2017年12月09日

スプラッシュ(9)

「キャー。」さっきまで手で顔を覆っていた目の細い女が叫んだ。何事かと思うと「変態!!!」とまた叫んで後ずさりしている。見ると、浩輔のイチモツは先の方が赤銅色になって硬直し、ビクついていた。「うわー、本物じゃん。」「蹴られて興奮するってマジか?」さっきのデブ女も明らかに嫌悪の表情を浮かべてこちらを見ている。「おい、これ、シコれよ。」「えー、無理っす。」「やれよ、時間ないんだからよ。」金髪の男は病的に青白い顔で、いかにも嫌そうに浩輔の硬くなったモノを握ったが、すぐに手を放した。「チョーヌルヌルしてる、無理っす。」すると、口髭が荒々しくそれを握ると、機械的に扱きだした。「オッ、オッ」ゴツゴツとして乾いた手、そして外でギャラリーありといういつもと違う光景、「やだぁ、やだぁ」と喚いているデブ女、少女のように手を口元にやって忌まわしそうに見ている金髪、もういいとでもいうように後ろ向きで座り込む髪の長い女、そしてただイカせるところを見せるためにひたすら人のモノを扱く口髭男、「オーッ、オーッ」「いやぁ、いやぁ。」そして青く透き通った空に向かって勢いよく水しぶきが飛んでいった。それは今までで一番飛距離があったのではないかと思われるくらい美しい放物線を描き、太陽の光に照らされてダイヤモンド型の光を放ちながら重力に抗うことなく落ちていった。「ギャー、ギャー。」デブ女に白濁して粘着質の水しぶきが次から次へと怒濤のようにかかり、鶏を絞め殺す直前の断末魔のようなけたたましく、そして刹那的な声が辺り一面に響いた。皆、その凄まじい光景を見て、為す術もなくただ突っ立っていた。そして、浩輔は浩輔で無意識に涎を垂らし、恍惚に浸って突っ立っていた。用の済んだイチモツは粘っこい液を垂らしながら、また元のサイズへと縮みこまっていった。

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2017年12月07日

スプラッシュ(8)

またデブ女が率先して言い出した。おそるおそる手を出して、二つの深紅の爪でつまむ。「キャーキャー。」我慢しきれず、浩輔は足でその巨漢の女の肩当たりを蹴った。しゃがんでいた女は重心を崩して後ろにすっ転んだ。ぬかるんだ水たまりに尻をついて、無様に転がり、泥だらけになった。一瞬の出来事で警戒が緩んだので、浩輔はその隙に羽交い締めを解いて走り出そうとしたが、半分脱げたスウェットに足を取られて、前のめりに転んでしまった。「やだー、どうしよ。落ちないよ、これ。こんなんじゃ帰れない。最悪。」とさっきの威勢の良さは消えて半べそをかいている。またさっきのように羽交い締めにされるが、その間に口髭の男がそのデブをなぐさめている。「エミっち、転んだって言えばいいじゃん。」「やだ、今日たっ君が行くって言うからキメてきたのに、こんなんじゃ無理。」「平気だよ、かわいいよ。」「無理だもん、もう無理なんだもん。」どうやらこの二人は付き合っているらしく、メソメソ嘘泣きしているデブ女に慰めの言葉を一通りかけると、一心不乱に浩輔の方に向かってきた。ずっと浩輔を睨んだまま、もう顔がほぼくっつくのではないかと言うくらいまで近づくと同時に、股間に突き刺さるようなビリッとした刺激が走り、思わず「ぐわっ」と声を出した。口髭の膝蹴りが、モロに浩輔の股間に食い込んだ。「痛えか、痛えだろ。テメエ、こんなんじゃ済まさねえぞ。」と、早口で言い立てると連続して股間に蹴りを食らい、その度にズキッとする痺れるような痛みが脳天まで突き抜けていく感じだった。
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2017年12月05日

スプラッシュ(7)

沈黙の時間が2,3秒続いた。皆が俺の股間の一点を凝視していたが、やがて、「小さえ。」の声がぼそっと聞こえた。「やだ、かわいい。」肌の荒れたブスのデブ女が目を見開いてのぞき込む。きっと、ムキムキ大学生のイチモツだから、熟れた果実のように2つの玉が垂れ下がり、水を得たナマコのように黒々として超然と他を睨み付けるようなものを想像していたのかもしれないが、現れたのは萎縮して恥ずかしがって海の中で小さくなっている名もない軟体動物のようなものがちょこんと乗っているだけだった。「えー、やだぁ。触ってみていい?ねえ。」股間をさらけ出した浩輔だけじゃなく、その周りを取り巻く3人の男も何か申し訳なさそうに立ちすくんでいる中、商売女のように白いファウンデーションを塗りたくっているデブ女だけがハイテンションであった。そして、血を塗ったのかと思うくらい深紅のマニキュアを塗った指で浩輔のモノをちょんと触ると「キャー、何これー!!!」と、このやり場のない沈黙を引き裂くように叫んだ。しかし、それに答える者はなく、もう一人の細めの女もジッと冷ややかな目でこの様子を見つめていた。「ちょっと、つまんでみていい?」
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2017年12月03日

スプラッシュ(6)

「はぁ?」浩輔はさすがに口髭の男に聞き返した。「いや、アンタが来たから逃げちゃったんだろ?代わりをやれよ。」と当たり前のように言う。「何、お兄さん、いつもしていることをすればいいんだから。」と金髪が手を股間附近に当ててその動作をする。「えー、ちょっとやだ、さっきからこっちばっかり見てる。」ぽっちゃりデブが何を勘違いしているのか、クスリともせずに真顔でものすごいことを言う。「もう勃起しちゃってるんじゃないの?」すると、口髭の男が頷くと同時に、男3人が一斉に近寄ってきた。既に誰が何の役割をするか決まっていたのか、一人が俯き気味で頭から体当たりをしてきて、そいつを両手で抑えた頃には羽交い締めにされていた。「コイツ、すっげえ力。」「暴れんなや。」腹を殴られるが、殴った方が顔をしかめている。「すげえ筋肉、堅え。」「まあ、脱がせちゃえよ。」口髭がこう言って、俺のスウェットに手をかけた。「やめろ!!」という声もむなしく、ラフな格好でふらっと来たので、脱がすのはいとも容易だった。両手で一気に膝まで脱がされ、浩輔の股間は一気に好奇の目にさらされた。


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2017年12月02日

スプラッシュ(5)

「何か白けちゃったな。」「ちょっと、他の奴呼び出してよ。塾、間に合うかなぁ。」「あたし、別にこのお兄さんでもいいよ。」ぽっちゃりしてたっぷりと口紅を塗った肌の荒れた豚女が、急に下卑な笑いを浮かべながらこっちを見ていった。「ちょっと、やーだー、何言ってるのぉ?」もう一人の目が細くつり上がった女はゲラゲラその言った女の肩を叩いて笑っていたが、デブ女の方はびっくりするほど好色な目でこっちを見ていた。「ねえ、お兄さん、溜まってる?」「最近抜いたのいつ?」金髪の髪の長い男が立て続けに訊いてくるが、対象が逃げた時点で俺は用がないので、去るタイミングを失って扱いに困っている。大学から離れているとはいえ、着ているTシャツにはっきりと「明治大学水泳部」と書いてあるので、面倒なことは避けたいところだ。かといって、走って逃げるのもおかしい感じもするし。「何、お兄さん、はっきりしてよ、やるの?やらないの?」化粧の厚いぽっちゃり女がキレ気味に問いかける。「ちょっとやだ・・」周りは腹を文字通り抱えて嗤っている。「そういうことだから、代わりにオナニーショーおっぱじめてくれる?」
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2017年12月01日

スプラッシュ(4)

「ちょっとさ、それ何?」不愉快なことがあった後で、ビールの勢いもあってか、普段は隠れている正義感がもたげてきた。「だからオナニーショーだって。」「お兄さん、してるっしょ、しょっちゅう。」金髪で髪の長い男がちょっと上ずり気味の声で言い、手を丸めてしごく動作をすると、また一人を除いて爆笑が起こった。残された一人はずっとうつむいて動かなかった。正義の味方登場なんだから、ちょっとは目を輝かせて喜んでもいいだろうという感じだ。もう一人の気持ちばかり口ひげをはやした男がポッケに両手を突っ込んだまま近づいてきた。「あのさぁ、別に用ないならどっか行ってくれる?」と、そのとき、今までずっと下を向いて硬直していた男が脱兎のごとく反対方向へ駆けだしていった。「おい、待てコラッ!!!」「ふざけんなテメェ!!!」「分かってんだろうな?」ぬかるみに足を取られながらも全力で走り去っていく姿を、皆あっけにとられたように罵声を浴びせながら、誰も追いかけることなくただ見つめていた。
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2017年11月30日

スプラッシュ(3)

「塾あるんで、早くしてくんない?」「ちゃっちゃとやろうよ、予定あるんだけどぉ。」若い女の声も聞こえてくる。何事かと思って竹のようにスッと生えているか細い草を分け入ってみると、何やら高校生っぽいのが数人たむろっていた。皆、いかにも一昔によく見かけた、いわゆる悪そうな恰好をしていたが、一人だけ青い顔をして挙動不審そうにうつむいていた。「何してんの?」と聞くと、一呼吸置いて「オナニーショーっすけど。」という答えが返ってきた。へ?こっちがキョトンとした表情を浮かべると、一人を除いて皆爆笑していた。俺はその冗談の何が面白いのかよく分からなかったが、いじめなのかなっていうことくらいは状況からして判断できた。「お兄さん、ってことで今取り込み中なの。またね。」高校生だろうけれど濃い化粧をした女がこちらを振り向かずに言った。

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2017年11月29日

スプラッシュ(2)

寺と県立高校に挟まれたところにその施設はあって、宴会は2階の小さなスタジオルームで、実際泊まるのはその隣の大きなスタジオルームに敷布団を並べて寝るのだった。そこからそんなに遠くないところに相模川が流れていた。夕方といえどもまだ西日が強く照りつけていて、蒸し蒸しするような暑さだったが、川辺まで行くとそよそよとした涼しい風が当たってきた。さっきビールを挨拶代わりにいきなり3杯も飲まされ、酔いを醒まさないとまた前みたいにゲーゲー延々と胃が空になるまで吐き続けなきゃならない。土手から下に降りると自転車が通れる程度の舗装された通路があり、ここと川の間はわざと自然のまま放置してあるのか、それとも環境整備の予算がないのか分からないが草が背丈程度まで生い茂っている。「おい、早くしろよ。」「いつもやってることだろうがよ。」何やら、その奥から怒号めいた声が聞こえてきた。
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2017年11月27日

スプラッシュ(1)

8月、所属する水泳部の合宿が平塚であった。合宿という名はついていたが、OBが無償で提供する施設にはプールはなく、トレーニングジムであり、それもウエイトというよりはシェイプアップに比重を置いたジムであることから、バーベルよりもマシンが充実していた。もちろん真剣にトレーニングをする者もいたが、たいていは昼間は海で泳ぎ、夜はOBも加わって、恒例の宴会をするのがいつもの常だった。酒が元々そんなに強いわけではないので、浩輔はこういう宴会が苦手だった。特にOBが入るとタチが悪い。何かというと一気させられる。去年はどれだけ吐いたか分からないほど飲まされた。まあ、そうした付き合い方も徐々に分かってきた。最初だけ飲んで、トイレを口実に外に出た。
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2017年11月26日

耐えてみろ!(19)

すると、さっきのガタイの良いグッチのサングラスをつけた男がガムをクチャクチャ噛みながらやって来た。鼻にピアスをつけて、この寒いのに薄いTシャツを着て、太い腕にはタトゥが入っている。
「お疲れ様っす。」
ホストたちが一斉に礼をした。男がグルッと見渡して、それから陽一郎に向かって話しかけた。
「兄ちゃん、この辺の人?」
「うるせえ。」
と唾を吐きかけたが、男はそんなことに動じずに淡々と説明を続けた。
「街には街のルールっつーもんがあるんだわ。兄ちゃんもこれからもここでやっていく気なら、その辺、覚えておくといいわ。」
と言うと、その男が近づいて来ると、両脇のホストは脇にグッと力を入れて陽一郎の腕を固め、待ち構えた。シメられるんだなと漠然と分かっていたんで、歯を食いしばってその動きを見ていた。来る、と全身の筋肉を硬直させたが、「フンッ」という荒い鼻息と共に、なかなかの重い一撃を腹に食らい、その弾みで後ろのコンクリート塀にぶつかった。そして、間髪入れずにまた同じ箇所に力の入った一撃を食らう。覆われた皮下脂肪などを物ともせず、まるで臓器を守るべき脂肪が自ら避けていったかのように、腕そのものが臓器のあるあたりまで奥深く入り込み、胃袋の下方部が潰されて上に突き上げられた。背後は硬く冷たいコンクリート壁で挟み撃ちにされ、ダイナミックで逃げ場のない一撃が襲ってきたのである。
「おおぅ。」
と、その男が俺の腹を殴るたびに周りのホストは一斉にかけ声をかけている。そもそも、陽一郎はウエイト競技をしているから胸は人一倍厚いのだが、腹回りは日頃の不摂生が祟って脂肪がしっかりとついてしまって、筋肉の周りに脂肪があるという言い方もできるが、少なくとも見た目は緩かった。まして、さっき食ったばかりで、一人酒でサワーもガンガン飲んでいたし、ただでさえ膀胱にもう余裕がなく、すぐにでもトイレに行って用を足したいところでだった。ただでさえ、とても腹に力を入れて守れるような状況ではなかったのに、こんな重いボディブローをもらってはひとたまりもなかった。二発目当たりで生暖かい水が股間の中央部辺りから徐々に塗らし始め、三発目からは一気阿世にダムが決壊したかのごとくジャバジャバと流れ出して地面を濡らしていった。五発目くらいで胃袋が悲鳴を上げ、グッと大量にこみ上げてくるものがあるのを止められず、さっき食べたものをしこたま吐いた。しかし、そんなことを意に介さずに規則的に腹へ拳がねじ込まれ、その度に胃の中の内容物が逆流し、ほぼ胃の中が空になるほど吐き尽くし、ようやく終わった頃には周りは吐瀉物と小便で悲惨な状況になっていた。
「今度からは気をつけて歩けよ。」
と、男が去って行くと、
「ご指導ありがとうございました。」
とホストが一斉におじぎをした。陽一郎は解放された後も、もう吐くべきものなど残っていないのにゲーゲーと吐き続けた。誰も介抱してくれる人はおらず、時折襲ってくる吐き気に耐えながら、駅を突っ切って宿舎に戻っていった。
こんなことがあってから、当分は慎吾に対する腹蹴りの儀式は行われなかった。慎吾は、最近陽一郎の機嫌がいいんだなといい方に解釈していたが、反面、たまには俺の腹をメチャメチャにして欲しいとも思っていた。

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2017年11月25日

耐えてみろ!(18)

すると、今度は金髪ロン毛の奴が仲間と談笑していたときに後ろに反り返り、陽一郎に接触した。
「テメー、気をつけろよ!」
と陽一郎は強めに突き飛ばすと、その談笑していた仲間も陽一郎の方を一斉に見た。
「イヤイヤイヤイヤ、それはないっしょ。」
「謝るってことしないの?」
陽一郎は振り向くと、その金髪ロン毛の胸倉に掴みかかった。すると、周りのホストっぽい男たちがそれを引き離しにかかった。陽一郎はそのホストに頭突きを2,3発喰らわせていたところ、さっきのサングラス男がこっちに来た。
「その兄ちゃんさ、B対応。」
すると、ホストたちが一斉に、
「ありがとうございます。」
と深々とお辞儀をしていた。すると、今度はホストたちが陽一郎の腕をつかみ、
「お客さんご来店ー。」
とホストに囲まれて店の方に向かっていった。陽一郎は
「何だ、行かねーよ、離せ。」
と抵抗したが、多勢に無勢で連れていかれた。ただ、店の脇の非常階段の脇をすり抜けて、屋外換気扇ばかりが集まって複雑な臭いの立ち込めた一角に来た。真っ暗だったが、急に上のライトが感知して、明るくなった。陽一郎の脇に一人ずつついて、腕を首からそれぞれ回し、背面はブロック塀という状態で、その他のホストたちはそれをただ見守っていた。

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2017年11月23日

耐えてみろ!(17)

陽一郎のいる寮は駅を通り抜けて反対側にある。この商店街と平行して伸びている飲み屋街は、駅に近づくにつれて華やかになり、風俗街に変わる。都心では勧誘はもちろん御法度だけれど、八王子まで来ると規制も緩いのか、半ば大っぴらに呼び込みをしている。陽一郎がゲイだとは知る由もなく、また対学生でもあり、キャッチは馴れ馴れしく肩に手をかけていい子がいると言ってきたり、腕をつかんだり行く手を阻んだりして、半ば強引に勧誘してくる。元々愛想がいいタイプでもないし、今日はずっと一人で酒を飲んで発散する相手もいなかったため、鬱屈していた。
「お兄さん、ちょっと遊ぼうよ。」
とデカパイしか売りがなさそうな女が、手を無理矢理胸に持って行った。
「うるせーな、触んな!」
女を突き飛ばすと、その横の分厚い金のネックレスをつけてサングラスをかけた男にぶつかった。
「なあなあ、兄ちゃん、威勢がいいな。」
陽一郎より二回り位でかいカラダをした奴がこっちに向かってきた。
「商品に手を出したら困るんだけどね。」
「うるせーな、そっちがやって来たんだろ。」
「見てたけど、胸触っちゃったよね?」
「あのブスが勝手に触らせてきたんだろうがよ。」
「ひどーい。」
そこにやせ細った勤勉そうな警官が割って入って来た。
「何かありましたか?」
すると、たまたま通りがかった通行人であるかのように、皆がそれぞれ勝手な方向へと歩いて行った。警官はそれを見届けると、自転車に乗って奥へ消えていった。

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2017年11月21日

耐えてみろ!(16)

陽一郎は今日も西八王子駅近くの小汚い焼き鳥屋のカウンターで、生レモンサワーを飲んでいた。後輩を片っ端から呼び出すが、今日は全然捕まらなかったので一人で飲んでいた。しかし、それも当たり前だった。ウエイトリフティングの試合が近いため、他の部員は当然のことながら栄養面のコントロールを計画的に始めている。食事の管理は即成績に反映する。それに大学の体組成計で日々記録することが義務づけられており、不摂生が露見すればトレーナーにきつく絞られる。しかし陽一郎は口うるさいトレーナーやコーチと早い段階で不仲となり、スポーツ推薦で入った身でありながら、挫折した落ちこぼれ組であった。でありながら酔うと後輩に絡み説教し出す絡み酒なので、部内で付き合う後輩はまあいなかった。ざっとメニューをこなして体の中の水分があらかた抜けた後に飲むサワーは最高だった。一通り食べ終わる頃には、若干足下がふらつく程度まで酔いが回っていた。

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概要(2017/11/21)

概略

初めて読む人のために、この小説集の概略を書きます。全部にゲイが主人公で登場しますが、タイプはいろいろです。

「川辺にキラリ」
一応、処女小説。短篇です。別れを自分の中で消化しようとする過程を描いたつもりです。

「短かった夏」
これも短篇です。別れ話がこじれ、何も言わなくなった相手に思い出話をするっていう話です。

「優先順位」
中編小説です。家庭と不倫の両立ができなかったって話です。主人公は中年のマッチョです。

「愛しているって言って」
中編小説です。一話一話で完結するように書いています。恋愛小説であり、SMの話ですけれど、そんなにエグい感じではないです。(たぶん)

「ハサミムシ」(執筆中)
これも中編小説です。一話一話で完結する感じです。この小説だけ、特に取り柄のないクズ人間が主人公です。いろいろなクズを集めて書いていけたらなと思っています。

「僕の彼氏は韓国人」
中編小説です。「愛しているって言って」と同じく一話完結の恋愛小説ですが、韓国人の特性みたいなものも織り込んだつもりです。一応、これは実体験に基づく私小説的なものですんで。

「夜明け前」
短篇小説です。深夜のゲイバーで繰り広げられたちょっとした恋愛小説です。

「そんなに仕事が大事?」
短篇小説です。失恋を中心において、仕事で追い詰められていく様子と織り交ぜて書いてみました。

「とことん付き合って・・いけるか、俺?」
中編小説です。完璧主義でシンメトリーが大好き。神経質で疑問点はとことん探求するという主人公とそれに振り回される彼氏との関係を描く、一話完結型の恋愛小説です。

「耐えてみろ!」(執筆中)
長編小説です。スジ筋とマッチョの二人を、主人公を入れ替えたりして書き進んでいます。腹筋ベースでちょっとSM小説チック、主として腹責めです。でも、他の腹責め小説に比べると、さっぱりしている(物足りない?)感じだと思いますが。

「落ちるところまで堕ちて」(執筆中)
長編小説です。一応SM小説で、主人公はマッチョな大学生で、金をきっかけにして自ら進んで壊れていく過程を書いていきます。

「終わりの見えないデスマッチ」
長編小説です。SM小説で、中でも金的メインです。主人公は二人ともスジ筋で、マッチョが脇役で出るって感じです。

「デリバリー」(執筆中)
中編小説です。主人公二人ともマッチョです。ま、焦らし系小説ですね。全然話が進まないじゃないかって感じですけれど、これが小説の醍醐味だと思ってもいます。時間がもっとゆっくり進むといいのに、と思っている人向けですね。

「灰色の空間」(構想中)
中編小説です。SM小説で、拷問系ですね。これも韓国を舞台に書いています。

「代償」(構想中)
中編小説です。ゲイ差別を受けるけれど、立ち向かっていく話です。

「台南の風に吹かれて」(構想中)
中編小説です。イケメン台湾人と旅先で恋に落ちてしまうという恋愛小説です。これも「僕の彼氏は韓国人」に引き続き、実体験に基づく私小説のようなものです。

「ゴーグルマン」(構想中)
中編小説です。マッチョなノンケがゲイビデオに出演する過程を描いています。

「終わりの見えないデスマッチB」(構想中)
長編小説です。基本、金的メインとかは変わらないんですが、主人公が代わります。

「デリバリーB」(構想中)
中編小説です。宅配便のマッチョが拉致られるけれども、って話です。

「スプラッシュ」
中編小説です。マッチョがいびられる話です。

「眠らない街バンコク」(構想中)
中編小説です。イケてるタイ人と旅先でイチャイチャする話です。これも、実体験的私小説です。

「まだまだ若い者には負けんぞい」(構想中)
中編小説です。ジジイばっかりが登場しますんで、面白いかどうかは俺も疑問です。

「よくあるファミレスでのできごと」(構想中)
中編小説です。2丁目にあるファミレスという設定で書いていきます。


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toppoi01 at 07:02|PermalinkComments(0)はじめに 

2017年11月17日

登場人物(2017/11/17)

登場人物
基本的に、誰が主人公とかはありません。小説ごとに主人公も違いますし、設定も全然違います。
ただ、同じ名前なら同一人物です。大抵は架空ですけれど、実在の人物をモデルにしているものもあります。(ま、俺しか知らないけど。)あと、年齢は悩ましいところで。アップした当時の年齢ってことでお願いします。

高梨 啓太郎(たかなしけいたろう)
売れない劇団員で主にバイト生活。33歳。「川辺にキラリ」で登場。

大戸見 邦史(おおとみくみふみ)
世田谷区図書館でアルバイト。特技はフルートが吹けること。28歳。「川辺にキラリ」で登場。

池尻 翔太(いけじりしょうた)
大学を出てフリーターだった。享年23歳。「短かった夏」で登場。

中村 敏夫(なかむらとしお)
中堅企業の派遣社員だったが、鬱病を発症しリストラをされる。享年42歳。「短かった夏」で登場。

馬淵 昇平(まぶちしょうへい)
妻も子どももいるが、実態はセックルレスの仮面夫婦。享年36歳。「優先順位」で登場。

住谷 和明(すみたにかずあき)
昇平のセックスフレンド。世話好きで料理が趣味。享年33歳。「優先順位」で登場。

高坂 悟(こうざかさとる) 
コンビニでバイト生活。29歳。結構ドSで茂人に様々な要求をしていく。けど、実はネコ。「愛しているって言って」で登場。

北村 茂人(きたむらしげと)
悟に言われるがままに従うドM。だけどタチ。「愛しているって言って」で登場。

鈴木 克利(すずきかつとし)
フリーター。資格試験を受けると言う名目で定職に就かず、コンビニ等でバイトをして暮らす。32歳だが、長年の不摂生が祟り中肉中背キューピー体型。しかし、本人はイケている、モテると思い込んでいる。「ハサミムシ」で登場。

柄谷 努(からたにつとむ)
県立高校の数学講師。28歳。曲がったことが大嫌い、神経質で凝り性の完璧主義者。「とことん付き合って・・いけるか、俺?」で登場。

小林 圭一(こばやしけいいち)
百貨店で経理を担当している。努の彼氏。31歳。「とことん付き合って・・いけるか、俺?」で登場。

坂上 明(さかがみあきら)
IT会社SE。31歳だが外見は20代前半と言っても通るくらいの童顔イケメン。「夜明け前」で登場。

新庄 智幸(しんじょうともゆき)
ゲイバーのママで、そこでは幸子という名で通している。まだ26歳と若いのだが、夜の生活が祟り、30代に見える。「夜明け前」「堕ちるところまで堕ちて」で登場。

北村 慎吾(きたむらしんご)
法政大学スポーツ健康学部の学生。寮生活をしている。バレー部員。19歳。「耐えてみろ!」で登場。

伊藤 陽一郎(いとうよういちろう)
法政大学スポーツ健康学部の学生。寮生活をしている。ウエイトリフティング部員。21歳。「耐えてみろ!」で登場。

横溝 崇(よこみぞたかし)
法政大学社会学部の学生。ボクシング部員。大学のスポーツ施設でアルバイトをしている。21歳。モデルはセクフレ。「耐えてみろ!」で登場。

鈴木 浩輔(すずきこうすけ)
明治大学商学部の学生。水泳部員。23歳。「堕ちるところまで堕ちて」「スプラッシュ」で登場。自分がM体質だということに気付く。

若松 太一(わかまつ たいち)
廃品回収業の社長。アル中で肝臓を患っていて常時赤い顔をしている。浩輔にバイトを斡旋する。51歳。モデルは某社の営業部長。「堕ちるところまで堕ちて」で登場。

沢村 耕太郎(さわむらこうたろう)
佐川急便の配達員。朝から晩まで弱音も吐かずに働く、武骨でまっすぐな好青年。28歳。「デリバリー」「帰ってきたデリバリー」で登場。

一条 達彦(いちじょうたつひこ)
一部上場企業の課長。ジムが日課で、高級スーツの下にはマッチョなカラダが隠されている。35歳。「デリバリー」で登場。

苫米地 篤(とまべち あつし)
33歳。4年間結婚生活を送っていたが、性の不一致により2年前に離婚。自動車修理工。「帰ってきたデリバリー」で登場。

齋藤 信明(さいとうのぶあき)
中堅企業の営業マン。営業成績は振るわず、課長に怒られてばかり。43歳。「そんなに仕事が大事?」で登場。

権 基哲(クォンギチョル)
明治大学商学研究科に通うイケメン韓国人留学生。26歳。日本語はまだまだ勉強中。とても短気で自己中だけど情熱的。モデルは元彼。「僕の彼氏は韓国人」で登場。

宮下 健一(みやしたけんいち)
ギチョルの彼氏、32歳。韓国人のギチョルに何とかついていこうと必死。一方で単身旅行中に台湾人の治文にも恋してしまう。モデルは作者。「僕の彼氏は韓国人」「台南の風に吹かれて」で登場。

金 大権(キムテガン)
韓国の左翼系新聞社の記者。31歳。「灰色の空間」で登場。

三反園 弘一(みたぞのこういち)
IT会社契約社員。資産家の息子で駅前のタワーマンションに一人暮らしをしている。24歳。「終わりの見えないデスマッチ」で登場。

西條 智哉(さいじょうともや)
川崎工業高校3年だが、後に中退する。弘一のトレーニング相手。17歳。「終わりの見えないデスマッチ」で登場。

坂井 亘行(さかいのぶゆき)
中堅企業の技術マンで趣味が筋トレ。33歳。モデルはセクフレ。「終わりの見えないデスマッチ」では弘一に金的を執拗にやられる筋肉野郎として登場。「ゴーグルマン」で再登場。

定岡 光和(さだおかみつかず)
川崎市H商業高校の数学講師。当時30歳くらい。「終わりの見えないデスマッチ」で登場。

三上 洋一(みかみよういち)
スカウト兼カメラマン兼ディレクター。43歳。「ゴーグルマン」で登場。

謝 治文(シェジーウェン)
台湾の和風喫茶で働く長身イケメン台湾人。27歳。モデルは前彼。「台南の風に吹かれて」で登場。

西条 実来(さいじょうみくる)
ソープランドで産まれ、親を知らずに育つ。「終わりの見えないデスマッチB」で登場。

宇津木 健(うつぎ たける)
母子家庭で育つが、小1のときに母親が若い男と蒸発してしまう。実来の5歳上。「終わりの見えないデスマッチB」で登場。

ジャナバル・インジェ(いんじぇじゃなばる)
トルコ人。生まれたときから腕が4本ある。実来の4歳上。「終わりの見えないデスマッチB」で登場。

ナデート・メーキンタイ(めーきんたいなでーと)
タイ人。全身が黄金色の毛で覆われていて尻尾もあるが、れっきとした人間。カラダの構造上2足歩行があまり得意ではない。実来と同い年。「終わりの見えないデスマッチB」で登場。
 

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toppoi01 at 09:03|PermalinkComments(0)はじめに 

2017年11月15日

雑記帳(2017/11/15)

大分書いたのですが、全部途中なので、発表するにはまだまだかな・・。最初に構想してから書いていくのですけれど、やっぱり結末をこうするかとか、この登場人物だったら結末はこっちの方がいいかななんてことで、結構最初からやり直したりすることもしばしばです。「まだ若い者には負けんぞい」とかは、落としどころが俺にも分かっていないので、温存しています。(発表することがあるんだろうかという感じでもありますが。)「耐えてみろ!」も続編を書いています。「堕ちるところまで堕ちて」も、若干思うところがあったので書き足しています。最近全然アップしていないんでね・・そろそろ出しますから。
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toppoi01 at 08:55|PermalinkComments(0)雑記帳 

2017年08月15日

耐えてみろ!(15)

寮に帰り、早速慎吾を呼び出した。
「オマエ、分かってるよな。」
ま、いつものとおりだ。先に帰っちゃったのを怒っているんだな。慎吾は上着を脱いで上半身裸になって正座をした。さっきのビールでカラダがほんのり桜色になっている。
食事した後の腹蹴りはちょっと堪えるな。気を抜いてモロに入ったら、戻してしまいそうなんで、グッと腹に力を入れて、陽一郎の繰り出す腹蹴りを堪える。すると、廊下で慎吾の前に陽一郎と飲んでいたらしい後輩が部屋の前を通りかかった。
「おい、オマエ、こっち入れ!!」
全体的にがっちりした背の低くて坊主頭の、おそらくまだ大学入りたての1年生という感じな彼を呼び止めた。ランニングとトランクスと言う男子寮ならではの簡素な格好で、呼ばれたからと陽一郎の怒気の含んだ声と対照的に悪びれた様子もなく部屋の中に入ってきた。すると陽一郎は唐突に、その垢抜けない丸顔をした1年生の前に立つと、股間に膝蹴りを喰らわせた。
「はぁぁぅっ。」
両手で股間を押さえると、床に倒れてそのままうずくまった。
驚いている慎吾を見て、「オマエ、次やったらこれだかんな。」と言い残して部屋を出て行った。
ファールカップを買おうかな、と全く起き上がってこない後輩を横目にそう思った。

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toppoi01 at 08:30|PermalinkComments(0)耐えてみろ!Ⅴ 

2017年08月14日

耐えてみろ!(14)

店で会計を済ませた。飲みかけの生ビール以外は全て片されていて、店員も立ってこちらを見つめていたんで、伝票を持って、そして荷物を持って出ようとしたが見当たらなかった。レジに行くと、ドアのところで俺のバッグを持っている男がこちらを見ていた。ああ、さっきの奴らか。まあいいや。外ではもう1人がこっちを見てニヤニヤして立っていた。勝手に歩き出したので、俺も付いて行った。それにしても、さっきいざこざを起こしたのに後ろ向きで歩くなんて無用心だ。バッグだって引ったくってまた走り去ることだってできるんだが、まあ何を怒っていたかすら朧気で、早く済ませたかったので言うとおりにした。
公園の時計があるポールのところに、男が睨んでいた。一見分からなかったが、壊れたメガネを持っていたので殴った相手だと分かった。
「これ、見ろ!」
フレームが曲がってレンズはなくなっている。踏まれたのか?
「おい、これ、どうする?」
弁償の話か。金で解決した方が楽だ。
「3万円払え!!」
冷静に考えれば、手持ちもあったし、メガネを新しく買ったことと殴ったことの侘び代として、3万円は妥当な線だったと思うが、3万円が唐突だったことと、殴って3万円だったら殴られたっていいよなと、貧乏根性が働いてしまった。
「3万円はなくないか?」
「何だと?」「おい、ふざけんなよ。」「ちょづきやがって。」
すると、俺のバッグがなぜか俺に投げられた。それを受け取ると、その殴った相手の持っている赤いガラケーに目がいった。俺のだ、って思った途端、そいつがそれを真っ二つに圧し折って、それも投げ返した。
あまりの衝撃にあっけに取られていると、急にそいつが駆け寄ってきて、俺の股間目掛けて正面から蹴りを喰らわせた。
「うぐっ。」
両腕でバッグや携帯を持っていたおかげでうまく防御できず、モロに喰らってうずくまった。
「バーカ。」「マッチョ頭悪いぞ。」
笑い声が遠ざかっていく中、股間のジワっと陰湿に襲ってくる痛みと、買って数週間しかたっていない携帯を破壊された喪失感で、ただ公園の一角で、しばらく呆然としていた。

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toppoi01 at 08:00|PermalinkComments(0)耐えてみろ!Ⅴ 

2017年08月13日

耐えてみろ!(13)

「おい、誰が田舎侍なんだよ。誰だ。誰が言ったか言え。」
またゲラゲラ笑いが沸き起こった。
「違う違う、田舎マッチョなのに、侍になってる。訳わかんねーじゃん。」
「お前が田舎マッチョとか言い出すからそうなるんだろ?」
「マジ止めろって、腹痛え。」
陽一郎は怒りが押さえ切れなかった。人知れぬところでケリをつけようと思ったが、我慢がならない。振り向きざまにバカ笑いをしている黒メガネの顔を思いっきり殴った。メガネが先に飛び、仰け反るようにしてバランスを崩して倒れた。そして、一心不乱に飲み屋街を走り抜けた。途中、なぜ俺が逃げなくちゃならないんだという疑念が生じ、速度を緩めた。後ろを見たが、追ってくるという感じでもなかった。殴った相手を介抱しているんだろう。それにしても、見ず知らずの相手を殴ったりしちゃいけないよな。酒を飲んだ勢いとはいえ、日頃からスポーツマンシップと言っている俺が、それじゃいけないわ。走ったからか酒が急に回ったようで、ちょっとふらついた。そっか、それより金を払わないと。荷物も置いたままだ。またさっきの道を歩いて戻っていった。

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toppoi01 at 08:00|PermalinkComments(0)耐えてみろ!Ⅴ 

2017年08月12日

耐えてみろ!(12)

慎吾が帰ってからも、誰に聞かすわけでもなく、ただつぶやくようにして愚痴、そして責任転嫁は続いた。怒られたことに対する反省の言葉は全く出なかった。自己を正当化し、自分は悪くないと言い聞かせることで自分を慰めた。もちろん、本当はそれを慎吾に言ってほしかったのであるが。
後ろの客は逆に楽しく騒いでいた。くだらない話で盛り上がり、しょうもないことで腹を抱えて笑い転げていた。
「ギャハハハ。」
陽一郎の真後ろの客が、笑い転げて不注意で端に置いてあったジョッキを手で払ってしまい、床に落とした。グラスは割れ、炭酸の液体が泡を吹いて周囲に撒き散らされた。それは床に置いてあった陽一郎のバッグを濡らした。
「あーあ、何やってんだよぉ!」
他の二人は、割ったグラスを見て、ゲラゲラと笑い転げた。
「おい、何してんだ、テメー。」
陽一郎は、我慢できずに後ろを振り返って言った。
「すみません、今片付けますから。」
そう言ってきたのは店員であって、割った張本人と他の二人はただ、陽一郎の顔を口を半開きにして見ていた。
「やべえ、田舎臭いマッチョに怒られちった。」
「田舎臭いとか言うなよ、聞こえるだろ、ウケる。」
途端、またゲラゲラと笑い転げる。
「だって坊主はないだろ、坊主って。」
途中からゲラゲラ笑いが止まらなくなって、ずっと笑い転げている。
陽一郎はもうたまらずに、「表へ出ろ!」というと、ガラスの引き戸を開けて店を出た。
「ほらぁ、田舎マッチョがいきり立ったじゃん。」
「マジかよ、表出ろって、熱血漫画見てぇ。」
3人は、笑いながら面白そうに陽一郎を追って外に出て行った。

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toppoi01 at 08:00|PermalinkComments(0)耐えてみろ!Ⅴ 
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