽど強い電流なのだろうか?
「では、G補佐官とチョン代議士とを会わせる仲介の労を取ったのもお前だな?」
「止めてくれ、後生だ。俺じゃない、誰と間違えているんだ、俺じゃ、ぎゃぁぁぁ!」
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2019年08月11日
灰色の空間(5)
すると、また10分くらいしてから精悍な顔をした二人が俺の方にやって来た。そして、一人が荒々しく俺の背後に回って立たせた。
「ちょっと待て、待て、話を・・」
と言いかけたところに腹を連続で殴られ、動けなくなったカラダを引きずるようにして、また手首をフックにかけられて吊るされた。それから小一時間が過ぎたが、何事もなく、そして降ろされて独房に戻された。翌日、また、同じ時刻に引き出され、木製の椅子に座らされた。目の前には既にいつもの顔があった。
「今日は話を聞く前に、聞いて欲しいものがある。おい、これを流せ。」
と小さなマイクロテープを書記官に渡した。聞きづらい会話だが、そのうちの一人はチョン代議士のようだった。特段何の変哲もない、地元の陳情団が現政権の農業政策への不満を話し、話は途切れ、チョン代議士が次期政権の展望を話している。何とも現実味に欠けた中身の薄い、たわいもない話であった。
「チョン代議士は国家反逆罪の嫌疑を受けて、現在拘留されている。国家反逆罪は重罪で、死刑と無期懲役しかない。ただ、チョン代議士はこれを現政権のでっち上げだと主張している。」
テープと国家反逆罪とどういう関係があるのかが分からないが、KCIAが何をしたいかは大体分かった。しかし証拠がないじゃないか。
「KCIAでは、現在、これを立証するために証拠を集めている。もう一度聞くが、7月16日に何を話したのか、概要を教えてほしい。」
「俺はチョン代議士の仲間でもないし、そもそも一介の記者だ、貴様らが思っているようなスパイなんかじゃない。」
「それは分かっている。」
「じゃあ、なぜ俺を拘束してこんな目に遭わす?」
それには答えず、また、「覚えていることをしゃべればいいんだ。」と同じことを言う。
「覚えていることなどもうない。」
「では、それがお前の全て知っていることか?」
「そうだ、だから言っているだろう。俺は無実だ。」
すると、「まあ、いい。記憶ってものは後になって思い出すことだってあるからな。」
と言い残して、また去って行った。
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2019年08月08日
灰色の空間(4)
次の日も、その次の日も、何も起こらなかった。ただ、独房に入れられて、あてがわれた食事を淡々と取り、そして横になるのに十分なスペースではなかったのでただ丸くなって寝た。ただ、打たれたところが打ち身になって腫れあがり、時折襲ってくる鈍痛で目が覚めたりした。そもそも地下室で時間の経過が分からない。ただ三食があるのだからそれが1日なのだろうなというように思っているだけだ。ジャラジャラとカギの音がこっちに近づいてくる。食事はさっきしたけどなと訝っていると、「出ろ」と事務的に言い放ってカギが開いた。
また最初の日と同じように、正面に向かった男は、「ただ、覚えていることをしゃべればいい。正直にただ話すのを我々は聞いているだけだ。」と言った。前回と同じことしかしゃべりようがなかったが、何も言わないのは反抗的だと思われかねないため、同じことをまた繰り返ししゃべった。前回同様、後ろの書記官はメモを取る様子はなかった。
「終わったのか?」
また、前回と同じように言うが、こちらはこれ以上言う言葉が見つからない。どういうことを聞きたいのか分からないから、何が正解なのかも分からない。
「そうか。まあ、そう急ぐものではないしな。ゆっくり思い出すといい。」
と言い残して、地下室から出て行った。
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2019年08月06日
灰色の空間(3)
すると、さっきの奴とは違う奴が二人入ってきて、まっしぐらにこっちに向かってきたかと思うと、乱暴に俺を立ち上がらせて、柱の向こうの、蛍光灯から離れて暗くなったところへと連れて行った。
そして、俺の縛られた手首をフックで引っ掛けたかと思うと、急に上に引っ張られた。どうやら、天井に滑車が付いているようで、短時間でかかとが浮き、そこに吊るされた状態になった。
実際は足はつま先程度は床に付く程度の高さなのだが、何分不安定で、落ち着かなかった。しばらくはそうした状態が続いたが、なぜかまた二人とも地下室から出て行った。
よく分からないが、ゴムのようなもので縛られているからか、奇妙な姿勢だったけれども痛みは感じなかった。いや、実際は痛かったのかもしれないが記憶が定かではないからかもしれない。しばらくして、先ほどの二人が戻ってきた。細い金属のパイプ管のようなものを持っていて、二人が急に殴りかかってきた。脇腹から背にかけて、闇雲にやたらめったら打ってきて、骨身に染みて痛かった。逃げられないようにされて打ちのめされること自体が初めての経験であったので、痛さに非常に驚いた。そして、理由が分からなかった。拷問であれば、吐かせることが目的であるのだから、これはただの暴力であった。しかし、しばらく乱打が続くと「これくらいにしとけ」との声が聞こえ、また去って行った。
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2019年08月03日
灰色の空間(2)
「お前がどうしてここに来たかは、お前自身がよく知っているはずだ。我々は、ただお前が正直に話してくれればすぐにでも開放してやろう。」
抑揚のない口調で、事務的に淡々としゃべる。きっと何十人、何百人に同じ話をしているのだろう。
「7月16日に鍾路で会った人物、そして話した内容について知っていることを話せ。」
「それを話せば解放してくれるのか?」
「もちろんだ。」
心当たりはあった。7月16日は確かにそこで野党政治家のチョン代議士と話している。ただ、話すほどの内容ではない。
チョン代議士は野党第一党の政治家ではあり、朝鮮戦争の後は民主派の弁士として名を馳せたが、権力争いに敗れ、第一線から退き、名誉総裁と言った名ばかりの、今では何の実権も持たない一政治家に過ぎない。その政治家が話したことを聞いて何になるのか。
話したところで何も支障はない、あったとしてもチョン代議士側であろう。そもそも呼ばれて話を聞いたはいいが、結果時間の無駄としかいいようがない、権力を持たないものの愚痴を漫然と聞いたようなものだ。その権力欲の権化の愚痴に過ぎない。
テガンは覚えている限りのことをしゃべった。いや、しゃべらなかったとしても、既に没収されたメモや録音機からどうせ分かることだ。椅子の背を正面にして座っている男と斜め後方で記録する男は、テガンの話をただ聞いていた。ただ、記録をしている様子はなかったが。
しゃべり終わると、沈黙が訪れた。
「おい、それだけか?」
静かに、確認するように事務的な声で、座りながら問いかけてきたが、これ以上知っていることはない。事実を淡々としゃべっただけだ。
「まあ、いい。しゃべりたくなったら言うといい。」
そういうと、椅子から立ち上がり、広々とした、薄暗い地下室から出て行った。
手は前にロープで縛られたまま、10分くらい経った。
その間、記録(といっても特に何もしていなかったが)係はずっと同じような姿勢で座っていた。
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2019年07月31日
灰色の空間(1)
正座した状態で後ろから蹴られ、前につんのめった状態で目隠しを外された。
冷たいコンクリートの床、周りに窓はない。ただ、裸電球が数個、この10畳くらいある広い部屋を照らしているだけだ。
「おい。」
木製の椅子に、背もたれに腕を載せた男が言った。
「ここがどこだか分かるか?」
「・・・。」
テガンには大体見当がついていた。大通りでいきなり目隠しをされ、車に詰め込まれて、ここまで連れてこられた。
移動中、30分ばかりの間、後部座席で頭を自分の膝下につける姿勢のまま拘束された。少しでも身動きしようものなら、両脇にいる男からこぶしで殴られた。
ドアが開くと強い力で引っ張られ、よろめいて倒れた。
「立て!」
怒号と共に足蹴りにされ、また両脇を抱えられて地下室に連れてこられたのだ。
こんなことをするのはKCIAくらいだろう。大韓民国中央情報部、通称KCIA。朴政権に反対する者を連行し、取り調べる機関。
そしてここは南山・・五体満足で生きて出る人は皆無といわれる、人々から恐れられている場所。
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2019年07月24日
堕ちるところまで堕ちて(24)
最初に出たのはコーヒー。一応人肌まで冷ましてあるものだ。漏斗に丁重に注いでいく。すぐになくなる。まあ液体は楽勝らしい。
次のカードはサラダ。マカロニサラダ。詰め込もうとするが、ちょっと量がかさばるのでなかなか入らない。漏斗を深く差すとさすがに浩輔も痛みで顔を歪める。しかし、こぼしてはならない。こぼしたり入らなかったりしたらギャラはゼロだ。ジャガイモ、いや、この感触はマカロニか?どんどん異物が入っていく。3人目、次はパンか。空腹で来たのだが、ケツから吸収なんて土台無理な話なのかもしれない。いや、そんなことより集中集中。棒状のものでパンがなんとか押し込まれる。浩輔は供託金で既に12万の借金があるのだった。抜けられないシステムになっているんだな、そう気づいたのは結構前だが、反面、その環境に満足する自分がいた。ボウルが運ばれてきた。今度は上の口の方から食べるのかな?堕ちるところまで堕ちてやる、底なし沼に棲む悪魔にそう毒づいた。
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2019年07月15日
堕ちるところまで堕ちて(23)
9か月後、浩輔はまたここに来ていた。ジャングルジム状の格子に向かって後頭部、そして首から肩の部分を下につけて、ケツを突き出した格好で逆立ちになり、その両足は格子で縛られている。浩輔からは自分の両足を見上げる形だ。もちろんビキニパンツは履いているが、突き出したある部分は丸く破られて、そこから業務用の金属製の大きな漏斗が入れられている。前の丸いテーブルにはいろいろな惣菜が用意されている。ナポリタンスパゲッティー、カレー、マカロニサラダ、ヨーグルト、パン、コーンスープ、コーヒー、牛乳、ショートケーキ。どれもコンビニで売られているのかレトルトなのか、安そうでおいしくはなさそうな感じだ。
5人の中年がセッティングをまだかまだかという様子で待っている。工作用の厚紙で作られた手製のカードを一枚ずつ引いていく。そのカードに書いてあるものを浩輔に食べさせていくらしい。ただし、下の口から。
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2019年07月13日
堕ちるところまで堕ちて(22)
次の企画はこよりをただ置いてあって、それで何をしてもいいというもので、今度は最初から全裸で、ただ床に寝ていた。これも前回同程度の人数が集まり、そのうち半分以上は前回のリピーターだった。
こよりは紙でできている市販品で、そうめんよりもちょっと太い程度の細さで、糸よりは固いけれどそうめんよりはしなやかなものだった。そして、浩輔に声を出させたらもう1回チャンスが与えられるというルールだった。想定では耳や鼻に入れてくしゃみをさせたりくすぐったりさせようとしたのだが、これはもう一人目からモノに何とかこよりを通そうとしていた。声を出した時点で負けなので、何とかよがって抗うが、二人目は尿道を開かせてうまいこと通し、ズブズブと奥の方まで入った。初めての経験だったのでモノを針で突き刺したかのように激痛が走った。とても我慢できる類のものではなくて、思わずその入れている手を掴んでしまった。干からびたいかにも気が弱そうなオジイサンが悲しげな眼をしてこっちを見ていた。してはいけないことをしたのかみたいな目をしてオドオドしていた。
「すみません、続けてください。」
浩輔がそういうと、オジイサンは再びこよりを取ってぐりぐりと捻るように捻じ込んでいった。しかし、最初程の痛みはなく、何とか耐えて最後まで続けることができた。
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2019年07月10日
堕ちるところまで堕ちて(21)
浩輔が持ち込んだ企画は、一見何の関係もなさそうなものを使って、これで何をしてもいいというものだった。
今までの結果ありきのものではなくて新鮮味があったからか、3回に分けて行われた。
一つは生卵とゆで卵が、どっちがどっちか分からないように置いてあって、それで浩輔に何をしてもいいと言うものだった。浩輔はただビキニパンツを履いて床に寝ているだけだ。
一人目の禿げ頭のシミがすごいオヤジは、ローションみたいに卵まみれにさせたかったようだが、取ったのはゆで卵で、結局脇に入れて万力のように割って、それを食べていた。
二人目は顔中皺だらけのオジイサンだったが、やはり生卵希望だったようだけれどゆで卵だったので、自分で割って浩輔と半分ずつ食べ合っていた。
三人目もゴルフ焼けで真っ黒く日焼けした太目のオヤジだったが、やはりゆで卵で、添い寝して腹筋の辺りをじっくり見つめながらゆで卵を食べていた。どうやら生卵は当たり扱いのようで、ほぼゆで卵なんだなと後のオヤジたちも理解したようだ。生卵を割られてしまうと次以降のダメージが強いことから、ゆで卵ばかりにしていたのだった。
最後から3人目が生卵で、その勤勉そうな黒眼鏡をかけた親父は、ゆで卵だと思い込んでカラダとカラダで挟んで割ったところ生卵で、その流れでカラダをこすりつけながらヌルヌルプレイを楽しんでいた。
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2019年06月30日
堕ちるところまで堕ちて(20)
今日は浩輔が先にこのゲイバーに現れた。訳知り顔のママが寄って来た。
「あら、今日太一っちゃん来る日じゃないわよ?待ち合わせ時間確認した方がいいんじゃない?」
口紅のついたタバコを、どこで売っているのか知らないが筋肉質の男がしかめっ面をして腹筋をしている形をした灰皿に、これでもかというくらいに捻付けている。
「いや、違うんです。ちょっと聞きたいことがあって。」
「え、アタシに?」
何だか顔が青ざめて、今にも吐くんじゃないかという顔をしている浩輔を見て、次に何を言い出すのかと不安げに見つめている。
「ママ、カラダ売ったことってありますか?」
思わず、タバコの煙を吐くつもりが真逆に思いっきり吸い込んでしまい、むせた。
「あのさ、これでもアタシ、操は大事に守っているのよ。」
「俺、どうしよう。どうしたらいいんっすかね?」
「はい?」
また、吸い過ぎて短くなったタバコを何とか吸っている。
「え、何が?」
思わず地の男が出てしまい、店内の客がギョッとした目で見ていた。あら嫌だ、という顔をしてから、
「あのさ、男は売れるうちが花。売れなくなって叩き売りするほど惨めなものはないわよ。」
「・・そうですよね。そうか。分かりました。」
糸が吹っ切れたように明るい顔になったが、糸を切ってしまった役のママは、これで良かったのかしらとずっと難しい顔をして、ほぼ吸う部分のなくなったタバコを吸っていた。
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2019年06月29日
堕ちるところまで堕ちて(19)
「はい?」
「はいって、何しに来たの?相談あるんだろ?」
「いや、あの、俺・・。」
「あのさ、売れるかどうかは君次第。こっちは与り知らぬところで。君のしたいことをすればいいんだけど、客がそれで来るか、客が付くか、それも君次第。」
「いや、でも、俺、思うんですけど、何か、これってそんないいバイトでもないかなって思って。」
「浩ちゃんさ、ちょっと鈍感じゃない?ねえ、ママ。」
さっきまでカウンターの奥でタバコを片手に、客からもらったウイスキーの水割りを飲んでいたカラダのデカい奴がうっすらと笑った。聞いていたのか。
「普通はさ、終わった後にオークションするんだよ。で、お持ち帰りしてもらうと。そんなくだらないショーだけ見に来るわけないっしょ。」
「え、俺、あの中のジイサンとやらなきゃいけないんですか?」
「いや、だから、それも君の勝手。ただ、何、浩ちゃんは何が目的なんだっけ?ジイサンたちに俺のカラダすごいでしょって見せつけるのが目的?違うっしょ?金稼ぎたいんっしょ?」
「そうです。でも、・・」
「いや、言いたいことは分かるぞ。勃たないってことだろ?だから?」
「なんで、俺には無理です。」
「ジイサンだって勃たないだろ。」
「!?」
「持ち帰ってガッツリヤルなんて元気ないだろ、ねえ、ママ。」
「アタシはガッツリヤルわよ。」
「随分お盛んじゃないの、ママ。」
またお下劣極まりない笑いを飛ばしている。よく見ると、下の前歯も2本欠けている。そっか、そうだよな。それに、年金生活者だけじゃなくて金を持っているジイサンだっているかもしれないしな。
「また、考えてみます。」
お、もう帰るのかよっていう目をしているオヤジを横目に、浩輔はそう言って、店を出た。
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2019年06月26日
堕ちるところまで堕ちて(18)
目論見が外れてしまったと言うこともあるが、そもそも楽勝と思っていたことが、いざやってみるとこんなにも思うように行かないということを思い知らされた。もう止めておいた方がいいのかなという感じもするが、もっと簡単なことをやればいいんだ、別に鍛えられた俺のカラダが目当てって奴だっているんだろうし、ごく普通の奴らとは違うんだから。早速赤ら顔のオヤジに電話をかけてみた。そして、またいつものゲイバーに呼び出された。
行くと、赤ら顔の親父はさらに顔を赤くして、でかい声で店子と何やら話して、下品でけたたましい嗤い声を上げていた。
「おお、来た来た。」
「やだ、あんた、勃たなかったんだって?」
と店子とすれ違い様にいきなり股間をむんずと掴まれた。ま、話すよな。来ていたオヤジたちもきっと俺のことを方々で噂して、そのうち行くところ行くところで意味ありげな含み笑いをされることだろう。勃たないのが普通だろ?あんなオヤジに性欲感じる方が異常なんじゃねーの?とファウンデーションを塗りたくって自分のネイルアートに見入っている店子に唾でも吐き掛けたくなったが、赤ら顔のオヤジが酒臭さと魚が腐ったような口臭の入り混じった吐息をして話しかけてきた。
「どう、あれからヤッた?」
と、人差し指と中指の間から親指を出して気味の悪い顔をして聞いてくる。
「ヤッたって何をですか?」
「あれっきりインポになったか心配でよ。」
とゲヘヘヘと下品な笑い方でこっちを見ながら尋ねる。決して心配している様子などこれっぽっちもない。欠けた前歯から食べかすが飛び出した。
「いや、それは平気ですけど。」
「なんだ、辛気臭いな、飲むか。おい、ウーロンハイ一つ。」
「イヤ、俺は大丈夫ですから。」
「で、どうするよ?」
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2019年06月23日
雑記帳(2019/06/23)
また、新たに2つ、新たに小説を書きだした。まあ、コメディみたいなものだけれど。「灰色の空間」と「堕ちるところまで堕ちて」もようやく完結。「灰色の空間」なんて構想から完成まで4年弱かかった。「堕ちるところまで堕ちて」も途中を付け足しただけだけれど。まあ、終わって良かった。
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2019年06月16日
一石二鳥のアルバイト(20)
高志は、大きくなった金玉二つを掴むと手前に引っ張った。浩輔は中腰のまま、ただ無抵抗に引っ張られる方向に進むしかなかった。「じゃ、ここに寝てみるか。」何もない、床に仰向けに寝かされた。ずっと金玉を掴まれたままでは、素直に従うしかない。「そろそろラストステージだ。いい声出せよ。」というと、股間目がけて膝を落とした。そして、全体重をかけた状態で、グリグリと膝を動かしている。「ぎゃぁぁぁ!」と言ったまま、浩輔は目を見開き、口を大きく開いた状態で硬直した。金玉を根元で縛られているので、ずっと圧迫された状態であり、しかもゴリゴリと膝の硬い部分が当たって責め立てる。カラダを弓のように反り返して、「あぁぁぁあ」と喉の奥から出てくる断末魔のような低い声を、意識せずにずっとあげている。「どうだ、俺の玉潰しの味は?なかなかのもんだろ、え?」あの巨体の重みが金玉一点に集中してかかっている。ダメだ、このままいけば潰れる、潰れる、俺の金玉が、とブラックホールのような漆黒の闇へと渦巻いて吸い込まれて行くかのような意識の中、ふと鍛え込まれた腹筋の上を温かい感触が走っていった。ドクドクと白濁した液が、腹筋の溝に沿って、ゆっくりと流れていった。これは、今までとは違った、漏れたかのようなイキ方だったが、苦難の先にある天国を見つけたかのような、全身をぱぁっと快楽物質が駆け巡ったかのような、そんな全身が性器にでもなった感覚であった。「だろ?これやっちゃうと病みつきになんだよな。」という言葉が夢心地に聞こえたようであったが、そのままふと力が抜けて意識を失った。時間が経ち、気が付くと高志はいなかった。俺は、まだぼんやりとした頭を横に振って頬を二度叩き、シャワーを浴びて、無造作に置いてあった金を掴むと、パンパンに腫れあがった金玉のズキズキする痛みに耐えながら、ここを出て行った。
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2019年06月15日
一石二鳥のアルバイト(19)
「あがっ!」痛さが秒速で喉奥から脳天へと突き抜けていくようで、金玉が強く上方へ引っ張られて千切れるんじゃないかというような思いからカラダも一緒になって前のめりになった。「あぁ、あぁぁぁ。」中腰になって思わず声を出した。ズキン、ズキンと金玉にも心臓があるかのように、鼓動のように定期的に痛みが全身を駆け抜けていった。意識せずに涙が出てくるほど、痛烈な痛みが次から次へと襲ってきた。それを噛みしめるかのように、歯を食いしばって痛みに耐えていた。すると、高志が金玉をわしゃっと掴んだ。「ほうほう、なかなかいい大きさになったんじゃないか、え?」と言いながら、しゃがんでまじまじと見ていた。再三苛まれた金玉は、腫れて袋の中でパンパンになっていた。そして、その姿勢で手を頭の後ろで組むように言われると、またもキーンという鋭い痛みが走った。高志が金玉を爪弾きしたのだ。「おうおう、痛いか、意外と効くもんだろ、これ。」と、またも爪弾きする姿勢を見せたので、自然と腰を引いてしまった。「動くなよ、動くなよ。」と言われても動いてしまうものだ。どうしても腰を引いてしまう。袋の中の玉二つも、まるで意思があるかのように蠢いた。「おほ、おもしれえ、金玉って動くのな。オマエ、金玉動かせるのか?」と、間近で見る金玉を面白がっている。
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2019年06月13日
一石二鳥のアルバイト(18)
「おら、何やってんだ、こっち来い。三からだな。」「いや、あの、、」「ほぉぉら、はぃぃぃ!」「あぁ、あぁぁぁ!」またも容赦なく膝蹴りがモロに金玉を潰しにかかり、ズキッと突き刺さるような痛みが電流のようにカラダを走った。またも後ずさりして危うく倒れそうになったが、壁に寄りかかるようにして何とか持ちこたえた。「おい、手、何してんだ。」反射的に手が股間を押さえていた。言われているのは分かるが、この手がなければ金玉を守るものは何もなくなってしまう。いくらストイックに鍛え込まれた筋肉にまとわれたカラダをしていても、この金玉だけは何ともしようがない。いや、鍛えれば鍛えるほど、この金玉の無防備さと言うものが嫌というほど認識させられる。鍛えれば鍛えただけ、ここを狙ってください、ここだけは鍛えていないんです、筋肉でプロテクトしていますが金玉だけは守れません、ここが俺の弱点です、と言っているようなものだ。だとすると、カラダを鍛えると言う行為に何の意味があるのだろうか?この腕の太さ、胸の厚みが何の役に立っている?「おい、手は上だっつってんだろ!」という声に反射的に手を上に持って行ったところを、「おぅぅら、はぃぃぃ!」手を除けて無防備にブランと垂れ下がった金玉は、非情にも膝によって突き上げられた。
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2019年06月05日
一石二鳥のアルバイト(17)
「おい、なんだこりゃ?」いつもだったらビキニパンツを脱がせたり手で揉んだりしないのだが、あまりにもいい音がしたというのが徒になった。すぐに長方形状の柔らかいものを手触りで探り当て、100均の保冷剤を入れているのがバレてしまった。冷却効果、そしてクッション効果もあるし、そもそもいつ来るかさえ分からないので、最初から入れていたのであった。この前は冷却剤が漏れて、それがジェル状だったからかイッたものと勘違いされて、それで急所蹴りが終わったこともあった。「おい、ちょっと脱げ。」仕方なくビキニパンツを脱ぐと、保冷剤が3袋、そこからこぼれ落ちた。「なんだ、こりゃ、おい。」保冷剤を手にすると、高志は冷静に訊いた。「これ、持って来たのか?え?」何も答えずにいると、「こういうのは良くないな。今日は折角だから教育してやるか。ちょっと腕を後ろで組め。」すると、PP紐で金玉の根元の部分を縛り上げた。「おい、立て。いくつからだったか?」「三です。」「よっしゃ、はぃぃぃっ!」膝蹴りが股間へ食い込む。「ギャン!」ビックリするような痛さが脳天へと突き上げていき、腰を引いて後ろに後ずさった。根元を縛ったために金玉の逃げ場所がなく、そして何も守ることのない、剥き出しの股間を正確に膝がとらえたのであった。
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2019年06月02日
一石二鳥のアルバイト(16)
ガチャッとドアが開く音が鳴った。しかし、これといって普通だ。なんだか肯きながら近づいてくる。「おう、やってるな。」とあまり関心のない様子で声をかける。行っても行かなくてもどっちでもいいやっていうか、行く動機がないのにとりあえず来てみたみたいな、こういうときが一番良くないことは経験上分かっている。カラダをペタペタ触っている。筋肉の付き具合を確認しているようだ。「ふんふん、仕上がってんな。」と、今度は後ろに回って背中からふくらはぎにかけて、舐め回すように見て、そしてまた触る。「ふんふん。」と、また正面に回ると、「じゃ、おっ始めるかな。手を頭。」またいつもの、手を頭の後ろに回して組んで、足を肩幅程度に開くといういつもの姿勢にさせられる。「はいっ」というかけ声と共に、真正面から股間に蹴りが飛ぶ。スパンっといい音がして、その痛みで腰を引いて前屈みになるが、すぐに体勢を元通りにして「イチ!」とデカい声でいう。「はいっ」「はうぅぅ。」またもやキレイに股間へ蹴りがめり込む。金玉が内へ内へと縮んでいくのが感覚で分かる。「二ッ!」とまた元の姿勢に戻ると、「はいぃぃっ」またもパシーンと弾けるようないい音がした。しかし、今回は音だけで実際は逸れたが、浩輔は痛みに耐える振りをした。すると、高志が急に寄ってきて、ビキニパンツをむんずと掴んだ。
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2019年06月01日
一石二鳥のアルバイト(15)
今日は異様に蒸し暑い。ここは西側の角部屋で、直接コンクリートが熱を吸収してそれを放射するような、そんな暑さ。エアコンもそういう日は効きが悪い。それに加えて身に筋肉をまとっているようなものなので、カラダ自体からも熱を発するから、浩輔のようなマッチョには耐えがたい季節でもある。それでいて、エアコンをガンガンに効かせた部屋で過ごせばすぐに風邪を引いてしまう。今日も朝からそんなに万全ってわけではないが、時間もちょっと空いていたので来てみた。高志にはここに来ると言うことを連絡しているわけではない。部屋の入口に設置されているカメラでチェックされているのだろう。ただ、曜日も時間帯もバラバラ、こっちが好きなときに来ているので、来ないこともよくある。ただ、高志が来たときに金を置いていくというシステムなので、来ない日は単に無料でトレーニングをするってだけだ。だから、来るか来ないか、浩輔には分からない。ただ、淡々と自分に課したメニューをこなすだけだ。
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