2024年02月05日
待ちわびて(8)
「次、俺、俺っ!」
ともう一人が手を挙げた。
「コイツの恥ずかしいところ、もっと撮ろうぜ。」
と言って、一騎の一物をグッと握った。
「あっ・・ん、止めろ!」
一騎の一物は、自らから湧き出してきたヌルヌルした自然のローションでギラギラと黒光りしていた。ただでさえ敏感な先端を握られて、それこそ活きのいいウナギのように手の中でウニョウニョと蠢いた。
「おぅぅお!!動いてる、チンポ動いてる、気持ち悪っ!」
と離してしまった。確かに、他人の一物なんて握る機会などないだろうから、それこそヌルヌルしていたら気味が悪いだろう。
「やって!撮ろうよ。恥ずかしいよ、なんせ手コキっしょ?」
「なんだよ、じゃあ俺がやるよ。」
と電気あんましていた悟が代わってチンコをガンガン扱き始める。
「止めろ、止めろ!」
「え、その割にはコチンコチンになってきたけどな。」
「ちょっとさぁ、俺、帰るわ。もう遅いし。」
一人はそう言って、振り返りもせずに自転車に乗って帰ってしまった。残された二人が見つめあう。
「俺、コイツの乳首弄る。」
啓太郎がボソッと言う。
「ああ、それは、それは、・・」
一騎はなんていったって、乳首が病的なまでの性感帯で、逆に自分でも触らないくらいだった。乳首を弄るなんて言葉を聞いただけでもう・・
「ダメだ、もう、ダメ、イクイクイクイク!!!!」
という言葉とともに、すごい量の白濁とした液体をその筋肉でまとった体に撒き散らした。ドクドクと流れる液が腹筋の溝にはまってそれぞれジグザグに流れていく。
「ダメだ、俺、我慢できない。」
「俺も、もう・・」
悟と啓太郎、二人が同時に自分のチンコを出すか出さないかのうちに、二人とも絶頂を迎えたが、若いだけあって飛距離がとんでもなかった。
「はぁ、はぁあ、はぁぁ。」
三人がそれぞれ疲れ果て・・しばらくは誰も何も言えなかった。
ふと横を見ると、一騎のチンコは硬いまま、ヒクヒクと波打っていた。
「すげえ。」
「どうする?」
「どうするって、なあ?」
「好きだねぇ、君も。」
もう一度、両足首を持つと、
「あの、あれさ、あの・・」
「ん?」
「俺も、・・お前の電気あんま受けてみたい。」
「それは、次回のお楽しみ。次、オマエやる?」
「おう、俺の電気あんまもスゲエぜ。」
「楽しませてくれよ。まだ、コイツ、活きがいいから、たっぷり楽しもうぜ。」
一騎も、もう止めろとは言わなかった。そしてこの空間はそれこそオスの臭いで満ち溢れ、そしてねっとりとした亜熱帯のような湿り気を帯び、そして時折野獣のような咆哮を交えて緩慢に、そして時に激しく時間が過ぎていった。
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2024年02月01日
待ちわびて(7)
一騎のそんな必死の懇願も意に介さず、悟は一騎の股間に足を力強く踏み込んだ。
「おぅぃぃ、キンタマの感触、こんな筋肉してたら、さぞかしキンタマも鍛えちゃってるんだろうな?うらうら、右も左も、どっちの玉も俺の足から逃げられないぞ。」
「ひぃぃぃぃぃ、キンタマが、キンタマだけは、マジ、んがぁぁぁぁぁあっ!!」
逃げ回る二つの玉は、悟の足の裏に見事に捕まり、そして執拗に苛む。素足で電気あんまをしているので、そのゴロっとしたキンタマの感触がよく分かる。隙間から逃げようとするキンタマを見事に踏みつぶす、このキンタマが潰されてひしゃげる感覚がビリビリと足の先から伝わってくる。そして、自身の勃起したモノにまで振動が伝わり、悟は、他二人がいなかったならその一物を開放して、すぐにでも果てたいくらいだ。疲れではなく、興奮で息も荒くなる。道路工事でアスファルトを固めているかのように、二人が激しく縦揺れをしている。
動画を撮っている啓太郎も、二人さえいなければ動画など撮るのを止めて、それこそ自分の一物を握ってやりたいくらいだったし、こんな電気あんまだったらやられてみたいとさえ思っていた。二人は言わずとも相手の気持ちがわかる、息の合ったダンスをしているようにさえ見えた。
一騎はさっきのスタンガンとは異なる性質の電気が体中を駆け巡っているように感じた。中学の頃にふざけていきなり電気あんまをかけられたことがあったが、そのときのえも言われない甘酸っぱいあの感覚が甦った。
もう一人は、この異様な空間にただただ驚いて、展開についていけずに呆然としていた。
「スゲエ、マッチョが電気あんま食らってやがる。すげえっしょ、俺の電気あんま、すげえっしょ、ざまぁ。」
「あぁぁぁ。」
「おいおい、こんなマッチョだけどキンタマ弱いんだ。勉強になるぅぅ。」
「あひぃぃぃぃ、止めろって。」
「止めるかよ、ボケェ、こんな高校生に男の大事なところを踏まれちゃって、恥ずかしいなぁ、オラア!!俺の力はこんなもんじゃないからな!」
「うぎょぁぁぁぁぁぁ!」
一騎は細い眼を見開いて、その惨めな様子を涙目になって見つめている。その足を除けようとして掴んでいた両腕も、いつしか離れてされるがままになっている。
「やめてくれ、頼むから、はうぅぅぅぃぃぃ、キンタマ、俺の、マジで、俺の、はわぁぁぁぁぁ!」
頭のてっぺんから足のつま先にかけて、ビリリと鋭い刺激が駆け巡る。爪先でそして踵で、ゴロゴロと逃げ場もなく踏みつぶされるキンタマ。歯を食いしばってその屈辱と苦悶に耐えている。体はずっと痙攣していた。そして時々その痙攣が激しくなる。その激しい動きで腋毛から伝ってきた汗が雫となって滴り落ち、周囲に甘美なオス特有の匂いを醸し出している。男らしい顔つき、逞しい体をしているが、それでいて艶のある色っぽさが全体から滲み出ている。頬がぽおっと赤らんでいて、吐息が時折喘いでいるようにも聞こえる。
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2024年01月12日
待ちわびて(6)
「電気あんま?久々じゃね、そんな言葉聞くの。じゃあ、俺やるよ。得意~。」
と悟ががニヤニヤしながら手を挙げた。
「よっしゃ、テメーにマジの電気あんまを見せてやるぜ!!」
と寝て一騎の両足を取ると、足を股間に当てた。足先に、しっかりとヒンヤリとした玉二つが確かにあった。その感触を楽しむかのように足の指を使ってその玉二つをいたぶるかのように弄る。
「ああ、止めろ、止めろ。」
一騎は懇願するが、もちろん聞く耳など持っていない。股間に嫌な圧力が徐々にかかってくる。足を股間で踏みつけられるという屈辱、しかし、そんなことよりも股間へ加わる圧力への恐怖心も徐々に高まってきた。
そして、悟は片足を股間にガンガンと叩きつけるようにして電気あんまをし始めた。一騎は、
「止めろ、止めろ、止めろって!!」
と両手で何とか足を抑えようとするが止められない。一騎の頭の先から口元も肩、腕も小刻みに揺れ、胸板にたっぷりと付いている筋肉もユッサユッサとゆっくり揺れている。顔は羞恥半分恐怖半分で真っ赤になっておでこの辺りに青筋が立っている。高校生に大の大人が全裸で電気あんまされているのがよっぽど恥ずかしいのだろう。それに、悟の力加減如何で地獄を見るかもしれない。なんせ、無防備で男の弱点を晒してしまっているのだから。
「ああ、止めて、あっ、止めて、いやっ!」
頭を両手で抱えて、明らかにおかしな声に変わった。潰れんばかりに踏み込まれて痛いのだが、振動でその痛みが波動のように広がっていく。それに、電気あんまをしている悟も見てわかるほどにはっきりと勃起しているし、撮っている俺はご多分に漏れず早い段階でフル勃起しているから股間が痛む。
「オラオラオラァ、まだまだいくぜ、オラオラオラァ!!」
「止めてくれ、止めて、もう、おかしくなる。」
ズム、ズム、ズムとリズムカルに足がビートを奏でている。そのビートは一騎に、そして悟の脳天にも響いていることだろう。
と、腹のあたりを見ると、腹毛がその一物から出た大量の透明な液でキラキラ輝いている。二つの玉がテンポよく踏まれて、赤黒く光った太く短い棒がその引き締まった臍の下を上下左右に跳ねて引き締まった腹を乱打し、とめどなく流れ出てくる透明な液体がその周りに飛び散って陰毛を濡らしている。
「あっ、ああっ、はぁぁあ、うはぁぁぁあ!!」
こんな男臭い奴がこんな声を出すとは。今まで聞いたことのないような質の声が無機質なコンクリートの建物内で反響する。顔が炎のように紅潮し、汗でしっとり濡れている。ブルブルと震えているのは電気あんまの振動だろうか、それとも自らが震えているのだろうか。
「うっふぅぅぅ。」
悟は動きを止めると、敏捷な動きで跳ね起きて、またも両足首を掴んだ。この体勢が疲れたのではなく、その有様を自分の目でも見たかったからだ。
「オラオラ、今度は全体重をかけて、激しくいくぜ!!」
「ああ、止めろ、止めろ、本当に止めろ、男の最大の急所、オマエも分かるだろ、やばいって。」
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2024年01月09日
待ちわびて(5)
やはりビキニに目が行ってしまう。一見して高そうなブランド物のビキニで、もう、ハッキリと形が見えている。陰毛もビキニからはみ出して、男獣の香りがプンプンする。啓太郎がスマートフォンを取り出した。
「これでさ、動画撮って。」
「どこから?これ、ライトどうすんの?」
「え、映っちゃっても大丈夫なの?」
いちいち説明しないとわからないらしい。実際、動画は脅しにも使うのだが、本当は個人的に後で見て楽しみたい。動画を上げたいというのではなく、独り占めしたのだ。
「じゃあ、切るから、切っているところと、先生の顔も撮って。顔ないと意味ないから。」
といって、ビキニに手を当てる。
「止めろ!!」
ものすごく大きな声を出されてビクッとした。啓太郎が
「おい、一発スタンガンかますか?次はないからな。」
というと黙ったが、何をされるかを不安気に首を持ち上げてジッと見ていた。
「撮って。」
さっき、撮り方も説明したのだが、こっちも映ってしまっているし、そもそも撮れているのかも覚束ない。まあいい、筋肉にビキニなんてエロいな。それでいて全然毛の処理をしていないし、なんせ股間から発せられている生暖かい湿り気が伝わってくる。そして、小便と汗とが蒸れて発酵し、染みついたビキニからは、何とも言えないオス独特の香りが漂ってくる。オレンジ色のビキニは生地が薄く、そして色褪せていてムラができており、その下にある矢印状のイチモツの形が浮き彫りのようにくっきり見えていた。本当だったらもう少し互換を駆使して堪能したいところだが、なんせ邪魔者がいる。ビキニの最も細い部分に鋏を入れた。辛うじて何とか収まっていたものが、支えを失って横にボロンと零れ落ちた。刹那にオスの薫りがツーンと鼻に来た。もう片方もパッツンと切った。もう隠すものなど何もない。
「うわっ、ズル剥けじゃん。」
と悟が言って、しまったという顔をしたのを見逃さなかった。悟は、自分で包茎だということを曝け出してしまった。もう一人も驚くような目で見ているから、似たり寄ったりなのかもしれない。それにしても、この赤銅色に染まった一物と持て余し気味にボロンと垂れ下がった二つの玉、このゴツゴツとした腹筋と空気でも入っているかのようにパンパンに膨れ上がった胸板、たまらなく興奮する。
「俺、撮っているからさ、ちょっと電気あんましてやってよ。」
電気あんま、子どものじゃれあいでしたりされたりはあるのだろうが、こんな筋肉マッチョの男が電気あんまされたらどうなるのだろうというのが興味があった。
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2023年12月26日
待ちわびて(4)
「服を脱がせようぜ。」
と家庭科で使っている大きな鋏を取り出した。
「切ったら・・裸でこんなところウロチョロしたら警察呼ばれるんじゃないか?」
「いいから。」
これも計算済みで、だから首輪なのだ。ワイシャツは脱がせればいい。下着はまくれるが、切りたいのだ。ワイシャツを二人がかりで脱がせにかかった。
「止めろ、オマエら、自分が何しているのか分かってるのか?」
二人の手が止まる。
「分かってるさ、で、れっきとした大人の男のワイシャツ脱がせると、なんかあるんだっけ?」
一騎は言い返せなかった。朦朧としていた頭も今ではすっかり元通りになった。ワイシャツを脱がせると灰色のタンクトップ1枚になった。盛り上がった肩、腕回りも木の幹のようにゴツゴツしていて血管が浮き出ている。首輪を取ろうと一騎は首に手をかけた。と、目の前にスタンガンを見せつけられる。
「いいけどさ、取っている間にまたバチバチってするけど。」
といって腕のあたりにスタンガンを当てた。さっきの電気ショックを瞬時に思い出し、一騎は手を止めた。
「そのまま、手を下ろせ。そう、大人しくしていろ。」
鬱蒼と生えた腋毛から汗がキラリと光った。この二人がいなければ、啓太郎は鼻を近づけて、この腋の、きっと香しいだろう匂いをクンクンと嗅いでいたに違いない。胸のあたりも汗染みができている。外から差し込む月光と街灯のうっすらとした明かりで、胸の谷間がくっきりと浮かび上がって見えている。
「ズボン、脱がせておいて。」
と2人に命じる。
「何だよ、サッサとやっちまおうぜ。」
二人は殴りたくてたまらないらしい。さっきも殴ったら面倒なことになると説明したばかりだが、物の理解が悪い。大体、マクドの前でいきなり殴られたというのも、詳しくは聞いていないが、どうせ何かきっかけがあったから殴られたのだろう。
「あれさ、動画撮るから。」
「さっき、撮らないっつったんじゃなかったっけ?」
「恥ずかしい動画を撮るんだよ。」
と、裁ちばさみでジョキジョキとタンクトップを切り出した。タンクトップも、その下でぴったり貼りついた皮膚も、しっとり濡れていた。ピチピチのタンクトップなので、ちょっとハサミを入れただけで切ったところからピリピリとはち切れんばかりに勝手に引き裂かれていく。モコモコモコとえげつない形をした腹筋群が次々に現れて、そして逞しくて男らしい胸板が眼前に現れた。高校生にとっては規格外のガタイ、想像を遥かに超えた筋肉、ずっと見ていたい感じだが、残念なことに邪魔な二人がいた。
「おぅ、ビキニ履いてんの?ハミ毛すごいけど。」
連れてきた二人のうちの一人、悟がマジマジと見て感想を言う。もう一人の方は、
「臭え、触れねーよ、俺。」
ってな具合で、まだベルトを外してチャックを開けただけで、全然下ろしていなかった。一騎は
「止めろ、止めろ!」
と大声を出す。
「モタモタしないで下ろせって。」
と多少苛立って二人に言い、一騎にはスタンガンを見せて、
「いいのか?さっきは太腿だったが、大人しくしてないと、次はひどいぞ。」
と冷静に凄む。抵抗はしたものの、二人掛かりであったためにほどなくズボンを全てずり降ろされ、ビキニパンツ一枚にされてしまった。
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2023年12月19日
待ちわびて(3)
「なんだコイツ、痛え、また殴りやがった。それでも教師かよ。」
「なんだよ、マジで。」
一人だけ、スタンガンを持った不良が、意識を失って伸びて居る一騎を横目にして、冷静に、
「まあ、コイツをあっちへ運ぼうぜ。」
「コイツ、カラダが無駄にデケエ。」
「そっち、足を持てよ。中に連れてくぞ。」
スーパーは入口からしてガラスが割られて、中はがらんどうだった。街灯がうっすらと差し込んでいるが、通りから見ると真っ暗で何も見えない。
「はぁ、はぁ、はぁ、ここでいい?コイツ、スゲエ重いよな。」
「何食ってんだろ。」
「で、どうすんの?ボコるっしょ?」
「タコ殴りしてやろうぜ。」
「まあ、待てって。」
と、スマートフォンをずっと弄っていた不良のリーダー格、啓太郎が言った。
「ほら、教師なんて殴っちまったことがバレたりしたらさ、退学もんだろ?」
「そっか、殴ったところを動画で撮って、バラされたくなかったらって脅すのか、頭いいな。」
「違うだろ。殴った証拠を残してどうするんだよ。どうせお前ら、誰かに自慢げに見せたりインスタ載っけたりするだろ?そうやってバレるもんだからな。」
「え、違うの?」
「インスタとかLINEとか、速攻バレるからな。」
と、啓太郎は持参してきた黒いボストンバッグをゴソゴソし、何か取り出した。
「これ、付けて。」
「首輪?なんで?」
「いいから。」
既に一騎は意識を取り戻したのか首を振っている。慣れない手つきで何とか首輪をつけると、
「そこの柱にロープで括り付けてって。」
啓太郎は、いちいち指示しないと動かない二人に苛立っていた。
「でも、こんな首輪、犬のだろ?外そうと思えば外せるんじゃない?」
「いいから付けろって。」
もちろん本格的な拘束具だってネット通販で売っている。ただ、他の二人と違って啓太郎は計算高かった。拘束具など買ったら足がつくだろう、自分で外せなかったら人を呼んで警察沙汰になるだろう、この場所も人気がなさそうだからとか、9時はちょうど塾等が終わる時間なので怪しまれないだろうなどと、事前にいろいろ考えてのことだった。そう、別に仲間が殴られた仕返しにというのは口実だ。この教師の服を着ててもわかる筋肉質な体つきを見て、性的関心を覚えたからだ。
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2023年12月15日
待ちわびて(2)
向こうから現れたのは、商業科の男子学生3人組だった。
「何してんの?」
タメ口にムッとしながらも、
「お前らに関係のないことだ。」
正直、一騎は3人の顔は何となくわかっても、名前は全然出てこなかった。それに、こんな奴らを相手にしていたら、実際に女子生徒が来た時に怖がって近づいてこないに違いない。適当にあしらって退散させないとなと思って焦っていた。
「大体、こんな時間に何してるんだ、早く帰れ。」
「センセーこそ、こんな時間にこんなところで何してんの?」
一騎はいい加減イライラしてきた。もう約束の時間から5分が経っている。遠くからこちらの様子を窺っているに違いないとキョロキョロすると、
「来ねーぜ、由香だろ?」
「何?お前、由香に言われて来たのか?」
さも親し気な感じで「由香」と言ってしまい、しまったという表情を浮かべたが、3人はゲラゲラ笑いだし、
「はぁ?手紙信じちゃってんの?書いたの俺だよ、俺、俺!由香でーす。」
3人はまた笑いだした。一騎は騙されたと知り、怒りで顔が真っ赤になった。何しろ、1時間前から車で近くをウロウロしたり、下見をしたりしてシミュレーションしていたのだ。
「まあ、いいや。ところでお前さ、コイツ殴っただろ。」
と言われたところで、顔を見ても記憶にない。そもそもが水曜の午後しか来ていない高校で、生徒を指導しようなんてつもりは全くなかったので、殴ったりするわけもなかった。
「なんだ、とぼけんなよ。マクドの外でいきなり殴ったろ。」
もしかして、テイクアウト待ちをしてきたときに自転車でぶつかってきたときのことだろうか?一騎は昔からせっかちで短気であり、注文した品が全然出てこないイライラに自転車が急にぶつかってきたので、思わず手が出てしまったのだった。けれど、あれはもう2週間前のことだ。
「まあいいや、ちょっと顔貸せよ、エロ教師。高校生にハメようとしたんか?気持ち悪い。自分の顔、鏡で見たことあるか?」
また、3人がゲラゲラと笑い出したのと同時に、そのうちの一人を殴り飛ばした。そして、もう一人を・・
バチバチバチッ
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2023年12月11日
待ちわびて(1)
夜も更けて、そう遅い時間ではないのだが、あたりには人影が見当たらなかった。ニュータウンと呼ばれるこの辺りは、同じような色形をした一軒家が碁盤のように張り巡らされた区画に整然と並んでいる。ただ、明かりはまばらだった。それも「元」ニュータウンといった方がいいのかもしれない。市街地からだいぶ離れたところに切り開かれた住宅街も、販売開始した直後に駅の反対側に大きなショッピングモールができたあたりから怪しくなり、家が建てられないまま空き地になったり、また建てられたけれど住まずに放置されて空き家になったままのものも多かった。その脇にある公営団地も同じで、老朽化が進んで半分以上は人が住んでおらず、住んでいても日本語が全く話せないような外国人の住処になっていた。左右田一騎は、その団地とニュータウンの入口を背にした空き地の前に立っていた。かつてそこには地域密着型のスーパーマーケットがあったのだが、だいぶ前に廃業して空き家になっていた。一騎はかわいらしい花柄の一筆書に書かれた文字をもう一度見た。
「先生、突然すみません。こんなこと、人に見られたら大変なので・・先生のことが好きなんです。でも、面と向かって言えなくて・・。もしお時間があればでいいのですが、夜9時にスーパー跡地に来てもらってもいいですか?話だけでも聞いてください。」
一騎は大学を出て東京で就職したのだが、半年も持たずに地元に戻り、今はガソリンスタンドでアルバイトの傍らで教師を目指していて、水曜日の午後、駅の近くにある総合高校で簿記の非常勤講師をしていた。「由香」か。調べたが担当している生徒の中に「由香」は2人いた。一人はとびっきりの美人だったが、もう一人は太目で顔もイマイチだった。一騎はいずれにせよ、俺とヤリたいってことだろうから、来たらサッと俺の車に押し込んで、家に連れて行こうと自分で立てたシミュレーションを何度も頭の中で復唱していた。
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2023年11月14日
川商風紀向上委員会(9)
「あぁぁ、はぁぁぁ、止めて、止めて。」
「情けねぇなぁ。さっきまでの威勢はどうした?あっ?」
「無理、無理ですぅ、潰れてしまいます、男の象徴が、ここだけは止めて。」
「オマエ、俺のキンタマ2回も蹴っておいて虫のいいこと言うんじゃねぇぞ。男だろ?男ならその生き様を俺らに見してみろや!」
「はふぅぅ、女でいいです、女で。」
「じゃあ、女にしてやるよ。おらぁぁあ!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
と鶏の断末魔のような声を上げた。今度は見た目でもしっかりわかるほど、膝が定岡の股間に食い込んで、縮こまっていた股間はその膝で完全に潰された。
「まだだぁぁ、おるぅぅぅあ!」
「いやぁぁっぁぁぁ!」
女の金切り声のような声を上げて、定岡は白目を剥いて気絶した。小便が垂れてきたので柔道部の部長は慌てて振りほどいた。
「あーあ、神聖な道場で小便漏らしちゃった。」
「最後、女みたいな声出してたけど、マジで男止めたんじゃね?」
「いや、コイツは相当前から男でも女でもない。こんな奴、女にも失礼だろ。」
次の日から定岡は出勤をしなくなり、いつの間にか校内から姿を消した。ただ、不良もほぼいなくなった。柔道部に入部する元不良さえいた。こんな大人にはなりたくない、ある意味、反面教師として定岡の存在はいて良かったのかもしれない。いつしか、定岡は伝説の教師と曲解されて伝えられるようになった。男の中の男、男とはかくあるべきだ、男の証明、これが川商高校の校風として刻まれた。
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2023年11月10日
川商風紀向上委員会(8)
「はがぁぁぁ!!!」
もちろん定岡は腰を引いて避けようとしたが、なんせ羽交い絞めされて両肩を押さえられてなので、うまくは避けきれなかった。
「くぉぉぉぉぉ!!!」
上を見上げて目を見開いて膝金の痛みに耐えている。
「大げさだな。」
「演技じゃねぇの?」
「コイツ、痛がれば許してもらえるって思ってんじゃねぇ?」
確かに、この鍛え上げられた太い太腿のおかげで衝撃はかなり抑えられたはずである。それに、さっきまであんなに威張り散らしていたのに、たった膝での金的一発くらいで音を上げるわけがない。
「いや、もう無理だ、無理だから、頼むから、ここは男の大事なところだ、分かるだろ?」
「そうはいかないだろ。」
「もう1回、もう1回!!」
「コイツさ、絶対嘘だわ。ちょっと足開かせてもらっていい?」
「おう」
二人掛かりで足を横に開かせた。定岡も足を閉じようとしたが、男二人で横方向に引っ張られてはどうあがいても無理だ。股間が無防備に晒されてしまっている。
「もう一回、膝金行くからな。」
と、膝で股間を軽く当てる動作をする。
「ひぃぃぃぃ!!」
「行くぞ、うりゃぁぁぁ!!」
「ひゃぁぁぁぁ!!」
さっきの2オクターブくらい高い声が道場に響き渡った。
「こいつ、女みたいな声だすな。」
「本当は男じゃねーのかも。」
しかし、膝金を入れた当の本人は首を傾げている。やはり足の筋肉が太いので、膝が股間に行くまでにブロックされてしまうのだ。遠巻きに様子を伺っている柔道部の部員の一人を手招きして、
「ちょっとさ、コイツの下、脱がしてよ。」
「おい、オマエらはオカマか?男のポコチンなんか見てどうすんだ、変態なのか、オマエらは!!!止めるんだ。」
顧問の定岡に凄まれて躊躇していたが、部長もうなずいたし、不良どもに囲まれているので逆らえず、一気にジャージをずり下げた。
「見ろ見ろ、定岡のチンポ、小せえ~。」
「何だこれ、縮み上がってんの?」
「被ってる、被ってる!」
「蛹サイズ!」
「蛹の方が大きいだろ!」
皆がワイワイと見た目で弄ってくる。
「見るな、見るなぁ、見るなぁぁ!!!」
定岡は何よりも小さな股間がコンプレックスで、人に見られるのを極度に嫌がった。しかし、3人に足がおっ広げられて股間は丸見えだ。こんなに人にはっきり見られたことがなく、そしてこんなにもけなされたことがなく、顔から火が出るほど恥ずかしく、定岡は羽交い絞めさえされていなければ両手で股間よりも顔を隠したことだろう。
「これでよく男失格と言えたもんだな。」
「カワイイじゃん。」
と赤ちゃんのチンチンでも触るかのように指先で弾かれる。
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2023年11月07日
川商風紀向上委員会(7)
「そうだな、部長さんもついていけないよな?」
部長も太い首を縦に振った。不良どもは皆がワサワサと羽交い絞めにされた定岡の方に寄ってきた。
「オマエら、こんなことをしてタダで済むと思っているのか?謝ってももう遅いぞ!!」
定岡は声を張り上げてこう言った。おそらくは奥で着替えているだろう柔道部員に助けを呼んだつもりだろうが、出てくる気配は全くなかった。
「どうしようか、コイツ。」
「なぁ?」
不良同士、顔を見合わせた。教師を殴ったことが露見すればもちろん退学、それに下手をすれば刑事事件になる。せいぜい、稽古中の怪我って程度ならいいかもしれないが、かといってこのジャージ越しにもわかるパンパンに張り詰めた筋肉、怪我を「させる」のもなかなか難しい。大体、柔道の技で怪我と言っても・・
「まあ、あれさな、さっき、ほら、言ってたじゃん、なぁ。」
「もしかして、アレ?」
「自分で言ってっからなぁ。」
と、顔を突き合わせてニヤニヤ笑っている。
「先生、あれだなぁ、鍛えてると違うよなぁ。」
とジャージのチャックを引き下げて、Tシャツの上から厚い胸板を揉む。
「うわっ、すっげえ。オッパイパンパンじゃん。」
「おおぅ、ユッサユッサする!!」
「や、止めろ!」
「さっきさぁ、オマエさぁ、俺のキンタマ蹴ったじゃん?キンタマ鍛えとけって言ったよな?やっぱ鍛えてんの?」
定岡の顔色が明らかに変わった。動揺している様子がありありと顔に出ている。
「ちょっとさぁ、膝金していい?」
「馬鹿な真似はよせ、そこは男の急所だ、な、やるなら他のところをやれ。」
「いや、オマエさっき俺のキンタマ蹴ったって。」
と、定岡の肩を両手で掴み、
「うらぁぁ!!」
と渾身の力を込めて膝で蹴り上げた。
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2023年10月30日
川商風紀向上委員会(6)
「オイ、オマエら。」
と、定岡がツカツカ寄ってきた。
「オマエらは、人間としてクズだ。男失格、タマなしの犬畜生だ。」
と言い放った。言われた不良どもの顔は一様に紅潮した。それを知ってか知らずか続けて、
「オマエらみたいな女の腐ったようなカスどもは根性を鍛えなおしてやる。」
と言って、渋々残っている部長を指さし、
「フッ、これからコイツがオマエらの相手をしてやる。」
部長も不良どもも、今度は一様に「えっ?」って表情を浮かべた。
「じゃ、あとはうまくやっとけよ。」
と同情を後にしようとする定岡を不良の一人が、
「待てよ、テメエ!!!」
と肩に手をかけた瞬間に、またも定岡は膝でその不良の股間を蹴り上げた。両手で股間を押さえて仰向けに倒れ込む姿を見つつ、
「クズが、教師に何て口の利き方だ。礼儀から叩き込まないといかんな。」
不良の髪を掴むと、発酵したような何とも言えない臭いの息を吹きかけて、
「大体な、男ってものはキンタマやられて当たり前なんだから、常日頃から鍛えておくもんだ。オマエなんぞ、とっとと男を辞めちまえ!!」
と、定岡の背後にサッと大きな影が回り込み、そして定岡の腋から手を差し込み入れて、そのまま定岡を羽交い絞めにした。部長は定岡よりも2回りほど大きな体格をしていたので、定岡はそのまま爪先立ちになった。
「おい、オマエ、何やってんだ、ふざけるのも大概にしろよ。」
最初は部長がちょっとした冗談のつもりでしていることだと思っていたが、部長はその体勢のまま、不良のいるところへと徐々に近づいて行った。
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2023年10月21日
川商風紀向上委員会(5)
呼び出された不良たちはもちろんその定岡のやり方に不満であったし、呼び出された場所が教員室ではなく柔道室であったので、呼び出されて何をされるかは大体予想がついたし、それがわかっていて呼び出しに応ずるわけもないのだが、定岡はそういう人の気持ちというものに全く考えが及ばず、ただ生徒は教師の言うことを聞くものだという固定観念で頭が凝り固まっていた。教師は生徒を教え導くものであり、教師の言うことは絶対で全てが正しく、間違いはありえないと思っていた。不良たちは通路に一列に立たされた。神聖な柔道場に悪いことをした人間を入れさせないという定岡の考えであったが、そういう事情を知らない不良たちのうち一人が柔道場の畳を踏んだ。咄嗟に、定岡は卑怯にも後ろから股間を蹴り上げたのだ。
「うぉぉぉ!!」
不意打ちされた不良はその場で蹲って、小刻みに震えていた。
「バカが。道場というのはお前らみたいな人間の屑が踏み入れるようなところではない。」
オマエが道場に呼びつけたんだろうが、と立っていた不良どもは正直いきり立っていたが、われ先にと定岡に立ち向かっていくわけでもなかった。
「正座をして、ここでしばらく頭を冷やせ。」
そういわれ、かといって帰るとまた何か言われかねないので、不良どもは表面上は大人しく柔道部の稽古を見ていた。
「集合!!」
乱取をしていた生徒たちが集まる。
「今日は早いが、これで終わりだ。部長だけここに残れ。解散。」
「ありがとうございました。」
柔道部の面々は、部活が早く終わって良かったと素直に喜び、すぐに部室の奥に消えていった。しかし、部長は当然不満の表情を浮かべていた。
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2023年10月17日
川商風紀向上委員会(4)
そのことをある生徒から聞いた定岡は、不良たちを放課後、廊下に呼び出した。
「なんすか、先生。」
「俺、今日、スケとデートなんで、チャチャっと済ませてくれます?」
不良たちはそういってカラカラと笑ったが、定岡の目は笑っていなかった。
「お前たち、今日は大外刈の授業だったそうだな。俺に教えてくれないか?」
「何、先生、大外刈知らねーの?教えてやるよ。」
と不良たちはむしろ我先にと定岡に近寄ってきた。定岡が柔道経験者であるということを知らずに。もちろん、定岡の方が上手だった。かかってきた不良どもを次々と大外刈で倒していった。不良たちは倒れたまま動けなかった。というのも、床は畳ではなくコンクリートであるし、倒すときに鳩尾を強く押しているからだった。不良たちもせいぜい形だけの説教だけかと思っていたので呆気にとられていた。ただ、ここからが定岡は処理を誤った。言いつけた生徒を呼び出し、直接謝らせたのであった。その生徒はそれから高校には来なくなり、数日後、退学届が提出された。ここでも定岡は処理を誤った。そもそもが苛められた、というよりは正課の体育での出来事なのだから、体育の先生の監督責任もあるし、苛めというよりは皆がやられていた悪ふざけだった。それに、退学したのは定岡に言いつけたということがバレて仕返しを恐れて来なくなったのであって、仕返しをされたからではなかった。そうしたいろいろな事実確認を怠り、思い込みでまた呼び出したのだ。
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2023年10月14日
川商風紀向上委員会(3)
まあ、不良というのは総じて勉強は苦手。いや、勉強が得意だけれども不良というのもいなくはないが、それは川商には行かずにエスカレーター式の私立の附属校に行っている。だが、体を動かすことは好きである。やはり体育や武道の時間は楽しみなのである。逆に、不良ではない普通の生徒にとってはその時間は憂鬱である。柔道で今日は大外刈の授業であったが、不良どもは面白がって相手の股間を思いっきり蹴る。大外刈ではなく股間を蹴られて倒れるので、受け身も全然取れない。組む相手はもちろん日頃熱心に前でノートを取っている、ガリ勉だけれども勉強のできない奴ばかり。というのも、不良同士で組めば喧嘩になるのだから、教員もそっちの方がトラブルにならなくて都合がいいのだ。股間を蹴られる方はたまらないけれど、不良たちはうずくまっているのを無理矢理立たせ、また大外刈と言いつつ股間を膝で蹴る。そんな感じで不良たちにとっては体育は健全なスポーツというよりはストレス発散にちょうどいいのだった。
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2023年10月10日
川商風紀向上委員会(2)
不良といっても、誰が番長とかリーダーとかいうのではない。ただ、素行の悪い者ばかりが集まっているだけだ。そして、この高校は当たり前だが不良ではない生徒も半分以上いる。というのも、偏差値が市内でも最下位というか、定員割れを起こすくらいの不人気校ではあるものの、「商業」高校というだけあって就職する意思があればそう悪くないところに入れるため、勉強はできないけれどもどうにかしたいという、まあ虫がいいといえばそうだけれど学校の授業についていけなかった落ちこぼれたちも入っていた。不良たちは授業に出ないのかといえばそんなことはない。もちろん抜ける人もいるが、たいてい授業には結構出ている。ただ、授業は成立していない。前の方に、先ほど話した、授業を聞いても全然何言っているんだか分からずに、しかし熱心に聞いてはいる生徒が数人、後は喋ったり寝ていたり、自由だ。教員は、聞いていようがいまいが授業さえやればいい、それを理解するかどうかは二の次だ。テストをすごく易しくしたところで、聞いていないのだからできない。それに毎日信者のように熱心に聞き入っている生徒でさえ全然できない。もう匙を投げているのだ。
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2023年10月02日
川商風紀向上委員会(1)
定岡が赴任したのは川崎市でも札付きの悪、落ちこぼれが集まり、授業が成立しないクラスはおろか、高校というのは名ばかりの、不良集団が集まっただけの川崎商業高校、通称川商であった。定岡は元々は任期付講師として他校に勤めており、度重なる素行不良で保護者からクレームが入り、任期を待たずして解雇されたのだが、今回は3年間の任期で、それをクリアすれば正式雇用という破格の条件で赴任したのである。というのも、定岡は教育にかける情熱は人一倍高く、不良も更生すれば俺のように教師にだってなれるんだといった哲学から、数学を教えることは二の次で、生活指導に力を入れていた。ただ、他校での素行不良というのは他でもない、体罰のことであった。定岡は元々大学まで柔道をやっていたので恰幅もよく、口でこんこんと説くよりも先に手が出てしまうタイプであり、手を出してからこんこんと説教をするのだった。今の時代、体罰なんてとんでもない、と思うだろうが、ここ川商というのは親がそもそも手に負えないからと突き放し、殴っても蹴ってもいいから更生させてくれという親ばかりだった。それに、言うまでもないが、ここの生徒は教師にも平気で暴力を振るうので、そもそも成り手がいなかった。
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2023年09月25日
概要(2023/9/25)
概要
初めて読む人のために、この小説集の概略を書きます。全部にゲイが主人公で登場しますが、タイプはいろいろです。「構想中」っていうのは書いているのですけれど、まだアップはしていないです。「執筆中」はアップしているのですけれど、まだまだ続きます。いろいろ並行して少しずつ気が向いたら書いているので、気になるタイトルがあれば言ってください。
「川辺にキラリ」
一応、処女小説。短篇です。別れを自分の中で消化しようとする過程を描いたつもりです。
「短かった夏」
これも短篇です。別れ話がこじれ、何も言わなくなった相手に思い出話をするっていう話です。
「優先順位」
中編小説です。家庭と不倫の両立ができなかったって話です。主人公は中年のマッチョです。
「愛しているって言って」
中編小説です。一話一話で完結するように書いています。恋愛小説であり、SMの話ですけれど、そんなにエグい感じではないです、たぶん。
「ハサミムシ」
これも中編小説です。一話一話で完結する感じです。この小説だけ、特に取り柄のないクズ人間が主人公です。いろいろなクズを集めて書いていけたらなと思っています。
「夜明け前」
短篇小説です。深夜のゲイバーで繰り広げられたちょっとした恋愛小説です。
「そんなに仕事が大事?」
短篇小説です。失恋を中心において、仕事で追い詰められていく様子と織り交ぜて書いてみました。
「とことん付き合って・・いけるか、俺?」
中編小説です。完璧主義でシンメトリーが大好き。神経質で疑問点はとことん探求するという主人公とそれに振り回される彼氏との関係を描く、一話完結型の恋愛小説です。
「耐えてみろ!」
長編小説です。スジ筋とマッチョの二人を、主人公を入れ替えたりして書き進んでいます。腹筋ベースでちょっとSM小説チック、主として腹責めです。
「落ちるところまで堕ちて」
長編小説です。一応SM小説で、主人公はマッチョな大学生で、金をきっかけにして自ら進んで壊れていく過程を書いていきます。
「終わりの見えないデスマッチ」
長編小説です。SM小説で、中でも金的メインです。主人公は二人ともスジ筋で、マッチョが脇役で出るって感じです。
「終わりの見えないデスマッチB」
長編小説です。基本、金的メインとかは変わらないんですが、主人公や登場人物が大分入れ代わります。
「終わりの見えないデスマッチC」
中編小説です。「終わりの見えないデスマッチ」の話の続きですが、主人公は弘一だけになります。Bと登場人物は違いますけれど、時系列ではパラレルで進んでいきます。
「終わりの見えないデスマッチD」(構想中)
中編小説です。Bの続きですが、主人公は世代交代しています。
「終わりの見えないデスマッチE」(構想中)
短編小説です。時系列上はDとパラレルですが、主人公は、かませ犬上等の八百長請負人です。あと、これだけ腹パンメインですね。
「終わりの見えないデスマッチ 外道列伝」(構想中)
中編小説です。こんなん書いていいんだろうかって気もしますが、基本、売られていく男の末路の話です。
「デリバリー」
中編小説です。主人公二人ともマッチョです。ま、焦らし系小説ですね。全然話が進まないじゃないかってくらい時間が止まっているような話ですけれど、これが小説の醍醐味だと思ってもいます。時間がもっとゆっくり進むといいのに、と思っている人向けですね。
「デリバリーB」
中編小説です。宅配便配達員の巨根スジ筋が拉致られるけれども、立場が逆転してって話です。SM小説です。
「デリバリーC」
中編小説です。宅配便配達員の巨根スジ筋が気のいい青年マッチョを無理矢理手籠めにするって話です。
「デリバリーD」(構想中)
中編小説です。人気みたいなので続編を書こうと思います。宅配便配達員の青年マッチョがクレーム対応をする話です。
「灰色の空間」
中編小説です。SM小説で、拷問系ですね。これも韓国を舞台に書いています。
「代償」(構想中)
中編小説です。ゲイ差別を受けるけれど、立ち向かっていく話です。
「ゴーグルマン」(執筆中)
長編小説です。マッチョなノンケがゲイビデオに出演する過程を想像で勝手に描いています。ノンケと言ってもね、ですけど。
「スプラッシュ」
中編小説です。マッチョがいびられる話です。
「僕の彼氏は韓国人」(執筆中)
中編小説です。「愛しているって言って」と同じく一話完結の恋愛小説ですが、韓国人の特性みたいなものも織り込んだつもりですんで、韓国人の彼氏が欲しいという人はご参考までに。一応、これは実体験に基づく私小説的なものですんで。
「台南の風に吹かれて」
中編小説です。イケメン台湾人と旅先で恋に落ちてしまうという恋愛小説です。これも「僕の彼氏は韓国人」に引き続き、実体験に基づく私小説のようなものです。
「眠らない街バンコク」
中編小説です。イケてるタイ人と旅先でイチャイチャする話です。これも、実体験的私小説です。
「ブルースリーに恋して」
中編小説です。イケてる香港人と旅先で・・そればっかですけどね。どれもこれも、恋多き、そしてイケメンマッチョ好き筆者の実体験に基づく私小説です。
「ソラシドエアでひとっ飛び」(構想中)
中編小説です。関西人のよー君とイチャイチャする話で、またもや実体験的私小説です。最早自分のために書いている感じもしますけれど。
「まだまだ若い者には負けんぞい」(構想中)
中編小説です。ジジイばっかりが登場しますんで、面白いかどうかは俺も疑問です。
「よくあるファミレスでのできごと」
中編小説です。2丁目にあるファミレスという設定でオムニバスな感じで書いていきます。
「栗の香りに囲まれて」
中篇小説です。ハッテン場の従業員のつぶやきです。
「一石二鳥のアルバイト」
中篇小説です。趣味と実益を兼ねた、M的要素の強いマッチョが金的調教をされる話です。
「こんなはずではなかった」(構想中)
中編小説です。ある事件がきっかけで人生が大幅に狂ってしまった人の回想記です。
「家庭教師」
中編小説です。勉強そっちのけで悶々とする思春期高校生と家庭教師の危ない情事です。
「サイマル商事」(構想中)
中編小説です。急にカミングアウトしたOLとその周囲の戸惑いを書いていきます。
「女子ゲイ大」(構想中)
短編小説です。女子大がなぜかゲイを受け入れる、その経緯説明と学生との質疑応答を書いていきます。
「疑心暗鬼」
中編小説です。日中戦争中にある中尉が巻き起こした事件の顛末を書いていきます。
「疑心暗鬼B」(構想中)
短編小説です。スピンオフもので、日中戦争中の、中国人捕虜を人体実験に使う話です。
「熾天使アブディエル」
中編小説です。ちょっとファンタジーな感じですけれど、アブディエルの数奇な物語を描いています。
「イスラエル王ダヴィデ」
中編小説です。「熾天使アブディエル」の続きです。これも史実に基づいているわけでもなく、全くのファンタジーです。
「仕置人」(構想中)
中編小説です。世の中の理不尽を解消するための裏家業を書いていきます。
「ブルーボーイ」(構想中)
中編小説です。戦後まもない東京を舞台にしたウリ専の話です。
「ダッハウ収容所」(構想中)
中編小説です。ドイツの実験的収容施設の中で起こった出来事を書いていきます。
「黄昏に包まれて」(構想中)
中編小説です。都会者をターゲットに小銭稼ぎをする不良少年の話です。
「ウルトラマンジャック」(執筆中)
中編小説です。ヒーローものですけれど、史上最弱、全戦全敗のウルトラマンの話です。
「ショッカーなめんな!!!」(執筆中)
短編小説です。まあ、想像通り、正義の味方が嬲られるって話です。
「天下一武道会」(構想中)
中編小説です。ドラゴンボールの登場人物がそのまま登場しますが、筋は当たり前ですけれど違います。素朴な疑問を書いただけのことです。
「ちょっとだけ怖い話」
中編小説です。実体験の私小説、と言いたいところですが、憑りつかれてもクレームが入ってもどっちも困るので、場所、人物、設定は架空ということにしておきます。
「青陵大学応援団」
中編小説です。応援団長の表と裏の話を書いていきます。簡単に言うと金的です。
「ソウル陥落」(執筆中)
短編小説です。朝鮮戦争真っただ中のソウルを舞台にした話です。ゲイ要素は薄めです。
「押忍、俺たち腹筋部」(構想中)
中編小説です。まあ、タイトル通りの腹責め小説ですね。
「川商風紀向上委員会」(執筆中)
中編小説です。川崎商業高校を舞台にした、ヤンキー共に焼きを入れる熱血教師物語です。結局、仕返しされますが。
「だって夏じゃない」
中編小説です。ライフセーバーが出てくる時点でまあやられるよなっていうくらい、王道のテーマですけれど。
「シーン32、テイク無量大数」(構想中)
短編小説です。アクション映画のワンシーンを撮影中の出来事です。
「デスマスクに添えて」(構想中)
短編小説です。特高警察にとらえられた社会主義者の話です。
「コンクリートにキス」(構想中)
中編小説です。詐欺を働いた男が捉えられて、ヤクザに腹パン拷問を受けるという、これもよくありがちな設定ですけれど、俺も書いてみました。
「平田屋一家」(構想中)
中編小説です。戦後間もない頃、飢饉のあった年のある集落で起きた窃盗事件の話です。
「テキエロキサス」(構想中)
中編小説です。デスノートの魔法版みたいなもの?(自分でも何書いていいかわからないですけれど。)
「キサース」(構想中)
中編小説です。イスラム法が適用されるテヘランで起こった争いごとの顛末を書いています。
「タワー・ド・ボンバイエ」
中編小説です。空手部のいざこざからマッチョ部員が生真面目な部長にケンカを売る話です。
「Le Pendu-吊るされた男-」(構想中)
短編小説です。最近はイラストを描いていて、この小説はイラスト先行で、そのイメージを膨らませて書いたものです。スジ筋が腹パンの責苦を受ける話です。
「待ちわびて」(執筆中)
中編小説です。マッチョ教師が不良に絡まれるといった、まあよくある話です。というか、前にも似たような話、書きましたけど、ゲイ要素がそこそこ強めです。
「待ちわびてB」(構想中)
短編小説です。イラスト先行で執筆したので、続編を作成しました。ある出来事をきっかけに、不良同士が懇ろの関係になるという、珍しくショタ系の話です。
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タワー・ド・ボンバイエ(6)
「どうかな、ちょっと休憩して考えてみたらどう?」
啓太郎の提案に、左右田だけではなく、周囲もざわついた。流石に甘いのではないかと。左右田はあまりにも舐められていると激怒し、
「何言ってんだ、テメェ!!!俺を怒らせると知らないぞ。」
「勝負あったと思うんだけれど。」
「うるせえ、ヘナチョコ野郎のくせに何言ってやがる!!」
「ちょっとティッシュ持ってきてあげてよ、左右田君、鼻血出ているからさ。」
手を外すと、確かに手が血で真っ赤になっていた。このまま続けては不利なことは間違いない。大体、執拗に繰り返されたボディに蓄積されたダメージが既に機動力を失っている。時間は稼ぎたいところだ。口では強がりを言っているが、何とかしてこっちのペースに引き込まないと危ない。鼻にティッシュを詰めると、
「余裕ぶるのは構わないが、勝者が上の階に行くんだからな、忘れるな。」
「知っているよ。始める?僕はいつだっていいけれど。」
「うるせえ!!」
と、左右田は突進していき、ボディを狙った。さっき、不意打ちではあるが啓太郎の腹にボディブローをぶち込んだ時、たった一発であんなにのたうち回っていたのだから、力業で吹っ飛ばしてしまえばいいのだ。もちろん、そんな見え見えの攻撃を食らうわけはないのだが、今度は避けもせず、防御も取らず、啓太郎もカウンター狙いで抉るようにパンチを繰り出した。
「がぁぁぁぁ!!!」
唾を吐きだして苦悶の声を発したのは左右田の方だった。左右田のボディブローは、何とか腹筋を固めることに意識を集中して耐え踏みとどまることができた。一方の啓太郎の拳は、かなりのローブロー、完全に左右田の股間の中心部を潰した。左右田は両手でその無様に潰された股間を握るようにして抑えた。
「ぐうぉぉぉぉぉお!!!」
獣のような咆哮が無機質なコンクリートの建物に響き渡る。
「テメェ、キンタマわざと狙ったろ!!!」
口では強がっているが、若干声が震えている。
「ノールールって言っていなかった?」
確かにノールールだが、まさか啓太郎が金的をするなどとは誰しも思っていなかった。あの堅物の空手一筋の部長候補があからさまに反則をするとは。
「びっくりした?不意打ちって痛いよね、わかるよ。」
さっき不意打ちで腹殴られたからね、と喉まで出かかった言葉を飲み込んで、左右田の短い髪を掴むと、膝で鼻を狙ってガンガン蹴り上げた。左右田の両手はずっと股間にあてがったままだ。ようやく止まった鼻血がまた流れ出て、その膝を深紅に染める。
「止め、止めて・・」
「勝負あったって言ったら?」
「あった、あった。」
「何が?」
「勝負、もう止めて・・」
さすがに審判が二人を引きはがした。左右田はもはや潰れてしまっていてドロドロと濃い紅色をした血が流れて落ちている鼻を手で押さえている。
と、そこに啓太郎が走っていき、思いっきり左右田の股間を蹴り上げた。鼻を押さえて無防備であった股間をまたしても蹴り潰されて、横倒しになって、それこそ先ほどの啓太郎のようにエビのように丸まってビクついていた。
「勝負あったって言わないの?」
「勝負あった、勝負あったから、もう勝負あったから。」
左右田の代わりに審判を務めていた二人が同時に言う。
そう、と言うと、血で真っ赤に染まった左右田を振り返りもせず、啓太郎は階段を上がっていった。キレたら怖いんだ、誰しもそう心に刻んだ。そんな一件があってからは、その後、もう力で訴えようという奴は出てこなくなり、ますますこの空手部の伝統は形骸化していった。
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2023年09月11日
タワー・ド・ボンバイエ(5)
「じゃあ、始めようよ。」
そんな啓太郎の柔らかい開始の合図で始まった。左右田は思いっきり腕を振り回し、パンチを繰り出す。専ら空手というより喧嘩殺法のボクシングだが、空振りをする。啓太郎の正拳突きはその空振りの後の隙を突いて放たれ、顔に、ボディにと的確にヒットする。左右田はかなり焦って何度もパンチを繰り出すけれども、全然当たらずに正拳突きをまともに食らっている。これは考えてみれば当たり前で、腕を曲げて横っ面を殴りつけるようなパンチは懐に入らなければ当たるはずもなく、また腕をまっすぐ繰り出す正拳突きの方がリーチは長いのだから、距離があっても当たるのだ。空手だったらすぐに勝負ありなのだが、如何せんパワーに欠けた正拳突きではこんな筋肉男を倒すことは到底難しいだろう。そうは言っても、顔に当てられるのは嫌がっている様子で、若干顎を引いてパンチを繰り出す。こうなるとますます当たらず、そして正拳突きはボディを捉えるようになる。
「ぐふぅ。」
左右田の腹に赤みが出てきた。左右田のパンチは全く当たらない。力めば力むほどに当たらない。当たった時の一撃必殺に賭けているのかもしれないが、思い切っていけば顔にまともに正拳突きを食らうし、顔を引けばボディを狙われる。それも、腹部の左上辺りだけを集中して狙われて、そこだけが赤くなっている。左右田は確かに筋肉で身をまとっているとはいっても、腕や肩、胸が筋肉で盛り上がっているけれど、腹筋は見た感じ割れてはいない。しかも、この肋骨の下のいわゆる脇腹部分は鍛えにくい箇所でもあり、特に右側には肝臓がある。ボディブローというと鳩尾から下腹部にかけての腹部のセンターライン辺りを想像するかもしれないが、そこはカラダの正面でもあり、相手の攻撃も受けやすいし防御も容易でなかなか難しい。むしろ脇に回り込んで打ち込んだ方がよく当たる。脇腹ばかり責められて嫌がってガードが下がったところで、顔の中央に正拳突きがまともに入った。思わず手を鼻に当てて後ろに下がった。
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