2022年01月17日

終わりの見えないデスマッチC(4)

最近?俺はハッテン場に最近行っておらず、そもそもここ池袋のハッテン場には来たことがない。誰かと間違えているのだろう、単なる通りすがりの性欲処理相手同士、記憶違いも無理はない。
「俺、見てたんだぜ。」
と、たっぷりと唾液で濡れてテカテカに光ったモノを乱雑に扱きつつ、立ち上がって向かい合った。
「こうしてさ。」
とモノはガシガシと扱かれたまま、玉をキュッと握られて、顔をグッと近づけ
「雄叫びをあげる姿、セクシーだったぜ。」
とブランデーのような酸っぱく鼻につく口臭を漂わせ、ニヤッと笑った。顔に見覚えは全くないが、そういうところを見ると、おそらくあの格闘場の上客なんだろう。智哉との試合のことを言っているんだな。あれからしばらくは試合に出ていない。出てもいいのだが、試合をしたいという気分にどうもなれないからだ。決して臆病風が吹いているわけでもないのだが、張り合いと言うものが出なくなったというか、心の中にぽっかりと穴が開いてしまってそもそも意欲がなくなってしまったのだ。惰性で流されるように生きている、今だってこんなつまらない男に愛もなく感情もなく抱かれ、そして今、性欲をただ機械的に処理しようとしているのだ。
「おい、あのかわいいお相手がどうなっているのか知りたくないのか?」
いつしか手は扱くのを止めて、チョコレートのようにパキパキに割れた弘一の腹筋をなぞっていた。
「知っているのか?」
なぜ、智哉と俺が何らかの関係あることを知っている?目の吊り上がった男は、その目をさらに細くし、膝で弘一の股間を圧迫しながら、
「知っているも何も、興味があるなら教えてやってもいいぜ。」
「教えてくれ。」
「ただ、それには条件が一つ。」
「なんだ。」
「一晩、お前を俺の好きにさせろ。」

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2022年01月14日

終わりの見えないデスマッチC(3)

しかし、こんな汚れたワイシャツを着て帰るわけにもいかないからな。近くの量販店で一着購入したが、カラダ中にコーヒーの臭いが染みついていたため、シャワーを浴びようと近くのハッテン場に入った。この建物は昔はホテルとして使用されるはずだったため、瀟洒な造りで相当な金をかけて造られたものでもあったが、本来の用途では使われることがなくしばらくは放置され、そのままありふれた雑居ビルとして転用された。1階は24時間やっているファミレスが入り、あとは怪しげなバーやスナック、上層階に行くとマッサージ店やヘルス、ソープランドなどが入っていたが、最上階はそこだけが円形になっていて周囲がガラスで覆われた見晴らしの良いフロアが全てハッテン場になっていた。汚れた衣服を脱いでシャワーを浴びると、何の変哲もないシンプルなデザインのアンダーウェアを履いて中に入っていった。通路が迷路のように入り組んだハッテン場で最盛期は朝まで人が引っ切りなしに訪れる人気施設であったが、往時の勢いは既に失っていて、客も夕方のかき入れ時に5,6人しかいなかった。その客一人一人の目が弘一を追っているように見えた。細身ではあるけれども全く無駄のなく、脂肪という脂肪をそぎ落とした後のような鋭い形をした腹筋と、市販のアンダーウェアではとても収まりきらないくらいに中で大きく湾曲したモノが、あらゆるジャンルの視線を集めていた。特段ヤリたい奴を探すというわけでもなく、薄暗い通路を歩いていると、鋭い目つきをした奴にサッと個室に引っ張り込まれて、鍵をかけられた。そして有無を言わさずにアンダーウェアを脱がされて、早速しゃぶられる。最近抜いていなかったので、弘一のモノはみるみる怒張していった。
「最近見ないな。」

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2021年12月07日

終わりの見えないデスマッチC(2)

「おぅ、兄ちゃん、どこ見て歩いてんだい!」
と眉の殆どなく派手ではあるが色褪せてよく見るとところどころが擦り切れているシャネルのシャツを着た若い男にいきなり言われた。いや、そもそもがこちらが言うべき台詞であった。ニヤニヤしてこちらを見つめている手には、ほぼ空になった紙コップが握られていた。見るとコーヒーが弘一のワイシャツの全面を濡らしていた。
「おいおい、どうしてくれんだ、兄ちゃんよ。」
と、両腕に青い幾何学模様のタトゥの入った仲間と思われる男が近寄ってきた。
「あーあ、昨日買ったばかりのシャツがオジャンになっちまったじゃねーか。高いんだぞ、買うと。」
言う台詞が決まっているのかどうか分からないが、昨日買ったとは到底思えず、少なくともコーヒーのような褐色の液体は、因縁をつけてきた相手ではなく、ほぼ弘一にかかっているのは傍目から見ても明らかだった。
「まあ、兄ちゃん、ここじゃなんだから静かなところで話しようか。」と顎をクイッと捻って、その先の薄暗い路地を指し示した。この辺りで金を搾り取れそうなのを探していて、俺が引っかかったんだなと、うっすらと納得した様子で言うとおりに付いていった。
「いくら持ってんだ?」
「金ならないです。」
「嘘つけ。」
「ないですから。」
「おい、俺をあんまり怒らせるなよ。」
「ケガしないうちに出しておけよ、コラ。」
と胸ぐらを捕まれたのと同時に、弘一は相手の股間を膝で蹴り上げ、同時にもう一人の喉を左手で強打した。
「がぁぁ。」
「うげぇぇ。」
と倒れてもがいているのを尻目に、何事もなかったかのように、また元の道に戻った。

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2021年12月04日

終わりの見えないデスマッチC(1)

地下鉄の駅に向かう交差点に、一軒の酒屋があった。毎朝、ここで複数のサラリーマンが東京に向かう通勤電車に乗る前に一服をしていた。ほんの1,2分ではあるが、路上喫煙はもちろんのこと、周辺のタワーマンションでも禁煙をうたっているところが殆どであり、ここが周辺の喫煙愛好家たちのいわばオアシスとなっていた。一人、タバコを扱いかねている男がいた。タバコの煙を吸い込むが、十分に吸い込まないうちに吐き出している。タバコを無理に吸おうとしている様子が傍からも分かるが、それでもなお、煙を吸い込もうとしていた。まるで自分の中の酸素を汚い煙に置き換えようとしているかのように。慣れないタバコであっても気分が落ち着いたのか、駅に向かって歩き出した。ネクタイをせずにワイシャツの前ボタンを広めに開けて、細い金色のネックレスを下げていた。薄いグレーのサングラスをして、髪はムースでしっかり固めて後ろに流し、細い腕にはシルバーのバングルをしていた。弘一は昨日のことを思い出していた。一日の勤務が終わり、北池袋の薄汚れた路地を歩いていたらチンピラに絡まれたのだ。
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2021年11月13日

終わりの見えないデスマッチB(41)

実来はそれ以来、姿を見せることはなかった。風の噂では、マネージャーの逆鱗に触れてどこか知らない国へ売り飛ばされたということになっていた。3年後、その実来がふいにシディークのところに現れた。「実来、実来、生きていたんだ、実来!!!」シディークに両肩をつかまれて前へ後ろへと勢いよく振られ、声も出なかった。生きているも何も、それからというもの、実来は智哉や父の仕事を引き継いでいろいろ忙しく、全世界をそれこそ飛び回っていて、ここに来る余裕がなかったのだ。ただ、顔は変わりないのだが、全身を黒服で包み、そしてなんともいいようのない、隠し切れない「影」が実来を陰鬱な形にして見せていた。ギュッと抱きしめられて・・人目をかまわず、二人は長いキスを交わした。ただ、それっきりだった。実来の左目から、一筋の涙が流れ落ちたが、何事も発することなく、そこから立ち去っていった。越えられない壁が二人を分け隔てているように、近くにいるのに遠い存在のようだった。

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2021年11月10日

終わりの見えないデスマッチB(40)

「ガッ。」目を開けると智哉がうずくまっていた。渾身のボディブローがヒットしたようだ。あんなに鍛えたカラダをしていても、結構大したことがなかった、この男は俺のことを子供だと思って軽く見ていたんだ、余裕ぶってかかってこいとかいうからこんなことになるんだ、と思うと、実来の口元が緩んだ。と、智哉がいきなり起き上がったと思うと、思いっきり拳で顔面中央を殴られ、後ろに吹っ飛んだ。鼻血が出て、痛みで涙がこぼれて鼻血と混じってカラダを濡らしていった。「オマエ、どこでもいいってキンタマはないだろ!!!」と、リングに座り込んで、股間を揉みほぐしている。と、手をたたく音が聞こえて、黒服の男が近づいてきた。「良くやった、良くやったよ。」「良くない!!!」黒服の男は、血だらけになった実来の前に来ると、頭を撫でた。「実来、良く育った。良く・・。」あとは、涙声と片言の日本語でよく聞き取れなかった。智哉が片手で股間を抑えながら近づいてきて、「実来、よく見ろ、お前のお父さんだ。」お父さんと言われても、全く覚えていないのでピンと来なかったが、目の前に差し出されたプリクラの写真、それも実来は1枚きりしか持っていなかったが、手帳に埋め尽くされた無数のツーショットの写真を見せられると、「お父さん」と言われるものが急に現実味を帯びた。

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2021年11月06日

終わりの見えないデスマッチB(39)

リングに上がろうとすると、智哉はロープを握ってカラダをほぐしている。と、誰もいないのにアナウンスが聞こえてきた。レフリーもいない。観客どころか人が全くいない。ただ、個室からさっきの男が眺めているだけなのだろうが、こっちからは見えないので様子を窺い知ることができない。「タイマン、タイマン。ある?タイマン。」全てが異様なので、言葉が全然入ってこなかった。口ももうカラカラに渇いている。と、智哉は腕も足も広げて、「好きなところ殴っていいよ。」えっ、と戸惑ってしばらく立ちすくんでいると、痺れを切らして両腕両足を閉じて、「ハンディだよ、ハンディ。」なおも様子を見ていると、智哉の顔もだんだんと険しくなっていた。「なぁ、分からないかな?俺もいつまでも優しくないぞ。10数えるから、それまでにかかってこい、10、9、8、・・・」とカウントダウンが始まった、しかも心持ち速く。足の震えが止まらないが、行かない選択肢はない、行くしかない。目をつぶったまま、実来は智哉に殴りかかった。

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2021年11月04日

終わりの見えないデスマッチB(38)

全試合が終わり、客が帰っていくのを見ると余計ソワソワしてきたが、智哉は隣の男と密着してしゃべっていた。智哉が男の膝に手を当てたり、手を握ったりと、かなり親しげだった。最初、親子なのかなと思っていたが、男の体にまとわりついたりしているところを見ると、まあ付き合っていると見た方が自然だった。客も全くいなくなって、清掃や後片付けを済ますとスタッフもいなくなった。「じゃ、やるかな。」と、右腕をグルングルン回して、服を脱ぎだした。「ああ、ここで着替えてもいいけど、雰囲気でないか。あっちで着替える?」と言うので、見慣れた更衣室に移動した。智哉はさっさと脱いでいく。サングラスを取ったら、結構愛嬌のある人懐っこい顔をしている。それに・・、腹筋とかパキパキって割れていて、無駄な脂肪なんて全然ない、普段の黒服からは想像もできないようなファイターのカラダ付きをしていたのに驚いた。「先行ってるよ。」と履いていたブランドもののトランクスを投げ捨てると、リングに向かって行った。

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2021年10月05日

ちょっとだけ怖い話(19)

というか、南森町というところに行くんだから、そもそも逆だった。反対側だわ。ボーっとしてたんだ、確かに、ちょうど電車が来たんで乗り込んで、と、後ろから「キャー」っていう、女性の悲鳴が聞こえた。何かなとは思ったけれど、振り返りもせずiPhoneを取り出して、席に座って音楽を聴いていた。でも、全然電車が動く気配もないし、向かいの電車はどうも途中で止まっているっぽいし、車内放送で運転の再開の見込みが立たないって言われたから、並行して走っている私鉄とかJRとか乗り継いで、何とか南森町に。まあちょっと遅れて着いたはいいけれど、相手はまだいなかった。lineで遅れるって連絡があって、10分後くらいに来たんだけど、「堺筋線が人身事故で止まっちゃっててん、めんごめんご。」って。人身事故?・・読んでいる人には悪いんだけど、怖いから、何があったのかは調べていない。でも、俺、危うく死にかけたんだけど。「天下茶屋から乗ったん?あれ、ホテルさ、千日前やったよね?天下茶屋て・・もしかして、来る前に誰かと会っていたとか?」って股間を触られる。え、俺、そうだわ。難波の地下街の英国屋で遅めの朝食を食べて、・・そこからどうして天下茶屋という駅に行ったのかは記憶が全くない。持っていた一日乗車券は、日本橋で乗ったという記録が残っている。反対方向だね、で、なぜか降りたんだ、天下茶屋って駅で。いいわ、・・気持ちを切り替えて、男、男っと。だって、俺、死ぬ日って5月15日って決まっているんだから。死神に「危ない」って止められちゃったのかもね。そうそう、これ、吉兆だね。吉兆も予知できることが分かったわ。

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2021年10月02日

ちょっとだけ怖い話(18)

大阪の堺筋線に天下茶屋って駅があるんだけれど、大阪に住んでいる友達と銭湯に行こうって話になって、いや、ハッテン銭湯ってのがあるっていうから、折角大阪に来たんだし、一度見てみたいなと思って、股間を若干膨らませてホームで電車を待っていたんだ。アナウンスが流れて、電車が入ってきて、ドアが開いて、まあ回送電車みたいに何か薄暗いし、空いているなって感じはしたんだけれど、電車に乗ろうとしたのよ。そしたら「危ない」って何か、声っていうか、頭にガツンって衝撃を受けるような感じの声が聞こえて。ハッと気づくと何もない。そもそも目の前に電車なんてない。右、左と見たけれど、周りに人さえもいない。いや、俺、びっくりして。東京の地下鉄って転落防止用の柵があるんだけど、ここにはなくて、俺、電車に乗ろうとしていたからさ、もう、片方の足に体重をかけていたら、そのままホームに落ちていた。本当に、危うくね。ボーっとしていた?いや、確かに緑色の電車が入ってきていて乗ろうとしていたんだし、いや、でも、ハッテン銭湯に気を取られて、気持ちがさ、ふわふわしてたんだなって思ってね。

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2021年09月30日

ちょっとだけ怖い話(17)

予知能力の話、していいですかね?予知なんてできるわけないだろ、そんな能力なんかあるわけないじゃんかって?そう、予知能力はないんで、予知できない。俺も、別にほらを吹こうと思っているわけではない。ただ、ここまでくだらない、実にくだらない話に付き合ってくれた人、今まで読んでいて気づきませんか?予兆がある。吉兆は知らないけれど、凶兆って、虫の知らせという言葉がある通り、予兆がある。何が起こるか教えてくれるわけでもないから、何か嫌なことが起こるなくらいにしかわからないけれど、例えば蒲田に行くはずが桜木町に行っちゃったとか、死神が現れたとか、普段読まない中国語で書かれたネットニュースが検索で引っかかったとか、あるの。ま、俺が悪霊に取り憑かれているせいもあるのかもしれないけれど、・・だったら、つのだじろうの『恐怖新聞』みたいに、分かりやすく解説してくれるといいんだけどね。

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2021年09月25日

ちょっとだけ怖い話(16)

その悪霊とやらの詳細が分かったのは、これもハッテン場。ソウルで、深夜便で来たから、もうホテル取らずにハッテン場で一夜を過ごそうと思って入ったらすごいいっぱいで。大部屋に雑魚寝している人でぎっしり埋まっている。仕方ないから入口附近に座ってウトウトしていたら、奥が開いたんで、そこに移ろうとして、そしたら、急に眼鏡をかけたガリガリのカラダをした奴が喚きだして。で、俺を指さして「こっち来るな、こっち来るな。」って言っている。何、ハッテン場で日本人差別?ってちょっと不愉快な気分になって、そしたらそいつが暴れだしたんで、周囲にいた韓国人たちがそいつを取り押さえた。周りの人に「ごめんね、ごめんね。」となぜか謝られる。だって、俺、別に何かしでかしたわけじゃないからね。そしたら、取り押さえられた奴が、俺も韓国語はあんまり分からないんだけれど「持ち帰っている、持ち帰っているんだ、帰らせろ。」と怒鳴りつけられて。で、続けて、「そいつの後ろに倭寇と、上に生首が4つグルングルン回っているんだ。」と、指をさされて言われた。倭寇・・韓国ドラマ以外では聞いたことがないが、たぶん武士なんだろうね。で、スタッフが来て、喚いていた奴は退店させられた。・・別にオチはない。それだけ。というか、同情されたからか、モテた。ま、生首4つ回っていたら、さすがに良い霊ではなさそうだよね。で、言われてどうしたのか。だからどうもしない。悪霊が憑りついていたところで、たまに人が逃げていくだけで、これといった実害はないし。悪霊が後ろにいるなんて、ちょっとカッコよくない?皆さん、頭上に生首が4つクルクル回っている人がいたら、それ、俺だから、声かけてね。

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2021年09月22日

ちょっとだけ怖い話(15)

悪霊が憑りついているというのは、まあ、知っていた。薬師池公園の前でバスを待っていたら、降りてきたおばあさんがいきなり「あんた、悪霊ついているよ。」って言われて。「そうなんです。」ってさらって答えたら、目をまん丸くしていた。中野の商店街を歩いていたら、うだつの上がらなそうなヨレヨレのポロシャツ着た中年男性が、俺のことを見て、「うわぁぁぁ」って叫んで急いで逃げて行った。佐川急便でバイトしていたら、そこで一緒のコーナーで働いていた中年太りの男が、「君の後ろ、黒い影が見える。」と言い残して、その日は早退して、以後来なくなった。なので、すっごい強力な霊が憑りついているんだなっていうのは分かったんだけれど、なぜ悪霊なのかなっていうのが引っかかっていた。だってさ、悪霊ってパッと見て分かるの?守護霊かもしれないじゃん。オーラからして悪霊っぽいのかな。俺は全く見えないんで、実感はない。

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2021年09月20日

ちょっとだけ怖い話(14)

なので、なのでというわけではないんだけど、霊が見えたりするのは宮下一族、お父さん、婿養子なんで宮下といっても母方の系統が霊が見えたり憑りつかれたりするらしい。悪霊の前に死神の話もしておくかな。俺は見たことない。おばあさんがもうかれこれ15年前に死んだんだけど、その2年前から痴呆症が進んでさ、俺のことも分からなくなっちゃって、俺のことを御徒町に住んでいたご近所さんと間違えているらしく、毎日なんか適当に話を合わせていたんだけれど、死ぬ前日、5月14日に、俺の隣を見て、「ああ、死神か。いよいよお迎えにきたんだね。」と、はっきりした声で急に言い出して、何言ってんだ、呆けてしょうがないなと思っていたら、翌日に心不全で急に死んで。俺は死神というのがピンと来なくて、・・見たことないし、死神って「神」なの?っていう違和感もあるし、死ぬ前に初めて会ったとしたら死神だって分からないんだから、見た目が明らかに死神だったのか、死神から何か言われたのか知らないけれど、お迎えが来るってのはこういうことなのかなってね。で、悪霊も死神もそうなんだけど、俺は見てないから知らない。なんで見えないのか。いや、俺に聞かれてもしらない。霊視にも近眼とかあるのかもしれないし。

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2021年09月15日

ちょっとだけ怖い話(13)

ついでだからもう一つ。これは俺自身の話なんだけど、俺は怖くないんだけれど、たぶん見えたら一番怖いかなって話。実は俺、悪霊に憑りつかれてね。何言ってるの?と、もう既についていけていないかもしれないけれど、別に俺自身もついていけてはないから大丈夫。俺の一族の話からまずするよ。俺、誕生日が5月15日なんだけど、俺のおじいさん、おばあさん、いとこ、おばさん、あと市長をやった遠い親戚のおじさん、ああ、おじいさんは再婚だから血のつながりはなくて、おばさんは2人いるんだけれど、5月15日が命日。だから、俺って誕生日、ケーキは予約してあったから食べるけれど、まあ、死んだって連絡が入るし、そもそも「健一」の「健」は生まれる1年前に死んだ市長の一字をもらったという、なんか縁起の悪い名前だし。あと、おばさんのうち一人は首つり自殺、もう一人は風邪をこじらせて肺炎になって死んで、同い年のいとこはサッカー留学に行ったブラジルで交通事故死。でね、怖いのは、うすうす5月15日という日に何かあって、先祖がなんかして、きっと末代までたたられているんじゃないかと推測はつくんだけれど、由来を知らない。なぜその日にやたら死ぬのか、誰の呪いなのか、まったく情報がない。そんな日に生まれて良かったのか分からないけれど、宮下一族はそもそも因縁めいているということが分かってくれたかな?

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2021年09月12日

ちょっとだけ怖い話(12)

それから2週間くらい経って、家でふとそのハッテン場のホームページを探していたら、そのハッテン場のことが書かれた新聞記事が引っかかった。そのハッテン場で、ビニール袋を被って個室で一人自慰行為をしていたところ、誤って窒息死してしまったんだという内容だった。そんな性癖の人いるんだなって思って、高雄で会った彼にURLをLINEした。そしたら、「そっか、実は君には黙っていたんだけれど、実はその部屋で、変な声が聞こえたから、その部屋を出たんだ。」と。変な声?「苦しい、苦しい、死んじゃうよ、誰か助けて、って。君が怖がるといけないから、言わなかった。」あの耳鳴りのような現象がそうだったのだろうか。俺は中国語はそこそこ分かるんだけれど、俺にはざわめきのような音しか聞こえなかった。隣・・使用禁止の部屋だったしな。その新聞記事を見直すと、彼と会う3日前の朝方の出来事だった。というか、そういう性癖だとしても、わざわざハッテン場に来てビニール袋を被って自慰行為の方が不自然で、「助けて」って言っているんだったら殺されたんじゃない?と思うと、・・成仏はできないよね。その後、そのハッテン場のすぐ傍に、新しいハッテン場ができたのだが、いまだそのハッテン場は現役だ。あと、その彼はその後、花蓮で看護師の資格を取って、台北のとある病院で看護師として働いている。もちろん、彼と会うときはホテル、ハッテン場には行かない。

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2021年09月10日

ちょっとだけ怖い話(11)

彼、タフで、3回もイッたのに、全然疲れ知らず。俺のカラダに絡まってくる。埔里って行ったことないけれど、ハッテン場あるかしら?タイヤル族オンリーのハッテン場に行きたい。エアコンガンガンに効いているのに、汗がとめどなく出てくる。ただでさえ寒いのに、汗が止まらないからカラダが冷えてきた。と、上に取り付けてある天吊り型のエアコンが、急に「ガンガン、ガンガン」と、なんていうか、ガタガタいうならわかるけれど、叩きつけるような音が鳴って、今度は白い水蒸気状のものがバーッと出てきた。見るからに古そうなエアコンだからね。というか、爆発しない?故障の一歩寸前って感じ。と、ワーッて、耳の中からざわざわ声がするような感じになった。ウワヮヮン、ウワヮヮヮワン、って耳鳴りというか、耳の中でこだましているような感じで、結構すごい。と、俺に手足を絡ませていた彼が、動きを止めて、「休憩しよう。」と。出ると、隣の個室はドアは空いているのだけれど、透明なビニールシートで覆われていて、「使用禁止」と書いてあった。赤い印が押されていたから、保健所か何かが来たのだろう。シャワーを浴びて、休憩室で生ぬるいコーラを飲んでいたら、彼が来て、「これからバスで台中に帰るんだ。」と。急だね。朝4時だけど。「これ、僕のLINE。今度、僕の故郷、埔里を案内するよ。」と言い残して、彼は帰っていった。

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2021年09月07日

ちょっとだけ怖い話(10)

4階に上がると、普通の洋画が流れていて、リクライニングのソファが置いてあって、そこかしこでオヤジどもの高鼾が聞こえる。皆、一様に太っていて・・屁をする奴まで。最悪だわ。ホテルに帰りたい。と、脇で寄りかかっている、なんかシルエットからしてカッコよさそうな男が視界に入る。近寄ってよく見ようと思ったら、サッと向こうに行ってしまった。・・柱の陰から頭を出してこっちを見ている。逃げたというよりは誘っている?というか、顔つきがワイルドで中華系っぽくはない。気になってそっちに行くと、来たのを確かめてから個室の前に立っている。スラっとして、顔が小さくて・・俺が見ていると、個室に入ってベッドに座って、ボロボロになったマットをバンバン叩いてニコニコしている。言っておくが、彼が実はこの世のものではなかったという話ではない。言うから隣に座ると俺の手を取って、そのまま頬擦りした。え、何、近くで見たら本当に、なんか坂口憲二風のイケメンなんだけど。日本人?と日本語で聞いたら日本語はわからないらしい。聞くと、台湾中部の埔里(プーリー)から来た台湾人なんだけど、中華系ではなくてタイヤル族という原住民なんだそうだ。原住民・・俺の抱いているイメージと違う。色黒で・・座っていても腹筋バキバキに割れているのがわかる。何、ジム?って聞いたら、柔道をやっているんだって。柔道体型というよりは、サーフィンか水泳でもやっているかのような、色黒のムキムキな筋肉質体型。と、ふいにキスをしてきて、「僕のこと、嫌い?」あら?さっきまでゾンビとビヤ樽みたいのしかいなかったのに、何、この嘘みたいな光景。嫌いになる要素が一個もない。

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2021年09月05日

ちょっとだけ怖い話(9)

2階に風呂と休憩室があって、ホテルでもカラダを洗ったんだけれど歩くだけで汗が出てくるような気温なんで、またシャワーを浴びて、バスタオルを腰に巻いて休憩室に。ここって中国語で書かれた漫画があったり、フリードリンクとバナナとかちょっとした食べ物が置いてあって、デスクトップ型のパソコンも設置されている。テレビでは深夜の台湾のバラエティが流れていて、トークバラエティらしき番組を50代くらいのてっぺんの禿げたオヤジがピーナッツをボリボリ食べながらつまらなそうに見ているし、パソコンの前には干からびたカラダをしたおじさんがカチカチとマウスで何やら見ている。生暖かいコーラをクッと飲んで、上に上がる。3階、何かゾンビのように皆がゆっくり歩いている。どいつもこいつも、うつろな目をして覇気のないオヤジばっかり。既に怖い。武器が欲しいくらいだ。映画が終わったのか、スクリーンはずっと青いままで止まっている。そう、もう深夜0時を回ったところ。台湾人は夜更かしなんてしないどころか、ハッテン場には夕食前に行くというお国柄。寝られずムラムラした奴しかこんなところには来ない。眠い。ホテルでアプリでも弄った方が効率良かったな、こりゃ。

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2021年09月03日

ちょっとだけ怖い話(8)

こんな話もあった。この話も何だろうなって引っかかってはいたんだけれど、後日新聞にも載ったし、俺がはっきり見たわけではないんだけれど、聞くとまあ霊的現象だったんだなって。いや、でもね、こういう事故物件みたいなのって、いうべきじゃない?って思ったんだけど。これは、台湾の南部にある第二の都市、高雄で起こった話。またハッテン場なんだけどね。台鉄高雄駅の前って、第二の都市の玄関口にしては汚い。台湾なんで、飲み屋街とかラブホテル街ってのはなくて、安ホテルが建ち並び、東南アジア系の外国人の経営するいろいろな店が建ち並ぶ、薄暗くて夜歩くにはちょっと怖いようなところにハッテン場がある。そこもまあボロボロで汚くてね、入ったところで廃病院とか廃ホテルのような、暗くて肝試しでもできそうな、そもそもそんな、霊がいてもいなくてもちょっと怖いハッテン場。日本人は台北にあるようなキレイで人気のあるハッテン場しか行かないからね。こういうディープなスポットもあるんだよ。
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